2019年7月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

2019年7月17日 (水)

「期待値からの振れ幅」を満足感と定義する

この話はまとめたいとずっと思っているのですが、まとまりませんので一度蔵出しします。仮説をまとめるとこうなります。

・人間は知っていることを基準として、その基準との比較で満足感を感じる。知らないことに対しては比較する基準がないから満足も不満足も感じることができない。知らないことばかりだとそもそも受付けない。
・期待値から上に振れ幅が大きいほど満足感が大きい。ただし、同じ幅でも期待値が高いほど満足感は大きい。
・知っていることは内容に関係ないことでもよい。有名人が出演している、というのはもっとも手軽な「知っていること」のひとつ。
・エンターテイメントに限らず、前提知識のないライブを観ながらリアルタイムで中身を追えるのは、その分野自体に対して何らかの前提知識を持っているか、わからないこと自体を楽しんだ経験があるかのどちらか。どちらにしても客側のある種の特殊技能のひとつ。
・なおリアルタイムで気をそらさずに引張り続けるのは創作側と制作側の技術のひとつ。
・ライブで一般客に満足感を与えること自体が本来はまず無理な相談。

客として長年芝居を観てきましたが、どうも自分の芝居の見方がずれてきているように思えたのが数年前です。私が観て面白かった芝居が、評判がよければ結構なのですが、そういうことばかりではない。逆に私がそれほど面白いと思えない芝居の評判がよいと、それはそれで気になる。いろいろ考えて、見方というか、満足するポイントが違いそうだとは気がついたのですが、長年観ていればマニアックになってもおかしくないと一旦は片付けました。

一方で私は音楽関係がわからなくて、こちらは滅多にライブには行きませんが、それは楽しめなさそうな予感があるからです。別にクラシック音楽が眠くなるというだけでなく、今時の音楽でも変わらない。ところが「映画は初めての作品でも楽しめるのに音楽だと楽しめないのはなぜだろう」という文章を見かけました(リンク失念)。これがきっかけで、芝居と音楽とで何か違いがあるんだろうかと考えるようになりました。

それでとりあえず考えたのが冒頭の箇条書きになります。「リアルタイムで気をそらさずに引張り続けるのは創作側と制作側の技術のひとつ」と書きましたが、そのひとつが芝居だと「物語」というフォーマットの力です。もう少し言えば、物語の力を借りて、適切な順番と分量で情報を出すことで、リアルタイムで理解するハードルを下げる技術です。

他に、芝居では目の前で本物の人間がパフォーマンスしているから、それで観客を惹き付けておきやすいという事情もあります。映像だと撮影されただけの人間の力はそこまで強くなくて、たぶん映像全体の美しさを作りこむ必要があります。

おそらく音楽では、「物語」に該当するのが音楽理論、「映像の美しさ」に該当するのが音色の美しさではないかと思いますが、そこは自信がありません。少なくとも初見で楽しむ場合、メロディラインや詞の美しさはそれらより後にくるはずです。

とりあえずここまでをメモとして書いておきます。

青年団国際演劇交流プロジェクト「その森の奥」@こまばアゴラ劇場

<2019年7月14日(日)夜>

マダガスカルにある研究所。日本主催で猿の進化について調べていたが、資金難につき日韓仏の多国籍プロジェクトとなる。さらに研究を進めるためにスポンサーを求めているが、候補の企業は猿を使ったアミューズメントパークを検討している。その企業の担当者による訪問と、研究員の新メンバーの着任とがたまたま重なったある1日の話。

場面ごとに日本語と韓国語とフランス語を切替えて上演するのかと思ったら、同時通訳機を登場させてチャンポンで上演するという力技。同時多発会話では日本語は声で、韓国語とフランス語は字幕で、字幕画面も1画面中の左上と右上に別々のグループの会話を寄せて区別するというこれも力技。これの何がすごいかというと、チャンポンなのにいつもの青年団とまったく変わらないノリの芝居が観られる。さすが役者にもロボットにも同じ演出をつけるという平田オリザ、多国籍ごときではびくともしなかった。

昔の「森の奥」という脚本を再利用して仕立て直した脚本(だから「その森の奥」とのこと)は、日本を一番格好悪い立場に割当てるところはまあしょうがないけど、韓国もフランスも含めて満遍なく意識でも歴史でも駄目なところを取上げて、その点では平等ないつもの平田オリザ節。この座組に旧フランス植民地のマダガスカルを選ぶところがセンス。スポンサー候補の企業は日系かと思わせて本社が中国というのも今っぽい。歴史に対する意識の場面もスリリングだったけど、猿と人との境目を考えさせる芝居の途中で、まったく関係なさそうに、でも「境目を考えさせる」つながりで、シンデレラの靴がなぜ日付が変わっても元に戻らないかの話を混ぜるあたりの小技もきいている(そしてちゃんと後への伏線にもなっている)。

一番好きだったのは、研究に使う猿を選べないかという話題のとき、全員が会話に集中する最中、決定権を持つひとりである日本人研究者が上手側でうーんそうは言ってもなーという顔をして手を頭の後ろで組んでいた場面。あの迷っていて決めようがない顔と態度がこの芝居の日本人で一番日本人らしいなと思った。

毎度たっぷりの情報量で、90分とは思えないおなか一杯の1本。これならフランス組の「カガクするココロ」でサビの場面がどうだったかも観たかったと悔やまれる出来。ひとつだけ誤算だったのは、同じ日に進化論を観ることになるとは思わなかったこと。どうしてこんな演劇で取上げそうにない設定なのにかぶるかな。

新国立劇場主催「骨と十字架」@新国立劇場小劇場

<2019年7月14日(日)昼>

イエズス会の神父にして古生物学者でもあるシャルダンは、カトリックの教義に反する進化論の論文発表や講演を通じてバチカンの検邪聖省ににらまれる。穏便に済ませたいイエズス会総長の取計らいで、研究と講演を制限する誓約書へ署名すればよいところまで検邪聖省の担当者をなだめたが、神父は署名を拒否する。やむを得ず、かつて似た経緯を辿った先輩神父の赴任先兼研究先である北京に飛ばされるが、そこで発掘を続けた結果、北京原人の頭蓋骨を発掘し、進化論の欠けていたコマを埋めることになる。

パラドックス定数でおなじみの男5人芝居は、張出し舞台の後ろに大き目のオブジェだけのシンプルな舞台で、いつもよりは抑え目に、だけど答えのない会話が続く一本。神の存在について、信仰と信念が相反したときにどう行動するかについて、それまで当然とされていたことを疑い声を上げることについて、昔の実話を元にしているのに実に考えさせるタイムリーな話。ちなみに検邪聖省は異端審問所の後継部署で、そこの諮問官は神父の資格について生殺与奪の権を握っている。

ただ感想は、野木萌葱の台詞マジックに騙されている。格好いい台詞をそのまま受取ると奥行きが足りないので、それぞれの役に台詞とは違う秘する心情を持っていてほしいのだけど、素直に見えた役者多し。検邪聖省の近藤芳正でもぎりぎり、イエズス会総長の小林隆は最後まで蛇の狸で通してほしかったし、他の3人ももっと裏設定を工夫する余地はあった。

スタッフでは、ろうそくがあったとは言え、照明が美しかった。ごく普通っぽく、影をそこまで出していたわけでもないのにソリッドに見えた理由がわからない。ただ音響は効果音はともかく音楽はあんなにいらなかったんじゃないか。去年まとまった数のパラドックス定数を観たからなおさらそう思う。あと別に大掛かりな舞台転換があるわけでなし、休憩15分を含めて1時間55分なら休憩無しの100分一本勝負にできなかったか。

なんだかんだ言って飽きずに観られたのは演出がよくできていた証拠だけど、何か物足りない。統一感というか雰囲気というか息苦しいくらいの濃密さが足りない。まだまだ行ける一本。いつものことながら面白い脚本を面白く立上げるのは難しい。

<2019年7月17日(水)追記>

そういえば降板と代役の話があったのを忘れていた。でもそれで、というかその時期だったら、むしろ作品の方針には影響させる暇がないはずで、やっぱり台詞マジックに騙されていた感はある。

2019年6月29日 (土)

2019年上半期決算

恒例の上半期決算です。

(1)東京芸術劇場制作「」東京芸術劇場シアターイースト

(2)劇団東京乾電池「授業」アトリエ乾電池

(3)新国立劇場演劇研修所「るつぼ」新国立劇場小劇場

(4)タカハ劇団「僕らの力で世界があと何回救えたか」下北沢小劇場B1

(5)渡辺源四郎商店シェアハウス「過ぎたるは、なお」こまばアゴラ劇場

(6)松竹製作「二月大歌舞伎 夜の部」歌舞伎座

(7)青年団「走りながら眠れ」こまばアゴラ劇場

(8)パルコ製作「世界は一人」東京芸術劇場プレイハウス

(9)青年団「隣にいても一人」こまばアゴラ劇場

(10)青年団「思い出せない夢のいくつか」こまばアゴラ劇場

(11)小田尚稔の演劇「是でいいのだ」三鷹SCOOL

(12)加藤健一事務所「喝采」下北沢本多劇場

(13)名取事務所「ベッドに縛られて / ミスターマン」小劇場B1

(14)パラドックス定数「Das Orchester」シアター風姿花伝

(15)燐光群「あい子の東京日記 / 生きのこった森の石松」ザ・スズナリ

(16)KUNIO「水の駅」森下スタジオ

(17)松竹製作「御存 鈴ヶ森」歌舞伎座

(18)シス・カンパニー企画製作「LIFE LIFE LIFE」Bunkamuraシアターコクーン

(19)松竹製作「実盛物語」歌舞伎座

(20)演劇ユニットnoyR「ニーナ会議」若葉町ウォーフ

(21)オフィスコットーネプロデュース「埒もなく汚れなく」シアター711

(22)イキウメ「獣の柱」シアタートラム

(23)オフィスコットーネプロデュース「山の声」GEKI地下リバティ

(24)まつもと市民芸術館企画制作「K.テンペスト2019」東京芸術劇場シアターイースト

(25)ジエン社「ボードゲームと種の起源・拡張版」こまばアゴラ劇場

(26)松竹製作「六月大歌舞伎 昼の部」歌舞伎座

(27)劇団青年座「横濱短篇ホテル」亀戸文化センターカメリアホール

(28)KERA・MAP「キネマと恋人」世田谷パブリックシアター

(29)serial number「機械と音楽」吉祥寺シアター

(30)ラッパ屋「2.8次元」紀伊国屋ホール

(31)松竹製作「月光露針路日本」歌舞伎座

(32)FUKAIPRODUCE羽衣「ピロートーキングブルース」下北沢本多劇場

(33)神奈川芸術劇場プロデュース「ゴドーを待ちながら(昭和・平成ver.)」神奈川芸術劇場大スタジオ

以上33本、隠し観劇はなし、すべて公式ルートで購入した結果、

  • チケット総額は156820円
  • 1本当たりの単価は4752円

となりました。高い芝居を観ながらも、青年団の短編や歌舞伎の幕間チケットのおかげで、近年まれに見る単価5000円以下になりました。ただ33本は観すぎで、金額もさることながら体力がきついです。渥美清は昼夜の芝居を観てさらに映画を観るのがつらくなったと言っていたらしいですが、わかります。というかここに映画を足したら倒れます。観たい芝居と、この機会に観ておかないといけない芝居に、ここで試しておきたい芝居まで混ぜたせいでこの数になりました。ここで観たり試したりすることで、将来の候補を絞って楽になることを期待しての挑戦です。ついでに書くと、当日券で蹴られた芝居も数本あり、振返れば蹴られて良かったという数です。

結果、33本も試さなくてもよかったなというか、ありていに言えば外れもそれなりに多かったです。外れにも発見のある外れと純粋に外れとがあり、当たりにも大満足と一部不満はあってもそれを上回る満足で帳消しにするものとがあるので、総合的に満足できたかどうかでの判断となります。観たかった芝居では(7)(9)(10)(14)(18)(22)(24)、この機会に観ておかないといけないと思った芝居では(2)(3)(19)(21)(26)(27)(33)、ここで試しておきたい芝居では(1)(5)(15)(20)(30)、計19本が当たり判定です。この本数を観て6割弱ならまだ高いほうだと思います。

そこから絞ると、初期から面白かったことを再確認した青年団の(7)(9)(10)、ほぼ1人芝居で緊急口コミプッシュも出した(15)、不思議な雰囲気の(24)、ベテランが喜劇をつくるとこうなるんだという見本の(27)(28)(30)、古典を現代的に上演した(33)、歌舞伎もいいもんだと思わせてくれた(26)です。さらに上半期の1本まで絞ると、初見にして大いに笑わせてくれた(30)になります。(15)は緊急口コミプッシュも出しましたが、気に入ったのが2本立ての1本だったので、こちらを選ばせてもらいました。

あと、思い出深い1本として(22)を挙げておきます。初演が好きすぎて、思い入れが妄想の域まで達していたので、今回の再演を観て長文の感想を書いて、ようやく落着くことができました。ただ不思議なのは感想を書くときに出てきた文体です。芝居の感想と世間の出来事を混ぜて長文を書くのは初めてだったので内容の出来不出来はさておき、あの新聞の出来損ないのような文体はいったいどこから出てきたのかがわかりません。あるいは、長文の感想執筆に耐えうる文体の蓄積がなかったばかりにああなったのか。時間がなくてほとんど推敲しませんでしたが、次回長文を書く機会に推敲してどこまで読みやすくなるか試してみたいと思います。

上半期の話題は、明るいものでは長塚圭史の神奈川芸術劇場芸術監督就任予定発表です。今の白井晃から大幅に若返っての就任で、今後のラインナップに期待です。暗いものではキャラメルボックスの活動停止で、何気なく観ている芝居も相応のリスクや苦労があること、いつでも観られるわけではないことを改めて思い知らされました。そしてどちらも、時代が流れていることを感じさせる出来事です。

あとは上でも少し書きましたが、当日券で蹴られることが多かったです。単なる勘で理由を推測すると、芝居好きなら気になるという座組みに人気者を一人混ぜておくことで集客がぐっと変わるということに制作側が気がついたのか、背に腹は変えられないのか、規模を問わず起用するようになったのがひとつ。あと最近は役者の側、特に若手が、舞台に出ることを実力名誉修行箔付経験のように考えている気配があり、人気があって舞台出演に耐える実力の役者が、この規模の劇場でというか、小さい規模ほどありがたがって積極的に出演を望んでいる模様なのがひとつ。両方の思惑が合わさったように思います。さらに勘を続けると、小劇場出身者が映像に進出して活躍が目に付くようになった10年前くらいからが転機で、それが最近になって目立つようになった模様です。芸能事務所としても、ネット全盛で映像の力が相対的に弱くなって適当に舞台の仕事を入れたほうが長期的には得と判断しているのでしょう。ただ関係者一同いろいろ気をつけているなと思うのは、だいたい、演出家は限られるようです。

下半期はさすがに数を減らしたいのですが、観られるときに観ておけという気分もあり、どうなるかは不明です。

引続き細く長くのお付合いをよろしくお願いします。

2019年6月26日 (水)

2019年7月8月のメモ

この時期なのにこの分量でどうすんだ。7月にどれだけ観られるかなあ。

・劇団フルタ丸「朝のドラマ」2019/07/03-07/07@駅前劇場:前回見逃したけどなんか粗筋が気になる

・東京成人演劇部「命ギガ長ス」2019/07/04-07/21@ザ・スズナリ:松尾スズキの新プロジェクトは安藤玉恵との2人芝居

・青年団国際演劇交流プロジェクト「その森の奥」「カガクするココロ」2019/07/05-07/15@こまばアゴラ劇場:公演前半の2公演混在スケジュールは、青年団と、韓国の演劇学校と、フランスの演劇学校の合同企画が新作の「その森の奥」で、フランスの演劇学校だけの公演が「カガクするココロ」

・シス・カンパニー企画製作「恋のヴェネチア狂騒曲」2019/07/05-07/28@新国立劇場中劇場:役者の名前がすごい座組で上演するのはイタリア古典ロマンチックコメディーとかなんとか

・新国立劇場主催「骨と十字架」2019/07/06-07/28(2019/07/06-07プレビュー)@新国立劇場小劇場:シーズン最後は野木萌葱の新作を小川絵梨子演出の男5人芝居で、降板なんて言い訳なしの出来を期待している1本

・世田谷パブリックシアター企画制作「チック」2019/07/13-07/28@シアタートラム:ドイツの児童文学原作芝居は初演絶賛につきほぼ同キャストで2年後の再演

・劇団☆新感線「けむりの軍団」2019/07/15-08/24@赤坂ACTシアター:新感線色が強い役者だから久しぶりのおポンチ芝居が来たかと思いきや倉持裕脚本のいのうえ歌舞伎

・青年団+無燐館「北限の猿」2019/07/18-07/28@こまばアゴラ劇場:こちらは日程後半でABチームの公演

・さいたまネクスト・シアター「朝のライラック」2019/07/18-07/28@さいたま芸術劇場 NINAGAWA STUDIO:ちょっと興味があるけど遠い

・M&Oplaysプロデュース「二度目の夏」2019/07/20-08/12@下北沢本多劇場:岩松了の新作だけど気になるのは東出昌大より片桐はいり

・燐光群「『熱海殺人事件』vs.『売春捜査官』」2019/07/26-08/06@ザ・スズナリ:つかこうへいの有名芝居を合体させる試みだけどオリジナルを知らないで楽しめるかどうか

・五反田団「偉大なる生活の冒険」2019/07/27-08/05@アトリエヘリコプター:10年前の芝居を今のほうが切実と再演

・東京芸術劇場主催「お気に召すまま」2019/07/30-08/18@東京芸術劇場プレイハウス:満島ひかり真之介の姉弟以外にもいい役者が揃ったシェイクスピア

・KERACROSS「フローズン・ビーチ」2019/07/31-08/11@シアタークリエ:KERAの岸田戯曲賞受賞脚本である女4人芝居を鈴木裕美が演出する、本編の仕上がり以外に降板を跳ね返せるかどうかも気になる1本

・イマシバシノアヤウサ「アイランド」2019/08/01-08/25@OFF・OFFシアター:鵜山仁と浅野雅博と石橋徹郎演劇ユニットだからこの名前で、今回は南アフリカの2人芝居

・なないろ満月「父と暮せば」2019/08/07-08/12@駅前劇場:佐藤B作と野々村のんで演出が寺十吾なら以前とはまた違って見えるかもという期待

・川面企画「4 A.M.」2019/08/08-08/12@アトリエ春風舎:KERAのだいぶ古い芝居を上演

・夏の日の本谷有希子「本当の旅」2019/08/08-08/18@VACANT:久しぶりの芝居は自作小説の舞台化

・松竹製作「東海道中膝栗毛」2019/08/09-08/27@歌舞伎座:三部制の第二部に幸四郎と猿之助で有名な芝居が観られるなら観ておこうかという1本

・松竹製作「新版 雪之丞変化」2019/08/09-08/27@歌舞伎座:三部制の第三部に玉三郎で有名な芝居が観られるなら観ておこうかという1本

・PARCOプロデュース「人形の家 Part2」2019/08/09-09/01@紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA:「人形の家」の後日談という芝居を栗山民也演出で

・世田谷シルク「工場」2019/08/13-08/18@こまばアゴラ劇場:タイムリーな設定が気になる1本

・ヨーロッパ企画「ギョエー! 旧校舎の77不思議」2019/08/15-08/25@下北沢本多劇場:一度くらいは観ておきたいと思いつつ見逃しっぱなし

・DULL-COLORED POP「福島三部作・一挙上演」2019/08/23-08/28@東京芸術劇場シアターイースト:第一部の再演に加えて第二部と第三部も上演

・PARCOプロデュース「プレイハウス」2019/08/25-09/01@東京芸術劇場プレイハウス:根本宗子がアイドルバンドを主役に据えての新作公演はタイトルが劇場名

他に新国立劇場のギャラリー・プロジェクトで舞台美術編が2019/07/14 17:30から。

<2019年7月1日(月)追記>

1本追加。

<2019年7月16日(火)追記>

1本追加、2本修正。

2019年6月25日 (火)

新国立劇場のギャラリー・プロジェクト「中高生のための、夏休み『どっぷり演劇3Days』」が超お勧め

次の芝居を探していたときに見つけた。日程は8月5日-7日の3日間で、応募は6月27日-7月11日。応募者多数は抽選だから当たるかどうかは運だけど、ハズレ無しの福袋がたったの1500円だから中学生高校生で演劇に興味がある人は絶対に応募しておくべき。詳細はリンク先で確認を。

ベーシックテック 歌唱と演技 伊藤和美(歌唱指導)
演劇のしごと 大堀久美子(編集者・ライター)
特別ワークショップ 岡本健一(俳優・演出家)
シーンをつくる 上村聡史(演出家)
演劇史 河合祥一郎(英文学者・東京大学大学院教授・翻訳家)
ベーシックテック 声と演技 窪田壮史(俳優・ボイスコーチ)
劇作の世界 瀬戸山美咲(劇作家・演出家)
舞台美術の世界 乘峯雅寛(舞台美術家)
翻訳の世界 広田敦郎(翻訳家)
演出家トーク&演劇研修所 宮田慶子(演出家・新国立劇場演劇研修所所長)
劇場ツアー&演出家トーク 小川絵梨子(演出家・新国立劇場演劇芸術監督)

願わくは中高年のための3Daysも企画してほしいので新国立劇場におかれてはぜひ検討を。

2019年6月24日 (月)

神奈川芸術劇場プロデュース「ゴドーを待ちながら(昭和・平成ver.)」神奈川芸術劇場大スタジオ

<2019年6月23日(日)昼>

街の外れにある、1本だけ木のある人通りの少ない広場。友人同士であるウラジミールとエストラゴンは、ゴドーを待つためにやってきたが、待っている間に主人と従者の2人が通りかかり、従者をこき使った様を見せて去っていく。そこに、ゴドーの使いという少年がゴドーは今日は来ない、明日は同じ場所で待ち合わせようという伝言を告げる。翌日に来た2人だが、昨日の2人がまた通りかかる。ゴドーは相変わらず来ない。

千秋楽で昭和平成バージョンを観劇。ネタはネタとして、初見ではどこまでアドリブなのか判別しづらい絶妙のノリで退屈を演じるメインの2人。そこにマッカーサーの格好をした主人と昭和天皇に顔を似せた従者を登場させて、日米国旗の付いたマイクを使って、ラストに君が代を流して、昭和はそういう時代だっただろうという直球の演出。

にもかかわらず、これが初見だから確かなことはいえないけど、ゴドーを待ちながらの脚本自体はきっちり上演されていた印象を受けた。退屈したり不安になったりわからなくなったり互いの仲に疑問を持ったりする脚本自身が、しっかりした強度を持っていたのがひとつ。あとメインの2人の、遊びに走りたがる小宮孝泰とそれに付き合ったりほどほどで止めようとしたりする大高洋夫との関係が役にも反映されていて、実にいい雰囲気だった。他の3人も上手だったけど、メインの2人の自由自在な感じはなかなか観られない貴重な仕上がり。

それを後押ししたのがスタッフワーク。青山円形劇場を思わせる囲み舞台を作って古い新聞を散らした美術が一押しで、会場に入った瞬間に、あ、これがこのスタジオの正しい使い方だ、と思わせるものがあった。それにつりあわせた衣装も見事。

定番なのに長年観られなかった芝居だけど、今回ようやく観られてすっきりした。欲を言えば、最初は単なるキャスト違いだろと思っていたけど、たぶん演出を変えていたはずなので、令和バージョンも観てみたかった。

FUKAIPRODUCE羽衣「ピロートーキングブルース」下北沢本多劇場

<2019年6月22日(土)夜>

ファミレスの店長は人妻と不倫し、その夫は毎回同じ風俗嬢を指名して入れあげ、その風俗嬢は街でナンパされたひもじい若者を自宅に囲う。この人物たちを中心に、中心でない人物も交えて進む、セックスと愛に関する話。

タイトルに「ブルース」と付くだけあって、そこはかとない哀しさの割合が大きい話。粗筋に書いた話と絡まない話も多く、長編1本というよりオムニバスのほうが実態に近い。単発でネタに走る場面が力不足で、それでいて本筋の微妙な話は笑い飛ばすための勢いがなくて笑っていいのか迷う場面も多数。ミュージカルなら場面や筋の紹介だったり、あとは登場人物や芝居が盛上がる場面で歌うけど、こちらは突然元気一杯長々と歌ったりする「妙ージカル」で、歌いだすタイミングがいまいちつかめない。ミュージカル「仕立て」なら先日ラッパ屋でよく出来た芝居を観たばかりなので、そちらに軍配が上がる。役者は頑張っていたので今作は脚本演出の不発という感想。

当日パンフは役者を紹介したいという主宰からの愛溢れるコメントが載っていたけど、紹介したいなら主宰との縁よりもエピソードよりもなによりも、まず役名と役者名とのマッピングを載せるべきではないかと思うが如何。初見のメンバーだらけで、今回どの役が誰だか、主宰とその相手役以外は誰が誰だかわからず。役名でネタばれして困る芝居でもなし、困るなら代表的な役名だけ載せればいい事。有料パンフを売りたくて当日パンフを配らないのはよくあるけど、当日パンフを配って役者名は載せて役名を教えないのは不親切。制作で誰か事前チェックできなかったのか。

2019年6月21日 (金)

降板と代役2題

同じような時期の芝居で同じタイミングで降板があったのでメモ。どちらもステージナタリーより。

その1。7月12日がプレビュー初日の「フローズン・ビーチ」で朝倉あきが体調不良で降板。代役は花乃まりあ。女4人の少人数芝居で代役になるとはきついけど、それで出てきた代役が2年前に退団したばかりの元宝塚娘役トップ。短時間で探すからには、思いついて賭けるに値すると踏んだうえでの直接オファーだろうから、すでに縁がある誰かの推薦だと思うけど、どの縁で探してきたのか舞台裏が気になる。鈴木裕美が「かもめ」のオーディションで目を付けていたとか、そんな話かな。

その2。7月6日がプレビュー初日の「骨と十字架」で田中壮太郎が健康上の理由で降板。代役は神農直隆。これも男5人の少人数芝居。神農直隆は同じ小川絵梨子演出の同じ新国立劇場小劇場の「1984」でも大杉漣の代役だったからそれを思い出しての起用と推測。あのときは2ヶ月近く余裕があったけど、今回は2週間。いろいろ試されている。

他人事なので野次馬根性をそそられますね。ただ「体調不良」と「健康上の理由」とでは受ける印象が違って、後者が重く見える。そこまで歳ではない人だけど、大丈夫かな。

2019年6月20日 (木)

PARCO劇場は458席から636席でトイレはどうなる

新しい劇場が発表されていました。ステージナタリーより。

来年2020年3月、東京・渋谷PARCOの8階に東京・パルコ劇場がグランドオープンする。

パルコ劇場は、2016年8月7日に建て替えのため一時休館。新劇場は、旧劇場の458席から636席に客席数が増え、オールS席となるほか、舞台空間も拡張される。

またこけら落とし公演として 2020年1月下旬から2月に立川志の輔の「志の輔らくご in PARCO 2020」、藤田俊太郎演出「ラヴ・レターズ」が上演されることや、20年3月から2021年5月上旬までオープニングシリーズ公演として14作品を上演予定であることが発表された。オープニングシリーズのラインナップは8月末に発表される。

写真を見た感じだと、旧劇場のやや扇型の客席を四角くして座席を全部並行に並べることで、場所によるけど大雑把に左右後ろに2席2列を追加して、客席の拡張を図ったみたい。何としても稼げる劇場にするという強い意志を感じる。

ちょうど良い広さを維持してほしかった願いはかなって、どこでも観やすそうなのでそれはいいのだけど、ロビーがどうなったのかが気になる。もともとそんなに広いロビーではなくて、しかも開場前や終演後のエレベーターホールがものすごい混んでいた。客席が広がればロビーが削られている可能性もあるので、解消する工夫がなされていてほしい。

あと客席数が増えることでやっぱり気になるのがトイレの数で、まあ大体どこの劇場も女性用で並んでいるのはいつものことで、数が足りていない。PARCO旧劇場も階下のレストランフロアと合せて対応だった。新しくて大きいところでは歌舞伎座も並んでいたし赤坂ACTシアターにいたっては男性用も足りていない。

男性用だと都内で数が用意されていて一番いいのはシアターコクーンかな。トイレだけでなく、ロビーや階段の幅広さといい、バブル期の余裕あるデザインの良さを感じられる。ただここも女性用はいつも行列していて、すぐ外のBunkamura共用部のトイレと合せて対応。東京芸術劇場とIHIステージアラウンド東京も頑張っていたような記憶がある。シアターオーブはどうだったかな。浅利慶太がトイレ数の適正値まで計算していた劇団四季は昔一度行ったきりだから覚えていない(たしか女性用個室は客席を9で割った数を用意しないと短時間でさばけないという計算だった記憶)。ロビーとトイレでワンフロア使ってくれると嬉しいのだけど、旧劇場と同じ8階ということは7階以下がテナントなのも変わらないはずなので期待できず。

土一升金一升の都心部一等地なのでしょうがないとは思うけど、一時に大勢の人間を集める場所商売はトイレの確保も熱心にやってもらいたいという話。せめて階下のフロアにたくさん確保されていることを願います。

«松竹製作「月光露針路日本」歌舞伎座