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2020年8月 6日 (木)

稽古場の評価指標が作れないか想像して限界があると思い至る

稽古場はカラオケボックスのようなものと書きましたが、そもそもマスクなしで近接して長時間会話する時点で、稽古場の環境条件なんて微々たるものです。が、それでも稽古中はマスクをつけたり、演出で出演者同士の距離を設けたり、飲食中の会話も自粛したり、毎日消毒もするから、なんとか稽古できないか、と嘆く演劇関係者がいると想像した場合、どういう方法が考えられるでしょうか。

消毒と換気のうち、消毒は人間の行為なので、おそらく何とかなります。今すぐとは言いませんが、おそらく年月を経て、何をどう消毒するかはノウハウが溜まると思います。急ぐなら保健所なりなんなりの専門家を、典型的な稽古場に招いて、消毒指南をしてもらい、それを文書にまとめればいいです。

換気は、環境であり設備です。巨大送風機を用意するとか、設備に対する補強は考えられますけど、たとえば窓がなかったらそれだけで限界があります。あるいは、稽古に参加する人数によって、求められる換気の能力も変わってきます。ならばせめて、その稽古場の換気の良し悪しをどうやって評価するか。

どの程度の有効度はわかりませんが、私が思いついたのは以下の2つです。

・スモークを焚いてから換気能力を全開にして排気時間を測定する

その稽古場の基本換気能力を測定する方法です。演劇関係者ならスモークを作る機材の手配はできるでしょうから、一度窓を閉めて換気を止めてスモークを充満させて、そこから窓を全開にして換気もフル稼働させて、何分で排出させることができるか。これが何分以下なら何人まで参加可能、何分以上ならその稽古場は駄目、などの指標が作れないでしょうか。何分以上、の指標は、劇場に求められる換気能力の計算方法で代替します。

この方法のいいところは、スモークが目に見えるので、換気能力が偏っている場合でも把握できることです。入口付近はいいけど奥がいまいちなら、入口付近を稽古エリアにして換気を多めにする、などの相談ができます。あるいは本当に換気能力の足りない場所なら、ここでは稽古ができないと諦めがつきます。

欠点は、スモークを作る機材の手配が有料なこと、稽古場ジプシーをする場合に稽古場ごとに測定していられないこと、事前に稽古場に相談しておかないと火事と間違われて大ごとになること、でしょうか。あと、劇場ほどしっかりした換気した設備を備えた稽古場がそうそうあるわけではないので、劇場向けの換気能力の計算方法をどのくらい割引けるのかを考える必要があります。

・二酸化炭素測定器を複数設置して二酸化炭素濃度を測定する

稽古中の換気の悪化を測定する方法です。ウィルス濃度は測定できない前提で、何を代わりに測定すればよいか。つばは呼吸の一環で飛ぶのだから、呼吸で一緒に出てくる二酸化炭素を測定することで代替できないか。二酸化炭素の測定器を複数買って、稽古場のあちこちに置いて、濃度が一定以上になったら1時間を待たずして休憩して濃度が下がるのを待つのはどうでしょう。

この方法のいいところは、値段はピンキリですが、二酸化炭素の測定器は一般にも売っていますから、入手性はよいです。あちこち持って歩けますので、一度買ってしまえば、稽古場ジプシーになっても有効です。

欠点は、測定のノウハウが難しいことです。演出家席などはいいかもしれませんが、アクティングエリアのど真ん中に置かれたら稽古している出演者の邪魔になるので、どこに置けばいいか。濃度は稽古開始前からの相対値で決めるのか、絶対値で決めるのか。日によって出演者やスタッフの人数が変わる場合にどのように値を見ればいいのか。

・3つ目

うまくいったら稽古場ミシュランでも作れないかと、せめて3つくらいは思いつきたかったのですが、2つしか思いつきませんでした。まあ、頭の体操です。そもそも窓がある稽古場でも、開けたら外の相応がうるさい、自分たちがうるさいと外から苦情が来る、という場所もあるでしょうから、開けられるとは限りません。評価指標作成の道のりは遠いです。

新国立劇場のガイドラインは、完全自前の稽古場があり、それをメンテナンスする人たちもいればこそ、稽古場ごとの対策も具体化可能でしょう。今読んだらこれでも粗いと感じたので、ひょっとしたら、これより細かい現場担当者向けチェックリストみたいなものを作っているかもしれません。そしてそういう稽古場を長期間継続して借りられるならまだしも、自分たちが借りた、稽古場にも使える貸スペースでどの程度の対策が実現できるかというと、やはり難しい。

余談ですが、稽古場の評価方法や消毒方法が必要なら、それをまとめるのは業界団体の役目だと思います。やっている情報があるなら教えてほしいです。ただ、劇場の団体はあっても、稽古場を持っていない規模の劇団の業界団体はそもそもないでしょう。自前の稽古場を持つ大手団体が、独自で評価して対策を練ることはあるでしょうが、一般的な貸スペースに対する評価を検討している例はないと推測します。

2020年8月 2日 (日)

新たに稽古場でクラスターが発生した記事を見て稽古場はカラオケボックスと同じという感想に至る

新宿の公演で発生したクラスターは、出演者は稽古場でのクラスター発生があっただろう、と自分なりに結論づけたばかりです。そうしたら別の芝居でもクラスターが発生しました。こちらは公演前だったので観客には影響ありません。先に日テレより

新型コロナウイルスの感染者が過去最多の367人となった東京都内で、演劇関係者20人以上が集団感染していることが分かりました。

東京都によりますと、都内の演劇集団でこれまでに出演者2人の感染が確認されたため、濃厚接触者としてスタッフを含む4、50人の検査を行ったということです。その結果、30日、演劇関係者20人以上の感染が確認されました。10代から50代までの男女だということです。

この舞台は、公演が始まる前で客は入れておらず都内の劇場で稽古を続けていたといいます。都はクラスターが発生したとみて、保健所と詳しい状況を調べています。

これだけでは様子がわからないのですが、日刊スポーツが取材していました

舞台の稽古中の演劇関係者20人以上が新型コロナウイルスに集団感染していたことが31日、分かった。

7月末の公演に向けての稽古中に、出演者2人の感染が判明。濃厚接触者として、出演者41人とスタッフなど計56人の検査を行った結果、31日までに23人の陽性が確認されたという。そのため、公演は延期(時期未定)したほか、陽性者の同居人なども検査を受けており、その結果を待っている状態という。

公演の代表者は本紙の取材に対し、稽古場には換気扇、空気清浄機をつけていたほか、除湿機で湿度調整もし、稽古場入り口も開放するなど、風通しを良くするようにしていたなどと答えた。さらにアルコール消毒液やハンドソープも稽古場に十分に配置。1日おきに掃除もしていたほか、稽古後の飲み会自粛を出演者、スタッフに要請していたという。稽古時間も昼食後に設定したほか、稽古場での飲食も最低限にするように気を付けていたという。

日テレの記事も日刊スポーツの記事も公演名などが載っていないのは、公演前に発覚して公演延期になったのだから観客に周知する必要はなく、載せることで望ましくない反響が出るのを防ぐためでしょう。よい判断だと思います。そして公演直前で検査を行なって、損失確実な状況にも関わらず延期を判断した関係者の英断は認められるべきです。さらに取材に対して稽古場の状況を説明した対応も適切です。今後のためには何がよくて何がダメか、情報を共有するべき段階だからです。

そこは前提で、稽古場の状況がどうだったか。どのような稽古場かはわかりませんが、換気扇という単語が出てくるあたりで、専門の稽古場施設ではないのだなと想像はつきます。入口を開けていたとしても、換気がないよりはまし、という環境だったのでしょう。飲み会や飲食も自粛していたようですが、そうだとしても稽古による環境の悪化のほうが上回っていたのでしょう。空気清浄機は新宿の公演の話にも書きましたが、それで済むなら新型コロナウィルスでこんな騒動にはなっていませんし、ひょっとしたら悪化の可能性も考えられます。雨だらけの7月に全国で感染が広がっているので、除湿器も同じです。

ここで記事を3本引用します。ひとつめはBuzzFeedの記事で、8割おじさんで有名になった西浦博の4月10日のインタビューです。

「8割の自粛」というのもコミュニケーションがしっかりできていません。家の周りや外でどういう工夫ができるかということも時間がない中で宣言が出たので、十分伝わっていないでしょう。

北海道で緊急事態宣言が出た時の話をみなさんとも共有したいのですが、北海道で知事の発表後に面会して、「外出自粛と呼びかけるのは、むしろ逆効果の可能性がある」と押谷先生がアドバイスしたのです。

つまり、外出を控える代わりに、お友達と会って家飲み会が始まったり、家族の夕食会があったりしたら元も子もないわけです。

自粛というのは、接触を削減してもらうことだというのが、正確に伝わらないといけません。

ふたつめは医療サイトm3.comの記事で、専門家会議メンバーの押谷仁による4月18日「クラスター解析からCOVID-19の疫学と対応策」講演の記事。たしか元の講演も例外的にYouTubeで公開されていたはず。

 誰にも感染させていない人は、密閉した環境にいない。多くの人に感染させた人は密閉された環境にいたことが分かった。クラスター、特に患者の集積が起きる環境では、人が密集している。密接した関係で発話がある。これが「3密」の条件。さらにクラスターを解析すると、換気量が増大するような活動、特に初期の段階で目立っていたのは、スポーツジム。大声を出す、歌う、ライブハウスやカラオケなど。接客を伴う飲食業、一人が不特定多数の人に接触するような環境。これらがクラスターが起きる非常に重要な条件だと考えている。

 クラスターを起こしたプライマリー・ケースを見ると、咳、くしゃみ、明らかな発熱はない例が多かった。特に多かったのは、咽頭痛。咳、くしゃみがないので、通常の飛沫感染は考えにくい。何らかの別のメカニズムがないと、起きているクラスターの多くは説明できない。

 接触感染は起こり得ると考えている。これがマジョリティーを占めることはないと思うが、例外的には起こり得る。クラスターが起きた場に、翌日行って感染した例が見られている。これは恐らく接触感染だろう。

最後が朝日新聞から7月10日「微粒子による空気感染、WHO『可能性排除できない』」です。

 世界保健機関(WHO)は9日、新型コロナウイルスの感染について報告書を発表し、空気中の微粒子がある程度の距離を漂って感染を起こす空気感染について、換気の悪い場所など一定の環境で発生する可能性を「排除できない」とする見解を示した。

 WHOは、せきやくしゃみなどの飛沫(ひまつ)感染か、物の表面を触った手にウイルスが付き、鼻や口に伝わる接触感染が主な感染経路だとしている。空気感染は、病院での気管挿管時などを除き、立証されていないとしてきた。

 今回も基本的な考えは変えていないが、空気感染の可能性を示す複数の研究に新たに言及。医療現場以外でも、合唱の練習、レストラン、フィットネスジムといった場所で「混雑して換気が悪いなどの特定の室内環境で、感染者と長時間一緒にいた場合」に、近い距離の空気感染が起こる可能性を排除できないとした。また、この分野ではさらなる研究が必要だとした。

 空気感染をめぐっては各国の専門家が6日に公開書簡を発表し、飛沫が微細になると長く空気中を漂って遠くへ運ばれると指摘。「予防的な措置が取られるべきだ」と注意を促していた。

これらの記事から私が理解したのは以下です。
・人が接触こと(会話すること)には感染の可能性があること
・3密は多くの人に感染する可能性を高くするが、2密も1密も感染の可能性があること
・大声を出す環境は感染の可能性を高くすること
・これらの理由として、飛沫感染、直接感染以外に、空気感染の可能性があること(日本では初期のころにエアロゾル感染という単語がありましたが、空気感染と呼んだほうがすっきりするようです)

もっと平たく書くと、通常の会話より大声で発声する以上、稽古場はカラオケボックスと変わらない環境であり、誰か感染した人がいたらクラスターが発生する可能性が高い、です。どのくらいの広さの稽古場にどのくらいの人数がいたのかはわかりませんが、アクティングエリアを決めて稽古するでしょうし、出演者同士が至近距離での発声は多数あったと推測します。よほど外気との換気の整った場所で距離を確保しない限り、感染は発生するものだと考えたほうがよさそうです。密閉という言葉からはすべてのドアや窓を閉め切った環境を想像しますが、複数のドアや窓を開けて体感で部屋中の空気が流れていることがわかるような環境でない限り、密閉空間と同等と認識したほうが近いのでしょう。

そこから導き出される結論は、非常に残念なものですが、「整った稽古場を用意できない公演はクラスターが発生しうるので、観に行くのはしばらく控えたほうがいい」です。緊急事態宣言解除後の芝居の上演が始まっていて、でも一部は公演中止になったりもして、いろいろありますが、一観客としては様子見を延期したほうがよいとの個人的判断です。

自由自在な声の役者が逝く

立石涼子のことです。朝日新聞より。

 立石涼子さん(たていし・りょうこ=俳優、本名立石凉子〈たていし・りょうこ〉)が2日、肺がんで死去、68歳。葬儀は近親者で営む。

 長崎県出身。76年から14年まで演劇集団円に所属。確かな演技力で幅広い役柄をこなし、蜷川幸雄演出作など多くの舞台に出演した。04年に「エレファント・バニッシュ」などで紀伊国屋演劇賞個人賞を受賞。ドラマ出演や声の吹き替えも多数。

「エレファント・バニッシュ」に出ていたのは記憶があるけど、自分が認識したのは「春琴」の語り。読み直したら絶賛していた。そこから飛んで「ガラスの動物園」も覚えていて、これは登場人物の少ない芝居とはいえ、やっぱり絶賛していた。

今さら知ったのは、演劇集団円の出身であること。新劇と呼ばれる劇団出身のベテランは芸達者が多い。日本の芸能界の、ある種の芸の系譜を、具現化していた役者だった。

合掌

2020年7月31日 (金)

6日間の公演で新型コロナウィルスのクラスターが発生した公演の事実経緯報告書

ここまで、主催者の発表出演者のインタビュー劇場の発表、と3者の発表を見てきました。

そして7月27日付で主催者から「事実経緯報告書」がリリースされました。これによると7月24日時点で検査が陽性だったのは、出演者18名(補足:有村崑は出演者ではないので含まれない)、スタッフ9名、公演関係者8名、観覧者40名、合計75名だそうです。スタッフは以前のリリースより「舞台に関わった当社の社員及びスタッフ」をそう呼んでいるので、公演関係者が有村崑を含む舞台監督などの舞台スタッフなのでしょう。

事実を説明しつつ押返せるところは押返す報告書は、これだけの文書が書けるようになりたいと思えます。念のために書いておくと、私はこの事務所のここまでの発表を読んで、嘘はついていない、わかった事実は伝えるスタイルの事務所だと認識しています。今回新しくわかったのは以下です。
・7月4日の体調不良者は後にPCR検査で陰性、7月5日の体調不良者は後にPCR検査で陽性
・稽古は2020年6月15日から2020年6月28日まで実施、最初の小屋入りが初日前日の6月29日21時でその日は23時まで準備、翌日6月30日は8時にスタッフが小屋入り
・楽屋3か所は、場所によって程度に違いはあるが、密閉された空間ではなかった
・飲食についてはそれなりに気を付けていた
・最前列の観覧者に対しては、フェイスシールド着用を依頼したが、一部の観覧者から強いクレームが入り、一部を除き、着用されていなかった(但し、フェイスシールドをしていない最前列の観覧者も、マスクは全員着用していた)
・開演から約30分後に、換気のために約10分から15分間の休憩時間を設け、その休憩時間中は、全ての窓と扉を開放し、換気を行なった(補足:山本裕典のインタビューだと「最初20分お芝居をして、そのあと1時間『人狼ゲーム』。そして最後に歌があるというトータル2時間くらいの舞台」、そうだと同じ2時間の公演でも後半の時間が10分長くなる)
・後半のステージ(公演時間全体の約3分の2)では、出演者と出演者の間に1枚ずつアクリル板を設置し、各出演者での唾液の飛沫などを防止、公演中ステージで使用していたアクリル板、小道具、マイクも、毎公演終了後の除菌対象だった
・ロビーの状態は、トイレ列、物販ともにほとんどなかった(「物販列は、初日と千秋楽には列が若干混雑することが一部でありましたが、物販自体が全体的に好評でなく売れなかったため、混雑することはほとんどありませんでした」の記載は泣けます)。

一方、やっぱりここに手掛かりがあるだろうと臭う文書です。クラスター発生の心当たりがあるけど避けている、という印象ですね。印象としか言いようがない。その場合、たくさん書かれていることではなく、書かれていないこと、書かれていても手薄なことを探すことになります。あとは他の発表と見比べます。

ここまでの内容で、探すための前提を挙げます。
・これだけ陽性者が出たので、この芝居の何かが原因でクラスターが発生したのは間違いない
・出演者ではない有村崑も陽性だった
・複数回を観た観客もいるが、全日程にわたって陽性者が発生しているので、出演者やスタッフや公演関係者など「上演側」から「観客側」への向きで感染が発生している

ここまでいろいろ調べてきて私が思い込んでいたのは、陽性者全員が同じ理由(対策不足)で感染したということです。でも別々の理由で感染することだってあり得ます。その線で考え直します。

まず、初日から観客に陽性者が出ているということは、(複数回を観た観客でなければ)初日から出演者側に感染者がいたことを示唆します。また、有村崑も陽性になっている。となると、稽古が怪しい。つまり、稽古時の対策が不十分で、小屋入り時点ですでに出演者(とスタッフや関係者の一部)にはクラスターが発生していた可能性が高いです。その目で読み直すと、稽古時の対応は周知はしても自己責任でやってもらっていたものと読めます。また、不要な接触を避けるよう伝えていましたが、注意喚起が限界だったとも読めます。公演中の話が多いのに対して、稽古中の話が極端に少ないのも目を引きます。

 稽古時は事前に当社作成の「稽古の感染防止対策」と題する資料をお渡しし、公演に先立ち「出演者・事務所の皆様へ」と題する、劇場入りしてからのお願い・注意事項をお渡しして、うがい、手洗い、マスク着用、消毒、検温実施等の体調管理、換気、除菌等について注意するよう周知しておりました。また、稽古・公演終了後の食事等不要な接触をせず帰宅するよう、口頭でも注意喚起をしておりました。

あと、休憩をはさんで後半には仕切りを設けたようですが、つまり前半はそうではなかった。稽古ですでに一定数以上の出演者がクラスターになって、1ステージ当たりの出演者が10人を超えるような芝居なので、前半の芝居で感染した出演者も何人かはいるのでしょう。20分から30分、特定のひとりと絡む時間は短くても、代わるがわる感染者と密なやり取りがあったら、感染してもおかしくありません。

 後半のステージ(公演時間全体の約3分の2)上には、出演者と出演者の間に1枚ずつアクリル板を設置し、各出演者での唾液の飛沫などを防いでいました。

なので、出演者については、出演者同士でクラスターを発生させた、それは稽古の段階で発生した、公演関係者へのクラスターの少なくとも一部も同様に稽古場経由だった、がひとつの結論です。そこから他の出演者にも感染させたかもしれませんが、稽古場のほうが比重は高いと推測します。

それにもうひとつ。飲み物に関する記述があっても食べ物に関する記述が見つかりません。毎日昼夜2公演やっていて、一度も食事がないわけがありません。新宿なので外に出れば食事処はたくさんありますが、出待ちされるほどの人気者がそこら辺で食事をとるとは思えません。少なくとも一部の出演者は、自分で買ったか主催者が提供したかは別にして、劇場内で食事をしたはずです。その際にはもちろんマスクを外しますが、他の人がいたら話しますよね。至近距離で話して飛沫が飛んだら換気は関係ありません。三密でなく二密一密でも、確率が下がるだけで感染するときは感染します。

それでひとつ気になるのは、楽屋に空気清浄機が置いてあったという話です。それで済むなら新型コロナウィルスがこんなに騒動になっていません。むしろ、初期の中国ではエアコンの吹出口に沿って感染者が出たという報道もありました。今でも商業施設のハンドドライヤーは感染拡大防止のため使用禁止になっているところが多いです。窓が開いていれば少しはましかもしれませんが、中途半端に飛沫を広めるようにならなかったか、どこかで検証してほしいです。

次にスタッフ。最初に疑うのは換気です。この劇場は珍しく劇場スペースに窓があるので、休憩時間や公演の合間には劇場スペースは熱心に換気していました。出演者のいる楽屋もそれなりだったと説明があります。ただ、ロビーがよくわかりません。開演前終演後は入退場のため外に面したドアを開けますが、それ以外の時間帯は不審者の侵入を防ぐため、閉めておくのが一般的です(物販のグッズやお金も置いてありますし)。その場合、ロビーの換気がどの程度できる劇場なのかがわかりません。それに、普段スタッフが使用しているスペースまで楽屋に提供したのなら、観客のいない時間帯もスタッフはやはりロビーで待機していたのではないでしょうか。つまり、劇場スペースや楽屋の換気に気を取られて、ロビーの換気が足りなかった。空気清浄機を持ちこんだといいますが、それで済むならこんな騒動になっていないのは前述のとおりです。

あるいは、スタッフだけが使うものについてどの程度消毒が行なわれていたかはわかりません。劇場の発表で「受付・物販・の消毒」とありますが、物販で使う電卓や手提げ金庫など、小物や他人に触ってほしくないものものまで劇場が消毒したとは思えません。あるいは、楽屋を出演者に回したらスタッフの私物(鞄など)もロビーの後ろに積まれていて、私物だから消毒対象外だった、などありませんでしょうか。

もうひとつ。スタッフも食事はしたはずです。これは劇場内と外と両方ありますが、どちらにしても、複数名で食事をしながら話したら、やはり感染の危険があります。

なので、スタッフのクラスターは、誰かが最初に感染したとして、それが広がったのはロビーの対策不十分(換気、消毒とも)による接触感染、または食事中の会話を通して飛沫感染、の可能性が考えられます。出演者の稽古場での感染に比べると決め手に欠けますが、これ以上の感染経路が思いつきませんので、ひとまずここで止めます。

最後に観客です。まず、出待ちで握手した出演者がいたのは確実なので、観客の一部はそれで陽性になったと考えます。でも、報告があっただけでも40名の感染です。握手に簡単なお礼の言葉くらいは言ったかもしれませんが、全員が全員それで感染したのなら、その役者はどれだけスーパースプレッダーなんだ、と思いますよね。なので、握手以外の劇場内の感染経路があるはずだ、と疑ってかかります。

スケジュールを見ると、初日前日の21時が劇場入り、初日は15時からなので、仕込みの期間が短いです。でも短い芝居でもゲネプロをやらないことはないでしょうし、歌があるなら音のチェックも必要なので、出演者は初日の朝に劇場入りしてゲネプロを、せめて場当たりを行なったはずです。ここですでに出演者の一定数がクラスターになっていたとします。ゲネプロが終わって劇場スペースの換気は行なったとして、座席やドアノブなどの消毒を、初日のドタバタの中で行なう余裕があったでしょうか。まだ観客は入っていないし、自分たちがクラスターになっているとも知らないのに。

その目で劇場の発表を読みなおすと、ドアノブは劇場が消毒していますが、

可動イス席の手すりの部分の消毒用アルコール(エタノール)での消毒

は主催者の担当になっています。すくなくとも開館から閉館までの間、劇場スペースの消毒は主催者に任されていたのでしょう。手すりだけなのは、布っぽい椅子なので座面や背もたれは不要との判断と推測します。だとしても、空中を漂うウィルスは換気である程度対応できるとして、初日前の空席の手すりに付着したウィルスへの対応がどの程度だったかは不明です。初日を観て感染した観客の何人かは、これが理由だった可能性があります。

ここで止めれば、まだまだ対策不十分でした、で済む話です。ただし、です。これでは初日以外の感染の理由にはなりません。他の日も消毒をさぼっていました、と主催者が言うなら話は別ですが、それはさすがにどうだろう、ということで、嫌な想像を2つ書いておきます。

ひとつは出演者と観客最前列の距離。劇場発表では2mは空けていたとのことですが、観客側はマスクはしていたとはいえ、出演者と観客を遮るものは特になかったはずです。報告書でも距離については触れていません。一般には2mの距離を取れば密接でないと言われていますが、実は2mは日常会話の音量で、芝居や歌で大声を出すときは2mでは飛沫を避ける距離が不足している可能性も考えられます。クラスターとなった大勢の感染者がこちらを向いて並んでいる場合は、1対1よりも感染力が高いはずです。その場合、人数を半分にするだけでなく、最前列から1-2列を余計に空けないといけません。興行的にはさらにつらくなります。

もうひとつは後半の上演時間の長さです。長さも日によって違うようですが、だいたい1時間半くらいあったようです。さらにラスト30分くらいが歌。劇場なので換気装置を備えていることは間違いないのですが、歌も行なう上演プランで換気装置を全力で動かして劇場スペースの音響を損ねることはやりたくないはずです。上演中に換気装置の稼働を低く抑えて、出演者から観客への感染を引起こした可能性はないでしょうか。出演者の大半が感染者だったとすると、歌も含めた1時間半の終盤には劇場スペース内に換気されないエアロゾルが一定量以上あって、観客がマスクだけで防ぐには限界があった、というシナリオもひょっとしたらないでしょうか。一蹴するには情報が足りません。万が一これが本当なら芝居上演はえらいこっちゃで大騒ぎになります。書いてはみましたが、本当に、頭の体操なので鵜呑みにしないでください。

ふたつとも想像にさらに仮定を重ねた話なので、鵜呑みにされると困ってしまいますが、はたしてどうでしょうか。陽性を報告した観客の座っている位置がもっと詳しくわかるとよいのですが、それは報告されていないのか、載せていないのか、どちらでしょう。少なくとも1人は2列目だったようです。

稽古場感染と握手感染以外は、まだ何とも言えません。事実は発表していくスタイルの事務所だとしても、保健所の調査結果まで出すのかはわかりません。調査結果まで発表してくれるのを待つばかりです。

以下は報告書の全文です。これを読んで、皆さん推理をお願いします。

事実経緯報告書
令和2年7月27日
株式会社ライズコミュニケーション

第1 はじめに

 このたび発生しました新型コロナウイルス感染症の集団発生により、応援してくださった観覧者の皆様、出演者の皆様、各関係者の方々、業界の方々、世間の方々に多大なるご心配とご迷惑をおかけしてしまいましたことを改めて深くお詫び申し上げます。また、感染された方々の一日も早いご快復を心よりお祈り申し上げます。弊社といたしましては、これを教訓とし、今後、このようなことが起こらない環境を作ると同時に、事実経緯について、以下ご報告いたします。
 なお、プライバシーの観点から、出演者の方々等のお名前の開示は差し控えております。ご了承ください。

第2 発生場所

公演場所
 新宿区新宿3-33-10 新宿モリエールビル2F(小劇場内)

第3 発生時期

公演2020年6月30日から2020年7月5日
 6/30(火)[昼公演]15:00開演
     [夜公演]19:00開演
 7/1 (水)[昼公演]14:30開演
     [夜公演]19:00開演
 7/2 (木)[昼公演]14:30開演
     [夜公演]19:00開演
 7/3 (金)[昼公演]14:30開演
     [夜公演]19:00開演
 7/4 (土)[昼公演]13:30開演
     [夜公演]18:00開演
 7/5 (日)[昼公演]12:30開演
     [夜公演]17:00開演

 公演は、1日あたりの公演数は2回であり、1回あたりの公演時間は約2時間から2時間30分程度でした(休憩時間を含みます)。

第4 稽古及び公演に関する時系列

 稽古 2020年6月15日から2020年6月28日
 公演 2020年6月30日から2020年7月5日
  6月6日16:30 新宿シアターモリエール(以下「モリエール」)下見。
  6月8日 モリエールに変更を社内で決定。
  6月9日 モリエールに決定したことSNSで発表。
  6月10日 会場を恵比寿・エコー劇場からモリエールに変更したことをHPにて案内。
  6月29日21:00 当社スタッフ、制作スタッフ会場入り。23:00まで準備。
  6月30日08:00 スタッフ会場入り。13:00より先行物販を行う。

第5 発症の経緯

 7月6日14時 出演者A、1名が陽性であると所属事務所より報告を受ける。
 7月6日夕方 出演者Aの管轄保健所から弊社に電話が入り、出演者Aの陽性報告を受ける。そして、その夜、出演者Aの管轄保健所から、以降は弊社管轄保健所とのやり取りになるとの連絡があり、連絡を待つようにとの指示を受ける。

 7月7日12時 弊社管轄保健所と連絡がつき、出演者Aの陽性を改めて確認するとともに、詳細情報を確認中なので待つようにとの指示を受ける。
 7月7日14時47分 弊社管轄保健所へ出演者とスタッフ一覧を提出。同保健所によると、濃厚接触者は、マスクを外して15分以上顔を合わせて会話をする、抱き合うようなものが対象となるとのことで、スタッフ、ゲストに関しては濃厚接触者に当たらないとの見解であることを伝えられる。また、同保健所から、楽屋でのやり取り等を確認してくださいとの指示を受ける。
 7月7日21時30分 弊社1度目のリリース。

 7月8日 弊社管轄保健所から、観覧者は濃厚接触者にはあたらないということで告知していいとの連絡を受ける。弊社2度目のリリース。

 7月9日9時 弊社から弊社管轄保健所に連絡したところ、「顧客の感染は報告を受けていない。舞台を観た方で不安があれば最寄りの保健所に連絡するように案内はしている。」とのこと。
 7月9日 弊社より3、4度目のリリース。

 7月10日16時 弊社管轄保健所から弊社に対し、東京都が以下リリースすると報告を受ける。
  ・総勢10名のコロナ陽性が確認された旨。
  ・全出演者25名全スタッフ27名を濃厚接触者とする旨。
 7月10日18時 弊社からコロナ感染の情報等を内容とする旨の5度目のリリース。

 7月12日23時13分 弊社から新たに相談窓口を設置する旨の6度目のリリース。

 7月13日13時26分 東京都から、業界別感染拡大予防ガイドラインの遵守状況等の確認の連絡。
 7月13日16時49分 弊社管轄保健所から観覧者全員が濃厚接触者という連絡。
 7月13日 弊社より7度目のリリース

 7月15日 弊社より8度目のリリース

<集計>
・観覧者人数(なお、同一の方が複数の公演に来場している場合があります)
 6/30 昼69 夜80
 7/1 昼52 夜58
 7/2 昼81 夜47
 7/3 昼71 夜81
 7/4 昼89 夜88
 7/5 昼82 夜89
・陽性確認者(7/24現在)
 出演者18名
 スタッフ9名
 公演関係者8名
 観覧者40名
  ※弊社が観覧者より報告を受けている人数となります。
 合計陽性者75名

第6 感染拡大防止策の実施

0 初めに
 「劇場、音楽堂等における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン」(参考資料:公益社団法人全国公立文化施設協会が令和2年5月14日付公表。)を参考に、当社でもガイドライン(以下、「ガイドライン」といいます。)を作成し、HPにて「新型コロナウイルス感染症対策について」と題して掲載を行い、観覧者に周知をいたしました。出演者及び所属事務所に対しても、稽古開始時と公演直前日に、それぞれ注意喚起のための資料を渡しました。

1 公演前の対策

(1)入場制限
 密な状況を発生させないよう、以下の工夫を行いました。
 まず、開場時間を、観客入場時の混雑を避けるため、通常開演時間の30分前にしているところ、開演時間の45分前に変更しました。また、公演の合間に休憩時間を設けました。入場時のチケットのもぎりは、全スタッフはマスクを着用し、スタッフの前で観覧者にご自身で行っていただき、それをスタッフがこれを目視にて確認する形で行いました。
 また、本来モリエールの座席は186席あったところ、その50%である93席を超えないように座席を配置し、指定された座席に座っていただきました。入場は、スタッフの指示に従い行っていただきました。

(2)観覧者との関係
 公演ごとに、観覧者の氏名、住所、電話番号及びメールアドレスを記載する用紙を客席におき記入いただき終演後に出口に回収しました。これらの情報は必要に応じて保健所等への公的機関へ提供されることについても当該用紙に記載し、HPで事前に周知いたしました。
 劇場入口でサーモグラフィ(37.5度以上の方が居た場合、ブザー音が鳴るシステムが付属しております)による検温を行い、検温の結果やその他体調不良等の事情によっては、入場をお断りする旨についてもHPで事前にお伝えしました。咳エチケットのご協力、マスクの着用・手指消毒の呼びかけについても同時にHPで掲載しておりました。

(3)出演者との関係
 稽古時は事前に当社作成の「稽古の感染防止対策」と題する資料をお渡しし、公演に先立ち「出演者・事務所の皆様へ」と題する、劇場入りしてからのお願い・注意事項をお渡しして、うがい、手洗い、マスク着用、消毒、検温実施等の体調管理、換気、除菌等について注意するよう周知しておりました。また、稽古・公演終了後の食事等不要な接触をせず帰宅するよう、口頭でも注意喚起をしておりました。

2公演当日の対策

(1)周知・広報
 観覧者に対しては、咳エチケットのご協力、マスク着用・手指消毒の呼びかけ、お並びの際は社会的距離(ソーシャルディスタンス)確保の上指示に従っていただきたい旨、プレゼント禁止の旨、検温の結果や体調によっては入場をお断りする旨などをHPや会場で告知していました。公演期間中もスタッフが同様のアナウンスを行い、観覧者の皆様にもご協力を頂きました。なお、入退場時にマスクを着用していない観覧者はいませんでした。

(2)観覧者の入場時の対応
 開場時間を開演45分前とし、余裕を持った入場時間を設定しました。観覧者が劇場に入る際、サーモグラフィを使用して検温確認をし、37.5度未満の方だけをお通ししました。サーモグラフィは37.5度以上の人が通るとブザーが鳴るシステムです。また、手指消毒のアルコールを劇場内の各所に設置し、利用を呼びかけました。サーモグラフィのチェックや消毒に対して、観覧者の皆様にご協力頂きました。
 入り待ちに関しては、ほとんどおりませんでしたが、発見した場合、スタッフが口頭注意を行いました。

(3)公演会場内の感染防止策
ア 座席の配置
 最前列の観覧者に関する感染防止対策として、最前列の席を通常より2列分舞台から離して配列し、キャパの上限である186席からの50%相当である93席で配席しました。また弊社としましては、最前列の観覧者に対しては、HPで事前にフェイスシールドの着用のご協力をお願いするとともに、実際に、公演開始から終了に至るまでの全ての公演で、最前列の観覧者の席にフェイスシールドを配布しました(フェイスシールドは、日本製でプラスチック(リサイクルPET樹脂)素材のものです)。しかし、フェイスシールドの着用に関しては、一部の観覧者の方から強いクレームが入り、公益社団法人全国公立文化施設協会が定めるガイドラインでもフェイスシールドは必須とされておらず、弊社としてもご協力をお願いする立場であったため、結果的に、一部の方を除き、着用されていない状況でありました。但し、フェイスシールドをしていない最前列の観覧者も、マスクは全員着用しておりました。
イ 換気
 今回の舞台において使用した会場では、客席内に6個の窓(サイズ:横約25㎝×縦約100㎝)があり、その全てを開けて換気をし、さらに、ロビーには当社が持参した空気清浄機を1機置いておりました。
 開演前は、常時、窓と扉を開放し、換気をしておりました。開演後は、会場(施設)側の指示に基づいて、会場周辺に対する騒音を防止する目的から、窓と扉を閉めて公演を行いました。開演から約30分後に、換気のために約10分から15分間の休憩時間を設け、その休憩時間中は、全ての窓と扉を開放し、換気を行いました。なお、開演30分後に換気をした理由は、開場してからすぐに入場した観覧者の方にとっては、会場に滞在する時間がその時点で約1時間になるためです。
終演後は、客席内の窓と扉を全て開けて換気を行いました。
◆換気時間例(7/1公演の場合)
 換気時間帯計:7時間20分
  11:00~14:25(3時間25分)
  15:00~15:15(15分)
  16:30~18:55(2時間25分)
  19:30~19:45(15分)
  21:00~22:00(1時間)
ウ 演出
 一部報道で、「出演者が客席に降り、ファンと抱擁した」などといった報道がされていましたが、そのような演出含め、観覧者と出演者が接触するような演出は一切ありませんでした。また、声援や、観覧者同士の会話も控えていただくよう事前にお願いしておりました。
エ その他
 事前にマスク着用と会話抑制を観覧者に呼び掛けたとおり、その点は徹底されておりました。トイレ列に関しては、その列専用の並びスペースを設けており、列が密であったことはないと思います。

(4)公演関係者の感染防止策
ア 体調確認
 各出演者には、稽古中から公演終了日まで毎日検温の実施をし、各出演者及び所属事務所に対して、体調不良が発生した場合には報告するように伝えていました。
イ 楽屋について
 本舞台は出演者が15名程度であったため、楽屋での出演者の間隔を空けるために、通常用意された劇場の楽屋(楽屋①)の他、ステージ裏(楽屋②)、普段スタッフが使用しているスペース(楽屋③)の計3箇所を楽屋に充て、出演者を割り振り、対策をとりました。楽屋①は通常13席分ありましたが、間隔を開けて10席ないしは11席分とし、席と席の間に会場が用意した間仕切りを設置していました。間仕切りは、楽屋②と楽屋③にも設置し、全ての楽屋は、毎日、除菌と清掃を行いました。各楽屋及び喫煙所、洗面所には消毒液を設置し、洗面所には、うがい液とコップも設置していました。なお、コップは使い捨ての物でした。
 楽屋①の窓は毎朝スタッフが解放していました。また、楽屋①には、会場所有の空気清浄機が置かれており、基本的に常時稼働している状況でした。楽屋③には、窓はありませんでしたが、そもそも扉もなく、常時、解放された空間でし
た。なお、楽屋②については、窓はあるものの、窓の前に会場所有の機材が置いてあったため、開けることはできませんでしたが、出入り口の扉は常時開放していましたので、密閉空間ではありませんでした。
ウ その他
 事前に周知したとおり、出演者は、出番以外はマスクの着用を徹底、うがい、手洗い、手指のアルコール消毒をこまめに行っておりました。飲み物や食べ物については、原則、出演者個人で用意をしてもらっており、食器等の備品を共有したことはございません。なお、出演者に対し、水やお茶をペットボトルで提供したことはございましたが、全て500mlのペットボトルで、蓋に名前を書いていたため、共有することはありませんでした。稽古の際にも、弊社の方で、飲み物を用意したこともございますが、同じく個々にペットボトルの飲み物を配っておりました。
 後半のステージ(公演時間全体の約3分の2)上には、出演者と出演者の間に1枚ずつアクリル板を設置し、各出演者での唾液の飛沫などを防いでいました。
 公演中ステージで使用していたアクリル板、キャストが使用する小道具、マイクに関しても、毎公演終了後、除菌をし、ステージの清掃、除菌スプレーの散布を行っておりました。
 また、当社は出待ち・入り待ちを禁止し、これに違反した方にスタッフが気づいた場合には都度注意していました。なお、全日程の公演終了後に判明したことですが、会場外のスタッフの目の届かないところで、出演者に近づいた観覧者が数名ほどいた旨の報告を受けております。

(5)感染が疑われる者が発生した場合の対応
 7月4日の夜、1名の出演者の方から、発熱があった旨の報告をいただきましたが、抗体検査の実施の結果、陰性であったことと、検温の結果が36.7度であり、ガイドラインの規定(37.5度)の範囲内であったことから、ご本人と相談の上、7月5日のご出演となりました(なお、当該出演者は、7月15日付でPCR検査において陰性の結果がでております)。
 7月5日、別の1名の出演者の方から、検温の結果が平熱より高い37.0度であった旨の申告をいただきましたが、ご本人と所属事務所の方々から、持病の扁桃炎に起因する可能性が高いとの医師の診断があった旨のご説明を受けたことと、検温の結果がガイドラインの規定の範囲内であったことから、ご本人及び事務所と相談の上、ご出演となりました(その後のPCR検査の結果7月9日陽性と診断されました)。

(6)物販・トイレの列等について
 物販はマスクを着用しビニールシートにより購買者との間を遮蔽しました。お金のやり取りはトレーを使い、直接の接触はありませんでした。
 場外、そして並んでいる観覧者に対しては「間隔を開けて並んでください」とアナウンスし、開場してからの物販列、トイレ列に対しても整理を行いました。
 トイレ列に関してはその列専用の並びスペースを設けていたので、列が密であったことはありません。物販列は、初日と千秋楽には列が若干混雑することが一部でありましたが、物販自体が全体的に好評でなく売れなかったため、混雑することはほとんどありませんでした。

(7)観覧者の退場時の対応
 退場時間は、余裕をもって設定していました。出待ち行為に関しては、本公演では禁止としておりました。また、HP上で、出待ちの典型的なものである、プレゼント、お手紙、フードサポートの受渡しを禁止する旨の周知を行っておりました。また、多くの観覧者の皆様にはご理解、ご協力を頂いておりました。
 しかし、上記周知にもかかわらず、出待ちされる観覧者が一部の公演で10名ほどいらっしゃいましたので、各スタッフが気づき次第速やかに、出待ちを行わないように観覧者に注意させていただきました。
 また、全日程の公演終了後に分かったことですが、一部の公演で、会場外のスタッフの目の届かないところで、出演者に近づいた観覧者が夜公演終了後に数名いた旨の報告を受けております。スタッフの目の届かない所でのファンへの対応は、弊社では極めて困難でした。

3 公演後の対策
 公演ごと観覧者の氏名、住所、電話番号及びメールアドレスを把握し、名簿を作成していたことは先に述べた通りです。名簿等の保管には個人情報保護の観点から十分留意し、感染状況について個別に公開の許可を得た方についてのみ、当社HPで匿名公開をしております。

第7 今後の対応に関する当社の検討

1 まず、前提として、当社としては、ガイドラインを遵守し、感染予防を図るため、経済的・現実的な制約の中で、最善を尽くすべく努力して参りました。しかしながら、個別の感染者が本公演内で感染したかは不明ですが、結果的に、多くの感染者が発生してしまいました。その点を踏まえ、当社として、そのような制約を考えず、事後的に見てどのような方法があり得たのか、以下の通り検討します。

(1)公演の座席配置等について
 座席配置は行っていましたが、固定椅子ではないため、一部の公演で位置の若干のばらつきはありました。これに対しては、椅子の場所の印を明確にする、一次的に椅子を固定するなどの措置が考えられます。
 また、最前列の観覧者のフェイスシールドの着用に関して、観覧者の方から強いクレームが入り、結果的に、大多数の観覧者が着用されていない状況でありました。そのため、理解を得られるようにさらに説得を行うことや、従っていただけない場合、入場制限又は退場等の措置をとることが考えられます。

(2)換気について
 会場との協議が必要ですが、騒音等に配慮した上で可能な限り公演中にも換気を行うことや、送風設備や空気清浄機等をさらに導入すること、換気のための細かな休憩時間の設定等が考えられます。

(3)楽屋について
 第6、2(4)イに記載の通り、楽屋②について会場とも協議をし、窓を解放する等の措置を検討、会場外の楽屋増設の措置を検討、また、それぞれの楽屋の利用時間に差を設けるなどの工夫が考えられます。

(4)出演者に対する注意喚起について
 第6、2(4)ウに記載の通り、会場外のスタッフの目の届かないところで、出演者に近づいた観覧者がおりましたが、これについては、出演者及び所属事務所にさらなる注意喚起を促し、その協力を仰ぐ対応が考えられます。

(5)出待ち入り待ち禁止の徹底について
 第6、2(7)に記載の通り、出待ちされる観覧者がおり、注意をしても、会場外の、スタッフの目の届かないところで、出演者に近づいた観覧者がいた方がいらっしゃいました。これについては、前記(4)でも記載しましたが、観覧者の方、出演者双方にさらに注意喚起を行う措置が考えられ、また、スタッフの増員をはかり、出待ち対策をより徹底することが考えられます。

(6)感染が疑われる者が発生した場合の対応
 第6、2(5)に記載の通り、出演者からガイドラインの基準度数未満の発熱があった旨の報告を受けておりました。これについては、ガイドライン以上のさらに厳しい健康管理基準を設け、健康状態を細かく聴取することや、少しでも体調不良(37.5度以上でなくとも平熱より高い熱など)があった場合には所属事務所と連携を図り、自宅待機し、出演の取りやめ、又は公演中止などの対応が考えられます。

(7)公演前の出演者の行動の把握
 感染防止対策の観点から、公演前及び公演期間中における公演とは別の活動内容を把握するために、具体的な事前報告を詳しく求める措置が考えられます。

(8)無症状の方への対応
 非常に困難なことではありますが、観覧者、出演者、スタッフの中に無症状者がいる可能性まで考慮すると、公演開催に向けてPCR検査の強化等のさらに厳しい基準を検討せざるを得ないものと思われます。

第9 一部報道等について

1 一週間前の報道について
 一部報道では、「『シアターモリエール』スタッフによると、当初「THE★JINRO」は別の劇場での上演を予定していたが、コロナ対策による人数制限が厳しかったため、初日の1週間前に『-モリエール』に変更した」という報道がございます。しかしながらこちらは事実ではございません。
 当社では、既に述べた通り、会場につきましては、6月8日に変更を決定し、6月10日に当社のHPにおいて発表し、また初日公演は6月30日です。

2 会場内における握手、物販販売等について
 会場外における目の届かないところにつきましての詳細は不明ですが、会場「内」における握手はございません。また、ガイドラインで物販販売が禁止されていたとの一部報道がございますが、劇場、音楽堂等における新型コロナウィルス感染拡大予防ガイドラインでも、物販をすること自体は禁止されておりません。なお、当社では感染予防対策に努め実施致しました。

3 フェイスシールドについて
 一部、フェイスシールドが「ビニール製の手作りのものだった」との報道がございましたが、こちらは日本製のもので素材はプラスチック(リサイクルPET樹脂)で、曇りにくい構造になっており、クリア面が広く、圧迫感が少ない、眼鏡・ゴーグルも着用したまま使用可能な医療用にも使用できるというものであり、手作りのものではございません。

4 その他
 その他の報道につきましても事実ではない報道が多くされている状況でございます。
 各報道の詳細まで把握し、反論することはできませんが、明らかに間違っているにも係わらず、広く報道されている内容につきましては、今後の適切な事実確認にも支障が生じるため、確認の上、報告・公表等の対応をしてまいりたいと思います。

第10 最後に

 以上、これまで判明している事実をご報告申し上げますと同時に、皆様にご心配とご迷惑をおかけしておりますことを重ねてお詫び申し上げます。
 弊社といたしまして、既に述べたような感染防止対策を行い、観覧者、キャスト、関係者の皆様にもご協力いただき公演を実施いたしましたが、その中で、今回のような新型コロナウィルス感染者の発生が起きた経緯については、東京都や保健所による検証が行われており、その結果を反省点とするとともに、今後のこのようなことが起こらないようにさらに厳しい対策を講じて参りたいと考えております。
以上

2020年7月24日 (金)

あえて余白を残すという話

カルピスウォーターのパッケージが評判のようです。それを解説するまとめができていました。

公式SNSも運用してる身として個人的な予想となりますが、カルピスさんは、「あえてボトルの透かし画像はどこにも出さず企画の"余白"を残し、UGCが出るのをガマンして待っていた」と思います。

「ちゃんと待てる」って意外と難しいのにそれが出来る。

最初から全部ネタバラシするんじゃなく市場からのタネで完成する仕組み最高だな。
こーゆー仕掛けをしていきたいものです。

この事例を見ると"余白"づくりの重要性をとても感じますよね。
普通に打ち出してもある程度の反響は見込める素晴らしい企画だなと思いましたけど、ユーザーが参加して一緒に盛り上げる事でより大きな波が生まれている印象。

公式が最初に取りあげるのは、野暮というか、なんか違う。

他の例も載っていますが、企画を芝居に、ユーザーを観客に、余白を想像の余地に置換えると、演劇の世界にも通用する話になります。よくできた芝居は、観客の想像力を当てにして、必要な情報は全部出すけどあえて不親切にバラバラにして、情報をつなげるところは観客にまかせる傾向が多いと思います。

その応用として、描きたいことを別の世界の別の物語に置換えることもあります。見立てとか風刺とか言われるものはそうですね。あるいは複数の別の物語を並行に進めてそれらが実は関係のあるものだったとつながる手法もあります。そこで大事なのは、とにかく、直接言っては駄目なんですよね。観客側が自分で「ああああそうだったんだ」と気が付くことで満足度が大きくなる。

テレビはほとんど見ませんけど、たまに見ると、情報過多ですよね。わからなくもないんですよ。話がどんどん進む中で細かい情報を拾って、関連する情報が出てきたときにリアルタイムで思い出すのはある種の能力で、「余白」のあるコンテンツに一定量以上のめり込んだ人でないと身につかない。私も小説や芝居ならある程度はできますけど全部拾えるわけではないし、音楽ではそのような楽しみ方ができる自信はありません。ある規模を超えるとそういう能力がない人の割合が無視できないくらい増えて、そこを補うための過ぎた親切が全体をスポイルする。その極端な例がバラエティ番組で、もう字幕をずっと表示して「ここで笑え」の指示を出してばかりです。別の表現をするなら、野暮です。

何も岩松了みたいに必要な情報すら隠せというわけではありません。でも情報の種類と順番を工夫することで、本筋は必要最小限の情報で構成できたら、それは洗練の一種です。洗練にもいろいろな形がありますが、観客の想像力を信じることはコンテンツの質を上げることにつながる、王道の手法のひとつだと考えます。

6日間の公演で新型コロナウィルスのクラスターが発生したときの劇場側の対応について

小劇場協議会がシアターモリエールにヒアリングした結果をコメントしています。産経新聞の「東京・新宿の『舞台クラスター』 業界団体のガイドライン守らず」にある通り、7月14日付の最初の発表では

協議会が定めた感染防止のガイドラインをシアターモリエール側が守っていなかった

という発表でした。が、その後7月15日付で訂正された発表内容では、

今回の発生につきまして、シアターモリエールにおいては当協議会のガイドラインに従った感染防止策をご利用団体と協議していたものの、徹底・遵守していただけなかったことが、小劇場協議会からシアターモリエール側への確認作業のもと判明しております。

と変更されました。

実際の対応がどのようなものだったかは、「株式会社ライズコミュニケーションの公演に関しまして」で劇場が直接発表しています。全文は後で引用しておきますが、保健所も入ったので記載事項に嘘はないと考えます。

7月13日(月)に、東京都及び保健所の現地及び聞取り調査が入りました。
7月15日(水)に改善点の報告書を出しております。
その際担当者から言われましたことは100%貸劇場として制作に関わっていないので
開館前と閉館後の消毒は劇場の責任、主催者がホールを使用している時間内は主催者の責任
(出演者の管理、観客の管理等すべて)とのことでした。

とあるので、暗に主催者が悪いと言っています。そういいたくなるのもわかります。実施した対策を読むと、小劇場協議会のガイドラインよりよほど厳しいです。ケータリングや飲食の対策くらいしか抜けている項目は見つかりません。これでもなお改善点の報告書を出したとはいったい何が悪かったのでしょう。

小劇場協議会の「徹底・遵守していただけなかった」とはおそらく出待ち観客との握手といった行為を指しているのでしょう。それが観客クラスターになった大きな理由のひとつだとは思います。でも出演者やスタッフのクラスターが発生した理由はわかりません。

劇場の発表を全文載せておきますが、この内容から悪いところ、足りないところを見つけるのは素人には無理です。改善点の報告書の内容が知りたいです。

株式会社ライズコミュニケーションの公演に関しまして

7月7日(火)に6月30日(火)~7月5日(日)に公演をされた株式会社ライズコミュニケーションより
出演者一人に陽性反応が出たとの一報が入りました。主催者を通して、保健所より劇場関係者には
濃厚接触者(陽性者とマスク未着用で、1m以内で、15分以上対面で接触した人)はいないとのことでした。
念の為に、関係者リスト(常勤2名・立合(照明と音響の仕込2名・撤収2名)を主催者を通して、保健所に提出しております。
また当劇場は7月5日(日)の撤収後と7月6日(月)の開館前に館内のすべての個所の消毒作業はしておりますが
保健所の指示で楽屋周辺の消毒を再度行っております。
(追記)
7月13日(月)に、東京都及び保健所の現地及び聞取り調査が入りました。
7月15日(水)に改善点の報告書を出しております。
その際担当者から言われましたことは100%貸劇場として制作に関わっていないので
開館前と閉館後の消毒は劇場の責任、主催者がホールを使用している時間内は主催者の責任
(出演者の管理、観客の管理等すべて)とのことでした。

御指導頂いた個所に関しましては、今後改善し、ホームページに掲載して参ります。

現在、多数の取材のお問合せを頂いておりますが、電話ではお答え出来兼ねるご質問もございますので
ご質問はメールでお願い申し上げます。
個々ではお返し出来ませんが、ホームページにお答え出来ることは掲載していきます。

楽屋の換気に関しまして、モリエールスタッフが開館前と閉館後に
楽屋のドア2個所の開放、奥の窓の開放、空気清浄機、換気扇、空調を作動させていました。
 
恐れ入りますが、下記の件につきましてはライズコミュニケーションへお問い合わせ下さい。
株式会社ライズコミュニケーションのホームページのリンクを貼っておりますので御利用願います。

今回の公演の個人情報(CAST/STAFF/観客)に関しまして(当劇場は関知しておりません。)
入場者数、CASTとお客様の接触(楽屋割の配置)に関しまして(当劇場は貸劇場の為、制作には携わっておりません)


<公演中にライズコミュニケーションがされていた感染予防策>
 <関係者>…検温・マスクかフェイスガードの着用・手指の消毒・物販スペースにビニールシールド・空気清浄機の持込
 <お客様>…サーモグラフティ(持込)による体温測定・マスク着用・手指の消毒・最前列の方にフェイスガードの配布・
間隔を空けた列整理・可動イス席の手すりの部分の消毒用アルコール(エタノール)での消毒・連絡先の提出


<ライズコミュニケーションと新宿シアターモリエールスタッフとがそれぞれに担当した感染予防対策>

 <小屋入前>
  自粛中に清掃と消毒用アルコール(エタノール)と次亜塩素酸水による消毒
  化粧前と受付にビニールシールドの作成と設置
    ライズコミュニケーションとの打合
  客席指導(事前に劇場側で実際に組んで、見てもらっております。)
     アクティングエリアを舞台面から50cm+舞台面から客席を1m50=2m空ける
   奇数列と偶数列で互い違いに組む
   椅子と椅子との間隔を空ける(モリエール推奨:1席分)
   フラット部分の列と列の間を空ける(モリエール推奨:1席分)
   換気が出来る様、窓際を空ける
   定員の半分位で組む(100席弱)
  感染予防対策(重複しますが)
   入館者全員のマスク着用・検温の実施・手指消毒・場内の定期的な換気
   公演中の楽屋(化粧前など)・ブース(機材)・受付・物販・の消毒
   休憩時間を設け、場内換気(窓を開放)

(追記)場内の下手側(舞台向かって左側)に6カ所の窓があります。


<公演中の新宿シアターモリエールスタッフが担当>
 <開館前>
  業者によるWCの清掃
  換気(窓の開放)
  館内の空調・換気扇・空気清浄機・空気除菌機の作動

  <消毒>
   館内のドアと窓のノブ・電気のスィッチ・階段の手摺・傘ポン・チラシラック・什器類・ゴミ箱
   自動販売機(商品スイッチ・金銭投入口(2)・返金レバー・釣銭返金口・商品取出口)
   WC(ドアノブ・鍵・トイレットペーパーホルダー・機能スイッチ・水栓レバー・自動水栓・ハンドソープ容器)
   台所(蛇口・切替レバー)

 <閉館後>
  退館間際まで、換気(窓の開放)と、館内の空調・換気扇・空気清浄機・空気除菌機を作動
  マット・カーペット類に消毒用アルコール(エタノール)・次亜塩素酸水(原液)散布
  消毒用アルコール(エタノール)・次亜塩素酸水(原液)を散布してからゴミの処分

  <消毒>
   ドアと窓のノブ・階段の手摺・ゴミ箱
   WC(消毒用アルコール(エタノール)・次亜塩素酸水による床消毒・ドアノブ・鍵・トイレットペーパーホルダー・機能スイッチ・水栓レバー・自動水栓・ハンドソープ容器)
    台所(排水口の清掃・蛇口・切替レバー)

以上を今回の公演前~公演後に行っておりました。

当劇場の感染症ガイドラインの作成がライズコミュニケーションの公演
に間に合わなかったので小劇場協議会のガイドラインをリンクさせて頂いたのですが
今後は上記のことも踏まえて当劇場のガイドラインを策定する予定です。

皆様には御心配、御迷惑をおかけ致したこと深くお詫び申し上げます。
また当劇場では今後も感染防止、抑止に取り組むつもりです。
重ねましてこのたびは申し訳ありませんでした。
何卒御理解頂きます様お願い申しあげます。


新宿シアターモリエール

6日間の公演で新型コロナウィルスのクラスターが発生した出演者のインタビュー2本

文春オンラインが2本のインタビューを載せています。1本目は「山本裕典 懺悔告白60分『「とっとと引退してください」とまで書かれたけどホストまがい営業はしてない』」です。

「小劇場でやるような舞台の場合、テレビCMとか広告宣伝にお金をかけられないし、チケットがすごく売れるような人たちをキャスティングしたりするのは、どうしても厳しくなってくる。それでも人件費を考えるとチケットは5000円から、高いと1万円以上します。そうなると2.5次元系だったりイケメン系が出るような舞台に関しては、チケットを捌くには、(出演者と写真が撮れる)『特典チェキ』とか、握手会、ハイタッチ見送りとか、推しの役者との交流ができる特典が必要だった。ファンの人たちは、遠方から高いお金を払って観劇しにきてくれるわけですから。客の入りにくい平日の公演は、こういうイベントを打って集客を増やすことは、舞台ではよくあることです。

 ですが、繰り返しになりますが、今回の舞台に関してはそういった演出を一切やっていない。ソーシャルディスタンス、密を避けましょうっていう部分を初日から心がけていたつもりでした。ただ、熱狂的なファンの方々は出待ちをしているから、そこで僕ら出演者が心を鬼にして『それはダメです』『しません』って言えればよかったんですが、欠けていました」
(中略)
「僕は千秋楽の時にファンと握手をしてしまいました。今回の公演では、それまで、僕のマネージャーがファンに帰ってもらうように説明してくれたり、プレゼントを受け取ったり対応してくれたのですが、千秋楽の日に、どうしてもという何十人っていうファンが外に待っていてくれて、そこで軽い握手みたいなものはしてしまいました。

 どうしても僕らタレント側が『やめてください』とか『帰れ』とか言えない。悪者に見えてしまうので。だから、ほかの共演者の子たちの場合でも、やっぱり運営側のスタッフやマネージャーさんが外でそういう動きをできたんじゃないかなっていうところはあります。

 ただ、予算がなく人がさけないのも事実です。僕はありがたいことに車で帰れてますけど、大抵の共演者は電車で劇場に来る。そうなると、ファンの人たちを“剥がす”行動ってすごく難しいし、僕らも強く断る勇気を持たないといけない。お客さんの方も意識を高めて、お互いの共通認識がちゃんと働かないと難しい」
(中略)
「よく報道で、舞台関係者が『密だった』って話していますけど、自分はそれほど密だなっていう印象は受けなかったです。やはり100近く座席を減らしていたから。ただ小劇場なんで、箱自体が元々ちっちゃいのもあるので悩ましいです。フェイスシールドが配られているとは知りませんでした。そこは認識不足でした。すいません。

 今回の舞台は、最初20分お芝居をして、そのあと1時間『人狼ゲーム』。そして最後に歌があるというトータル2時間くらいの舞台。最初のお芝居が終わったあと1回休憩をいれていました。通常だったら2時間ぶっ通しでやるような芝居に休憩を挟んだのは換気のためと僕らは聞いています。出演者は、稽古中からもソーシャルディスタンスを保ったり、換気したり、手洗い、うがい、アルコール消毒を徹底するなど気を使って動いていました」

もう1本は匿名でA氏となっていますが、「舞台クラスター出演俳優を直撃『“出待ち禁止”にしていたが、ファンは握手しないと家までついてきちゃう』」です。こちらは劇場が変更になった経緯についても載っていて、そこは理由がわかってすっきりしました。

「公演や稽古ではこまめに換気をしましたし、体温チェックや初めと終わりの消毒も徹底していました。水道の前で並んで、俳優みんなでうがいもした。僕らの身のまわりを世話してくれるスタッフさんもマスクやフェイスシールドをつけていましたし、一番危険視されていた楽屋も3つに区切ったりしていた。

 当初は恵比寿や渋谷の劇場で公演する予定でしたが、感染防止策を守ると30~40人程度の観客しか入れられないことがわかり、(会場については)二転三転しました。結局は『100人までなら観客を入れられる』と言ってくれた新宿シアターモリエールに決まったんです。それなら(観客減の)赤字分をグッズ販売で補えそうだと。

 出演者が約20人もいる中で、どうしたらソーシャルディスタンスを守れるかって、演出も工夫していました」
(中略)
「確かに“イケメン系”の舞台ではそういうファンサービスが当たり前のように行われてきました。でも今回はまったくしていない。一番お金になる握手会やツーショット撮影会などの接触行為も中止していましたし、僕らはグッズ販売にも参加していません。お客さんには “出待ち禁止”をお願いしていたんです」
(中略)
「でも……、お客さんに対しての認識には甘いところもあったかもしれません。スタッフも限られているので、ファンの方が監視の目をすり抜けて劇場の出口付近や駅に潜んで(出待ちして)いることもありました。熱心なファンの方は握手しないと家までついてきちゃうので、仕方なく対応した演者もいたとは思います。それはダメだったんだろうなと反省しています」
(中略)
「最初にスタッフに体調不良を訴えたのは若手舞台俳優のBでした。7月4日の公演後の夜にBが『体がだるい』と報告したので、運営の指示で抗体検査をおこないましたが結果は陰性。熱はなく味覚もあったので、大丈夫だろうと翌日の千秋楽公演にも出演しました。

 体調不良を訴えた段階で、代役を立てようとすればできたと思います。ただ、Bは主要キャストでもあったし、主催者側にも出演してほしい気持ちがあった。それでB自身も無理をしてしまったところはあると思います」
(中略)
「千秋楽では別の出演者Cも体調不良を訴えました。実はCは数日前から体調が悪かったようなのですが、周りに迷惑をかけるかもしれないし、ということで黙っていた。でもBが4日に体調不良を訴えたことを聞いて、5日に自分も体調が悪いとスタッフに相談したそうです。そして千秋楽後にCがPCR検査を受けたところ、6日に陽性反応が出てしまった。僕たちがそのことを知らされたのは7日です。他の演者やスタッフも『マジか!!』『ヤバイよ』『そういわれてみれば自分も……』となって、病院へ駆け込んで検査を受けたところ次々にコロナ感染が発覚した。僕もその中の1人です」
(中略)
「実は……僕も千秋楽後に気だるさがありました。なんていうか、めっちゃ眠いんですよ。めっちゃ眠いし、とにかくだるかった。でも、体調が悪いのは舞台の疲れからきているものだと思っていました。今回の『THE★JINRO』は2部制で、1部は20分の演劇で、2部は人狼ゲームを60分するんです。普通の演劇よりも頭を使うので、終わったときはいつもヘトヘトで……。言い訳になるかもしれませんが、まさかコロナに感染しているだなんて思いもしなかったんです」

どちらにも共通しているのは、
・演出上の観客との接触はやっていない
・終演後の出待ち観客との握手はやった
です。でもこれは、観客側へのクラスター発生の説明にはなりますが、出演者やスタッフのクラスター発生は説明できません。

6月30日が初日で、B氏は7月4日に、C氏はその数日前から、A氏は千秋楽(7月6日)後に、体調不良。感染してからおおよそ4-5日で発症しているとすると、稽古場の終盤でスタッフ総見の通し稽古の時に感染、という可能性もあります。十分ありそうな話ですが、おそらくロビースタッフも陽性対象ですよね。とすると、小屋入り後の仕込みからゲネプロで対策がいまいちだったのでしょうか。それとも、「2.8次元」を髣髴とさせるような、事務所と稽古場が隣り合った環境だったのでしょうか。

小劇場協議会が発足していた

小劇場協議会という団体の名前を見かけたので、そんなものがあったんだ、と検索したら、2020年6月2日発足でした。新型コロナウィルス騒動でこれはいかんと作成されたものでしょう。加盟劇場は本多劇場グループを筆頭に都内の小劇場が名を連ねていますが、本多劇場が入っていません。客席数がだいたい200人以下、あたりに線が引かれているようです。規模が違うと公演規模も運営体制も異なって話が参考にならないので、似た規模の劇場で集まった印象です。

URLを見ると、「p=1」で最初に作成されたページが「東京都内の小劇場における新型コロナウイルス感染症対策ガイドラインについて」です。政府の出していた「事業者及び関係団体は、今後の持続的な対策を見据え、5月4日専門家会議の提言を参考に、業種や施設の種別ごとにガイドラインを作成するなど、自主的な感染防止のための取組を進めること」に従って、上演再開のために作成されたのでしょう。その作成日付はVer.1が6月2日、Ver.2が6月25日、ページの作成が最初は7月1日、更新が7月9日なので、むしろこのガイドラインを作るために小劇場協議会が結成された、公開はその後、が実態と推測します。こまばアゴラ劇場も入っていませんが、平田オリザが自分たちのことは自分たちで決めると考えたのでしょう。これも推測ですけど。

加盟劇場が載っていても組織図は載っていませんが、ガイドラインの末尾に「劇」小劇場の住所が掲載されています。また別のページに「代表 本多愼一郎」とあり、この人は「『演劇の街』をつくった男」では本多一夫の息子で本多劇場グループのメンテナンス会社の代表と記憶していましたが、いくつかの劇場の代表を引継いだのでしょうか。歌舞伎で市川團十郎の名跡が一番格が高い、みたいに、やっぱり劇場だと本多劇場ブランドが一番だから、こういう役目を引受ける責任も回ってきたのでしょうか。それとも、設備メンテナンスに詳しい人だから、疫病対策で設備対策も考えるときには適任者として選ばれたのでしょうか。

いずれにせよ、ガイドラインを7月1日付で公開しておいてよかったな、と考えさせられるのが、その中のひとつに今回の騒動のシアターモリエールがあったからです。以下、ガイドラインを全文載せておきます。リンク掲載でもいいのですが、このガイドラインもすでに一度更新されているので、載せておかないと後でわからなくなるのですよね。

東京都内の小劇場における新型コロナウイルス感染症対策ガイドラインについて (2020年6月25日改定)
2020.07.09 2020.07.01

はじめに

小劇場協議会では、加盟劇場と連携し新型コロナウイルス感染症対策について協議し、小劇場の特性に則した「新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン(以下、本ガイドライン)」を定め、小劇場協議会に加盟している全ての劇場で本ガイドラインの徹底を図っていきます。
本ガイドラインは発行日現在の状況をもとに作成しておりますが、今後コロナウイルスの感染状況によっては、さらに追加の対応策が必要になる場合も考えられますので、必要に応じ随時、見直しを行っていく予定です。
また、本ガイドラインの主たる感染症対策は、公益社団法人全国公立文化施設協会発表の『劇場、音楽等における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン』(令和2 年5 月25 日発表)をもとに作成しています。
尚、各劇場におかれては、政府が発信する新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針を踏まえ、東京都が定める方針、各地区の保健所・他の行政機関からの指示、または要請も参考にしながら劇場ごとの対応をお願い致します。

2020 年6 月2 日 <Ver.1>
2020 年6 月25 日 <Ver.2>

Ⅰ.小劇場協議会について

1.小劇場協議会とは
小劇場を運営する劇場メンバーが準備委員会を発足(令和2 年5 月20 日)し、第一回総会(同年6月2 日)を経て正式に設立した協議会です。これからの小劇場界の未来のために、小劇場間の垣根を越えて、社会への貢献、未来への貢献を推進し、小劇場の存在価値を高めることを目的としています。

2.加盟劇場について
① 小劇場協議会に加盟する劇場は下記となります。(令和2 年6 月2 日現在)
② 加盟劇場は小劇場協議会の会則に基づく規定を満たした劇場になります。主たる規定は、劇場としての営業申請をしており、興行場営業許可書を有している劇場であることです。
③ 加盟劇場は興行場営業許可書を有しており、東京都の条例で定める公衆衛生上必要な基準に適合しています。つまり加盟劇場全てが適切な吸排気装置を完備した劇場になります。劇場の稼働中は常に吸排気されている状態になります。
④ 加盟劇場が本ガイダンスを徹底するにあたっての実施方法は各劇場の対応と致します。そのため劇場によって細かな対応が異なる場合があります。

◎加盟劇場(全31劇場 令和2年6月2日現在)

本多劇場グループ(ザ・スズナリ 駅前劇場 OFF・OFF シアター 「劇」小劇場 小劇場楽園 シアター711 小劇場B1)
ポケットスクエア(ザ・ポケット 劇場 MOMO テアトル BONBON 劇場 HOPE)
シアターグリーン(BIG TREE THEATER BOX in BOX THEATER BASE THEATER)
赤坂RED/THEATER 花まる学習会王子小劇場 ワーサルシアター シアター風姿花伝
千本桜ホール 上野ストアハウス 萬劇場 ウッディシアター中目黒 シアターKASSAI
サンモールスタジオ 恵比寿・エコー劇場 ザムザ阿佐谷 THEATER BRATS 雑遊
新宿シアターモリエール 新宿村LIVE CBGK シブゲキ!! (順不同・敬称略)

Ⅱ.小劇場での感染拡大防止のための対策

<営業するにあたっての前提>
小劇場協議会では感染症対策が必要な状況下においての営業について、下記の三点を加盟劇場で徹底致します。
① (劇場の責任として)
小劇場協議会で作成した本ガイドラインに沿って劇場ごとにガイドラインの作成をお願い致します。ガイドライン策定後は、各ご利用団体に周知・徹底をお願い致します。
② (ご利用団体・観客への誂えとして)
東京都内の小劇場は、東京都が定めるステップ3の期間はステップ2と同様の要請が劇場に出ているため、小劇場の客席の利用の仕方は、お客様同士の間隔は最低でも1席以上あける。前後の席もかぶらないようにしていただき、できる限りお客様同士が離れて着席されるようにお願い致します。
また劇場利用前に感染症対策について劇場側と各ご利用団体が打ち合わせをするようにお願い致します。
③ (ご利用団体、特にご出演者への誂えとして)
稽古開始2週間前、また全公演終了後の2週間も公演期間と考え、感染症対策を徹底するようお願い致します。

下記、<再開の前提>は本ガイドライン Ver.1 作成時、当時の状況(自粛中から営業再開にあたって)を鑑みての項目である。小劇場協議会の加盟劇場がどのようなプロセスを経て、営業を再開するに至ったかを証明するため、Ver.2 改定の段においては不要になった項目ではあるが、記載する。

<再開の前提>
小劇場協議会では再開するにあたって下記の三点を加盟劇場で徹底致します。
① (劇場の責任として)
小劇場協議会で作成した本ガイドラインに沿って劇場ごとにガイドラインの作成をお願い致します。ガイドライン策定後は、各ご利用団体に周知・徹底をお願い致します。
② (ご利用団体・観客への誂えとして)
東京都内の小劇場が再開するにあたって、東京都が定めるステップ2の期間においては、小劇場の客席の利用の仕方は、お客様同士の間隔は最低でも1席以上あける。前後の席もかぶらないようにしていただき、できる限りお客様同士が離れて着席されるようにお願い致します。
また劇場利用前に感染症対策について劇場側と各ご利用団体が打ち合わせをするようにお願い致します。
③ (ご利用団体、特にご出演者への誂えとして)
稽古開始2週間前、また全公演終了後の2週間も公演期間と考え、感染症対策を徹底するようお願い致します。

1.劇場利用期間中、全ての期間(ご利用団体に対して)
① 全ての公演関係者は(公演の進行上、困難な場合を除き)マスクの着用を義務と致します。
② 全ての公演関係者が入館、退館される時、アルコール消毒の徹底、また可能であれば靴裏のアルコール等での消毒も推奨します。
③ 全ての公演関係者が入館、退館される時、検温の実施を徹底し(自己申告不可)、検温で 37.5以上の発熱が見られる方につきましては劇場内へのご入場をお断り致します。
④ 劇場内、またご利用されるすべての場所の消毒作業、こまめな換気の徹底をお願い致します。 換気につきましては劇場ごとに最適な換気方法が異なります。ご利用の劇場にご確認下さい。
⑤ 可能な限りソーシャルディスタンス(2m)の確保をお願い致します。(台詞発声時の出演者と観客席の距離を含む。)
⑥ 公演関係者の名前、住所、連絡先が書かれた名簿の作成の徹底をお願い致します。(万が一コロナ感染者がでた場合、関係機関への提供のため)
⑦ ケータリング・炊き出しはやめ、口にするものは各自で用意するようお願い致します。
また飲食時はソーシャルディスタンスを守り、できるだけ会話を控えるようお願い致します。
⑧ 楽屋など密閉空間になりやすい場所は、ドアを閉め切る時間を最低限にして換気に努めるようお願い致します。

2.公演初日から千秋楽まで(観客が入る期間)
<受付について ご利用団体に対して>
① ご来場者様のお名前、連絡先、来場日時がわかる名簿の作成をお願い致します。名簿はご利用団体の方で最低一ヶ月以上の保管をお願い致します。(万が一コロナウィルス感染者がでた場合、関係機関への提供のため)
② 受付、物販周りのスタッフの方はマスクの着用だけでなく、使い捨ての手袋、フェイスガード、受付用窓口シールドのご利用を推奨致します。
③ マスクのないお客様への配布準備を推奨致します。

<開場前または開場中 ご来場される観客の皆様に対して>
① 劇場前などで列を作る場合は、お客様同士の間隔を可能な限り2m 以上あけるなど、ソーシャルディスタンスを考慮して列の誘導をお願い致します。
② 観劇をされるお客様には全員、マスクの着用をご案内下さい。
③ 観劇をされるお客様には全員、入館、退館される時、手と指のアルコール消毒をお願いしてください。また可能であれば靴裏のアルコール等での消毒も推奨します。
④ 観劇をされるお客様には全員、入館される時、検温の実施をお願い致します。
検温で37.5 以上の発熱が見られる方につきましては劇場内へのご入場をお断り致します。

<公演中 ご来場される観客の皆様に対して>
① 観劇中、お客様には全員、マスクの着用をお願い致します。
② 咳エチケットをお守りくださいますようお願い致します。
③ 通常時は、観劇中、劇場内での飲食はお断りしておりますが、現在の状況下ではこまめな水分補給を推奨します。

<終演後 ご利用団体に対して>
① 終演後のイベント、また面会につきましては可能な限りお客様との接触を避けるため中止をお願い致します。なお、接触を伴なわないイベントにつきましては劇場側と協議の上、実施を決めるようお願い致します。
② 物販などを行う場合は、キャストなどが対応されるのではなく、感染症対策を準備した受付スタッフでの対応をお願い致します。
③ 終演後の換気、消毒の徹底をお願い致します。

3.稽古期間中、また公演終了後(ご利用団体に対して)
① 公演準備期間、また稽古期間中もできる限りの感染症対策を各団体にお願い致します。
② 公演関係者の名簿、ご来場者リストに関しては公演終了後から最低一か月以上の保管をお願い致します。
③ 稽古開始2週間前、また全公演終了後の2週間、不要不急の外出や3密の場を避ける行動をとるようお願い致します。

4.上記に利用団体がご協力していただけない場合
小劇場協議会に加盟している劇場は、ご協力いただけない利用団体の劇場利用をお断りする場合があります。その場合、利用中止に伴い発生したすべての損害に関しての責任は負いかねます。

5.その他
① 本ガイドラインを各団体の関係者すべての方に周知・徹底をお願い致します。
② 不測の事態が起きた場合は、速やかに保健所などの公的機関への連絡をお願い致します。
③ 本ガイドラインを徹底した上で公演を行う事を、お客様へご周知・ご理解いただき、ご来場いただくお客様にも感染症対策へご協力いただくようお願い致します。
④ 上記全ての方針は前述の通り、新型コロナウイルスの感染状況により、変更する可能性があります。

Ⅲ.最後に
小劇場協議会としては、全ての加盟劇場で、ご利用団体の皆様、ご観劇いただくお客様の健康を守るため、決して目では見ることのできないウイルスに対し、現在の状況の中で考えうる可能で適切な対策を徹底することをお願い致します。
加盟劇場、また各劇場をご利用団体の皆様には感染リスクを著しく高めることのない、社会通念上妥当性が高いと判断される体制のもとでの運営、また公演の進行を心掛けていただきますようお願い申し上げます。

<参考資料>
・公益社団法人全国公立文化施設協会
『劇場、音楽等における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン』
https://www.zenkoubun.jp/covid_19/files/0525covid_19.pdf
・首相官邸
『新型コロナウイルス感染症に備えて ~一人ひとりができる対策を知っておこう~』
https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/coronavirus.html
・厚生労働省
『新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針』
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000633501.pdf

「東京都内の小劇場における
新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」 2020 年6 月25 日
<Ver.2>
<発行> 小劇場協議会
〒155-0031 東京都世田谷区北沢2-6-6 「劇」小劇場
Mail XX@XX.XX FAX XX-XXXX-XXXX
HP http://jipta.jp/

せっかくの団体なのでイベント協力などにも発展していくといいのですが、それは新型コロナウィルス騒動が収まってまだ生き残っていたらの話。まずは生き残ることが大事。

2020年7月19日 (日)

アニメの話と演技の話をつなげる片桐はいりのインタビュー

アニメの話と演技の話をつなげる片桐はいりのインタビュー

【片桐はいり x 森下圭子 x おおすみ正秋】昭和のアニメ 対談 スタート!」という全5回の対談を見つけました。ところどころに入る片桐はいりの演技の話が面白いので、関係個所を引用して紹介です。

第3回。

おおすみ
歌舞伎はね、歌右衛門さんから直接聞いたんだけど、ガラガラ声で怒鳴っても、色気に見えるのが歌舞伎。そういう芸が蓄積されているからこそ、色気に見える。一つの例として教えてくれた歌舞伎の色気の中に、「肘が胴から離れたがらない」という言葉がある。

片桐
え?なんだろう??・・・・あ、わかった。これですね!

おおすみ
手を伸ばすとこうやって肘が離れてしまう。それを離さずちゃんと身体につけてやるとお酌しているときの色気が出るんだって。歌舞伎の演技は、手。胴、腰、全部動きが決まっている。アニメのタイムシートに書き込むがごとく、手だけ、足だけ、今は口だけという風に動いている。他は動かさず、余計なことはやらない。

片桐
そうですね。

おおすみ
普通の芝居はとっさにしゃがんだ時、よろけて足を踏みなおすなんて当たり前じゃない。でも歌舞伎でそんなことしたら首になっちゃう。しゃがむという形を作る場合は、しゃがんだ時それが型になってなくちゃならない。スタンスをとりなおすなんてありえない。

片桐
だからそれは、どの場面をストップモーションで切り取っても静止画として成立するように、切り取っても型になっているところが、歌舞伎や文楽、浄瑠璃の世界で、まさにリミテッドアニメに応用できるんですね。

おおすみ
その通り!日本舞踊は基本的にそうなんですよ。型から型へと繋いで行く。でもダンスはそうじゃない。

片桐
そうなんですよね。ダンスは違う。

おおすみ
バレエのアラベスクなんかは、プロセスが大事。でも日本の芸能はプロセスがあっちゃいけない。  AからBへすぐ行かなくちゃ。演技を日本人はそう捉えてる。日常生活もそういうものとしてやっているから、だから歌舞伎は日本人の動きの原点。すぐにリミテッドアニメーションと結びついちゃう。

片桐
劇的なストップモーションのシーンの集合体だと考えたら、歌舞伎もそうだし、私なんて大衆演劇にかっこいいってしびれちゃうし、どこの動きを見ても決まってる!ってなるんですよ。宝塚もそうかもしれないし、日本人の好きなものってつながっているのかもしれませんね。

おおすみ
日本人と話してる感じしますよ(笑)

片桐
フィンランド代表の日本人である森下さんはどうですか?日本人ですけど(笑)

森下
私、むかし暗黒舞踏というか、舞踏を勉強していたことがあるんです。
ヘルシンキの大学で教えたこともあったりして。

片桐
そうだった(笑)

森下
だから動きに関しては観察して見てる方だと思うんですけど、フィンランド人は自分の「行く先」しか見てない。フィンランドのダンサーは「途中」がないがしろになっていて、次の点のことしか考えてない。だからポーズとポーズはきちんと決まるんだけど、その中間点で写真をとったらカタチになってないんですよね。

第4回より。

おおすみ
片桐さんの前で言うのもなんだけど、日本の俳優はこの10年うまくなったと思う。昔の東映時代の役者と比べたら嘘みたいに違うよ(笑)

片桐
若い人がってことですよね?本当にそうです。

おおすみ
で、何が違ったかというと

片桐
わ、それ聞きたい!

おおすみ
アメリカのメッソド演技(注:モスクワの芸術座リーダー、スタニスラフスキーが提唱している演技理論)のお手本とされる”スタニスラフスキー”っているでしょ。彼が提唱している演技法その①は「自分の感情に忠実に」なんです。今はそれを自然に、役を踏まえた上でリアルにやる役者が出てきている。日本は役者が自然な感情表現をしているにも関わらず、プロデューサーや演出がとにかく役者に泣く芝居をしろと言う。

森下
わはは(笑)

片桐
そうなんです。本当その理由を聞いてみたい。

おおすみ
スタニスラフスキーは、感情を意図的に演じる時はただ一つ、自分の感情を見せつけて人を動かそうとするときだけ、と言っている。

片桐
それは“本当には思ってない”という時ですね。

おおすみ
そう。 自分の感情で動いてるんじゃなくて、「俺は今怒ってるぞ」と相手にみせる。子供に対する親なんてしょっちゅうそうするもんだけど。それもスタニスラフスキーが書いてる。このメソッド演技が定着しているのは、ロシアの次にアメリカなんですよ。だからアメリカの演技はそんなにメソメソしてない。演出意図があればそりゃ、やってみせますけど、ジェームス・ディーンにもマーロン・ブランドにも湿気の芝居はないんです。

片桐
日本における湿気はなんでしょうね?特に最近です。それこそ小津先生の映画でも、女優さんに目薬さしてる写真がいっぱいあるんですよ。ということは、本当に泣け、なんて言ってないんです。それは4Kの映像になって改めてみてみると、そんなにタラーッと涙は流れてなくて、目元でウルッってなってるだけ。

おおすみ
目薬で泣いたことあります?

片桐
ありますあります(笑)

おおすみ
それでね、目薬でもじわっと目頭に涙がたまると、そう言う感情になってくるんです。

片桐
わかります。本当にそう。体が先で感情が後。ごくリアルな実感としてあります。体がある状態になると、自然とそれにふさわしい感情がわいてくるんです。 形ということで言うと、わたしは子供の頃からアニメや人形劇を見て育ってきているから、ある種の表現をする時に、アニメや人形みたいな動きが普通に自分の動きとして入ってきている気がするんです。

おおすみ
あなたそれで、嘘芝居にならないのがすごい(笑)

片桐
まあ実際はアイディアとして、アニメの動きや表現を思い出して使ってみたりするという程度かもしれないですけど。体に染み付いたりしていて。

森下
イメージとしては私もありますよ。自分の気持ちの中だけで髪の毛がブワーってなってるとか。

片桐
そう、そういうアニメの表現をみんな真似していたんですよ。その中で育ってきていると言うのがあるなと。

おおすみ
片桐さんは、監督がそういう方向に持っていったらなんでもできちゃいそうだね。

片桐
こないだのお芝居で、ある台詞だけ全く動かずにやってみたんです。体は動かさず口だけを動かす。あとのシーンはほとんど動いているから、ここぞと思うところだけ絶対動かないというのを、自分だけの楽しみとしてやってみたんですけど、自分にもお客さんにも緊張感が生まれておもしろかった。今思えば、まさにリミテッドアニメですね(笑)

おおすみ
動かないでいると、観る側は次の動きを期待しながら見るからね(笑)子供は亀でもなんでも、急に動かずに止まってしまうとずっと飽きずに延々と見てるでしょ。演技も同じで止まったら気になる。それを見ている人も、その間じっと止まっている。まさに静止画なんだよね。

型の目的や目標のある一面について「どの場面をストップモーションで切り取っても静止画として成立するように、切り取っても型になっている」ってこんなはっきりした説明は初めて読みました。それに「それこそ小津先生の映画でも、女優さんに目薬さしてる写真がいっぱいあるんですよ。ということは、本当に泣け、なんて言ってないんです」も演技のとても大切な部分を説明する名探偵感があります。片桐はいりの言語化能力の高さはすばらしい。

片桐はいりのそういう、メタな視点を感じたのでしょう。第2回でこんなことを言われています。

片桐
私はみんなが頭をひねって、知恵と工夫で出来上がってきたものに、なぜか胸が踊り、よりワクワクするんです。おおすみ監督のアニメに魅せられて、子供心にそういうものが焼きついちゃったから、こういう人間になったのかもしれないですね(笑)。

おおすみ
へえ。

片桐
生まれて初めて観た映画はディズニーの「101匹わんちゃん」なんですけど、やっぱり日常的に観ていたのは夕方の再放送枠のアニメですから。今そういうものが好きで追いかけているのは、この原体験があったからなんじゃないか(笑)、なんて今日の授業を聞いていて思いました。

おおすみ
片桐さんは、映画の監督したことあったっけ?

片桐
いやいやないです。

おおすみ
俳優としての発言というより、非常に監督っぽいよね。

片桐
っぽくないです(笑)監督志向ゼロです(笑)

おおすみ
口説いて一度アニメの監督やらせてみたいよね。

片桐
いやいや無理無理(笑)でもやっぱり、ピクサーやハリウッド映画も面白いんだけど、お金あってなんでもありっていうのが透けて見えると、途端に興味がなくなる(笑)

芝居をこれまで観てきてわかったことのひとつに、役者への評価があります。「いつも安心して観ていられる」のもう何段か上に「どんな芝居でも気になる何かを毎回必ず見せてくれる」という段階があって、片桐はいりはその数少ない一人です。この監督的な視点(芝居なら演出家の視点)と、自分の演技プランと、表現技術と、3つのバランスを調整できて、さらにひそやかな楽しみを見つけ出してこっそり混ぜられる、のが秘訣なんでしょう。

2020年7月15日 (水)

抗体検査に意味はないと思ったら歌舞伎までやっているし文化庁の補助金対象にもなっていた

クラスター感染が発生して有名になっている舞台ですが、主催者側の発表に「7月4日に1名の方から申告をいただきましたが、抗体検査の実施の結果、陰性であったことと、検温の結果がガイドラインの規定の範囲内であったことから、ご本人とご相談の上、ご出演となりました。」という記載があり、「ただ、抗体検査は今まさに感染しているかどうかの判定に使えるのでしたっけ。まあPCR検査の結果で翌日まで待つのもつらいところではあります。」とそのときはコメントしました。

なんでそんなコメントができるのか、どこで情報を見たのかと探したところ、とりあえずここは誰が見ても大丈夫そうな忽那賢志「抗体検査・抗原検査・PCR検査 どう使い分ける?」で読んだのだと思います。

しかし、この図を見てお分かりのとおり発症して間もなくは抗体を測定しても検出されない方が多いので、新型コロナの抗体検査が陰性であっても発症して2週未満であれば「新型コロナではないとは言えない」ということになります。
(中略)
つまり、今感染しているかどうかを知るためにはPCR検査と抗原検査が向いており、過去に感染していたかどうかを知るためには抗体検査が適しているということになります。
(中略)
では抗体検査はどのように使用するのが適切なのでしょうか。

「抗体検査」東京の献血で0.6%陽性、結果にばらつき

例えば、こちらのニュースでは東京で行われた献血の検体を用いて抗体検査をしたところ0.6%が陽性であったというものです。

このように、PCR検査などで確定診断された患者以外に、診断されていない(主に無症状~軽症の)症例がどれくらいあるのかを把握する上では長期間陽性が続く抗体検査が適しています。

この結果をそのまま解釈すれば、東京都の人口927万人のうち0.6%である55620人が新型コロナに感染していたということになり、実際に都内で診断されているよりも約10倍の感染者がいるということになります。

このように、抗体検査は個人個人の診断というよりも、感染症の全体像を把握し、公衆衛生上の対策に役立てることができます。

しかし、抗体検査の結果の解釈には注意が必要です。

さきほど、東京都の人口927万人のうち0.6%である55620人が新型コロナに感染していたということになり、実際に都内で診断されているよりも約10倍の感染者がいるということになる、と述べました。

しかし、抗体検査キットについては現時点ではどれくらい正確なのかに関する情報がまだ十分ではありません。

公演前や公演中は、いままさに感染しているかを調べたいので、抗体検査は不適切です。せめてこれが陽性だったら、何週間か前に感染したことがわかりますが、陰性だとそれすらわかりません。

ちなみに、一度かかったら抗体がずっと維持されるかというとそんなこともありません。日刊スポーツ「コロナ感染ふあんくん抗体消滅を発表『急に不安に』」です。

ふあんくんは3月28日に39・6度の高熱を発し、PCR検査によって新型コロナウイルス陽性と判定され隔離入院した。軽症のため1週間でホテルに移動し、4月18日にPCR検査で2度目の陰性となり退院した。

退院後、5月22日に抗体検査を受け抗体保持を確認していたが、6月30日に簡易検査キットによる検査で陰性となった。11日の医師による検査でも抗体の消失が確認された。

検査キットで2回連続ハズレを引いたんじゃないのと言われるとその可能性もわずかに残っていますが、まあ、そう言われたらここから先は読んでも無駄です。

とりあえず読んでくれる人に向けて続けますが、その適切でない抗体検査を歌舞伎でもやるそうです。テレビ朝日「『八月花形歌舞伎』関係者全ての抗体検査実施」より。

 約5カ月ぶりの興行となる歌舞伎座8月公演「八月花形歌舞伎」の製作発表記者会見が13日、東京・中央区の歌舞伎座で行われ、松竹の安孫子正副社長が再開への取り組みについて説明した。
(中略)
さらに「出演者だけでなく歌舞伎座のスタッフや従業員など全ての関係者に抗体検査を実施し、状況を判断した上で公演を行う」と説明。対象は約500人で、すでに1回目の抗体検査はクリア。現在、2回目の検査を実施中で、結果は2、3日中に判明するという。また同興行の採算は非常に厳しい状況というが、「歌舞伎、演劇の火を消してはいけないので、こういう時こそ収支が万全ではなくても、やることによって良い方向へ頑張っていきたい」と語った。。

抗体検査に間違ったイメージを持っているのか、開催しないと干上がるからとりあえずそれっぽい検査しておけば世の中は納得するだろうと見切っての確信犯なのか、判断に迷うところです。どちらかというと後者のほうが救いがあります。

ここで話が文化庁に飛びます。予算が取れたようで、「文化庁令和2年度第2次補正予算事業 文化芸術活動の継続支援事業」を募集しています(募集案内のPDF)。関係者にとってはありがたい企画で、第1次募集が「令和2年7月10日~7月31日」とこれからですが、

本補助事業では、令和2年2月26日から令和2年10月31日までの事業に発生した経費のみが補助対象経費として認められます。ただし、団体が行うトライアル公演については、事業実施期間を令和2年12月6日まで延長することを可能とします。

という記載があるので、今やっている公演もさかのぼって対象になります。その補助対象になる経費に、以下の記載があります(募集案内の16ページ)。

◎公演前後の会場内除菌作業、PCR検査・抗体検査費、その他事業を行うにあたり第三者と締結した請負契約若しくは委託契約(印刷製本、舞台装置等の運搬等を外注する場合)への支払い等

抗体検査の話がいつごろから話題になったかは把握しきれませんが、公演が続いたり中止したりしていた3月はPCR検査が受けられないことが話題で、抗体検査の話はほとんど出ていなかったのではないかと思います。そうすると、7月以降に再開となる公演で抗体検査を実施することを想定しているように読めます。

これから察すると、どうも演劇関係者は主催者も文化庁も抗体検査が有効であると考えているように見えます。繰返しますが、上演団体に必要なのは公演を続行していいかを決めるために「今まさに感染しているかどうかを判定するための方法のはずです。文化庁の補助対象になっていると「抗体検査も有効なのか」と誤解を生むので、対象から外したほうがいいのではないでしょうか。

それでもなお抗体検査を受けたいケースがあったら誰か教えてください。

<2020年7月16日(木)追記>

文化庁の補助対象から抗体検査の文言が外れました。7月15日付で「『募集案内』の修正について(PDF)」が掲載されました。修正後は以下のようになっています。

◎公演前後の会場内除菌作業、PCR検査等の新型コロナウイルス感染症関係検査費用、その他事業を行うにあたり第三者と締結した請負契約若しくは委託契約(印刷製本、舞台装置等の運搬等を外注する場合)への支払い等

理由についても詳細に記載してあります。

○本事業では、新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインに即した取組に係る経費として、各ガイドラインに直接記載のある取組のほか、関係者が独自に創意工夫しながら行う感染拡大予防の取組も幅広く対象とすることとしています。
○現在、文化芸術関係者において、公演等を行う際に出演者等にPCR検査を行う事例があり、これに係る経費も対象と整理しています。また、これまで自費でPCR検査を受けるに当たり、前もって抗体検査が行われていた場合があったという実態を踏まえ、これに係る経費も対象とするという趣旨で「PCR検査・抗体検査費」と記載しておりました。
○一方、これまでのところ、新型コロナウイルスの抗体検査を用いて現在の感染の有無を診断できるとの十分な医学的な知見は確立しておらず、国内で診断薬としての薬事承認を得た抗体検査はありません。
○この点、「PCR検査・抗体検査費」の記載については、抗体検査があたかもPCR検査と同様、現在の感染の有無を診断できる検査であるという誤認を与えるおそれがありましたことから、その点お詫び申し上げるとともに、上記のように募集案内を修正させていただきます。なにとぞ御承知くださいますようよろしくお願いします。
なお,以下関係資料のQ&Aも更新していますのであわせてご覧いただきますようお願いします。

<参考>厚生労働省HP「新型コロナウイルス感染症に関する検査について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00132.html

厚生労働省のリンク先は、冒頭で私が引用した内容と同等なので、引用は省略します。

これは文化庁の現場の実務担当者にはやっかいな問題です。抗体検査が適切でないことは把握している。だけど、実際の文化芸術関係者にはPCR検査の前に抗体検査も行なうことが広まっている。それを、不適切として補助対象外にするか、現状広まってしまって出費を強いられているならそれも込みで補助するか。私が修正を読んで受けた印象は「黙認して補助する、でももっと騒ぎが大きくなったら拒否できるよう準備しておく」です。

霞が関文学と言うなかれ。普段から助成金その他で補助する側の文化庁が、継続支援事業として予算を確保したのは支援したいからで、担当者としてそういう思いが強いほど、対象者の実費の負担を減らせるようにしたいと考えるのは自然なことです。

今回の件は、影響範囲が文化庁だけでなく厚生労働省も絡むような範囲になるので、抗体検査は対象外です、まで踏みこんで修正してもよかったと個人的には思います。ただ、大は抗体検査に関するあれこれとか、小は最初に起草した人の面子とか、きっと厚生労働省だけでは済まないようなことがたくさんあって、こういう落としどころになったのだと推測します。

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