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2019年10月20日 (日)

いろいろ小さくて目立たないフェスティバル/トーキョー19のパンフレット

芝居を観にいったら配っているチラシ束は持ち帰るようにしていますけど、その中にフェスティバル/トーキョー19のパンフレットがありました。冊子というほうが正しいでしょうか、ちょっと呼び方は分かりませんが、A5サイズで、表紙裏表紙を除いて38ページで、演目の紹介や地図やカレンダーなどを、ほぼすべてに英語情報も併記して載せています。

これを見つけたときに2つ疑問が湧きました。ひとつは、この大きさで宣伝になるのかということ。以前のフェスティバル/トーキョーは、折ってA4のものを配り、拡げるとA2かそれ以上、という一枚の紙でチラシを作って、表紙には大きくF/T XXと書いていたと記憶しています。東京の演劇のチラシは、今はほとんどがA4です。たまにA6のチラシとかファンクラブ向けに送付した公演案内ハガキとか、小さいものを折りこむ劇団があるのですが、A4全盛期にあれは負けているなと思っています。B5がせいぜいで、そこにA5が混ざるのは、冊子だとしても弱い。宣伝には損ではないかと思います。

そして大きさにも絡むのですがもうひとつ、非常に小さいサイズのフォントで印刷されています。中身は英語も併記する都合でフォントサイズが小さくなるのはわかるのですが、表紙もそれに合せて、上品なデザインと上品なフォントを使っています。上品過ぎてぱっと見て何の宣伝だかわかりません。

おそらくこのデザインを提案、採用した人は、宣伝ではなく、フェスティバルを観る当日に持ち歩くことを想定したのだと推測します。それであればこの大きさはハンドバッグにも入るし、ジャケットのボケットに折って入れてもそこまで膨らみが目立たない、ちょうどいい大きさになります。この大きさにしたくなる気持ちは私にもわかって、芝居に行くときにチラシをできるだけ折らないで持ち帰りたいため、かばんのサイズがA4以上になってしまうのをいつも残念に思っています。

ただ、宣伝するという目的から考えると、この大きさこのデザインはあまり有効ではないように思います。ひょっとしたら過去数年の企画でアンケートした結果、観に来る人はチラシの宣伝に関係なく観に来るという結果が出ていて、最初から宣伝の意図が薄かったのかもしれません。

理由が何であれ、宣伝チラシとして折りこむなら表紙だけでももう少し目を引くデザインにしたほうがよかったと思います。

2019年11月12月のメモ

毎年恒例の年末ラッシュなので、どのくらい入るか見るためにいつもより早めにわかるところから掲載します。なお松竹、国立劇場の両歌舞伎と神奈川芸術劇場がぎりぎりを越えて崖から飛ぶ勢いで攻めています。

・松竹製作「連獅子」2019/11/01-11/25@歌舞伎座:幸四郎と染五郎で踊るらしいのでここで観ておきたい

・国立劇場主催「孤高勇士嬢景清」2019/11/02-11/25@国立劇場大劇場:日向嶋に他の芝居も加えて通しに直したものを吉右衛門主演で

・KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「ドクター・ホフマンのサナトリウム」2019/11/07-11/24@神奈川芸術劇場ホール:KERAの新作はこれひょっとしたら桜の園をやるつもりだったんじゃないのかというくらいのメンバーで

・□字ック「掬う」2019/11/09-11/17@シアタートラム:10周年らしいので一度くらい観られるとよい

・ホリプロ主催「カリギュラ」2019/11/09-11/24@新国立劇場中劇場:栗山民也演出菅田将暉主演

・新国立劇場主催「あの出来事」2019/11/13-11/26@新国立劇場小劇場:銃乱射事件を元にした2人芝居を瀬戸山美咲演出で

・鳥公園「終わりにする、一人と一人が丘」2019/11/21-11/24@東京芸術劇場シアターイースト:西尾佳織の脚本演出最終公演らしいから観たいけど、入るかな

・KAAT神奈川芸術劇場/KUNIO共同製作「グリークス」2019/11/21-11/30@神奈川芸術劇場大スタジオ:毎日1部から3部まで上演するマラソン上演だけど休演日注意

・小松台東「ツマガリク~ン」2019/11/28-12/08@三鷹市芸術文化センター星のホール:一度くらい観たいと思ってもなかなか遠い

・有限会社quinada企画製作「inseparable 変半身」2019/11/29-12/11@シアターイースト:村田沙耶香の原案を松井周が脚本演出務めるという企画

・二兎社「私たちは何も知らない」2019/11/29-12/22@東京芸術劇場シアターウエスト:最近観られていない二兎社

・新国立劇場主催「タージマハルの衛兵」2019/12/02-12/23@新国立劇場小劇場(2019/12/02-12/03プレビュー):小川絵梨子演出で成河と亀田佳明の2人芝居

・Bunkamura/大人計画企画製作「キレイ」2019/12/04-12/29@Bunkamuraシアターコクーン:意地でも観ないといけない4演目

・悪い芝居「ミー・アット・ザ・ズー」2019/12/04-12/08@シアタートラム:最近上演機会が多い悪い芝居も観るならここかと思うけど入るか

・国立劇場主催「近江源氏先陣館」2019/12/04-12/26@国立劇場大劇場:盛綱陣屋を白鸚で通し上演

・国立劇場主催「蝙蝠の安さん」」2019/12/06、12/13、12/20、12/24、12/25@国立劇場大劇場:チャップリンの「街の灯」を歌舞伎にしたものを幸四郎主演で昭和初期の初演以来となる上演

・松竹製作「風の谷のナウシカ」2019/12/06-12/25@新橋演舞場:菊之助ナウシカで昼夜使っての通し公演なので時間とチケット代に注意

・KAAT神奈川芸術劇場プロデュース「常陸坊海尊」2019/12/07-12/22@神奈川芸術劇場ホール:秋元松代の脚本を長塚圭史演出で白石加代子を迎えて

・青☆組「Butterflies in my stomach」2019/12/08-12/17@アトリエ春風舎:観られていない組のひとつだけど遠い

・DULL-COLORED POP「マクベス」2019/12/12-12/22@神奈川芸術劇場大スタジオ:福島芝居3部作から一転、まさかのシェイクスピア

・月刊「根本宗子」「今、出来る、精一杯」2019/12/13-12/19@新国立劇場中劇場:自作を音楽劇で再演、まではいいけど、まさかの新国立劇場でしかも中劇場

・イマシバシノアヤウサ「モジョ ミキボー」2019/12/14-12/21@シアタートラム:鵜山仁演出に浅野雅博と石橋徹郎の2人芝居企画で、これは3演目

・フジテレビジョン/サンケイホールブリーゼ/パルコ主催「志の輔らくご」2019/12/19-12/22@東京建物BrilliaHALL:こけら落としだそうです

他に新国立劇場のギャラリー・プロジェクトは照明家編が11/15(金)19:00で平日。繰越が、世田谷パブリックシアター/エッチビイ企画制作「終わりのない」2019/10/29-11/17@世田谷パブリックシアター、吉本興業主催「ハケンアニメ!」2019/10/31-11/14@紀伊國屋ホール、松竹製作「新版オグリ」2019/10/06-11/25@新橋演舞場の3本。

最初に挙げたものだけでもどうみても入りきりません。悩ましい。

2019年10月19日 (土)

芸術の鑑賞ルールなんて教わったことがない

あいちトリエンナーレ「表現の不自由展、その後」のその後、以前のエントリーの続きのような話です。

愛知県で検証委員会の資料が公開されたのを読んで(動画は観ていません)非常に勉強になったのだけど、1ヶ月経っても考えがまとまりません。ちなみに第2回の会議に掲載されている資料はどれも非常に勉強になるので興味のある人は読んでみるとよいです。お金の話も載っています。

たとえば太下義之「トリエンナーレ(アート・プロジェクト)におけるアームズ・レングスの原則について」なんかを読むと、アーツカウンシルとアームズレングスの話、私も昔いろいろ書いて結局消化不良でしたけど、結局

いわゆる「政府はお金を出しても口は出さない」という考え方のこと。

だそうです。専門家はわかりやすいですね。

で、トリエンナーレの話です。検証委員会の資料を読む限りでは、展示側はあれだけ体制が整っていてなぜそんなイレギュラーな契約、スケジュールで展示を決めたのか。キュレーターチームからパネルでと提案されても強行して、結局はキュレーターチームとは独自の責任でやるものと切り分けになった。他の展示とは異色かつ爆弾な展示の提案がボスの芸術監督から出てきて、キュレーターチーム側としては切り分けまでが精一杯のところだったのだろうとサラリーマンの私は想像する。その後で知事に上がったら知事も止めてくれと提案したけど芸術監督(と契約先)が強行な態度で、それで止めたら本当に検閲になりかねないから対策しかできなかったんだろうと推測する。もし私がこの件を芝居にするなら一番翻弄されたであろうキュレーターチームの誰かを主役に選びたい。

最大限好意的に解釈すれば、展示だけでなく展示プロセス自体でも問われるのが表現の不自由だった、と言えなくもないけど、芸術監督に偏見を持っている私の感想は、芸術監督は炎上を商売に変える錬金術師ではあっても、炎上させないようにする守護神ではなかったのだろうな、炎上を商売に変えるのに不適切な場所で同じ事をやったら大火事になったのは必然だったんだろうな、となる。

そこから政府の交付金停止(一応体裁は文化庁による停止)まで派生して、最初は政府がなんでこんな悪手を取るかと思ったけど、その後の世論調査で交付金停止賛成が反対を上回って、なんと世論の機を見るに敏だとびっくりしました。どこまで正確に世論を読めたと確信があったのかまではわかりませんが。この件は、県知事はぜひ訴えて、アームズレングスの原則確立に尽力してほしいです。政治家が確立するってのも妙ですが。

そこまでは展示側の話。それとは別に観客側の話があります。検証委員会の資料が端的にまとまっていて、たとえば岩渕潤子「表現の自由に関して世界で起きていること」を読むといろいろな事例が載っており、

国際芸術展、美術館など文化施設において、出展作品の解釈を巡って作家やキュレー
ターと来場者(政治家を含む)の意見が対立することは、特に表現の自由が保証されてい
る先進的民主国家においては、珍しくない。

ということが説明されています。この観客側の話、それはそうなんだけど、もっと個人レベル、基本レベルの話が知りたいと思ったら、「『あいトリ』騒動は『芸術は自由に見ていい』教育の末路かもしれない」という文章が出てきました。まずはここ。

私の専門とする芸術哲学の分野では、「解釈に正解はない」とか「解釈は自由」といった考え方は、実のところ必ずしもすべての論者が同意するものではないのだが、本稿ではその問題にはふみこまない。私が本稿でまず指摘したいのは、たとえ「解釈に正解はない」とか「解釈は自由」などと言えるとしても、だからといって「あなたの見方が常に正解」ということにはならない、という点だ。

たしかに芸術の分野には、多様な解釈を許容する風潮がある。芸術作品とは、科学論文や事故報告書などとは違って、様々な仕方で「読み解かれる」ものだ。いったん公開された作品は、作者の手を離れ、世間の中で「読み解き」の対象となる。作者側は「どう見られるかわからない」という思いで作品を手放すのだ。

しかしだからといって、作品解釈が「何でもあり」になるわけではない。解釈には、作品全体を整合的に読み解けるものであるべきだ、とか、より良い作品理解を目指すものであるべきだ、といった基本的なルールがある。作品の一部だけを取り出して自分勝手な妄想を繰り広げても、それは恣意的な解釈にしかならない。

今回のトリエンナーレをめぐる騒動では、政治信条に引っ張られた恣意的な解釈、表面的な解釈が多数見られた。《気合100連発》に対するいくつかの批判は、その典型例といえる。以下、不適切な解釈のパターンをいくつか見てみよう。

A)部分しか見ない。
(中略)
B)制作背景を考えない。
(中略)
C)作品の狙いを考えない。
(後略)

恣意的な解釈がよくないのはそうだけど、「解釈には、作品全体を整合的に読み解けるものであるべきだ、とか、より良い作品理解を目指すものであるべきだ、といった基本的なルール」は、暗黙の了解なのか、それとも芸術系の学校では必ず教えるような常識なのか、どちらなんでしょう。私は学校でそのような鑑賞ルールを教わったことがありません。これだけの量の芝居を観てきた今なら、そういう鑑賞ルールのほうが幸せかな、と想像できますけど、同じ事を学生時代に言われてもたぶん理解できませんでした。

だから長いけど以下の部分を引用します。

とはいえ、ここで私が言いたいのは、作者の意図どおりに作品を読まねばならない、ということではない。芸術の領域では作者の意図を超えて作品を見る「解釈の自由」が、ある程度容認されている。

「お前が何を思いながら作っていようが知ったことか」「私はお前が思いつきもしなかった評価軸を勝手に当てはめ、好きなように称賛・批判するのだ」。芸術の場では、こうした暴力的な失礼さがある程度認められているのである。これはある意味で驚くべきことだ。芸術以外の場でこのような「失礼さ」がまかり通っているところはほとんどない(あるとしても、たいていは「芸術的」な見方が受け継がれている領域だ)。

だがこの失礼さの容認も、出し手と読み手、お互いの敬意の上に成立するものだということを忘れてはならない。自由に意味を読み込む、とか、作者本人には思いもよらない解釈を持ち込む、といったやり口が許されるのは、あくまでそのベースに相互理解と尊重があるからだ。

この枠から外れる、リスペクトを欠いた解釈は、悪意ある解釈にしかならない。作品や作者に最低限の敬意も払わない者は、「自由な解釈ゲーム」を始めるためのスタートラインに立てていないのである。悪意ある表面的な解釈は、たんに間違っているだけでなく、言葉どおりの意味での「失礼な」解釈として批判されねばならない。

だが今回の騒動では、悪意ある解釈をあえて採用する人たちが一定の割合でいる、という事実が明らかになった。これはつまり、芸術作品をもはや芸術の枠内で見ない人達がそれなりにいる、ということだ。

今回、作品を恣意的に読んで政治的な主張につなげた人たちは、一方では「成果物を作り手から切り離して読み解く」というふるまい(これは非常に近代芸術的と言える)をしつつ、その一方で「芸術業界の小難しいルールなんて知るか!」と文句を言い、さらに気に入らないところがあると、いったんは視界から消したはずの作者や展示者を呼び戻して攻撃している。

これは一見複雑な立場だ。ある面では、「文脈から切り離された対象を自由に読み解きましょう」という極端な芸術観を採用しているだけのようにも見えるが、その一方で、より良い解釈を目指すとか、より良い鑑賞経験を目指すといった、芸術文化を支える態度はほとんど見られない。こうした態度にはおそらく「わがままな消費者」という理解が一番ぴったりくる。だからこそ、気にくわない作品を見たときに「税金返せ」といった発言が出るのだろう。

もちろんすべての来場者に、芸術なんだから芸術鑑賞の作法で見ろ、と鑑賞態度を押し付けるのも無理な話だ。すべての人が芸術に理解あるわけではないし、市民参加を求める大規模芸術展では、普段美術館に来ないような人もたくさん来場する。

こうしたお祭りでは、芸術文化に慣れてない人を引き込む工夫・戦略が、展示側には少なからず求められるし、ゴリゴリの玄人向け表現が「場を読めてない失敗作」と批判されることもあるだろう(もっとも、こうしたケースでの批判も、「もっと工夫しろ」といった、あくまで見せ方の失敗に対する批判であるべきだが)。公的な芸術イベントでは、芸術の領域外の人々への配慮が強く求められるのである。

今回の騒動において、展示者側からの配慮がそこまで欠けていたとは私は思わない(とりわけ騒動が起こったあとでは、ボランティアやアーティストたちが、展示再開に向けてさまざまな対話の努力をしていた)。

今回の騒動を加熱させていたのは、芸術の評価軸を採用しない批判、つまり、芸術を芸術として見ようとしない者たちからの批判である。芸術として提示されたものを芸術として見る者たちと、見ない者たち。あいちトリエンナーレがつきつけたのは、この合間を本来埋めるべきであるはずの相互尊重が思いのほか断絶されていた、という点である。

書かれていることは実にもっともでほぼ賛成ですし、「『わがままな消費者』という理解が一番ぴったりくる」という表現も的確だと思いますけど、「芸術の評価軸を採用しない批判、つまり、芸術を芸術として見ようとしない者たちからの批判である」というところだけ違和感がああります。繰返しになりますけど、鑑賞、解釈の基本的なルール、態度について、私は教わったことがありません。経験則以上のものを知りませんでした。そして一般日常生活をおくる人でいわゆる芸術に積極的に接する人はそんなに多くない、少なくともそうでない人のほうが多い。だから芸術には芸術としての鑑賞ルールがあるということすら知らない人のほうが一般ではないでしょうか。

その点は検証委員会の第1回の議事録のほうがむしろ詳しいです。2箇所引用します。最初は岩渕潤子の発言。

 美術館が特別な目的を持った公共空間であり、国際美術展も美術館に準ずると考えるわけですが、昨今、SNS、ソーシャルメディアの登場によって、以前と公共空間の認識が若干変わってきているように思います。もともとは閉ざされた空間で特別な目的を持っているという前提があるからこそ表現の自由が守られてきた美術館ですが、その空間内で、スマートフォンなどを使って写真を撮って、広く一般の人が SNS への投稿を通じて容易に表現活動をすることが可能になり、美術館の側でもそれを広報的に利用するという流れが一般的になってきました。閉ざされた特別な目的の空間だったものが、今では建物の壁を越えて、一般の公共空間にまで広がってしまっているという状況になっているように思います。
 今回、愛知で起きている問題でも、その点に触れないわけにはいかないと思っています。本来であれば趣旨を理解した人だけが観るはずの展覧会を、その文脈から外れた(アウト・オブ・コンテクスト)かたちで、悪意はなかったにしても、情報が広く流れたことによって、多くの人たちが本来の意図や経緯を理解する以前に感情的、もしくは、条件反射的に反応してしまったように見受けられます。これは極めて現代的な問題なので、これからの公共的な物、公共空間、あるいは自治体が主体となって行うイベントについて、その公共性をどうとらえるかきちんと議論する必要があると思っております。一番強く感じたのが、このことでした。

もうひとつは上山信一の発言。

 なぜ中止になったのか、中止になってしまうことの良し悪しを考えることが主体であって、作品そのものはそれとセットで鑑賞すべきものではなかったのか。しかしながら、キュレーションというか展示方法が不十分ではなかったのかと考える。
 その結果、一般の方が、トリエンナーレを楽しもうと思って準備なく見に来られると、一部にはこれは政治プロパガンダだと感じてしまわれることは否定出来ないと思う。それも、特定の考え方に偏ったものじゃないかと思われてしまうことがありうる。
 それに対して、あれはアートの表現の自由だという主張をしても議論が噛み合わない。批判する人は政治プロパガンダと思い、美術館側は特殊な空間のアートだと言っていても議論が噛み合わない。これには対話が必要であるし、対話に対話を重ねないと、なかなかアートと政治というものは、お互い分かり合えない。そしてそれ自体が、津田監督が言っている、斬新なテーマそのものに突き刺さる難しい状況なんだろうと思う。
 具体的には、例えばあの展示を見せる前に、「表現の自由」とは何か、という基本的な勉強セッションをする。あるいは、表現の自由については、各国でいろいろな議論があり、絶対的な結論がなかなか出ていないとか、時代によって表現の自由の範囲というものが、ヨーロッパでもアメリカでも少しずつ変わっているんだとか、とても悩ましいテーマだということを予告した上で、表現の自由について勉強した人を前提に作品を見せるなど。そうしたいろんな工夫をしないと、表現の自由を訴えるという目的はなかなか達成出来なかったのではないかと思う。
 これはキュレーションなのか、アートを越えた工夫なのか分からないが、何か工夫や努力をしないと、作品を持ち込んだところまではよかったが、受け手にちゃんとしたメッセージが伝わらなかったのだと思う。

今回の話は、もともと難しい話だったものが、現代になってますます難しくなって、でも日本ではおおっぴらになっていなかったところ、今回は「地雷」を壮大に踏んだ結果、日本でも世界と同じような難しい問題をはらんでいることがはっきりして、詳しい人たちがそれぞれの立場でいろいろ説明する機会になった、というのがここまでの理解です。好意的に表現すれば、日本に閉じたローカルな騒動と思っていたら、世界各国で起きているグローバルな騒動と同じ構造で、それを身近に体験できたといえなくもありませんが、少なくともトリエンナーレに閉じたレベルの問題ではなく、ましてや一個人がどうこうまとめられるレベルの問題ではありません。なので個人としては、せいぜいこれをいろいろ考える契機にするくらいしか思いつきません。

「『あいトリ』騒動は『芸術は自由に見ていい』教育の末路かもしれない」には以下の一文があって、今後芝居を観るとき、感想を書くときに、せっかくなので意識するように努めます。努力目標。

芸術作品は自然物とは違って、何らかの意図をもって提示される。だからこそ芸術は「楽しい」「美しい」といった評価軸だけでなく、「成功」「失敗」といった評価軸でも見られるのだ。「これは何をやろうとしている作品なのか」という観点は、作品を正当に評価しようとするのであれば、切っても切り離せないのである。

2019年10月15日 (火)

野田地図「Q」@東京芸術劇場プレイハウス(若干ネタばれあり)

<2019年10月14日(月)昼>

あの悲劇で生き残って30年後、僻地のロミオから都のジュリエットに宛てた手紙。だがそこには何も書かれていなかった。何が書かれたのかを想像して出合った頃を思い返した2人は、あの悲劇で自分たちが死んでしまわないよう過去の自分たちの暴走を改めて止めようとするが・・・。

粗筋読んでもわかりませんね。Queenの音楽でどうなるかと思いましたけど、いつも通りの野田地図です。ただし歌詞が一部内容に反映されていて、近年よくある大きな話につながっていて、現代の風刺になっている。差支えない範囲だと、ロミオが平家、ジュリエットが源氏の対立関係に置換えられていて、いわゆる「ロミオとジュリエット」をやりつつ、他のシェイクスピアもネタにしつつ、若い2人の暴走を止められるかどうか、からその後までいろいろ。最終盤、バックに控えた橋本さとしや羽野晶紀、小松和重のあしらわれ方や伊勢佳世の最後などに、複数のメッセージを凝縮して存分にこめる場面はやっぱり野田秀樹ならでは。ただ、筋の複雑さ以上に個人的にはややすっきりしないところがあり、4人主役というのは野田秀樹をもってしても若干重いのではないかと推測。

役者ではフレッシュ主役の広瀬すずと志尊淳がまったく見劣りしない活躍、特に志尊淳は声よし姿よし身のこなしよしで、これは今後の野田地図3公演以内の再登場を確信させる出来。他に経験組の羽野晶紀はノリがよく、松たか子は実に望ましいタイミングで望ましい演技をしてくれる(そして何もしていないときでも実によい表情)。逆にベテランでも初参加組が控えめで、上川隆也や伊勢佳世が真面目なのは想定内として、橋本さとしや竹中直人がもっと怪しく遊んで拡げられる役のところ、脚本内に収まっていたのはやや不満。小松和重も経験組の割にはあまり遊んでいなかった。休憩はさんで3時間の上演時間が長すぎて野田秀樹が抑えたか。あと今回はコロスの人数がいつもより少なかったけど、いつもより多めの台詞を割振って、見せ場を作りつつ役者陣をシェイプアップするのに一役かっていた。まったく違和感なかったのでもう少し台詞をそちらに振ってもよさそう。

と文句はあるけど、観終われば満足するのはいつものこと。こんなの世界中探しても観られない芝居なので、野田秀樹が元気なうちにできるだけ観ておきましょう。それにしても野田秀樹が毎回放り込んでくる「近年よくある大きな話」がまったくネタに困る様子がなくて、検証されずにふたをされた行為たちの何と多いことかと今さらながらに思う。

ちなみに台風の影響は少なくともここにはなくて、昼の回はいつも通りの当日券100人越えでした。それでも全員立見も含めて入れていたけど、列の進みが遅くて何事かと思ったら座席確認と会計を一人で兼ねていた。窓口の種類が多すぎて場所と人手が足りていなかったのかもしれないけど、100人以上捌くのにそんなダサいことは止めてもらって、座席確認と会計を分離してほしい。そこまで並びたくない人は夜の回のほうが人数少なかったです。

<2019年10月15日(火)追記>

「A Night At The Kabuki」と副題にあって意味不明でしたけど、あれ、冒頭の場面は「俊寛」でしたね。何か観たことがあるとは思ったけど忘れていました。ということは、他の場面でもシェイクスピア以外にも、歌舞伎からの引用で構成された場面があるかもしれません。私の知識では追えないので誰か詳しい人が後で引用元をまとめてくれることを期待します。

2019年10月13日 (日)

2019年10月の台風のメモ

この3連休は野田地図か「どん底」か、と思っていたら9月に続いて台風19号が今年2回目の関東上陸、しかも過去最大かという規模にしてど真ん中直撃コース。電車は片っ端から止まっているのでしかたなくこんなエントリーを書いています。1ヶ月前と比べて進歩があったかも少しは気になるので。なお10/12(土)の昼に書き始めたものの放り出して断続的に10/13(日)夜まで書き足しています。なので取上げている情報の時間性が一貫していないかもしれません。

先に電車の情報、今回は都合で真面目に追っていなかったので適当です。東海道線と横須賀線が10時ごろから運休、山手線と京浜東北線と中央線と埼京線は13時ごろから運休、それら以前も間引き運転。新幹線は東海道新幹線が終日運休、JR東日本方面が15時ごろから運休。全部前日には発表されて、特にJR東日本は復旧は「明日(10/13)の首都圏在来線各線区(特急列車含む)および新幹線は少なくとも昼頃まで運転を見合わせます」と発表している。「少なくとも」というのがポイントで、もっと延びても文句言うなという伏線です。9月の台風で、線路点検で倒木その他の点検を翌日台風が過ぎてから行なって昼間でかかったら、一般乗客は台風が過ぎたから朝イチで動いていると勘違いして駅にきて揉めたための表記です。私鉄は東急と小田急が終日運休。京急が14時ごろに運休すると11時ごろに発表。他は遅れながらも動いているみたいだけど、京急が止まるくらいなら後はお察し、で他も順次止まりました。10/12(土)夜の時点では一部地下鉄以外全滅です。

翌日10/13(日)ですが、昼前11時ごろの時点ではJRは山手線と中央線総武線のみ運行、東海道線横須賀線京浜東北線埼京線が運休、常磐線は動いていたか見落とし。新幹線は東海道新幹線が動いて、東日本の各線は遅れたり止まったり、かな。私鉄は東武と小田急が一部駄目で他も乱れていて、地下鉄は大幅に乱れているものの、それぞれ動いた、のかな。曖昧です。

肝心の芝居ですが、10/12(土)はほぼ全滅です。以上。でもよいのですが、10/13(日)が面倒になっているのと、細かいところの確認も含めて。

まず国立劇場。主催公演と貸劇場公演とが混ざっていますが、12日13日両方とも公演中止を決定しています。歌舞伎は12時開演なので、電車の状況が読めないから13日分もさっさと中止を決定したのは、主催公演かつ国立という面もあるでしょうが、英断です。前回少しだけ気になった掲載箇所ですが、今回はトップページと個別ページの両方に案内を掲載しています。しかも貸劇場公演についても掲載しています。窓口休業のため問合せされても困るから、という面もあるかもしれませんが、客から見たらありがたいの一言。発表も前日20時前に発表しており、告知としてはまず完璧でした。上手くいったケースの代表として載せておきます。

【重要】台風19号接近に伴う、10月12日(土)、13日(日)の公演中止について
[2019年10月11日19時50分更新]

大型の台風19号の接近に伴い、下記の国立劇場主催公演につきましては上演を中止することといたしました。
入場料金は払戻しいたします。
詳細につきましては「10月12日(土)及び13日(日)の公演中止に伴う払戻しについて」をご覧ください。


[国立劇場大劇場]
 十月歌舞伎公演 通し狂言『天竺徳兵衛韓噺』
 10月12日(土)12時開演
 10月13日(日)12時開演

お問い合わせ先
 国立劇場代表電話:03-3265-7411(平日のみ 午前10時から午後6時まで)
 国立劇場チケットセンター:0570-07-9900
              03-3230-3000[PHS・IP電話](午前10時から午後6時まで)

 10月12日(土)につきましては、
 国立劇場・国立演芸場・国立能楽堂の窓口は休業とさせていただきます。

なお、貸劇場の公演につきましては、下記の通りです。

  [貸劇場の公演]
  10月12日(土)小劇場
  『第4回 女性による伝統芸能の伝承』 (午後2時開演) 主催:松尾芸能振興財団
  問い合わせ先:03-3407-6316
  公演は中止となりました。
  詳細は、主催者のホームページをご参照ください。
    http://matsuo.or.jp/
  10月13日(日)小劇場
  『端唄 花季会』 主催:端唄花季会 代表 花季利恵
  問い合わせ先:花季登喜穂 03-3982-7967
  公演は、開演時間を午前11時半から午後1時に変更して行います。

次に新国立劇場。前回の貸劇場への薄情な対応からうって変わって、対応は国立劇場とほぼ同じ。少なくとも前日深夜の時点で中止を発表しており、貸劇場公演についても中止を記載、完璧だろ、といいたいところで重大なミスを発見。「どん底」の個別ページにも公演中止のリンクが掲載されているのですが、この案内先が最新の中止案内ではなく、ひとつまえの10/10の「10日(木)正午の時点では、10月12日(土)及び13日(日)の公演予定に変更はありません」の案内のリンクに間違って飛ばしている。10/13(日)午後の時点でも間違ったままなので早々に直すべき(追記:16(水)に確認したら直っていました)。

ちなみに掲載先に電話をかけると公演中止や払戻しの丁寧な説明をした録音が流れるので、古い案内では「10月12日(土)は全館休館とさせていただきます。ボックスオフィスも12日(土)、13日(日)は窓口、電話ともに休業いたします。チケットのお求めはwebボックスオフィスをご利用ください。」となっているけど、電話問合せまで行動すれば正しい情報が得られる。でもちょっといただけないミスで減点はやむをえない。ちなみにトップページから辿った正しい告知は以下。これもよい告知文のサンプルとして載せておきます。情報センターについても載せています。

【重要】10月12日(土)、13日(日)公演中止等のお知らせ
2019年10月11日


10月12日(土)、13日(日)に開催を予定しておりましたオペラ『エウゲニ・オネーギン』、演劇『どん底』公演につきまして、非常に強い台風19号の接近に伴い、関東エリアが暴風域に入ると予想され、公共交通機関の運休等も発表されたことから、お客様、出演者、スタッフの安全を最優先に考慮した結果、やむなく中止することといたしました。

また、10月12日(土)に中劇場で開催予定のホリプロ主催公演『渦が森団地の眠れない子たち』(12:30公演/17:30公演)につきましても、公演中止となりました。

中止となった公演・イベント

10月12日(土)

オペラパレス 14:00 『エウゲニ・オネーギン』

中劇場    12:30 『渦が森団地の眠れない子たち』
       17:30 『渦が森団地の眠れない子たち』

小劇場    13:00 『どん底』

10月13日(日)

小劇場    13:00  演劇『どん底』

       終演後 『どん底』シアタートーク

10月13日(日)13:30の『渦が森団地の眠れない子たち』公演の実施につきましては、主催者のホリプロのTwitterで最新情報をお知らせいたします。

これに伴い、10月12日(土)は全館休館とさせていただきます。
ボックスオフィスも12日(土)、13日(日)は窓口、電話ともに休業いたします。チケットのお求めはwebボックスオフィスをご利用ください。

『エウゲニ・オネーギン』『どん底』のチケットの払い戻し方法につきましては、後日当劇場ウェブサイトでお知らせいたします。

演劇『どん底』公演につきまして、振替をご希望のお客様は10月14日(月・祝)10:00以降、ボックスオフィスにお電話でお問い合わせください。

公演を楽しみにされていました皆様には、大変なご迷惑をお掛けして誠に申し訳ございません。何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

お問い合わせ先

●『エウゲニ・オネーギン』『どん底』について

新国立劇場ボックスオフィス:03-5352-9999 (営業時間:10~18時/12日、13日は休業)

●『渦が森団地の眠れない子たち』について

ホリプロチケットセンター:03-3490-4949(営業時間:平日10~18時/土曜10~13時/日祝・休)

ホリプロステージ Twitterアカウント https://twitter.com/horipro_stage

情報センター、及び銚子舞台美術センターは、12日(土)、13日(日)の両日とも臨時休室、それぞれ予定していた公演記録上映会は中止とさせていただきます。

<情報センター>
・13日(日)上映会『パゴダの王子』中止 → 10月20日(日)に振り替えて実施

<銚子 舞台美術センター>
・12日(土)上映会『ばらの騎士』中止 → 10月26日(土)に振り替えて実施

詳しくは情報センターページをご覧ください。

次は神奈川芸術劇場。宝塚の貸劇場公演と主催の音楽イベントですけど、トップページと個別ページに、宝塚は10/12(土)の中止を、音楽イベントは翌日も含めた中止を、それぞれ掲載。宝塚は振替予定なしとしつつ10/13(日)の情報が載っていませんが、宝塚側のページに飛ぶと今のところは公演予定と載っています。掲載時間の違いかもしれませんが、基本的には貸劇場先の判断です。今回、神奈川芸術劇場は取立てて書くことがないのですが、それは告知スキルが発揮された結果なので「参考にならない」と誤解しないでください。貸劇場公演ということもありますが、必要以上の告知をすくなくとも去年の台風からやっていて、いまさら改めて取上げる必要のないくらい安定して情報提供されているためです。

次は世田谷パブリックシアター。シアタートラムともども貸劇場公演の最中でしたけど、両方ともトップページおよび個別ページに12日の公演中止案内を掲載。またトップページに12日の全館休業を掲載。個別のリンクは載せませんけど、だいたい貸劇場公演でもこれくらいはやってほしい、という対応はばっちりでした。ただ、個別の公演を見ると、シス・カンパニー側が「10月13日(日)14時公演の実施可否については、12日(土)昼頃にシス・カンパニー「死と乙女」公式サイトよりお知らせする予定です」と掲載しているのに比べて、水戸芸術館ACM芸術プロデュースの「最貧前線」は中止と払戻の掲載のみ。これは世田谷パブリックシアターというより貸劇場先のそれぞれの制作の差で、水戸芸術館が慣れていないな、と思わせる。

ただ公演カレンダーを見たら土曜日が空白になっていて、なぜ削るかという疑問。ここは削るのではなく横棒を引くか中止と載せるか、予定があったけど変わったことを表すように掲載してほしいです。システムの都合で文字を入れることを想定していなかったのかもしれません。

(と書いて「死と乙女」の13日(日)上演が14時から17時にスライドしているので後で取上げる)

先に前回いまいちな告知だった松竹も見ておくと、歌舞伎は10/12(土)、10/13(日)の中止を前日に判断。歌舞伎美人の個別ページとTwitterで掲載していて、前回の告知不足感から大幅改善。昼は11時開演だし、毎日昼夜公演をやっているから振替公演で動かせないし、中途半端に役者を拘束しても困るし、今月は若いほうの座組だけど先月吉右衛門がダウンしたばかりなので最初から2日とも中止で休養に充ててもらったほうがいいという判断もあったのでしょう。なお新橋演舞場のスーパー歌舞伎も同様です。

次は東京芸術劇場。Twitterから判断すると10/11(金)の19時ごろには12(土)の休館、13日(日)の13時までの休館は決めたみたい。トップページにも個別公演のページにも同じリンクが記載されている。公式サイトだけでなくTwitterも見てくれと告知ページでアナウンスしているのはアイディアですね。東京芸術劇場はTwitterの更新頻度も高く、Twitterは公式サイトの告知へのリンクを載せているので、この掲載方法はアリだと思います。公演カレンダーが空白になっているのはシアタートラムと同じで、空白以外の方法で直してほしい。ただ個別ページは12(土)「休演日」に、13(日)が新しい時刻に米印つきで変更されているので、ページによって対応が異なる模様。

日曜日で悪あがきしているのは野田地図上演したいという思惑もあるかもしれません。そこは現時点では考えがいろいろあることなので、告知について劇場の対応に文句はありませんが、貸劇場で少し内容が気になる対応が出てきて、他の公演でも似た対応があったので載せておきます

【重要なお知らせ】 台風19号の影響に伴う10月12日(土)の休館、10月13日(日)の開館時間変更及び両日の各公演について

台風19号の影響に伴い、東京芸術劇場は、10月12日(土)及び13日(日)の開館時間を下記の通り変更することといたしましたのでお知らせします。

10月12日(土)9:00~22:00 ⇒終日休館

10月13日(日)9:00~22:00 ⇒9:00~13:00まで休館 13:00以降は通常開館(予定)

東京芸術劇場ボックスオフィスの電話予約及び窓口販売も、上記臨時休館期間中のサービスを休止させていただきます。臨時休館期間中のチケット予約はボックスオフィスWEBのみとなります。

10月12日(土)、13日(日)の各公演の実施詳細についても下記の通りお知らせいたします。

今後の台風や交通運行などの状況によりましては、さらなる変更・情報更新の可能性がございますので、引き続き、東京芸術劇場公式ウェブサイトや公式ツイッター(@geigeki_info)などでご確認いただきますようお願いいたします。(2019年10月11日金曜 18:30時点)
●コンサートホール

・10月12日(土)「メトロポリスクラシックス」
⇒ 公演中止
お問合せ先:メトロ文化財団メトロポリスクラシックス事務局 03-3663-6386

・10月13日(日)「新交響楽団第247回演奏会」
⇒ 17:00開演に変更して実施
お問合せ先:コンサートイマジン 03-3235-3777
●プレイハウス

『Q』:A Night At The Kabuki

・10月12日(土)14:00開演/19:00開演 ⇒ 公演中止

・10月13日(日)14:00開演 ⇒ 上演予定(開演時間は調整中)

お問合せ先:NODA・MAP 03-6802-6681
東京芸術劇場ボックスオフィス:0570-010-296
●シアターイースト

『治天ノ君』

・10月12日(土)14:00開演/19:00開演 ⇒ 公演中止

・10月13日(日)14:00開演 ⇒ 15:00開演に変更して実施
【追加公演】19:00開演(開場:開演の30分前/受付開始:開演の45分前)

お問合せ先:劇団チョコレートケーキ 080-9080-1861
東京芸術劇場ボックスオフィス 0570-010-296
●シアターウエスト

『プルガトリオ』

・10月12日(土)13:00開演/17:00開演 ⇒ 公演中止

・10月13日(日)13:00開演 ⇒ 15:00開演に変更して実施
17:00開演 ⇒ 19:00開演に変更して実施

お問合せ先:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337

※払戻し対応や振替公演の有無などにつきましては、各公演主催者にお問い合わせください。

※ギャラリー、アトリエ、リハーサルルーム、ミーティングルームにつきましては、東京芸術劇場 03-5391-2111 (代表)までお電話にてお問い合わせください。

2019.10.11

貸劇場の2本が、13(日)の公演を、開演時間を後ろにずらして上演しようとしています。これは翌日8時の発表でも変わらない。参考で載せておきます。なお告知や更新にタイムスタンプが付くようになりました。12(土)の昼時点では見かけなかったような気がするけど、誰がいつどこで何回参照するかわからないので、よいことです。これはぜひ告知文のポイントとして真似していただきたい。

【重要なお知らせ・10月13日8時更新】 台風19号の影響に伴う10月12日(土)の休館、10月13日(日)の開館時間変更及び両日の各公演について

10月13日(日)8:00更新

台風19号の影響に伴い、東京芸術劇場は、10月13日(日)の開館時間を下記の通り変更することといたしましたのでお知らせします。

10月13日(日) ⇒ 9:00~12:45まで休館 12:45以降は通常開館

東京芸術劇場ボックスオフィスの電話予約及び窓口販売も、上記臨時休館期間中のサービスを休止させていただきます。臨時休館期間中のチケット予約はボックスオフィスWEBのみとなります。

10月13日(日)の各公演の実施詳細についても下記の通りお知らせいたします。

今後の台風や交通運行などの状況によりましては、さらなる変更・情報更新の可能性がございますので、引き続き、東京芸術劇場公式ウェブサイトや公式ツイッター(@geigeki_info)などでご確認いただきますようお願いいたします。(2019年10月13日日曜 午前8:00時点)
●コンサートホール

・10月13日(日)「新交響楽団第247回演奏会」
⇒ 17:00開演に変更して実施
お問合せ先:コンサートイマジン 03-3235-3777
●プレイハウス

『Q』:A Night At The Kabuki

・10月13日(日)14:00開演 ⇒ 予定通り上演予定(当日券販売は12:45開始)

お問合せ先:NODA・MAP 03-6802-6681
東京芸術劇場ボックスオフィス:0570-010-296
●シアターイースト

『治天ノ君』

・10月13日(日)14:00開演 ⇒ 15:00開演に変更して実施
【追加公演】19:00開演(開場:開演の30分前/受付開始:開演の45分前)

お問合せ先:劇団チョコレートケーキ 080-9080-1861
東京芸術劇場ボックスオフィス 0570-010-296
●シアターウエスト

『プルガトリオ』

・10月13日(日)13:00開演 ⇒ 15:00開演に変更して実施
17:00開演 ⇒ 19:00開演に変更して実施

お問合せ先:サンライズプロモーション東京 0570-00-3337

※払戻し対応や振替公演の有無などにつきましては、各公演主催者にお問い合わせください。

※ギャラリー、アトリエ、リハーサルルーム、ミーティングルームにつきましては、東京芸術劇場 03-5391-2111 (代表)までお電話にてお問い合わせください。

2019.10.13 8:00

ここでポイントは、払戻しがないこと。劇団チョコレートケーキは公式サイトでも後ろにずらすとだけ発表しています(追記:その後13(日)も払戻対象であることが発表されました、コメント欄も参照してください)。プルガトリオは公式サイトで、振替はしても払戻しは行なわないと明記しています。参考

舞台『プルガトリオーあなたと私のいる部屋ー』
台風19号接近に伴う公演中止と開演時間変更のご案内
台風19号の接近に伴う悪天候が予想されることから、お客様の交通手段、安全を第一に考慮し、一同で協議を重ねた結果、やむなく公演中止と開演時間を変更させて頂くことになりました。公演を楽しみにされていた皆様には、多大なご迷惑をおかけいたしますこと、深くお詫び申し上げますと共に、ご理解の程何卒お願い申し上げます。
・公演名:舞台『プルガトリオーあなたと私のいる部屋ー』
・会場:東京芸術劇場 シアターウエスト
・中止公演:
※1 10月12日(土)13:00
※2 10月12日(土)17:00
・開演時間変更公演:
※3 10月13日(日)13:00開演を、10月13日(日)15:00開演に変更させて頂きます。
※4 10月13日(日)17:00開演を、10月13日(日)19:00開演に変更させて頂きます。
・中止公演 ※1、※2
ご希望に応じて、【1】別公演への振替、または、【2】払戻しをさせて頂きます。
・開演時間変更公演 ※3、※4
ご希望に応じて、【1】別公演への振替をさせて頂きます。払戻しは致しかねます。なお、チケットの半券がもぎられているチケットは全て無効となり、一切対応ができませんので、大切に保管してください。

これまで2回、台風の状況をまとめて、まあだいたいパターンが決まっただろうと思ったらまた新しいケースが出てきました。台風の当日は交通機関の計画運休対応が整備されてきたので中止はやむをえない。ただ翌日の交通がどのくらい動くかわからない。そこで、台風の翌日の公演を時間を後ろにずらして上演するケースです。これが平日の夜公演だけだとまた違ったのでしょうけど、3連休の中日ということで昼公演が多い。適当にまとめると以下です。告知情報をTwitter含めてあちこちから探していて面倒だからリンク省略。

・東宝「ラ・マンチャの男」帝国劇場:13時を15時に変更。振替と払戻も後日連絡と記載あり。
・東宝「ABC座『ジャニーズ伝説2019』」:12時を14時に、17時を18時に変更。振替と払戻は記載なし。ただし10/15(火)に発表するとTwitterで掲載。
・東宝「ラヴズ・レイバーズ・ロスト-恋の骨折り損-」シアタークリエ:12時半を18時半に変更。振替と払戻も後日連絡と記載あり。
・Bunkamura「オイディプス」13時と17時半を変更なしで上演決定。払戻も後日連絡と記載あり。
・宝塚「星組」東京宝塚劇場:13時半を変更なしで上演決定。「雪組」:神奈川芸術劇場と川崎とでそれぞれ予定していた11時を13時に、15時を17時に変更。星組雪組ともそれぞれ払戻も記載あり。
・シス・カンパニー「死と乙女」シアタートラム:14時を17時に変更して上演決定。最初は記載がなかったけど後で払戻の記載が追加された。
・水戸芸術館ACM芸術プロデュースの「最貧前線」世田谷パブリックシアター:13時を14時に変更。払戻も記載あり。
・こまつ座+ホリプロ「組曲虐殺」天王洲銀河劇場:12時半を15時に変更。払戻も記載あり。
・野田地図「Q」東京芸術劇場プレイハウス:14時を変更なしで上演決定。払戻も記載あり。

あとは困ったときの本多劇場。ただ情報がいまいち。12(土)の昼時点ではひとつを除いて全部12(土)休演の掲載があったはず。

・加藤健一事務所「パパ、I Love You!」下北沢本多劇場:13(日)は14時を変更なしで上演。たしか12(土)で休演の記載があったと思うけど今は見当たらない。12(土)も上演したそうです。振替の記載はあっても12(土)の払戻の記載はなし。
・別冊「根本宗子」「墓場、女子高生」ザ・スズナリ:14時を14時半に変更、18時は変更なし。変更分の振替や払戻の記載なし。12(土)は振替と払戻の記載あり。
・舞台芸術学院「この道はいつか来た道」駅前劇場:15時で特に記載がないので変更なしで上演か。12(土)は払戻の記載あり。
・劇団芝居屋かいとうらんま「BLANK BLANK BRAIN」OFF・OFFシアター:14時19時を変更なしで上演。Twitterで振替可能とは言っているが詳細不明、払戻の記載はなし。
・ネオゼネレイター・プロジェクト「PROMISED LAND~遥かなる道の果てへ~」「劇」小劇場:14時を14時半に変更して上演。なお12(土)は中止しているが振替も払戻も記載見当たらず。
・橋沢進一プロデュース「宇宙一超絶技巧雑技団 2019」小劇場楽園:14時19時半を変更なしで上演。なお12(土)は中止しているが振替も払戻も記載見当たらず。
・ウォーキング・スタッフプロデュース「三億円事件」シアター711:14時を16時に変更して上演。振替も払戻も記載見当たらず。なお12(土)は払戻と振替の記載がTwitterにあるものの詳細不明。
・劇団東京ミルクホール「レッツゴーギャング」小劇場B1:14時19時を変更なしで上演。14時の回のみ振替の記載あり、払戻は記載見当たらず。なお12(土)は上演続行、振替の記載はありそうだが払戻は記載見当たらず。12(土)夜公演は2人だけリピーター来場したので上演せず写真を撮って解散とのこと。すべてTwitterより。

国立劇場とか新国立劇場とかBunkamuraとか、12(土)は完全閉館してスタッフの出勤もなかったはずだけど、下北沢で他は休演なのに小劇場B1だけスタッフ出勤とか、お疲れ様です。劇団の無茶な対応は無茶を聞いてくれるスタッフのおかげなので、せめて感謝しましょう。

小劇場の財政上、また上演期間の短さ上、意地でも払戻は行なわない鬼畜対応になるのは納得はできないけど理解はする。対応くらいさっさと告知しておけと思うけど小劇場の制作レベルにもいろいろあらあなということで今回深くは突っ込まない(飽きた)。ただ「プルガトリオ」の対応はどうなんだ。この交通状況(と被害)なら、まともな団体なら上演しても払戻と振替、せめて払戻は用意すべきところ。

ちなみに去年は時間を前倒しするケースがあって、あれはよくないと非難したけど、遅くするほうも問題があって、特に遠方の客だと帰宅に困難を要することがある。ご近所相手の小劇場と違って、草刈民代と髙嶋政宏が出演だと大阪仙台くらいは集客の射程圏内ではないのか。その場合は特急や新幹線、場合によっては飛行機まで気にしないといけない。たとえば新幹線は、17時が19時になると、特に会場が池袋だと、上演時間によっては大阪や仙台への新幹線に間に合わない可能性がある。

予想だけど、今回の13(日)上演については、保険の絡みもあるのではないかと思う。保険を掛けるような商業公演だと、12(土)は文句なしで保険が降りるけど、13(日)は保険が降りないか、降りても申請すると次回からの保険料が値上がりするとか。そういうのを考えると、時間をずらして半分が来場、半分が払戻でも、上演したほうが損が少なくなるという計算があるかもしれない。

だけど時間をずらした上に払戻も振替もしないという対応は、名も知れぬ有象無象の上演団体と自他ともに認識しているのでなければ、するべきではない。今回取上げたケースだと、商業演劇の、予定通り上演または時間をずらして上演、ただし払戻や振替も準備、が客から見たら正解。これだけ交通がごたついて、座席の埋まりが何割くらいだったか知りたい(行けるものなら野田地図当日券を狙いたかった)。客はこれを褒めて今後もそのように行動してもらえるよう支持するべき。小劇場は知らん振りして時間通りに上演して来られない分は握りつぶすのが、制作から見た正解。払戻余力もないのに中途半端に時間を動かして客に変に影響を与えるのは制作にとっては悪手。それは前売チケットを買った人間について回る宿命で、さらに客への対応余力のないのが小劇場だと思って客も諦めるべき。今回だと劇団チョコレートケーキや根本宗子やネオゼネレイター・プロジェクトやウォーキング・スタッフプロデュースは14時で強行してよかった。払戻するつもりがないならプルガトリオも当初時間通りで決行するべきだった。ただし、中止した12(土)の回については払戻対応は必須。微妙なところですが、眺めて出した結論は今のところこの通りです。客側制作側の意見が知りたい。まったく関係ないけど、「急に行けなくなった芝居のチケットのなんと甘美なことか」みたいな台詞が、たしか風琴工房であったような。うろ覚え。

あと最後におまけです。9月の台風で東京初日が流れた「ハムレット」ですが、今回は大阪公演で台風にあたって1公演で2回の台風キャンセルという珍しい事態になっています。菊池風磨の単独初主演と銘打った公演でしたが、嵐を呼ぶ男としてネタになることを願っています。ちなみに15(火)が千秋楽だったところ、当初は20(日)に振替公演を用意、払戻も対応となっていたはずですが、先ほど確認したら払戻一択となっていました。2公演分の対応ができないという判断変更でしょうか。制作陣もあわただしく対応しているようでお疲れ様です。

<2019年10月15日(火)追記>

加藤健一事務所は12(土)も上演したと情報をいただきました。コメント欄の「どうあるべきか」のやり取りも合せてご覧ください。

<2019年10月15日(火)追記>

劇団チョコレートケーキの払戻は開演時間をずらした13(日)の昼公演も対象と情報をいただいたので追記しました。

<2019年10月15日(火)追記>

その後、MITAKA “Next” Selectionで上演していたゆうめいが、12(土)と13(日)の休演を決めるまで、10(木)から検討していた経緯を載せたページも見つけたのでリンクを載せておきます。今回は転載しませんが、劇団が12(土)の休演を決めたところ、劇場を管轄する三鷹市が安全優先で13(日)も閉館することを決めています。池袋より電車が限られていること、雨だけでなく風の被害もありえたこと、から私は三鷹市の決定は適切だったと思います。その後の映像配信決定対応までの早さも素晴らしいです。このエントリーをここまで読んだ方ならご一読を。

<2019年10月16日(水)追記>

新国立劇場のリンクが修正されていたので追記しました。

2019年10月 7日 (月)

風姿花伝プロデュース「終夜」シアター風姿花伝

<2019年10月5日(土)夜>

夫の母の葬式から骨壷と共に戻ってきた夫婦。夫婦は娘が一人いるが、夫は離婚した前妻との間にも娘がおり、その娘からの電話をきっかけにいつもの喧嘩が始まる。やがて夜が遅いからと弟夫婦が泊まりに来るが、仲の良くない兄弟で喧嘩が始まり、また弟夫婦の間でも言い争いが始まる。お互いが溜めていた言葉がほとばしり出て止まない一晩の話。

公式では4時間半だったのが劇場案内では3時間50分となり実測は休憩2回を挟んで3時間40分。攻守ところを変えてひたすら言い争いが続く、一言でまとめると「それを言っちゃあおしまいよ」を言ってしまう芝居。少し笑える場面もあるけど、シリアスというか伝わらないとか諦めとか絶望とかそういう言葉が似合う場面がほとんど。これでよく芝居が続くなと思うところを続けられるのは役者スタッフが一丸になった賜物。

4人それぞれの役が抱える問題は、どことなく日本でも同じ問題を抱える人がいそうなもの。そこで、岡本健一にくたびれた中年役を、栗田桃子がエキセントリックな役を、それぞれ振るのが意外で、これがまた上手い。栗田桃子は当面の代表作になるかという出来。那須佐代子はだんだんはじけていく、やっていて美味しい役ではないかと想像していたらその通りだった。そもそも少人数芝居だから脇役を用意する余裕はないのだけど、プロデュース公演ではちゃんといい役が用意されている芝居を選びますねこの人は(笑)、というのを差引いても上手で、過去に観たいろいろな芝居とも違う役を造形。ちょっともったいなかったのが斉藤直樹で、後半に道化的な演技が目立って、多少息抜きがほしかったのだと推測するけど、この脚本と芝居なら4人全員シリアスで押し切ってもよかったんじゃないか。とは思うけど、表に出たり秘めたりしている熱量が4人とも激しくて、それでこそ成立する芝居を見せてもらった。

スタッフワークがまた素晴らしくて、黒一色の素通し舞台に葬式の写真を思わせる黒縁をもうけて、葬式帰りという設定で黒い衣装メイン。そこに影を多く作る照明と、ほぼ効果音だけの音響。すごいしっくり来た。やっかいな言い争いを上手に整理して、スタッフワークと統合させた上村聡史の手腕が凄い。

華やかな演技や演出は一切なし、その代わり質は保証、夫婦生活を長く続けて酸いも甘いもかみ分けた大人向け。そういう芝居。前売売切の回でも当日券は用意されていて、角度はさておき見切れは全然ない至近距離の舞台なので、我こそはという人は是非。

2019年9月20日 (金)

こまつ座「日の浦姫物語」紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA

<2019年9月19日(水)夜>

夫婦子連れの説教聖が語るのは日の浦姫の物語。平安時代の奥州の豊かな庄。都から迎えた妻を愛する領主との間に双子の兄妹が生まれたが、産後の肥立ちが悪く妻は亡くなってしまう。そこから15年後、双子は順調に育ったが領主である父が亡くなる。その葬儀の晩、仲の良かった双子は交わり、妹である日の浦姫は身ごもってしまう。領主の弟の宗親は、兄を都へ遠ざけ妹を引取るが、兄は都への道中で亡くなり妹は元気な子を産む。このままではいけないと宗親は産まれた子を海に流すことに決める。

ちなみにここまでで前半。その後で助かった子が無事に育ち、というのが後半で、近親相姦モノというのはチラシからなにからネタばれだから書いていいとして、問題は仕上がり。説教聖夫婦の辻萬長と毬谷友子はいいとして、他の役者はエネルギー不足。特に前半は、収録用のカメラに合せて演技したかというくらい声に元気がなかった。初期の井上ひさしらしく、近親相姦という危ない設定と笑える台詞が同居した脚本で、それを御す勢いと切替が大事なはずだけど、そこも曖昧に進めて、笑うところで笑えず泣くところで笑いが起きる始末。最後の数場面で思い切り話が進むのでそこで少し持ち直したか、くらい。中日も過ぎてこの出来は、本当に鵜山仁が演出したのか疑われる。がっかりの一言。

鵺的「悪魔を汚せ」サンモールスタジオ

<2019年9月15日(日)夜>

とある製薬会社の創業者一族。痴呆で寝たきりになっている会長を筆頭に家族間で憎みあったり軽蔑しあったりしているが異様にプライドは高く、嫁や婿に入ったものたちの肩身は狭い。長女の3人の子供たちはそんな状況をそれぞれ皮肉な目で眺めている。殺された猫の死骸が庭に放置されていた日を境に、その状況がさらに加速していく。

金田一耕助も警部も出てこない金田一耕助モノという印象。後味悪い系の劇団だと思っていたけど、後味どころか最初から最後まで酷い場面の続く芝居だった。ただそれが続きすぎて麻痺したのと、一番悪い役の末孫娘がカラっと演じられていたのとがあって、どこまで狙ったかはわからないけど全体には内容ほど酷い印象を受けないで観られた。

役者の中では、唯一家族外の登場人物である総務部長役を演じた池田ヒトシを、選んだキャスティング手腕ともどもメモしておく。こういう役にこういう役者をキャスティングすることが芝居の厚みになる好例。もったいなかったのが2つあって、設定ではこの規模の家なら使用人がいそうなものなのにいなかったこと。名前だけでも出していればよかったのにと思う。あと脚本で、ラストがちょっと長くて間を持たせるのが難しかったところ。

でも全体には今時こんな小劇場らしい勢いの芝居がまだできたんだという好印象。これだけ酷い場面の続く芝居ができるのは、当日パンフにもあったけど、若さならでは。再演とはいえあの狭い劇場に目一杯建て込んで襖を二重にした美術や、最後にロビーまで漏れるくらい大量に煙を出した照明などのスタッフワークにもある種の若さを感じる。劇団(というか演劇ユニット)としていいタイミングの上演だったと思う。

2019年9月19日 (木)

シス・カンパニー企画製作「死と乙女」シアタートラム

<2019年9月15日(日)昼>

独裁政権崩壊後。弁護士のジェラルドは反体制派だった実績を買われて旧政権の犯罪を調べる調査委員会の一員に任命される。その帰宅途中、タイヤがパンクして偶然通りかかった医師のロベルトに送り届けてもらう。ところがその声を聞いたジェラルドの妻ポーリーナはおびえだす。ロベルトが帰り夫婦の相談も終わった深夜、ジェラルドが調査委員会に任命されることを訊いたロベルトが戻ってきてお祝いを述べる。ジェラルドは遅いから泊まっていくように勧めるが、2人が寝静まった後にポーリーナはある行動を開始する。

ドイツ芝居だと思っていたらチリ芝居だった。チリという単語は出てこなかったけど、脚本家が独裁政権時代のチリで過ごした経験を元に書いたとのこと。雑に要約すると、かつて酷い経験をして復讐を誓っている人間が、その復讐を行なうことが次の酷い経験を生み出す状況におかれて、復讐を行なうことは是か非かという3人芝居。大人の芝居だけど若干バランスが悪い。

役者は宮沢りえが全力をぶつける仕上がりで、全力が素晴らしすぎて他の2人が負けている。あれでは2人がかりでも止められないので、そこを宮沢りえを矯めずに調整する道を探してほしかった。あとこれだけの芝居なのに演劇的爽快感にやや欠けていて、観客を結論に誘導するための演出が入っているような作為的な印象を受けた。たぶん段田安則の役作りに起因すると思う。演劇で作為的もへったくれもないのだけど、3人がぎりぎりで戦えば後は何とかなる脚本だったので、中途半端なリアリティよりもエネルギーや欲求のぶつけ合いを優先してほしかった。

散々ケチをつけているけど、観終わったらしばらく頭がぼうっとするくらいのラインは軽く超えている芝居。これで1時間半。海外の芝居は短時間で密度の濃い芝居が結構ある。今回の芝居は独裁政権崩壊という事実の前提があるけど、それにしても1時間半でここまで濃い芝居を日本で見つけるのは難しい。日本が舞台だと一見平穏な雰囲気の構築が重要だから時間がかかるというのはあるけど、それにしてももう少しこういう芝居があってもよさそうなのに。

2019年9月18日 (水)

中村吉右衛門休演

この前観てきたばかりですけど、3日続けて休演中です。本家の最初のアナウンス

 体調不良により、本日9月16日(月・祝)の歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」昼の部『沼津』(ぬまづ)の呉服屋十兵衛(ごふくやじゅうべえ)、夜の部『寺子屋』(てらこや)の松王丸(まつおうまる)を休演した中村吉右衛門ですが、明日9月17日(火)の公演も念のため、休演させていただくことになりました。

 公演は下記の通りにて行わせていただきますので、何卒ご了承を賜りますようお願い申し上げます。

 9月18日(水)以降につきましては決定次第、お知らせいたします。

で、続報

 体調不良により、昨日9月16日(月・祝)から歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」昼の部『沼津』(ぬまづ)の呉服屋十兵衛(ごふくやじゅうべえ)、夜の部『寺子屋』(てらこや)の松王丸(まつおうまる)を休演中の中村吉右衛門ですが、明日9月18日(水)の公演も念のため、休演させていただくことになりました。

 公演は下記の通りにて行わせていただきますので、何卒ご了承を賜りますようお願い申し上げます。

 9月19日(木)以降につきましては決定次第、お知らせいたします。

念のためと続くところがかえって気になる。年齢が年齢だけに、大丈夫かな。

<2019年9月25日(水)追記>

19日からは復帰していました。続報

 歌舞伎座「秀山祭九月大歌舞伎」の昼の部『沼津』(ぬまづ)の呉服屋十兵衛(ごふくやじゅうべえ)、夜の部『寺子屋』(てらこや)の松王丸(まつおうまる)に出演の中村吉右衛門は、体調不良のため、9月16日(月・祝)より舞台を休演しておりましたが、体調が回復し、明日9月19日(木)公演より舞台に復帰させていただくことになりました。

 明日より、昼の部、夜の部とも下記の通りにて上演いたします。

 皆様には、多大なるご迷惑、ご心配をお掛けしましたこと、お詫び申し上げます。

で、本日千秋楽まで大丈夫だったようです。よかった。

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