2026年2月
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2026年2月 5日 (木)

トライストーン・エンタテイメント/ディライト・エンタテイメント企画制作「いのこりぐみ」IMM THEATER

<2026年2月4日(水)夜>

とある小学校の放課後の教室。生徒の母親から担任を変えてほしいと言われて、まずは何があったのかを把握するために面談をすることになった教頭と、保護者と1対1では会えないため付合わされた教師が来校を待っている。過去にも学校に文句を言ってきたことがある母親に備えている2人だが、はたしてやって来た母親は担任を変えてほしいの1点張りで要領を得ない。

三谷幸喜の新作4人芝居。幕が開いて役者が出揃ったときにはきっとこうだろうなとオチは読めて、あとはそこまでどうやって話が流れるかを楽しむところ。その流れに観客席側の空間を使うのが若干反則気味なものの、適度な突っ込みもあって楽しめる。駄目押しのオチはさすがにどうだろうかと考えたものの、この日この時間ならぎりぎり成立たなくもないような設定だった。人称の使い方だったり、結論ははっきりとさせつつ観客によって肩を持ちたくなる役が微妙に違うだろうなという線を狙った脚本はさすが。1時間45分の長さもいい。

4人とも上手なところ、客に芝居を届ける演技の教師役の小栗旬と母親役の菊地凛子に対して、客の注目を自分に引付ける演技の教頭役の相島一之と担任教師役の平岩紙でタイプが分かれていた。どちらが好みかは観客次第なものの小劇場の観客が長い自分は後者の2人の演技に惹かれる。

2026年2月 2日 (月)

アイオーン主催「ゴドーを待ちながら」赤坂RED/THEATER

<2026年2月1日(日)昼>

木がある以外に何もない場所で、エストラゴンとウラジミールの2人はゴドーを待っている。どうして約束したのか、そもそも本当に約束したのか、ゴドーがどんな人間だったのかすら曖昧なまま待ち続ける。召使を連れた貴族が通って絡んだり絡まれたりはするものの、なかなか来ないゴドーを待ち続ける。

別演出で一度観たことがあるものの今回改めて観劇。今回のダブルゴドーの裏芝居の感想はこちら。エストラゴンの小倉久寛は適度にフラが入って1人場面でもしっくりくるが、ウラジミールの横堀悦夫が1人場面だと細い仕上がりで大ベテランでも会話のない芝居は苦手なのかもと驚き。ポゾーの釆澤靖起、ラッキーの佐藤銀平まで出来がよかった分だけそこが残念。

ストーリーのない不条理劇と言われているものの、醜い現代社会(ポゾー)と、その現代によって貶められた過去の社会(ラッキー)、そしてもっと素晴らしいはずだと期待しているがどのようなものかもいつやって来るのかもわからない未来の社会(ゴドー)、そんな中に放り込まれて身動きの取れない市井の現代人(主人公2人)、この見立てで書かれた芝居だというのが今回の観劇で得られた理解で個人的にはすっきり。抽象舞台の3つのオブジェのうち2つは木と岩に見立てたものだが、3つ目の宙に浮かぶ輪はそんな人間世界を見下ろす天使の輪か。

アイオーン主催「ゴドーを待ちながらを待ちながら」赤坂RED/THEATER

<2026年1月31日(土)夜>

芝居「ゴドーを待ちながら」のアンダーステディとして今日も劇場の裏で待機している2人の役者。いつか自分にもチャンスが巡ってくると願いながら昼公演の幕が開く。

初日。スケジュールの都合でこちらから観劇。ダブルゴドーの本編の感想はこちら。後で観れば「ゴドーを待ちながら」を下敷きにした場面も多数あったとわかったし、他の芝居の引用も複数あるようで、知っている方がより楽しめるが「ゴドーを待ちながら」よりも賑やかで単体でも観られる。バックステージものとしての作り込まれた脚本を真面目に演出しすぎて、目が出ない役者の悲哀が強く出過ぎて笑いきれない場面が散見。そこは役者と演出で適切な距離感を取ってほしかった。その点は舞台監督補の朝海ひかるの突き放し具合がよかったものの、脚本を読む場面で宝塚をさせないほうが個人的にはよかった。詰められるところはまだまだあるという初日の仕上がり。

PARCOプロデュース「志の輔らくご in PARCO 2026」PARCO劇場

<2026年1月31日(土)昼>

近頃とみに増えた外国人旅行客が日本で一番気に入っていたもの、それは盆踊りであった「ドドンがドン」。正月セールの広告を一生懸命考えているときに届いた間違いファックス、内容が内容だったので間違いですよと送り返したら「踊るファックス」。彫刻が見事で知られた名人の父親が亡くなり息子も彫刻を始めたがてんで駄目、江戸中の道具屋が見切りをつける中でも先代に世話になったからと根気よく付合う道具屋の若狭屋だったが「浜野矩随」。

千秋楽。オリジナルの前半2本で屈託なく笑わせてから後半の古典は、映画「国宝」の出来もさることながらその準備に費やされた手間暇を羨ましがる枕から始めて滋味深い仕上がり。ようやく千秋楽、昔のようにはできない、と幕開けの雑談で口にする様子は笑いも交えながら本気の様子も、噺が始まれば尻上がりに盛上がっていくのはさすが。まだまだいけると見せてくれた1本。

2026年1月26日 (月)

インプレッション製作「チェーホフの奏でる物語」2026/01/23-02/02@東京芸術劇場シアターウエスト

作家チェーホフが自作短編や執筆を語りながら、たまに自分も中の1人になる趣向で進むニール・サイモン作の短編集。

としか言い様がない粗筋。公式サイトによれば9つの短編からなると書かれており各々元になる短編があるはずですがそこまではわからず。古典的にくすりと笑うような話を、古典的にふふふと笑えるように演出して、それだけでは物足りないと考えたか、たまにイッセー尾形がアドリブで突っかけて笑いと取りに来る。イッセー尾形の台詞回しの落着きっぷりはさすがだし、安藤玉恵が芸達者でアドリブにも動じないのは今更だけど、松尾貴史の幅広い演技には感心しきり。イッセー尾形が安心して何度も突っかけるのも納得。福田悠太と小向なるが素直すぎるものの他3人を考えるとこのくらいの方がよいか

松本白鸚休演のまま終わった1月歌舞伎

これ、復帰したときにまとめてブログに書こうと待っていたのですが、公式にアナウンスがなかったのでどうも復帰しなかったっぽいです。「歌舞伎座『壽 初春大歌舞伎』松本白鸚 休演のお詫びと配役変更のお知らせ」より。

 平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

 歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」夜の部(※Aプロ)『女殺油地獄』の小栗錦左衛門に出演の松本白鸚ですが、体調不良のため、1月6日(火)(※Aプロ)の公演を休演しました。本日1月8日(木)以降について、Aプロ、Bプロともに、下記にて上演いたします。

 なにとぞご諒承を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

 松竹株式会社

■歌舞伎座「壽 初春大歌舞伎」
【夜の部】 ※Aプロ、Bプロ
 『女殺油地獄』

 小栗錦左衛門   中村 東蔵

2026/01/08

1月2日にAプロで開演のあと、4日に出て、6日から交代して、そのままお終いです。自分も観ましたが、小栗錦左衛門は登場1場面だけの役だったはずだから、せめて千秋楽くらいは復活するのではないかと期待していました。なのに休演続きということは相当に体調が悪かったのだと思われます。

古典歌舞伎だとその前は去年9月の「菅原伝授手習鑑 夜の部(Aプロ)」に出ていて、この時も1場面だけでしたけど藤原時平をいかにも悪人らしくやってくれていました。その後に11月の「歌舞伎絶対続魂(ショウ・マスト・ゴー・オン)」に出て、これは半分耄碌した大物役者という扱いだったのでよぼよぼに見えるところが演技か体調かわからない、でも楽屋の場面でセリで出てまったく動かないで引っ込む役を三谷幸喜が当ててきたのでひょっとして体調悪いのかも、と考えるような出番でした。2か月間隔で出演なら次の3月公演ですが、そちらにはクレジットされていません。元気になってほしいです。

2026年1月13日 (火)

Bunkamura主催企画製作「クワイエットルームにようこそ」THEATER MILANO-ZA

<2026年1月12日(月)夜>

離婚してフリーライターを仕事にしている佐倉明日香は、同棲している放送作家の恋人と喧嘩した挙句に大量の睡眠剤を酒で飲んだため精神病棟に入院することになる。外部との連絡は固定電話のみなのに携帯電話を取上げられて連絡先も碌にわからない。退院まで最短で2か月と伝えられて何とか耐えることを決心するが、他の入院患者も入院するだけの理由がある人たちばかり。

初日にして脚本も演出も歌もダンスも演技も段取りも準備万端整えてきた感あり。入院患者の人となりと入院理由の説明を描きながら、主人公が自分自身と向かい合っていく展開。登場人物が多いので前半がやや人物紹介の説明調になるのは致し方なしとは言え松尾スズキ芝居の弱点、後半が本番。小劇場らしい笑いを挟みつつ、暗い場面もあるものの、小説はこんなに前向きだったっけと思い出したくなるくらい前向きに仕上げてきた。宮川彬良の曲が明るいものが多いだけでなく、主人公のアバズレ度が低くなったあたりに理由がありそう。そこで乱暴なところがありがらも品のいい主人公になったのは咲妃みゆの手柄。恋人役の松下優也がネタ多めの歌をいくつもこなすところに注目。この2人の職業設定にやや時代を感じないではないものの、這い上がれ人生と歌う展開は1周回って今の時代にむしろ合っている。

小劇場面子にはキャパが大きすぎたかリピーターチケットが出ていたので余裕のある人は今からでも如何と言いたいところもミュージカルのチケット代なところが難。

東宝製作「ピアフ」シアタークリエ

<2026年1月12日(月)昼>

貧しい生まれ育ちからチャンスを掴んでのし上がったものの、愛する男がいないと駄目な歌手、エディット・ピアフ。その波乱の人生を歌に乗せて伝える舞台。

「愛の賛歌」は有名なれどここまで破滅型の人とは知らなかった。いかにも大竹しのぶに向いた芝居で、役は手の内にすっかり入っているものの、声の迫力がやや足りないのが残念で、初演かせめて再演のころに観たかった。友人を演じた梅沢昌代は今更だけどさすがでわかる、マレーネ・ディートリヒと秘書を演じたのが彩輝なおもよい感じでわかる、だけど眼鏡革ジャンの興行主を演じていた男性役者もよかったけど誰だかわからない。

松竹主催「壽初春大歌舞伎 夜の部」歌舞伎座

<2026年1月11日(日)夜>

自分に逆らう侍や関係者を始末しようとする蒲冠者範頼、そこに暫くとの掛声で巴御前が駆けつける「女暫」。白拍子と出会った樵の正体が実は「鬼次拍子舞」。油屋河内屋の次男与兵衛は放蕩がすぎて勘当されたものの明日までに借金を返さないといけない、窮して幼馴染ですでに結婚している豊嶋屋の女房お吉を訪ねるが「女殺油地獄」。

男版も含めて初見だった「女暫」はネタだくさんの顔見世芝居で、七之助の堂々たるふざけっぷりに拍手。踊りの良し悪しはわからないものの良さそうな踊りと揃った音楽の「鬼次拍子舞」では、節はあるもののわかりやすく語ってくれた謡が一部あって耳を引いたので(中央の人)、いつもあのくらいでやってほしいところ。「女殺油地獄」はAプロ。心の弱さがある時は甘えにある時は辛抱の利かなさになって遂に思い詰める与兵衛はおそらく現代風の役作りメソッドと相性がよさそうなれど幸四郎の役作りにぶれがあって芯が見えず惜しい。女暫でも女鯰若菜で活躍した新悟がここではお吉を好演して要注目、徳兵衛の歌六とおさわの梅花とおかちの宗之助もよい感じ、白鸚休演が残念。

ヨーロッパ企画「インターネ島エクスプローラー」本多劇場

<2026年1月11日(日)昼>

冒険心を胸に抱いた子供のころに話を聞いて以来いつかは行きたかった幻の島、インターネ島。情報を集めているうちに大学の冒険部で同期に差を付けられて、結婚したものの離婚されて、卒業後に破れかぶれで乗りだした航海。ようやく辿り着いたはずの幻の島だったが・・・。

壮大な設定と馬鹿馬鹿しさを真面目にやって期待通りの一本。探検できるような広い島という場面転換の難しい設定を強引に実現してみせるところが最高に好ましい(前方客席だと暗転中に目をこらしてみると楽しい)。劇団員になった金丸慎太郎が少年の冒険心を抱きつつ拗らせた主人公を好演、劇団員とゲストがばっちり固めて隙なし。芝居初めとして笑わせてもらった。

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