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2020年11月24日 (火)

東宝の秋の新型コロナウィルス案件

公演中だった「RENT」が中止になりました。

11月2日から12月6日までの5週間公演ですが、11月16日の昼夜公演のうち夜公演から中止です。最初の発表はこちら

誠に恐れ入りますが『RENT』11月16日(月)18:30の公演は出演者の体調不良により休演とさせていただきます。

翌11月17日の発表はこちら。相変わらず紛らわしいPDF置場のURLです。

 11月16日(月)、シアタークリエ(東京都千代田区)にて公演中の『RENT』に出演中のキャスト1名が、キャスト・スタッフを対象に定期的に行っている新型コロナウイルス感染症のPCR検査の結果、「陽性反応」が確認されたため、急遽18時30分開演の公演回を中止いたしました。
 これを受け、速やかに管轄の保健所にご報告するとともに、キャスト・スタッフに改めてPCR検査を実施し感染の状況を把握するほか、劇場施設内の消毒を行うため、11月18日(水)から11月23日(月・祝)までの期間、公演を中止させていただくことといたしました。
 中止となりました当該公演へのご来場を楽しみにされていたお客様には、大変なご迷惑をお掛けし、誠に申し訳ございません。深くお詫び申し上げます。
 25日(水)以降の公演の実施につきましては、管轄の保健所からのご指導に基づき決定し、改めてご案内いたします。
 昨今の感染状況を考慮しての判断でございますので、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
(後略)

11月19日の第二報はこちら

 11月16日(月)、シアタークリエ(東京都千代田区)にて公演中の『RENT』に出演中のキャスト1名が、キャスト・スタッフを対象に定期的に行っている新型コロナウイルス感染症のPCR検査の結果、「陽性反応」が確認されたため、急遽18時30分開演の公演回を中止いたしました。
 これを受け、速やかに管轄の保健所に報告するとともに、キャスト・スタッフに改めてPCR検査を実施したところ、8名の陽性者が判明し、当初の1名と合わせて陽性者は9名となりました。
 9名の感染者につきましては、居住地の保健所より療養等のご指導を受けております。 シアタークリエでは劇場施設内の消毒を行い、11月18日(水)から11月23日(月・祝)までの期間、公演を中止させていただきますが、それ以降の公演の再開時期につきましては、管轄の保健所からのご指導に基づき決定し、改めてご案内いたします。暫くお待ちくださいますようお願い申し上げます。
 なお、本公演の実施につきましては、感染予防の公演ガイドラインに則って、客席最前列を空けての上演をしており、また客席を使用した演出等もなく、出演者とお客様の接触がなかったことを確認しております。
 お客様、関係者の皆様には大変ご迷惑をお掛けし誠に申し訳ございません。深くお詫び申し上げます。
(後略)

11月20日の第三報はこちら

 11月16日(月)、シアタークリエ(東京都千代田区)にて公演中の『RENT』に出演中のキャスト1名に、キャスト・スタッフを対象に定期的に行っている新型コロナウイルス感染症のPCR検査の結果、「陽性反応」が確認されたため、当社は、急遽18時30分開演の公演回を中止し、その後11月18日(水)から11月23日(月・祝)までの期間、公演の中止を決定いたしました。
 昨日(11月19日(木))、管轄の保健所より、シアタークリエの立ち入り調査を受け、当社より詳細な状況を説明したところ、一部の関係者が濃厚接触者の指定を受けました。引き続き、保健所からの指導に基づき関係者のケアをはじめ、事態を注視してまいります。
 また合わせて、ご来場のお客様につきましては「濃厚接触者に該当しない」旨の見解をいただきましたのでお知らせいたします。(本公演の実施につきましては、感染予防の公演ガイドラインに則って、客席最前列を空けての上演をしておりました。)
 今後の公演については、保健所からのご指導により本公演の中止を11月30日(月)まで延長いたします。12月2日(水)以降の公演の再開につきましては、今後の状況を鑑みて、あらためてお知らせいたします。
 中止となりました当該公演へのご来場を楽しみにされていたお客様には、大変なご迷惑をお掛けし、誠に申し訳ございません。深くお詫び申し上げます。
(中略)
 本日までのPCR検査陽性反応者の数については以下の通りとなります。

検査実施日  11/16 11/17 11/18 11/19 11/20 ※計
陽性反応者数 1   8   0   0   6   15
※11/20は18時時点の数値

11月24日付の第四報はこちら。ここで全中止が決定になります。

 2020年11月24日東宝株式会社シアタークリエ『RENT』公演の中止について(第四報)シアタークリエ(東京都千代田区)では、ミュージカル『RENT』公演の関係者に新型コロナウイルス感染症の陽性者が確認されたことから、11月16日(月)18時30分開演の公演回を中止し、その後、11月30日(月)までの公演の中止を決定しておりました。
 当初の陽性者1名の確認後、速やかに関係者への一斉PCR検査を行うほか、継続して関係者の状態を管理し必要に応じて追加のPCR検査を行い、現時点で21名の陽性者が確認されました。陽性者は、居住地の保健所からの指導を受け療養にあたり、容体は回復に向かっております。
 シアタークリエでは、11月19日(木)に、管轄の保健所より、劇場の立ち入り調査を受け、当社より詳細な状況を説明することで、一部の関係者に対して濃厚接触者の指定を受け、また、ご来場のお客様につきましては「濃厚接触者に該当しない」旨の見解をいただきましたので、あらためて、お知らせ申し上げます。(本公演の実施につきましては、感染予防の公演ガイドラインに則って、客席最前列を空けての上演をしておりました。)
 当社では、『RENT』公演の今後の上演について、総合的に検討いたしました結果、公演再開を図ることは困難と判断し、12月6日(日)までの東京公演の全日程、および12月11日(金)・12日(土)の愛知公演(愛知芸術劇場大ホール)を中止とすることに決定いたしました。
 中止となりました当該公演へのご来場を楽しみにされていたお客様には、大変なご迷惑をお掛けし、誠に申し訳ございません。深くお詫び申し上げます。
 公演中止を受けまして、該当回のご入場券をお持ちのお客様には払戻しをさせていただきます。詳細につきましては、当社オフィシャルサイト「演劇」ページにてあらためてご案内いたしますので、しばらくお待ちください。
 この度の『RENT』公演で新型コロナウイルスに感染したキャストおよびスタッフの方々にはお見舞を申し上げ、一日も早い回復をお祈り申し上げます。
 当社では、引き続き保健所をはじめ関係各所と連携し、お客様の安心・安全、また、キャスト・スタッフの安心・安全を最優先に、感染拡大防止に努めてまいります。
 引き続き変わらぬご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
 本日までのPCR検査陽性者の数については以下の通りとなります。
 なお、個人のプライバシーにかかわるお問合せに関しましてはお答えできませんので、ご理解ご了承いただきますようお願いいたします。

検査実施日 11/16 11/17 11/18 11/19 11/20 11/21 11/22 11/23 11/24 計
陽性者数  1   8   0   0   6   3   3   0   0   21
※11/24は19時時点の数値

東宝株式会社
演劇部シアタークリエ

これだけ陽性者が出たらさすがに中止もやむなしです。ただ5週間公演の2週目が終わった中途半端な時期で中止になったのは、最初から中止よりダメージが大きそうな気がしますけど、どうなんでしょう。

国立劇場の秋の新型コロナウィルス案件

第二部の「彦山権現誓助剣」が千秋楽を目前に中止になりました。

11月22日付の最初の発表がこちら

 平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
 国立劇場「11月歌舞伎公演」第2部の出演者1名に発熱の症状があったため、医療機関を受診し、PCR検査を受けたところ、新型コロナウイルスの陽性反応が確認されました。現在、保健所からの指示を確認中です。
 本日11月22日の「11月歌舞伎公演」第2部につきましては、お客様ならびに出演者・スタッフの安全・安心を最優先し、上演を中止いたします。明日11月23日以降の公演につきましては、改めて、日本芸術文化振興会ホームページにてお知らせいたします。また、チケットの払い戻しにつきましては、こちらをご覧ください。
(後略)

続報がこちら

平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

国立劇場「11月歌舞伎公演」第二部に出演の片岡孝太郎に新型コロナウイルスの陽性反応が確認されたことから、保健所の実地検査の結果を踏まえ、第二部につきましては、11月23日以降、25日の千穐楽まで公演を中止いたします。チケットの払い戻しにつきましては、こちらをご覧ください。

なお、楽屋・舞台等の消毒を実施し、また、客席への影響はないことを保健所の実地検査により確認いたしましたので、第一部につきましては、23日以降も予定どおり上演いたします。

最終的には払戻しです。

11月2日から11月25日までの公演で、第一部は第一部で「俊寛」の上演中。11月22日に公演中止になって残り3日という状態で、その役が主人公の許嫁なら出番も台詞もまあまあ多いはず。歌舞伎は誰かが抜けても代役を立ててやるものというイメージがありますが、代役を立てる余裕もなかったのでしょう。中止もやむなしです。年齢の高い仁左衛門が無事であることを望みます。

それと、第一部と第二部とでまるっきり違う役者で上演していたので、中止が半分で済んだのは制作側のリスク管理が実を結んだのでしょう。

神奈川芸術劇場の秋の新型コロナウィルス案件

小野寺修二が演出を務めるダンス公演「Knife」が延期になりました。

11月17日付の発表がこちら

神奈川芸術劇場11月公演『Knife』(11月21~29日)の出演者1名が、劇場が定期的に行うPCR検査の結果、陽性であることが判明しました。当事者に現在症状は出ておりません。
これを受け、本公演につきましては、11月21日の初日を延期とし、それ以降の公演の開催及びチケットの取扱い等につきましては、改めて当劇場ホームページ等にてお知らせいたします。
(後略)

11月19日付の発表がこちら

KAAT神奈川芸術劇場大スタジオにて11/21(土)~29(日)まで開催を予定しておりました「Knife」は、劇場が定期的に行う新型コロナウイルス感染症のPCR検査の結果、出演者1名に陽性反応が確認され、公演開催の準備が整わないため、当該期間の全公演を中止とさせていただきます。来場を楽しみにされていたお客様には、大変なご迷惑をお掛けし、誠に申し訳ございません。深くお詫び申し上げます。

関係者と、上演の可能性についての検討を重ねた結果、12/3(木)~6(日)まで、会場をKAAT神奈川芸術劇場中スタジオに移し、振替公演を開催させていただく事になりました。

公演概要につきましては、下記のとおりとなります。お客様のご来場をお待ちいたしております。

尚、11/21(土)~29(日)公演のチケットをお求めのお客様には購入先のプレイガイド等から振替/払戻の連絡をさせていただきます。11/21(土)までにご連絡がない場合、恐れ入りますが、チケットかながわ(0570-015-415 10:00~18:00)までお問い合わせ下さいます様お願い申し上げます。

尚、今回の経緯を踏まえ、公演関係者は再度PCR検査を行い、全員の陰性を確認しております。出演者・スタッフ全員そろって、万全の体制にて公演をお届けすべく準備してまいります。ご理解の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
(後略)

初日が11月21日なのに「劇場が定期的に行うPCR検査」とあるのは、神奈川芸術劇場が主催、企画、製作の公演なので、稽古の段階から検査を課していたものと推測します。陽性者も症状がなく公演も近日で延期なら、都合の合わない観客には残念ですが、まだよかったほうです。

この話を調べていたところ、別の公演で劇場スタッフが感染した案内も見つけたので記録しておきます。「神奈川芸術劇場公演スタッフの新型コロナウイルス感染について【11/19追記】」。

2020-11-17

今週末より全国公演が始まる『星の王子さま』の出演者・スタッフに再度PCR検査を実施し、全員陰性と確認されましたので改めてご報告いたします。『星の王子さま』全国公演は、予定とおり実施いたします。

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神奈川芸術劇場における公演スタッフ1名が、新型コロナウイルスに感染したことが確認されましたので、お知らせいたします。これは、『星の王子さま』が今週から全国公演を開催するにあたり、出演者・スタッフに対して劇場の定期的なPCR検査を行った際に判明したものです。当事者は、11/15(日)までホールで上演されていた、『星の王子さま』のバックヤードで従事しており、来館者が利用されるスペースへの出入りがなかったことを確認しています。また保健所より、劇場内に濃厚接触者がいないことも確認済みです。従事者の行動経路の消毒作業も実施・終了いたしております。

当劇場におきましては引き続き新型コロナウイルス感染症対策を徹底し、ご来場の皆様・出演者・運営スタッフならびに劇場従事者の健康と安全の確保に努めてまいります。

公演予定は以下の通りです。

横浜公演 11月11日(水)-15日(日)KAAT神奈川芸術劇場 ホール
松本公演 11月21日(土) まつもと市民芸術館 主ホール
京都公演 12月5日(土)・6日(日) 京都芸術劇場 春秋座
兵庫公演 12月12日(土) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール

ここで複数名が陽性だったら、兵庫公演はともかく、松本公演は中止、京都公演が微妙な線だったので、公演できてよかったですね案件です。

2020年11月21日 (土)

新型コロナウィルスに対応した東京芸術劇場のインタビュー

私のネット経由の観測範囲だと、東京芸術劇場は数ある国公立劇場の中でも、当時考えられていた対策を取入れながら一番ぎりぎりまで粘って上演を続けていました。人手をかけられたとか、劇場だから劇場機構や導線を把握していたとか、いろいろ理由はあるにしてもです。おそらくあの時点で上演していた公演の中で最大限の対策を取っていた(ことを説明していた)のが2020年3月に東京芸術劇場上演していた玉田企画です。

だから東京芸術劇場は気になっていて、誰か中の人の話を聞いてくれないか思っていたら、ステージナタリーがインタビューを掲載していたのでご紹介です。

肩書は高萩宏が副館長、内藤美奈子が制作担当課長・プロデューサーとありますので、組織図を調べてみます。館長の下に芸術監督の野田秀樹と同格並んでいますので、副館長は劇場実務最高責任者です。制作担当課長は制作者のトップでしょうが、舞台を1本創るときにおそらく事業企画課の下の課と係を通して業務が割振られる形だと想像します。そうすると、制作担当課長は事業企画課のナンバー2くらい、制作実務担当者の中ではトップではないかと想像します。つまり話を聞くに不足はない、ということです。余談ですが、組織上に部がないので課の権限が大きそうですね。そこは役所っぽい。

インタビューに戻りますが、読んだ感想は「えーっ」です。劇場閉館前はもっと情報を集めて有事に備えていた印象でしたが、全然そうではない。逆に言うと、そんな調子でやっていてあの時期にあれだけの対策を用意したスピード感が信じられない。嘘をついているとは言いませんけど、立場上何か言えないことがあるんじゃないかと疑われます。本当にそうなら、組織図上の別の課や係の人たちが事前に動いていたのではないですか。

他に載っている話だと、横のつながりが薄い業界であることを再確認したとか、再開後の「赤鬼」のビニールシートはよかったとは中の人も考えていたんだとか、まあいろいろ載っていますのでご覧ください。

休演前の経緯のところだけ、記録のため引用しておきます。

──「エブリ・ブリリアント・シング」東京公演の後、eyes plusシリーズのてがみ座「燦燦」(2月7日~16日)と烏丸ストロークロック「まほろばの景 2020」(2月16日~23日)が上演されました。

内藤 コロナのことを当然意識はしていたと思いますが、当時はそこまではまだ……。

高萩 その頃はSARS、MERSのときとちょっと似ているなっていうか、「海外は今、SARSみたいなもので相当大変なことになっているけれど、日本国内ではインフルエンザのほうが大変だ」という認識でした。ただ2月26日に催し物の自粛要請が出たときは、かなりびっくりしましたね。そのとき、芸術監督の野田(秀樹)さんはちょうど「One Green Bottle」の海外ツアー中だったんですけど、野田さんは「劇場の灯を消してはいけない」という思いが強い方なので、その時点で野田さんに「もしかすると劇場を止めなきゃいけない事態が起こるかもしれません」と連絡していました。

内藤 芸劇としては、直近で3月2日に「カノン 」の初日を控えていました。貸館公演(編集注:劇場の主催公演ではなく外部主催者に会場として貸している公演)の場合は、主催者それぞれの事情があるので一方的にシャットダウンできませんが、劇場の自主事業はこの状況下で積極的にはやれないだろうという判断になり、「カノン」は全公演中止となりました。

高萩 政府の判断に続き、東京都の意向がはっきり示されたので。

内藤 ただ野田さんは「一度閉じてしまった劇場を開けるのは本当に大変だから、なんとか続けられないか」ということはずっと言っていました。

──「カノン」が中止になったときは非常に衝撃的でしたが、その後どんどん中止公演が増えていきました。

内藤 あの時点で、秋になってもダメージが続くなんて全然思っていませんでしたし、世界中がこんなことになるとも思ってなかったですね。「One Green Bottle」は台湾公演後にニューヨークで上演したのですが、千秋楽の3日後にニューヨークがロックダウンになりました。直前までニューヨークではインフルエンザのほうが騒がれていて、「日本はコロナで大変そうだなあ」と思っていたくらいだったんです。ものすごい勢いで急に世界が閉じていった感じでしたね。

高萩 そんなふうに見通しが立たないまま、目の前のことに対応していたのが2・3月。3月19日からは芸劇eyesで玉田企画が公演予定だったので、玉田企画の稽古場へ行って、「こういう状況なので、劇場を閉じなきゃいけないかもしれない。その場合、劇場として劇場費は返せるけれどそれ以上の補償はできないので、どうしますか」と主宰の玉田(真也)さんに説明して。玉田さん、すごく悩んでいましたね。だから公演を全部やり切ったあとの千秋楽の日のすごくうれしそうな顔は、今でも忘れられないです。そのあと4月1日から公演予定だった温泉ドラゴンの稽古場にも説明に行って、温泉ドラゴンは結局、映像だけ録って公演は中止になりました。

内藤 2・3月はそういった感じで、玉田企画のようにやり抜けた公演もあるし、温泉ドラゴンのように中止になったり、二兎社「立ち止まる人たち」のように公演は中止になったけれど収録映像をYouTubeで無料公開した公演もありました。

高萩 その中で、4月7日に緊急事態宣言が発令されて、「こういうものが出てしまうんだ」とまたびっくりして。

内藤 それまでは政府や東京都から公演自粛を“お願い”されていた状態だったので最終的な決定権はこちらにありましたが、緊急事態宣言が出て以降は強制力が増して、なのにこのまま経済的な補償がない状態が続いていくことにもさすがに疑問を感じ始めたんですよね。

──緊急事態宣言が出たタイミングでは、どのくらい先の公演まで中止・延期の可能性を考えていらっしゃいましたか?

内藤 4月の公演は無理だろうと思っていましたが、4月7日の時点では緊急事態宣言の期間が5月6日までということだったので、5月30日が初日予定の木ノ下歌舞伎「三人吉三」は、なんとかなればやるつもりだったと思います。

高萩 その頃はいろいろと微妙で、3月に中止になった公演を5月にずらしたりっていう調整を続けていましたね。

内藤 そうでしたね。当時、キャンセルになる公演も多く、劇場が空いていたので。

2020年10月27日 (火)

新型コロナウィルス対策で1か月公演なのにチケット発売開始日が初日2週間前というシス・カンパニーの力技

ニール・サイモンを三谷幸喜が演出する「23階の笑い」ですが、初日が12月5日に対してチケット発売開始日が11月22日、2週間しか猶予のないスケジュールでした。これまで当日券ばかりで前売をほとんど買ったことがなかったので定番のスケジュールというものがわかっていませんが、この規模の公演なら遅くとも1か月前には発売するはずです。さすがにこれは遅い。

念のためシス・カンパニーの公演を確認したところ、公演中止になった「桜の園」で4月4日初日に2月22日発売開始、前回のシス・カンパニーによる三谷幸喜公演「日本の歴史」で12月4日初日の10月20日発売開始です。だいたい1か月半前が発売開始です。観客にも予定があるので、広い客層を相手にするにはそのくらいは必要という判断で、妥当です。それが9月9日の「わたしの耳」「あなたの目」から遅くなっています。とはいっても、これは独立した2公演で、1公演あたりは10日しか上演期間がありませんでした。

それが今回は4週末29ステージ世田谷パブリックシアター全席販売でも2週間前です。新型コロナウィルスによる公演中止から払戻しのコンボがよほどこたえた結果の対策で、感染が広まって公演中止になるかならないかをギリギリまで見極められるようにしたものと推測されます。三谷幸喜の実績と、翻訳モノで中身の読める芝居という組合せから来る、前売が無理でも当日券も出せば完売するだろうという読みがうかがえます。普通の芝居では小劇場でも商業演劇でも腰が引けて真似できない、シス・カンパニーならではの剛腕を見せつける力技です。なんなら1週間前の発売開始でも完売させてやるぜという声が聞こえるようです。

お手並み拝見したいのですが、結果やいかに。

<2020年11月22日(日)追記>

一般発売初日21時45分現在でぴあを確認したところ、土日の一部に売切が出ていますがB席や補助席なら残っている日もあり、平日はS席はほぼ完売も一部日程では残っていて、他の席種は全平日で残っています。当日券販売も行なうことを告知していますが、S席が大半なのでそこが売切れていれば売る側はまずは一安心でしょう。世田谷パブリックシアターは見えませんので置いておきます。この後の動きがどうなるか、です。

2020年11月12月のメモ

気兼ねなく観に行けるものなら大豊作と言いたいところだった。

・松竹製作「義経千本桜」2020/11/01-11/26@歌舞伎座:第四部に中村獅童主演で「川連法眼館」の場、であっているのかな

・松竹製作「女の一生」2020/11/02-11/26@新橋演舞場:大竹しのぶ主演の豪華メンバーで観るならここだろうという一本だけど

・国立劇場主催「令和2年11月歌舞伎公演 午後の部」2020/11/02-11/25@国立劇場大劇場:仁左衛門の「彦山権現誓助剣」に踊りで「三社祭」も

・パルコ企画製作「迷子の時間 -語る室2020-」2020/11/07-11/29@PARCO劇場:カタルシツがPARCO劇場までたどり着いた

・ハイバイ「投げられやすい石」2020/11/18-11/24@東京芸術劇場シアターイースト:脚本演出家がモデルになっていない芝居の再演

・小田尚稔の演劇「罪と愛」2020/11/19-11/23@こまばアゴラ劇場:なんとなくしっくりくるこまばアゴラ劇場初登場は新作で挑戦

・M&Oplaysプロデュース「あんまと泥棒」2020/11/27-11/29@下北沢本多劇場:半世紀以上昔のラジオドラマ原作を倉持裕演出で南原清隆と近藤芳正の2人芝居

・世田谷パブリックシアター企画制作「現代能楽集Ⅹ『幸福論』」2020/11/29-12/20@シアタートラム:今回の現代能楽集シリーズは「道成寺」を瀬戸山美咲が「隅田川」を長田育恵が脚本化して瀬戸山美咲が両方演出

・パラドックス定数「プライベート・ジョーク」2020/12/04-12/13@東京芸術劇場シアターイースト:この新型コロナウィルス騒動に合せて選んできたのかもと想像される再演はパラドックス定数王道の男5人芝居

・風姿花伝プロデュース「ミセス・クライン」2020/12/04-12/20@シアター風姿花伝:癖のありそうな翻訳モノに負けない役者を揃えての女3人芝居を上村聡史演出で

・シス・カンパニー企画製作「23階の笑い」2020/12/05-12/27@世田谷パブリックシアター:ニール・サイモンを三谷幸喜が演出

・M&Oplaysプロデュース「そして春になった」2020/12/08-12/13@下北沢本多劇場:岩松了脚本演出で朗読劇になるかならないかまだわからない女2人芝居を、選ぶのに困るダブルキャストで

・メジャーリーグ企画製作「百物語」2020/12/28-12/29@紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYA:白石加代子の百物語アンコール公演は夢枕獏「ちょうちんが割れた話」筒井康隆「如菩薩団」半村良「箪笥」和田誠「おさる日記」の4本立て

書きあがって文章をにらめっこしていたら観る芝居が浮かんできたけど、その通りに観られるかどうかは前売券を買えるかどうか次第。

2020年10月26日 (月)

新型コロナウイルスでイタリアは劇場再閉鎖

こんな記事が出ていました。AFPBB「スペインで非常事態宣言 イタリアも感染防止策強化 コロナ再拡大で」より。2020年10月26日の記事です。

 スペインのペドロ・サンチェス(Pedro Sanchez)首相は新たな非常事態を宣言し、カナリア諸島(Canary Islands)を除くスペイン全土で夜間の外出を禁止とした。これに先立ち、スペインは新型ウイルス感染者数が欧州連合(EU)加盟国で初めて100万人を超えたと発表。サンチェス氏は「私たちが置かれている状況は非常に困難だ」と述べた。

 当初、欧州の新型ウイルス感染拡大の中心地だったイタリアも、日常生活に関わる制限措置を強化。劇場や映画館、ジムの閉鎖、バーやレストランの営業時間短縮を命じた。

前振りというか、2020年10月24日時点でのヨーロッパの状況はBBCの「新型ウイルス対策は『少なくとも来年夏まで』=マクロン仏大統領」に載っています。病院の余力にも触れられていて、本格的に再流行しています。

フランスには集中治療用の病床が約5000床あり、現在はその半数近くを新型ウイルスによる感染症COVID-19の患者が使用しているという。

ジャン・カステックス仏首相も、入院患者は今後さらに急増する可能性があるとして、「今日新しく確認された感染者は、明日の入院患者だ。11月は厳しいものになりそうだ」と述べた。
(中略)
オランダは、自国の病院の負担が過剰になりつつあるため、患者をドイツに移送し始めた。

他にもポーランドやポルトガルなど、ロックダウンを行なっている国があります。招聘公演とか、一部スタッフを呼ぶプロデュース公演とか、日本にも追加の影響がでるかもしれません。要注目です。

<2020年10月29日(木)追記>

フランスとドイツも食らっています。時事通信「全土で再び外出制限 経済活動は継続、独仏―コロナ猛威、欧州に再来」より。

 フランスの措置の期間は12月1日までで、原則として不要不急の外出と地域間の移動が終日禁止される。生活必需品を扱う店以外の商店は閉鎖され、飲食店は持ち帰りを除いて休業。一方、高校までの学校は閉鎖されない。
 ドイツは11月2日から同月末まで、飲食店や文化施設などを閉鎖する。観光目的の宿泊も禁止する。一方、休業補償など最大100億ユーロ(約1兆2000億円)の追加経済支援も行う。
 マクロン氏は28日、テレビ演説で「経済が止まってはならない」と強調。工場や農業、公共事業の稼働は続けると明らかにした。また、可能な限り在宅勤務とするよう企業に呼び掛けた。

明記はされていませんが、劇場閉鎖は確実ですね。

<2020年11月1日(日)追記>

イギリスもロックダウンに突入です。BBC「ジョンソン英首相、イングランドに2度目のロックダウン 感染再拡大で」より。

イギリスのボリス・ジョンソン首相は10月31日、新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、イングランドで11月5日から12月2日までの4週間、2度目のロックダウンを開始すると発表した。国民保健サービス(NHS)のために「医療や道徳の大惨事」を回避するためという。

バーやレストラン、ジム、社会生活の維持に必要不可欠ではない店舗は5日から閉鎖される。一方で今春に導入した制限措置とは異なり、学校や大学などは閉鎖されない。

2度目のロックダウンは12月3日から緩和され、地域ごとに警戒レベル(ティア)を設定する現行システムに戻るという。

これはイギリス国内のイングランドを対象にしたもので、ウェールズやスコットランド、北アイルランドではそれぞれの自治政府が独自に行動制限を実施している。
(中略)
最大野党・労働党のサー・キア・スターマー党首は、政府が「数週間前にすべきだった判断をやっと下した」とし、労働党として下院採決でロックダウンを支持する意向を示した。
(中略)
・屋内や、私有の庭での集会は許可されない
・別の世帯の1人との公共の場での面会は可能
・全国のパブ、バー、レストラン、必要不可欠ではない小売店は閉鎖される。持ち帰りでの商品購入や、オンラインで発注して店舗などで受け取るサービスは継続できる
・ジムなどのレジャー・娯楽施設も閉鎖される

記事にありますけど、このままいくと予想される1日当たりの死者は、幅はあっても下は2000人弱から上は4000人強です。

条件に引用した最初の2つがよくわからないので英語の説明を探したらこうでした。

・Households will not be allowed to mix with others indoors, or in private gardens
・Individuals can meet one person from outside their household in an outside public space

私の訳だと「別々の家屋に住んでいる人と屋内で交流すること、あるいは屋外でも私有地で交流することは禁止する」「1対1で屋外の公共の場なら、別々の家屋に住んでいる人と会っても構わない」になります。劇場が開けるとは思いません。「人集まれねえのかよ」という言葉そのままの状況です。

2020年10月18日 (日)

東京だとクラスター判定が追いつかない劇団四季の新型コロナウイルス2桁感染

四季劇場海で公演中の「アラジン」で役者で1名発熱してPCR検査で陽性、濃厚接触者29人のうち9人が陽性、合計10名が感染、があらましです。発熱が10月9日で、休演日を含めた10月14日まで5ステージを休演したものの、10月15日から役者全員交代で公演再開という力業。一部役者だけならできても全員交代できるのは日本では劇団四季だけです。超ロングランの体制がここで生きました。

ただ、これを報じたニュースにも、劇団四季の発表にも、クラスターの単語がありませんでした。宝塚でも12人の感染でクラスター認定されたので、これだって認定されそうなものです。

それで調べてみました。東京都福祉保健局のページに載っている「新型コロナウイルスに関連した患者の発生について(過去1週間分)」がおそらくそれだと思います。これを見たら、過去1週間分はすべて調査中です。毎日200人前後の感染者が発生している東京では感染経路の調査が追いついていないのでしょう。ぱっと見はクラスターが疑われますが、クラスターかどうか調べきれない、東京だと市中感染で無症状だったのがたまたま今回検査して陽性になった可能性もなくはない、なんならそれも大いにあり得る、だからクラスターとは言われていないのだと理解しました。

理解しましたが、もうひとつ気になるのがスタッフです。劇団四季の発表によれば「出演者27名、スタッフ2名の濃厚接触者認定」でした。役者は全員交代しましたが、スタッフはどういう体制なのでしょうか。もちろん超ロングラン体制なのでシフトを引けるくらいの体制だと思いますが、誰でも同じポジションをできるってことはないはず、少なくとも手厚い部門と手薄な部門がありそうですが、ちょっと劇団四季の発表だけではそこまで読取れません。直感ではミュージカルだと衣装(着付け)やメイクの部門が、濃厚接触しやすいわりに交代が難しそうなイメージがあります。

劇団四季クラスだと稽古場は充実しているから三密対策が取りやすい代わりに、今の劇場の楽屋やバックステージだと公演規模に見合った対策が追いついていない可能性も想像しますが、そこまではさすがにわかりません。

以下、記録のため「ミュージカル『アラジン』出演者 新型コロナウイルス感染症発症に関する経緯のご報告」のコピペです。必要な情報を手際よく載せつつ、それ以上の情報は断固出さない、よく言えば簡潔、悪く言えばそっけない発表です。

このたび、ミュージカル『アラジン』東京公演で発生した、出演者の新型コロナウイルス感染症発症について、改めて経緯をご報告させていただきます。

なお、『アラジン』東京公演は、10月10日(土)より公演を一時中断、保健所の指示に従い対処を行ったうえで、10月15日(木)に公演を再開しております。上演再開に際しましては、濃厚接触者と認定された全員を待機とし、すべての役のキャストを入れ替えて上演を行っております。(『アラジン』東京公演 10/15(木)より再開のお知らせ)

また劇団四季では、衛生対策のため、舞台と客席の間に距離を空けて上演させていただいており、出演者とお客様の接触がなかったことを確認しております。
中止となった公演のご観劇を楽しみにしてくださっていたお客様には、心よりお詫び申し上げます。

[詳細経緯]
10月9日(金)
夜、出演者1名に発熱の症状が見られ、出演者、スタッフを全員待機に。
翌10日(土)の公演の中止を決定。

10月10日(土)
発熱者に対して、民間会社のPCR検査を劇団独自で実施。
夕方、陽性発覚。検査会社と提携する医療機関から保健所に申告、当人居住区の保健所から当人に連絡が入る予定となる。
翌11日(日)の公演の中止を決定するとともに、公演関係者の行動履歴について、劇団でヒアリングを実施。

10月11日(日)
居住区の保健所より、当人にヒアリング。
翌日劇団から保健所に連絡するよう指示をいただく。

10月12日(月)
当該公演は休演日。

劇団より、当人居住区の保健所に連絡。
劇場の管轄保健所に連絡を入れるよう指示をいただく。
管轄保健所からのヒアリングの結果、出演者27名、スタッフ2名の濃厚接触者認定がされる。各居住区の保健所の指示に従い、PCR検査を随時受診。
14日(水)までの公演の中止を決定。

10月13日(火)
濃厚接触者認定された29名のうち、1名が陽性判定

10月14日(水)
濃厚接触者認定された29名のうち、新たに3名が陽性判定

10月15日(木)
濃厚接触者認定された29名のうち、新たに2名が陽性判定
すべてのキャストを入れ替え、『アラジン』公演を再開

10月16日(金)
濃厚接触者認定された29名のうち、新たに3名が陽性判定

10月17日(土)
本日までに、その他20名の陰性判定を確認

以上

2020年10月17日
劇団四季

2020年10月11日 (日)

三密を回避する稽古場の最大人数と最低換気条件を試算してみた

人数に対して稽古場が狭すぎた、というエントリーを書きながら、以下を考えました。

・稽古場で消毒や検温をするだけでは不十分で、三密を回避しないといけない
・稽古場で密集、密接を避けるための計算式が作れるはずである
・稽古場の密閉をなくすための換気の計算式が作れるはずである

で、調べました。調べたところ、厚生労働省が「商業施設等における『換気の悪い密閉空間』を改善するための換気について」をまとめていました。今後更新されるかわかりませんが、私がリンクを張って読んだのは2020年3月30日付のものです。このPDF自体は、読んだ印象では、「今の商業施設の換気基準に従っていればある程度は大丈夫」ということを言いたいための資料です。なのでいろいろ苦しいところもありますが、注目は以下です。

2 建築物内の換気による感染症予防の効果に関する文献
(中略)
(2) 国際保健機関(WHO (2009))は、換気基準の根拠として、「結核とはしかの拡散」と「換気回数(部屋の空気がすべて外気と入れ替わる回数。以下同じ。)が毎時2回未満の診察室」の間に関連が見られたとしている(Menzies et al. (2000), Bloch et al.(1985))。
(3) 国内の文献では、豊田(2003)が中学校での結核集団感染において、教室の換気回数が毎時1.6~1.8回と少なかったことを指摘している。また、渡瀬(2010)は、結核の感染リスクと気積の関係を調べ、接触時間が1時間の場合、気積が20m3を下回ると感染のリスクが高まることを示した。国外の文献と矛盾はないが、換気回数に関する定量的な研究は十分でない。
(中略)

7 まとめ
(1) ビル管理法における空気環境の調整に関する基準に適合していれば、必要換気量(一人あたり毎時30m3)を満たすことになり、「換気が悪い空間」には当てはまらないと考えられる。このため、以下のいずれかの措置を講ずることを商業施設等の事業者に推奨すべきである。
なお、「換気の悪い密閉空間」はリスク要因の一つに過ぎず、一人あたりの必要換気量を満たすだけで、感染を確実に予防できるということまで文献等で明らかになっているわけではないことに留意する必要がある。
ア 機械換気(空気調和設備、機械換気設備)による方法
① ビル管理法における特定建築物(※)に該当する商業施設等については、ビル管理法に基づく空気環境の調整に関する基準が満たされていることを確認し、満たされていない場合、換気設備の清掃、整備等の維持管理を適切に行うこと。
② 特定建築物に該当しない商業施設等においても、ビル管理法の考え方に基づく必要換気量(一人あたり毎時30m3)が確保できていることを確認すること。必要換気量が足りない場合は、一部屋あたりの在室人数を減らすことで、一人あたりの必要換気量を確保することも可能であること。
イ 窓の開放による方法
①換気回数を毎時2回以上(30分に一回以上、数分間程度、窓を全開する。)とすること。
②空気の流れを作るため、複数の窓がある場合、二方向の壁の窓を開放すること。窓が一つしかない場合は、ドアを開けること。
※ 特定建築物とは、興行場、百貨店、集会場、遊技場、店舗等の用途に供される延べ床面積が3,000m2以上の建築物等であって、多数の者が使用・利用するものをいう。

十分でないと言われても他に情報はないので、この情報をもとに、試算してみます。

(1)稽古場の人数について

「接触時間が1時間の場合、気積が20m3を下回ると感染のリスクが高まることを示した」の「気積」とは聞きなれませんが、「床面積 x 高さ」のこと、ただし高さ4mを超えたら無視、という計算です(こちらのサイト参考)。

なので、気積が20[m^3]とは
・天井高が4[m]以上ある場所では、床面積5[m^2]
・天井高が4[m]未満の場所では、その分広い床面積
を指します。天井高が十分あれば広い畳で1人当たりだいたい3畳分、天井高が低い場合は空気が籠るからもっと広い場所が必要、ということです。

だから、天井高が4[m]以上の十分な稽古場で、たとえば床面積が80[m^2]だとしたら、80[m^2]÷5[m^2・人]で16人が最大です。もし同じ床面積で天井高が3[m]しかなかったら、4分の3にして12人が最大です。これは役者だけでなく演出家その他も含めての人数です。

これより多い人数の場合は、時間をずらすなどして重ならないようにする必要があります。人数によっては通し稽古はできません。スタッフ総見もできないでしょう。劇場に入ってからになります。

本当はおかれている備品の体積も除いて計算するようですが、話を単純化するために無視します。

(2)稽古場の換気について

これは厚生労働省の資料に「換気回数」と「換気量」とで以下の2種類の記述があります。

・「換気回数(部屋の空気がすべて外気と入れ替わる回数。以下同じ。)が毎時2回未満の診察室」の間に関連が見られたとしている
・中学校での結核集団感染において、教室の換気回数が毎時1.6~1.8回と少なかったことを指摘している

・ビル管理法における空気環境の調整に関する基準に適合していれば、必要換気量(一人あたり毎時30m3)を満たすことになり、「換気が悪い空間」には当てはまらないと考えられる。

調べた結論は、換気回数は感染症対策のための数字、ビル管理法の換気量は人間の二酸化炭素排出量からの数字、という理解です。今回は三密を防ぐことが目的なので、前者を採用します。つまり、換気回数が2回未満では(1.8回でも)少ない、2回転はさせないといけない、外気を1時間に稽古場のサイズの2倍以上入れないといけないものとします。

もし稽古場の床面積が80[m^2]で天井高4[m]なら稽古場のサイズは320[m^3]、天井高3[m]なら240[m^3]、天井高5[m]なら400[m^3]です。気積の考え方では天井高4[m]以上は全部同じ扱いでしたが、あちらは密集と密接を避けるための計算、こちらは密閉を避けるための計算なので、天井高はそのまま反映させます。

この計算だと、ビル管理法よりも必要な換気量が多くなります。ただ芝居の稽古では、商業施設を通常利用する人よりは、平均で運動量も呼吸も多く、大声で話すでしょうから、不当だとも思えません。

もし稽古場が閉鎖空間で、全部空調装置に頼っているのであれば、1時間当たりの換気量(外気導入量であり循環換気分は除く)が稽古場のサイズの2倍、天井高4[m]なら640[m^3]の能力が必要になります。これを満たしているなら稽古中は動かし続ければよし、満たしていないならその稽古場は不適切なので利用不可です。

難しいのが窓を使った換気です。自然換気は「空気の流れを作るため、複数の窓がある場合、二方向の壁の窓を開放すること。窓が一つしかない場合は、ドアを開けること。」とあります。風の量でも変わりますから業務用の扇風機などを置いて風の流れを作ることは必須とします。それでも、窓の換気量をどのように見積もるかが悩みます。

調べたところ「換気計算の1/20」という法規があり、床面積に対して換気口を1/20以上のサイズで設ける必要がある、窓がある場合は窓の面積によって換気口の面積を引けるそうです(こちらのサイト参照)。これによると

必要換気量(m3/h)={居室の床面積(m2) - 20×窓の面積(m2)}×20÷1人あたりの占有面積(m2/人)

という計算式があるそうです。係数の単位がいまいちわからないのですが、窓は面積の20 x 20の400倍が1時間あたりの換気能力として見積もられているように読めます。そうすると、全部自然換気で賄おうとした場合、1[m^2]の窓が2つあってそれを排気に使う(入口は吸気に使うので含めない)とすると、2[m^2] x 400で800[m^3]の換気能力があり、640[m^3]の能力が求められる稽古場に対して、入口と窓を開けっ放しにして扇風機を回し続ければ、条件を満たします。別の表現だと、1時間のうち2割、12分間だけは窓と入口を閉めて稽古できます。

もうひとつ条件があって、「換気回数を毎時2回以上(30分に一回以上、数分間程度、窓を全開する。)とすること」があります。これはもっと換気能力が劣る場合に考慮が必要になって、換気量が1時間に2回転ではなく30分に1回転が求められます。そうなると、先ほどの窓と入口なら、30分のうち6分は閉めて稽古できます。

これは天井高が低いほうが有利になります。同じ窓の面積でも、稽古場のサイズが480[m^3]なら30分のうち12分は閉めて稽古できます。逆に稽古場のサイズが400[m^3]なら閉めておける時間はありません。

ちなみに参照したサイトで説明がありますが、窓の面積はガラス部分ではなく開けられる部分で計算、扉式の場合は角度45度以上なら全開扱い、45度未満の角度なら応分で計算、です。

(3)実現性

稽古場に参加できる人数は、稽古場の広さから自動的に決まります。私が今まで読んだ中で一番大きい稽古場の話は、三谷幸喜の歌舞伎のときに、舟の舞台を実寸で組んで稽古しようとしたら通常の稽古場には入らないから東宝の映画スタジオを借りた、というものです(出所失念)。

換気については、夏に上演していた「赤鬼」は水天宮ピットで稽古したものですが、たしか窓を開けっぱなしにして声や音が外に漏れるけど勘弁してほしいことを近所にお願いしてまわったという話がありました(これも出所失念)。

金と人手があれば、やれます。

(4)劇場への応用

換気能力は十分だと劇場は説明します。結構なことです。では人数はどうか。稽古場の考えを敷衍すればこういう計算もできるという、観客側が気にするときの参考数値です。

・ザ・スズナリの舞台は、間口6.92[m] x 奥行6.25[m] x 高さは一番高いところを取って4.47[m]。気積計算は高さ4[m]超えなので床面積だけで計算できて、8.65人。頑張って9人、10人以上の芝居は密集密接で役者同士でのクラスター発生の可能性が高まる。

・こまばアゴラ劇場の舞台は、通常時で柱を考えないとして、間口7.79[m] x 奥行5.33[m] x 高さ4.6[m]。同様の気積計算で、8.3人。こちらもザ・スズナリと同様。

・紀伊国屋ホールの舞台は、間口9[m] x 奥行6[m] x 高さ6[m]。同様の気積計算で、10.8人。頑張って11人、12人以上の芝居はクラスター発生の可能性が高まる。

客席側にスペースがありますが、それは密閉(換気)に関する余力であって、役者同士の密集、密接とは別です。もちろん、広がったり台詞が少なかったりする芝居なら余力は増えるでしょうし、至近距離で会話する芝居なら2人でも危ないでしょう。役者同士で感染が広がったときに、客席側の感染リスクにどのくらい影響するのかはまだわかっていませんので、こういう計算もしてみます。

楽屋も同様ですが、割愛します。それは上演側が出演人数に対して十分かを判断するところです。

(5)まとめ

これが正しい計算なのかはわかりません。そもそも大もとの情報も正確性が担保されたものではありません。それでも、ピンポイントで絞って調べたら参考になりそうな情報が見つかりました。逆に言うと、私が検索して見つかる情報なのに、なぜ業界関係者がこれまで計算してガイドラインになっていなかったのか。

いいことがないからですね。上演側にとっては制限する方向にしか働きません。公演中のガイドラインは一生懸命作成しないと上演が許可されませんでしたが、稽古場については条件がありません。

自前で稽古場を持って製作もする新国立劇場でも最低限のガイドラインにとどめています。もちろん内部ではそれなりの対策を取っていると期待していますが、わざわざ数値を出して自分たちを追いこむようなことをする動機がありませんし、稽古場が数もサイズもそれなりに確保されているから他の心配をしたほうが対策の実効性があるとも言えます。

それが経済的に厳しい民間の芝居だったら、そんなことを言われても困る。昔からやってきた稽古場のサイズだし、広いところを借りるお金もない。となったら、制限されていない人数や換気を持ち出す理由がありません。

こんな長文をここまで読んでくれた物好きな人は、おそらく業界関係者か超が付く観劇マニアが多いでしょう。なので、そんな制限をされたら費用がかかって公演ができない、大規模な公演が事実上できない、大手だけが生き残って小劇場は死ぬ、それでは文化芸術が、という意見を持つ人が一定数いると想像します。でも、そんな話は後にしましょう。

無観客公演のための稽古なら構いません。でも劇場に足を運ぶ観客として私が知りたいのは、出かけて新型コロナウィルスに感染しないかどうか、それが100%安全である証明はできないとしても相応の対策が取られたものなのか、です。これは表現であり、上演する側も鑑賞する側も命をかけるべきだというなら、そう表明してもらえれば観る側も選択ができて助かります。エンターテインメントであり商売であるなら、観客に対する安全性アナウンスのアピールはもっと積極的に行なってほしいです。

これだけクラスターが出てきたのなら、稽古と稽古場の条件もガイドラインに追加してもいいのではないでしょうか。

ブロードウェイが延期の延期の延期の延期になっている

たまたま見つけたので、メモしておきます。

・2020年3月12日から休演
・当初は、2020年4月12日までの予定
・その後、2020年6月7日まで延期
・その後、2020年9月6日まで延期
・その後、2020年いっぱい延期
・その後、2021年5月31日まで延期

なお、メトロポリタン歌劇場のオペラはもっと先まで休演です。

・当初は、9月下旬の次シーズンまで休演
・その後、2021年いっぱい延期
・その後、今シーズンを全部諦めて2021年9月下旬まで延期

アメリカはいまだに新型コロナウイルスが収まる気配がない、今でも1日数万人の感染が見つかって数百人が亡くなっている、マスクをして「相手に感染さないようにする」ことすら拒否する人が大勢いる、なんなら大統領まで感染して一時危なかったという噂もあるので、上演する側もうっかり再開できないのでしょう。

参考にしたのは以下のブログです。
・Petite New York「ブロードウェイミュージカル閉鎖 再び延長へ 2021年5月末までの公演キャンセルに 再開は早くても6月から
World Meterのアメリカのページ

«1人当たりに必要な稽古場や劇場の広さを舞台関係者はガイドラインにまとめるべきではないか