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2026年9月 8日 (火)

東宝とチケットぴあの座席ごとのダイナミックプライシング実験

「ミス・サイゴン」のチケット売行きがどんなものか、下調べのつもりで覗いてみたのですが、キャストの出ている日はほとんど売切れていました。ミュージカルに疎い自分としては、人気の演目に人気者を呼んでいるのだなと感心していたところ、面白い発売を見つけました。ダイナミックプライシングです。結構気合が入っています。どのくらい気合が入っているかというとこのくらいです。

・2026年で11月7日(土)13時と11月13日(金)13時の2日分を充てている。これは期末期初および年末のノイズを避けて、近い日程で週末と平日の差を調べようとしている模様。ちなみにどちらも昼公演で揃えているところもその一環のはず。あとはキャストとスタッフが安定してきた公演半ばということもあるかもしれない。

・両公演ともぴあ貸切公演。協力しているチケットぴあに恩恵を渡しつつ、チケット販売経路が複数になることによるノイズを減らしている。

・何度も上演して定評ある演目を選んでいる。そもそも満席の見込めない公演では値下げはあっても値上げはできないし、初公演か再演かで客足も変わるので、それを避けている。

・メインキャストがまったく同じになっている。ここは主催側が調整した何よりの証拠で、一番気合の見えるところ。

で、これだけ揃えて何を実験しているのかと言えば、座席の人気です。以前ハリー・ポッター公演について「座席と上演時間帯によるチケット代の値段差の実例」というエントリーを書きましたが、この時で7区分でした。それが今回は3倍以上、驚きの25区分です。通常日程だとS席、A席、B席の3区分だけで、かつS席は1階と2階すべて、3階の正面後ろ2列がB席、3階の残りがサイド含めてA席という大雑把な分け方なので、それと比べたらものすごく細かいです。

ちなみに席種は、ブロックA、B、C、D、E、F上手、F下手、G上手、G下手、H上手、H下手、I上手、I下手、J、K、L上手、L下手、M上手、M下手、N、O、P上手、P下手、Q上手、Q下手です。ややこしい。

どのブロックがどの座席かというのが書かれたサイトが見つからないのですが、大雑把にAからIまでが1階、JからMまでが2階、N以降が3階みたいです。アルファベットの早い方が舞台寄りです。上手下手表記のないAからEとJ、K、N、Oが中央で、これがセンターブロックを含むのはたしかなのですが、両サイドの中央寄りの席も含んでいる模様です。あと、1階中央通路は無視されています。それで部隊最前列中央を中心に同心円とまでは言いませんが、上手下手境界はやや斜めに境目が設けられているらしく、同じアルファベットの上手下手ならおそらく左右対称です。

会場の東急シアターオーブで数回観劇経験のある観客として、わかる範囲でざっと確かめた印象では、1階後方や2、3階サイドの区分にやや雑なところが見受けられるものの、おおよそ納得のいく境界線が引かれている気配です。通路を挟んで安くなるならそっちがお得、みたいな席はなさそうです。お前らやっぱり主催者なだけあって詳しいよなと突っ込みたくなります。それでも実験するのは何故かというと、繰返しになりますが、価格ですね。

舞台との距離なり、見え方なりについて、どの席がどのくらい良席なのかは主催者側も把握している。人気の公演に人気者を起用した場合、熱烈なファンは非正規の経路で定価以上の大枚を払ってでも観ようとすることも、転売撲滅に力を入れる主催者として知っている。物価の値上がりの著しい昨今、それならいっそ初めから公式で値上げして販売したい。だけど全席をやみくもに値上げしてしまうと今現在のファンだけを相手にした商売になってしまい、将来の観客が育たない。だから座席を細かく区切って、座席ごとの「価値」を探り、今の大雑把な座席区分をもっと精緻に組めるようにしたい。固定価格にすると値段を外したときに売れないし、実際にはいくらなら売れたのかまでわからないからダイナミックプライシングで探りたい。言葉にすればこんな狙いではないかと推察します。

あとはチケットぴあ側も、おそらく今後増えていくであろうダイナミックプライシングの運用経験を積めるでしょう。それと、少なくとも今はチケットの値段に関わらず固定手数料なので、売れ残って戻すよりは値下げしてでも売れてくれる方がありがたいはずです。そういう運用ができれば、主催者側から販売先として選んでもらうための武器にもなるでしょうし。

なおどの座席がいくらかまでは面倒なので書きません。ただし、S席、A席、B席が、通常公演平日だと18000円、12000円、6000円、土日祝日千秋楽が1000円上乗せであるのに対し、2か月前の現在だとほとんどの座席がそれよりも高い、安くても数百円で設定されているとはメモしておきます。

他に若干のメモを残すと、残席で現在一番高い席が土曜昼のブロックBで58000円、通常日程の定価の3倍です。ブロックAがこれよりも安い31400円で売切れているので、出だしの値段設定を間違えて値上げする間もなく売切れて、慌てて残ったブロックBを値上げしたのかもしれません。金曜昼の公演はブロックAが32200円で売切れて、ブロックBは27700円で二重丸に対して、ブロックCが31200円で三角です。あと両日とも(他の日程もそうですが)3階席は売行き好調です。

ここまでの結果だけなら、高い金を払ってでもかぶり付きのブロックAで観たい観客は曜日を問わず一定数いる、その手の観客は土日祝日の方が多い、ただし若干引いて全景を見られるブロックCの方を好む客も確実にいてそれは平日の方が多い、あと安い料金を真っ先に選ぶ客も確実にいる、そんな感じでしょうか。

一観客である自分の立場を述べるならば、ダイナミックプライシングが導入されると、前売でチケットが買いづらくなります。定価スタートで値下がり限定で導入されるならまだしも、値上がりもあるのがダイナミックプライシングなので、迷いに迷うことは確実です。

ただし売る側の悩みもわからないわけではなく、つい最近、売行きの悪さにおまけ付きなのに大割引したチケットを売出した事例を見かけたばかりです。自分は買っていない公演だったので無傷で済みましたが、あそこまで初期前売購入客を馬鹿にするような値引きをばらまくくらいなら、ダイナミックプライシングで売られていたほうがまだ納得いったとも思います。

そういう悩みはダイナミックプライシングが主流になった時点でまた考えますが、この実験の結果は今後の公演でも参考にされるはずなので、商業芝居をよく観る人は将来影響あるかもしれませんね。

2026年9月 5日 (土)

PARCO PRODUCE「アメリカン・ドリーム」PARCO劇場

<2026年9月5日(土)夜>

アメリカで反共産主義が猛威を振るった「赤狩り」の時代。ホテルの一室では映画関係者の取調べが行なわれている。この日はなかなか売れない女優、人気監督、ヨーロッパから亡命してきた脚本家、そして当代一番の売れっ子脚本家の4人が呼ばれた。2人の委員が1人ずつ取調べをする中で、4人はどのように対応するのか。

ほぼ出ずっぱりの委員2人を演じる浅野雅博と中川大志が、紅一点の関谷春子と、三谷幸喜常連の浅野和之、山崎一、小日向文世を出迎えて1時間50分に中編4本を詰込んだ趣がある。「笑の大学」のバリエーションを想像させるシチュエーションながらも、あちらが笑いメインで構築していたのに対して、今作は笑いどころも多数用意しつつ真面目な話に正面から取組んだ意欲作。役者6人全員文句なしで、芸達者な常連組の芸を堪能しつつ、浅野雅博をあまり見かけない強面委員役で起用して成功させたのは慧眼。映像の使い方に映画監督もやる三谷幸喜の腕前発揮を見つつ、舞台美術や衣装の助けもあって、三谷幸喜らしからぬ渋くてお洒落な仕上がりは当時のハリウッド映画を目指したか。

この仕上がりにケチを付ける方が野暮なのは承知で、もう社会派要素抜きで笑いに笑える新作を三谷幸喜に求めるのは無理なのだろうなという諦めもあり。喜劇路線をこの規模で継げる人も今は思い浮かばない。喜劇路線というのもちょっと違って、いかなる真面目な話題であっても洒落のめして胸を張る気概というか。今の世の中、特にここ10年くらい、洒落を名乗って逃げようとする目に余る邪悪を叩き潰すために余裕がなくて、本物の洒落まで呼吸する余裕がなくなった。「笑の大学」は邪悪に、というのは業界的な邪悪というのが私の理解ですが、それに洒落以外徒手空拳で立向かうような芝居だった。

これは将来の売れっ子脚本家の登場に期待を残して。

2026年9月 4日 (金)

松竹製作「秀山祭九月大歌舞伎 夜の部」歌舞伎座

<2026年9月3日(木)夜>

華やかな儀式の舞「雛鶴三番叟」。場所は東海道の沼津、得意先との商談忘れで荷物持ちの手代を返した十兵衛は、貧しい荷物持ちの平作に荷担ぎを頼むものの力は足りない足を怪我すると散々なところ、道行で出会った平作の娘お米に一目ぼれして平作の家で一晩厄介になろうとするのだがこの親娘には秘密があった「沼津」。今も忘れない太夫を模して人形を彫った左甚五郎だが、完成祝いに酒を飲んでいたら人形が甚五郎の真似をするので試しに太夫の持物を持たせてみたら「京人形」。平家全盛の世、阿呆と噂の公家である一條大蔵卿の元に源義朝の妻だった常盤御前は嫁ぐが、源氏復興を目指す吉岡鬼次郎は妻お京の手引きで常盤御前の真意を質すため屋敷に忍び込む「一條大蔵譚」。

「雛鶴三番叟」は3人の誰がどの役かわからないものの華やかな舞台で華やかな踊り。ただ初めに紫の着物を着て出てきた人は膝が辛そうで上下の動きがやや乱れていた。和式は踊りでも何でも膝が大変だなと余計なことを考える。

「沼津」は仁左衛門はともかく平作の歌六とお米の孝太郎の台詞がいまいち聞き取れず、物語の筋を家に帰ってから確かめることに。唐突な仇討の話は「伊賀越道中双六」の一幕だからそうなのだと合点。こちらも疲れていた自覚はあったが、もう少し明瞭な発声を求む。

「京人形」は適度に説明芝居を含めての踊りとなる前半が、いかにも人形らしい動きと甚五郎の真似の動きと太夫の動きを踊り分けるところが愉快で、演じた時蔵が見事だし甚五郎の松緑との息もなかなか。後半、唐突に隠れていた姫を襲う捕手の体術を堪能しつつ彫刻道具で立向かう甚五郎という支離滅裂がいっそ楽しい。今回一番楽しんだ1本。

「一條大蔵譚」は動きよりも台詞で想いの丈をいかに伝えるかの1本。染五郎演じる一條大蔵卿の阿呆と真面目の切替えや心の大きさを表す様子には感心。ただしこれも台詞がいまいち聞き取れず。やはり疲れていたか。

良席で観られたが、そうすると正面から見た舞台の美しさが伝わる一方、良席でも台詞がいまいちわからない体調で臨んでしまったのが悔やまれる。

2026年8月31日 (月)

2026年9月10月のメモ

毎年この時期は芸術の秋という趣があります。本数が多いだけでなく上演団体や演目の並びもまた雰囲気が違うんですよね。

・松竹製作「秀山祭九月大歌舞伎」2026/09/02-09/26@歌舞伎座:夜の部で仁左衛門の「沼津」ありただしダブルキャストにつき日程注意

・オーガミッツ「同じ穴のムジナ」2026/09/04-09/13@シアター711:旗揚公演らしくピックアップ

・劇団青年座「ハード・プロブレム」2026/09/05-09/13@吉祥寺シアター:トム・ストッパードの若干面倒くさそうな脚本だけどどうしたものか

・ナイロン100℃「管理人ご夫妻」2026/09/05-09/27@本多劇場:上演時間どのくらいになりそうかと心配していたらKERA体調不良につき初日から09/09まで中止になっていますので各自公式サイトで確認を

・劇団Papercraft「神のみぞ知る死」2026/09/06-09/13@シアタートラム:脚本演出家のことは知らないけれど見かける役者がまともな劇場に集まっているのでピックアップ

・松竹製作「リア王」2026/09/06-09/22@新橋演舞場:こちらは中村芝翫主演のリア王で演出は井上尊晶

・劇団俳優座「ガリレイの生涯」2026/09/07-09/16@シアターΧ:ブレヒト作品3年連続上演企画を行なうらしく第1弾は割と名前を見かける演目なのに観たことがないので観たい

・いいいのいープロデュース「寿歌」2206/09/17-09/21@サンモールスタジオ:よく上演されているのにまだ観たことがなくて気になる演目

・かわいいコンビニ店員飯田さん「こっちおいで」2026/09/18-09/28@駅前劇場:ストレス耐性のない人には勧めないと明言するくらいの内容らしいですがまだ観たことのない団体でもあるしピックアップ

・PARCO PRODUCE「ショーガール」2026/09/19-09/27@PARCO劇場:川平慈英とシルビア・グラブを起用して今回3回目の公演となる三谷幸喜もの

・演劇集団円「冬物語」2026/09/19-09/27@吉祥寺シアター:演出に中屋敷法仁を迎えてのシェイクスピア

・東京芸術劇場主催「リア王」2026/09/21-10/04@東京芸術劇場プレイハウス:こちらは内野聖陽主演のリア王で演出は森新太郎

・ONEOR8「台所の女たちへ」2026/09/26-10/12@ザ・スズナリ:前半と後半ではっきりわかれている完全ダブルキャストだけど何となく気になる

・ばぶれるりぐる「ほとびる屋上」2026/10/02-10/12@三鷹市芸術文化センター星のホール:今回のMITAKA "Next" Selectionはこれ1本

・平成中村座「十月大歌舞伎」2026/10/01-10/25@浅草寺境内平成中村座:第一部と第二部だけど今回は第二部の「助六」狙いで

・松竹製作「錦秋十月大歌舞伎」2026/10/02-10/20@歌舞伎座:第二部に仁左衛門の盛綱陣屋がダブルキャストであるけどどうしたものか

・笑の内閣「12人の生まない日本人」2026/10/09-10/12@インディペンデントシアターOji:まだ観たことのない団体だけど再演らしいのでピックアップ

・ヨーロッパ企画「世界の終わりかけとスリーコード」2026/10/13-10/25@サンシャイン劇場:特別興行と銘打たれているのですが主演が特別であとはいつも通りのつもりでよいのか

・KAAT神奈川芸術劇場主催企画制作「蛙昇天」2026/10/24-11/08@神奈川芸術劇場ホール:たまに題名を見かける木下順二の脚本なのだけど

・東宝製作「ミス・サイゴン」2026/10/23-11/29(プレビュー公演2026/10/16-10/22)@東急シアターオーブ:一度観ておきたいんですけど

・劇団アンパサンド「立ち止まるには近すぎる」2026/10/28-11/01@新宿シアタートップス:前回が面白過ぎたので期待したくなります

・ミックスゾーン企画製作「メイユール・ソワレ」2026/10/28-11/08@博品館劇場:村角太洋脚本演出

当日券派だった自分が前売券を買うようになって予定管理が増えてきたところ、さらにチケット予約サイトをあちこちに広げたら、いつどれを観に行くのかわからなくなってきて危ういです。熱心なシアターゴーアーは前売チケット販売日とか観劇日とか管理がすごいことになっていそうですね。

こまつ座「頭痛肩こり樋口一葉」紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA

<2026年8月30日(日)昼>

貧しくて日々の暮らしもままならならず、死ぬことも覚悟したばかりに幽霊と仲良くなってしまった樋口一葉の成人してからの暮らしぶりを、毎年のお盆の出来事を中心に描く。

貧乏は悪だという感想になるような背景と、苦労する女はとことん苦労する時代という背景を掛合わせた芝居。だから積極的に観たいテーマではないものの、観終わってみれば観てよかったと思えるような仕上がりの芝居。だから東京千秋楽らしからぬ虫食いの客席だったものの、千秋楽にふさわしい熱い拍手で5回のカーテンコールも納得。役者を得て、かつ2022年からほぼ続投だったのも大きいか。

配役表がなかったものの、おそらくこれで正しいはずのメモ。樋口一葉が貫地谷しほり、母が増子倭文江、妹が瀬戸さおり、お鑛様が香寿たつき、八重が岡本玲、幽霊花蛍が若村麻由美。岡本玲のみ今回初。若村麻由美は2013年、2016年にも出ていて4演目らしい。役者なのだからいろいろな役を演じられて当然のようでそうでもないと今更わかってきたので、適材を探して適所にキャスティングしました、みたいな今回のような芝居を観るのは嬉しい。

キョードー東京招聘「シカゴ」東急シアターオーブ

<2026年8月29日(土)昼>

有名であれば何でもありの1920年代のシカゴ。浮気相手を殺したロキシーは刑務所に入るが、同じように浮気していた夫と妹を殺したヴェルマがマスコミに持てはやされているのを目の当たりにする。このままでは死刑になると言われている自分も同じようになりたいと、獄中を仕切るママに頼んで辣腕弁護士のフリンを紹介してもらい、起死回生を図る。

たぶん女性陣は脚の長さで、男性陣は筋肉の丸さで選ばれたのだろうなというダンサーを揃えて、身体をくねらせるフォッシーダンスたっぷりのミュージカル。踊らない役もあったし、同じ役者でも踊りと歌の場面を分ける工夫もあったけど、やはりいい演目。All That Jazzは好きなナンバー。ただし目を惹いたのはオープニングやパイナップル富豪令嬢を務めた女優と、英語がほとんど話せないハンガリー女性を演じた女優。最後に役者紹介があったものの名前までは字幕に表示されず聞き逃し。そして繰返しになるけど女性陣ダンサーの脚が長い。

THE ROB CARLTON「VISITORS」渋谷ユーロライブ

<2026年8月28日(金)夜>

とある外国のと屋敷の一室。屋敷の主人はかつてとある団体の代表まで務めた実力者で今もって陰然たる影響力を持っている。だが今度の代表戦では3人の候補者はいずれも拮抗しており、この主人の支持が得られれば勝抜けることが確実なため、屋敷詣でが行なわれる。これからは次世代に任せていく意向を持つ主人はどの候補にも肩入れしないようにするのだが……。

候補者3人を1人で演じて、館の主人と対する2人芝居。候補者と主人のやり取りは重々しさも出すためテンポよりもネタ勝負で散発的な笑いで進んでいたところ、最終版に力技の大ネタで一気に爆笑に持って行く構想力と腕前に感心しきり。舞台で観てこそ面白い1本。着替えの時間を確保するための場繋ぎ場面の数が多すぎて、作り込みが追付いていない場面がいくつかあり、暖まった客席が落着いてしまうのがもったいなかった。

2026年8月30日 (日)

ナイロン100℃の公演を一部中止にするくらいKERAが体調不良

手短に。公式サイト「ナイロン100℃ 50th SESSION『管理人ご夫妻』東京公演 9月5日(土)~9月9日(水)公演 中止のお知らせ」より。

ナイロン100℃ 50th SESSION『管理人ご夫妻』東京公演につきまして、
作・演出ケラリーノ・サンドロヴィッチの体調不良により、誠に勝手ながら下記公演を中止とさせていただきます。

<中止公演>
・9月5日(土)18時30分公演
・9月6日(日) 18時30分公演
・9月8日(火) 18時30分公演
・9月9日(水)13時00分・18時30分公演

8月下旬、作・演出のケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下KERA)が身体の違和感により、念の為と医療機関を受診したところ循環器の疾患との診断・カテーテル手術を受け、稽古及び公演準備を一時中断せざるを得ない状況となりました。幸いにも早期発見によりKERAの症状は軽症及び術後の経過も良好であり、現在は自宅療養の上体調の回復に努めております。

現在上演に向けてできる限りの準備を進めておりますが、残された準備期間や稽古の進捗状況等を総合的に判断した結果、予定通りの上演は困難であると判断し、誠に残念ではございますが、一部公演を中止させていただきます。ご観劇を楽しみにお待ち頂いておりましたお客様には多大なご迷惑とご心配をお掛けいたしますこと、深くお詫び申し上げます。

該当チケットの払い戻しにつきましては、後日キューブHP(https://www.cubeinc.co.jp/)にてご案内いたします。払い戻し対応の際にチケットが必要となりますので、お手元にて保管くださいますようお願い申し上げます。

9月10日(木)18時30分公演以降の公演につきましては、9月4日(金)を目処に改めてご案内いたします。

最新情報はキューブHP及びナイロン100℃公式X(@NYLON100C_info)にて随時お知らせいたします。
重ねてお詫び申し上げるとともに、何卒ご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。

株式会社キューブ

ここまで中止にするくらいだからプライベートな話とは言え理由についてもはっきり書かざるを得なかったのでしょう。循環器でカテーテルなら心臓でしょうか。経過良好なのは何よりです。

以前、ケムリ研究室の公演では「舞台機構に発生した予期せぬ深刻なトラブル」で公演中止になったことはありましたが、あれは世田谷パブリックシアターの劇場都合です(メモしておいたつもりが見つからず)。今回の公演がどうなるか、すでにチケットを買っている人は公式サイトを要確認です。

<2026年9月4日(金)追記>

続報が出ていました。中止ステージが増えています。旧告知を上書きする形で発表されているのでURLは省略します。

ナイロン100℃ 50th SESSION『管理人ご夫妻』東京公演
9月5日(土)~9月12日(土)公演中止のお知らせ・払い戻しのご案内

2026年9月4日

ナイロン100℃ 50th SESSION『管理人ご夫妻』東京公演につきまして、
先日、作・演出ケラリーノ・サンドロヴィッチの体調不良により、9月5日(土)~9月9日(水)5公演の中止を発表いたしましたが、開幕の準備にさらに時間を要しており、誠に勝手ながら下記4公演を追加で中止とさせていただきます。

<中止公演>
・9月 5日(土)18時30分公演(発表済み)
・9月 6日(日)18時30分公演(発表済み)
・9月 8日(火)18時30分公演(発表済み)
・9月 9日(水)13時00分・18時30分公演(発表済み)
・9月10日(木)18時30分公演
・9月11日(金)13時00分公演
・9月12日(土)13時00分・18時30分公演

ご観劇を楽しみにお待ち頂いておりましたお客様にさらなるご迷惑とご心配をお掛けいたしますこと、深くお詫び申し上げます。

9月5日(土)~12日(土)公演の払い戻しにつきましてはキューブHPにてご案内いたします。
該当公演のチケットをお持ちのお客様は下記より詳細をご確認いただき、お手数ですがお手続きをお願い致します。
https://www.cubeinc.co.jp/archives/theater/nylon50th

9月13日(日)13時公演以降の公演につきましては、9月8日(火)を目処に改めてご案内いたします。
度々お待たせする形となり大変申し訳ございません。

最新情報はキューブHP及びナイロン100℃公式X(@NYLON100C_info)にて随時お知らせいたします。
重ねてお詫び申し上げるとともに、何卒ご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。

株式会社キューブ

9月13日の日曜日のステージまで中止すれば、翌月曜日は元々休演日なのでまとまった時間が取れるはずなのですが、保留になっています。費用もさることながら、日曜日1ステージをプレビュー公演的に扱えるものなら扱いたいのかもと外野は予想するのですが、真意は不明です。さらなる続報を待ちましょう。

<2026年9月8日(火)追記>

続報が出ていました。開幕日決定です。やはり同じURLで上書きして公開されているのでURL掲載は省略で。

ナイロン100℃ 50th SESSION『管理人ご夫妻』東京公演
9月13日13時公演中止 及び 9月15日(火)18時30分公演より開幕決定・追加席販売のお知らせ
2026年9月8日

ナイロン100℃ 50th SESSION『管理人ご夫妻』東京公演につきまして、
先日、作・演出ケラリーノ・サンドロヴィッチの体調不良により、9月5日(土)~9月12日(土)9公演の中止を発表いたしましたが、開幕の準備に時間を要し誠に勝手ながら9月13日(日)13時公演を中止、9月15日(火)18時30分公演にて東京公演を開幕いたします。

1日でも早い開幕を目指し調整を重ねましたが、さらに中止のご案内となりますこと及び発表が直前となりましたことをお詫び申し上げます。13日(日)13時公演を含む中止10公演のチケットの払い戻し方法につきましては、キューブHPにてご案内いたします。該当公演のチケットをお持ちのお客様は詳細をご確認いただき、大変お手数ですがお手続きをお願い致します。

<中止公演>
・9月5日(土)~12日(土)の全9公演(発表済み)
・9月13日(日)13時00分公演

払い戻しのご案内 https://www.cubeinc.co.jp/archives/theater/nylon50th
※13日(日)13時00分公演の払い戻し受付は9月9日(水)より順次開始いたします。

中止に伴う追加公演の実施はございません。
ご観劇予定でしたお客様に代替の公演をご用意できないことを深くお詫び申し上げます。
なお、出来うる限り多くの皆様にご観劇いただけるよう以下のご用意をいたします。

・前売券追加販売
美術プラン確定に伴う東京公演本席の追加販売を【9月11日10時~】チケットぴあにて実施いたします。
チケットぴあ販売ページ:  https://w.pia.jp/t/nylon50th/

・当日引換券
開演3時間前までご購入いただける当日引換券の販売準備を進めております。整い次第ご案内致します。

・当日券
毎公演若干枚数ではございますが当日券を開演1時間前より劇場前受付にて販売いたします。
当日券情報につきましては随時ナイロン100℃公式X(@NYLON100C_info)をご確認ください。

また、より多くのお客様にご鑑賞頂けるよう配信の実施も調整しております。
詳細は決定次第、キューブHPにてお知らせいたします。

この度の公演中止により、公演を楽しみにお待ちくださっていたお客様に、多大なるご迷惑とご心配をお掛けしましたこと、重ねて深くお詫び申し上げます。
開幕に向け、カンパニー一同準備を進めておりますので、何卒ご理解を賜りますよう
よろしくお願い申し上げます。

株式会社キューブ

結局日曜日の公演も中止にして時間を確保の上で開幕日決定となりました。とりあえずKERAは無事っぽいですね。よかったです。

2026年8月24日 (月)

松竹製作「八月納涼歌舞伎 第二部」歌舞伎座(ネタばれあり)

<2026年8月23日(日)昼>

家賃を溜めたまま貧乏長屋の嫌われ者である駱駝の馬太郎が死んで、金のない兄貴分のやくざ者が大家から弔いの準備をせしめようと紙屑屋と一緒に大家を脅す「らくだ」。主家の刀を奪われたために目が見えず浪人になった男と知合った盗賊の頭お松は男と子を成して後、何とか刀を取戻そうと峠を越える刀持ちを片っ端から襲っては奪われた刀を探すが、ある日のこと、家の前で襲われる男女を助けてみれば夫のかつての許嫁と、自分が襲った男の兄の付人で「百千鳥沖津白浪」。

「らくだ」はなかなか歌舞伎では出てこない死体役を使ったカンカン踊りをどれだけ面白く見せるかの気軽な1本を、軽さが信条の幸四郎とべらべらまくしたてるのも上手な勘九郎が賑やかに演じる。片岡亀蔵追悼とあるのはこの死体の馬太郎役が亡くなった片岡亀蔵が上手だったかららしく(未見)、今回演じた片岡市蔵はその兄。芝居中にも思い出話や亀と唱える場面を何度も出して会場も拍手。合掌。

本興行では62年振りという「百千鳥沖津白浪」は、ラストに子を預けてのお松の啖呵はさすが七之助。ただしお松は「後ろ暗い盗賊の身分を隠して夫を想う妻」「すでに子を成しているがまだ結婚していないところによい家柄の本来の許嫁がやって来たことで身を引いたほうが男の仕官復帰が叶うものの子供の行く末に悩む女」「刀を探すためにかつて男の兄を殺めたことに気が付かされて後悔する盗賊の頭」という3つの悩みどころがあって、1番目と2番目は念入りなものの3番目が薄い。これは最後は男から身を引いてお縄に付くことを選ぶ有力な動機の1つのはずなので工夫の余地あり。

あとは時間稼ぎの暇話。七之助に娘が生まれたそうで、それは目出度いものの、よりによってこの演目の中での話題にはちょっと浮く。着替えに時間が掛かるのはしかたないとしても、あそこは夫の目が見えないならその場で着替えて見せるとか時間短縮の手はいくつかありそう。よく出来た話なので演出を立てて再演も目指してほしいところ。

2026年8月 4日 (火)

脚本の執筆遅延という王道の公演中止理由と上演形態を変更しての上演

王道もへったくれもないのですが、そんな話を見かけました。「終のすみか」という団体の上演ですが、タイトルが「it's too late.」という演目なのがまた狙った訳でもあるまいに、というぴったり具合です。

前提知識として、2026年7月18日から7月31日まで、2度の休演日(22日と28日)を挟んでの公演予定でした。ステージナタリー「終のすみか『it's too late.』脚本遅延のため、本日7月19日から23日まで公演中止」より。

終のすみか「it's too late.」の本日7月19日から23日までの公演が、脚本の執筆遅延のため中止されることが発表された。

本作は当初、昨日18日に初日を迎える予定だったが、脚本の執筆遅延のため、初日公演の中止が発表されていた。制作部より本日新たに発表された書面によると、協議の結果、本日19日から23日までの5公演についても中止が決定した。なお、24日以降の公演については実施される予定。中止となった公演の予約者には、振替などの案内が個別に届く。

初日の時点では初日のみ中止、その後で23日まで中止決定となっており、割とドタバタしていた様子が伺われます。

ここからは公式サイトの引用です。発表日が入っていませんので発表時期は不明です。URLがあとで変更になりそうですので注意。

説明は2段階に分かれていて、まず初めのお詫びから。

【7月18日(土)~7月23日(木)の公演中止のお知らせとお詫び】

平素より終のすみかを応援いただき、誠にありがとうございます。

7月18日(土)より上演を予定しておりました『it's too late.』につきまして、脚本の執筆遅延により、7月18日(土)~7月23日(木)の5公演を中止とさせていただくことを決定いたしました。

公演を心待ちにしてくださっていた皆さま、公演に関わってくださった皆さまには、再度このような判断をお伝えすることとなりましたこと、心より深くお詫び申し上げます。
7月24日(金)以降の公演は、実施予定でございます。ご予約の振替等については個別にご連絡を差し上げます。また、7月24日(金)以降の公演をご予約のお客様につきまして、キャンセルをご希望の場合は、下記お問い合わせ先までご連絡ください。

重ねまして、このたびは7月18日(土)から7月23日(木)までの公演中止につきまして、心より深くお詫び申し上げます。
再度このような判断をお伝えする結果となってしまい、誠に申し訳ございません。何卒ご理解賜りますよう、お願い申し上げます。

終のすみか 制作部

この時点で脚本遅延は公表しています。終わった後で読んでみれば、1週間で幕を開ける見込みを立てて延期したというよりは、とりあえず見通しを立てるために1週間確保したということだったのでしょう。

そして2回目のお詫びです。

【7月24日(金)~7月31日(金)公演についてのお知らせとお詫び】

平素より終のすみかを応援してくださり、誠にありがとうございます。

7月18日(土)より上演を予定しておりました『it's too late.』につきまして、脚本の執筆遅延により、7月18日(土)から7月23日(木)までの公演を中止とさせていただくことを決定し、皆さまにお知らせいたしました。
このたびの判断により、公演を心待ちにしてくださっていた皆さま、公演に関わってくださった皆さまには、ご心配とご迷惑をおかけしましたことを、心より深くお詫び申し上げます。

延期後も作品の完成を目指して創作を続けてまいりましたが、先日よりお知らせしておりますとおり、脚本の執筆は現在も完了しておりません。
そのため、当初予定していた内容で作品をお届けすることは困難であると判断し、上演形態を変更して実施することといたしました。これに伴い、上演内容の再構成および最終調整の期間とするため、誠に勝手ながら7月24日(金)~27日(月)の公演は中止とし、7月29日(水)~31日(金)の3公演を実施いたします。
また、7月29日(水)~31日(金)の上演につきましては、上演内容の変更を踏まえ、チケット料金は無料とし、恐れ入りますがドリンク代のみご負担いただきます。

創作に参加する全員が健康で創作を続けられることを第一に考えながら、団体内での協議を重ねるとともに、関係者の皆さまへのご説明や話し合いを続けてまいりました。また、公演を支えてくださった出演者・スタッフ・関係者の皆さまには、最後まで多大なるご尽力をいただきました。

その結果、現在の『it's too late.』を、現時点でお届けできるかたちで上演するという判断に至りました。

ご予約いただいていたお客様には、上演内容の変更について個別にご案内申し上げます。内容をご確認いただいたうえで、ご来場をご判断ください。当公演は当日精算のみでの販売のため、キャンセル料等は一切発生いたしません。

また、新たにご観劇をご希望の方につきましては、末尾記載のメールアドレスまでお問い合わせください。上演内容の変更についてご説明したうえで、ご予約をご検討いただければ幸いです。恐れ入りますが、ご予約につきましては現時点でのご予約者様や振替希望者様を優先させていただきます。

初日延期という判断をしながら、結果として当初予定していた作品を完全な形でお届けすることができず、ご来場を予定し、お時間を空けてくださっていた皆さまのご期待に沿うことができませんでしたことを、深くお詫び申し上げます。

今回上演する『it's too late.』は、多くの関係者の皆さまのご協力によって実現するものですが、作品に関する責任は終のすみかが負い、最後まで創作に向き合ってまいります。

皆さまには重ねて心よりお詫び申し上げます。ご理解を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

終のすみか 制作部

ここで「創作に参加する全員が健康で創作を続けられることを第一に考えながら、団体内での協議を重ねるとともに、関係者の皆さまへのご説明や話し合いを続けてまいりました」という説明が出てきました。スランプで脚本未完になった結果追詰められたのか、健康その他の理由で脚本未完になったのかは不明ですが、脚本家兼演出家が割とテンパっていたのでしょう。

それでも上演は目指しています。座組を見ると役者4人が全員客演なので、さすがに全ステージ中止は勘弁してほしいと考えてもおかしくありません。

こうして当初より縮小されましたが、3日間3ステージの上演に漕ぎつけたようです。公式Xにポストがありました

最終日を迎えました。

ご来場いただいたみなさま、ご予約いただいた皆さま、関係者の皆さま、誠にありがとうございました。
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tsui no sumika
12:46 ・ 2026年7月31日

公演本番を何とか中止させない作り話なら「ショウ・マスト・ゴー・オン」がありますし、主催の不調を基にした半自伝の物語「シャープさんフラットさん」もありますが、具体的に何があったかは外野からは想像するだけです。

舞台は上演しないことには始まらないので、関係各位のトラブル対応スキルと人間の器は育ったことでしょう。何はともあれ上演出来てよかったですね、という話でした。

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