2010年7月30日 (金)

さいたまゴールド・シアターは500日にして成る

本屋で暇つぶしの本を探していたら見つけたのが「蜷川幸雄と『さいたまゴールド・シアター』の500日」という本。いつも平田オリザばっかりじゃつまらないからたまには蜷川幸雄でもと思って、読んでみたらこれが面白い。

一度だけ観た「アンドゥ家の一夜」の観劇録には「蜷川幸雄が相当鍛えたのではないかと推察されます」なんて書きましたが、やっぱり鍛えたようで、しかも発声やダンスも専門家を呼んでトレーニングしていたようです。

意地の悪いことを言えば、年寄の冷水はどうでもよくて、観て面白いかどうかが観客にとっては一番大事なわけですが、それを最も承知していたのも蜷川幸雄で、観賞に堪えうる水準に持って行くまでにそれこそ身を削るような努力をしています。初の本公演を前に
「精神安定剤飲んでる。家に帰るとぶっ倒れてる。ぼくより年齢が上の人もいる。でも思わず罵倒の言葉を口走る。ずいぶん自分では抑えているつもりなんだけど。大変ですよ」
というくだりは、こちらが手に汗を握ります。

あと、マスコミの取上げかたや行政のバックアップについても、あんなに関心を払って感謝しているのは、失礼ながら意外だった。でもこちらのインタビュー記事では
お客さんに観てもらわないことには演劇は始まらない。たとえば(自分が芸術監督を務めている)彩の国さいたま芸術劇場なんて都心から離れているわけで、相当の発信力がないとお客さんには来てもらえないんだよね。(中略)俳優、演出、ドラマ全体、それぞれが見たい人がいるんだから、それぞれにアプローチできるものにしなくちゃいけないとはいつも考えてる。チラシのデザインだってそのひとつだよね。つまり演劇が持ってるいろんな要素の中の、せめて3つぐらいは話題になるものを打ち出していかないとお客さんは足を運んでくれないよね
と話しているくらいなので、やはり長くトップを張る人はいろんな面にまで気を配れないといけないのだな、と改めて発見する。

ついでにいうと、さいたまゴールド・シアターは、家庭の事情はいろいろあれど、経済的には比較的余裕がある。でも(だからこそ?)熱意はすごい。この本を読んだ後に、インタビュー記事の前編を読むと、若者負けてるよ、って思う。努力が足りないと判断した人を減らすのは、税金を使って運営している以上、それは正しい。

ただ、蜷川幸雄が今の時代に日本の若者だったら、果たして世に出られただろうかとも思う。減らしたのはいいけど、減らされた人たちのことは、ほんの少しでいいから、暖かく見てあげてほしい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

2010年7月24日 (土)

PARCO劇場で団体販売をしている

三谷幸喜の話でホームページを覗いていたら、団体様募集のページがあった。今までこんなのあったっけか。

最近はPARCO劇場をもってしても不況なのか、企画力が落ちているのか、どちらなんでしょう。もし三谷幸喜の芝居でも団体販売が可能だったら、そっちでチケットを確保してバラ売りする輩が出てきたりはしないんだろうか。気になる。

でも、速報ページを1ページでも用意して早速宣伝しているのはよい。世田谷パブリックシアターも東京芸術劇場もニュースすら載せていない。ここら辺のフットワークの重さというか連携の足りなさと言うか頭の固さと言うか、どうにかならんのか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

これだけ煽れる三谷幸喜の人気と知名度と実力はすごい

まあまずは日刊スポーツの記事を読んでください。

1月7日に藤原竜也、中村勘太郎、吹石一恵の3人芝居「ろくでなし啄木」(池袋・東京芸術劇場ほか)の公演がスタート。小日向文世、段田安則らが出 演し、ナチス幹部と映画人を描いた舞台「国民の映画」(3月7日~、パルコ劇場)、ロンドン留学中の夏目漱石を描いた舞台「ベッジ・パードン」(6月6 日~、世田谷パブリックシアター)と続く。同作には野村萬斎、深津絵里らが出演する。

 その後もWOWOWドラマ「ウォーキング・トーキング」、映画「ステキな金縛り」が来年秋公開され、西村雅彦、近藤芳正の舞台「90ミニッ ツ」(12月、パルコ劇場)の公演がある。三谷氏は「50歳になると先が気になる。書く作業はパワーがいるので、60歳くらいまでかなとも思う。書けるう ちに書いておきたい。最初で最後の記念イベント」と話した。

三谷幸喜みたいな目立ちたがり屋が60歳で諦めるわけがなくて、死ぬまで書き続けるに決まっているんだけど、それでも上の4本のラインナップ、芝居好きでそそられないわけがない。

で、どの作品が一番気になるかで、その人の芝居の趣味がわかりますよね。最後の一本だけ内容が不明だし、観られるものなら全部観たいけど、一本だけ選べと言われたら私は「国民の映画」かな。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

2010年7月20日 (火)

緊急口コミプッシュ:こまつ座「黙阿弥オペラ」紀伊国屋サザンシアター

感想はこちら。こんなチケット代の高い芝居をプッシュしたくはないんですが、このエネルギーにはやられた。吉田鋼太郎が強すぎる。もっといえば井上ひさしをプッシュするのはあまり好かないのですが、これは栗山民也の手柄ってことにしておきます。

8月22日までですが、当日券は抽選なので、くじ運のない人は早いうちから何度か挑戦するつもりでどうぞ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

こまつ座「黙阿弥オペラ」紀伊国屋サザンシアター

<2010年7月19日(月)昼>

江戸末期。深夜に身投げを助け合った2人が蕎麦屋でお互いの境遇を語り合う。その一人が後の黙阿弥こと河竹新七。この日を境にどうにも暮らしに困った男たちが蕎麦屋に集まってしまう。その日にちょうど起きたある問題を解決しようと、蕎麦屋の女主人の発案で株仲間になってしまった男たちが繰広げる、開国前後のあれやこれや。

井上ひさしが亡くなっていなければ男3人の新作芝居だったようですが、まあ新作はこれからずっと遅筆堂なのでこの再演。キャストも豪華で期待していたら、期待以上の出来でした。3時間半を感じさせない熱演に、惜しみない拍手。

江戸から明治にかけての生活の変わりっぷりと、それを生き抜く庶民のたくましさを、江戸の風習を守る黙阿弥、ひょんなことから外国に通じることになったおせん、その間で右往左往する男たちの配置が見事。そして膨大な台詞、台詞、台詞。みんな台詞回しが上手なもんで、聴いていて楽しいです。

この芝居、普通にやったら多分つまらなくて、成立させるためにはかなりのエネルギーが必要と思われますが、吉田鋼太郎と藤原竜也をはじめとして、ものすごい勢いが舞台から伝わってきます。藤原竜也がいつの間にか上手くなっていたり、エロがなくても内田慈が魅力的だったり(髷は似合っていませんでしたけど)、北村有起哉や熊谷真実が格好よかったり、役者に発見がいくつもありました。ここまで役者の力を引出した栗山民也も褒めておきます。特に前半の最後はやられそうになった。

政府に文句をつける場面も出てくるんですけど、それは全体には少なくて、やっぱり井上ひさしは21世紀より20世紀の脚本のほうが面白いんじゃなかろうか。こんな座組で観られることは多分もうないと思うので、チケットが高いのは難点ですが、ぜひ観ておいてください。どの席でもまず見切れませんのでそれはご安心を。

勧めたからには当日券情報。1時間前に集まって締切、そこで並んだ順に番号札を引いて、その順番で再整列して販売。今回は27人並んで、直接販売5枚、キャンセル販売がたしか4枚。こまつ座はいつも当日券販売が少なくて、以前の別の公演ではこれより少なかったこともあり。しかもキャンセルが少ないです。当日券狙いの人は公演期間の早いうちに行って、失敗したらもう1回挑戦するくらいの予定でみたほうがいいと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

ナイロン100℃「2番目、或いは3番目」下北沢本多劇場(若干ネタばれあり)

<2010年7月17日(土)夜>

なんらかの出来事で国全体が大被害を受けてからしばらく経過したある町に、他所の町からやってきた5人。被害者救済を謳っているが、町の被害が大きい割りに、住人の悩みは少なくて世話になるあり様。しかし微妙におかしい雰囲気は隠されていて・・・。

最近のKERAというより、ちょっと前のナイロン100℃に近い感じ。でも政府の人間がかなり適当な扱いになっていたり、登場人物のひとりの最後がほったらかしにされたり、なんかいまいち。

全登場人物がフラットすぎて、背景を感じさせる場面が少ないのが残念。全体に笑いが少ないならそれでもいいけど、今回は大倉孝二に笑いを頼りすぎでちょっと強引。客演の若者役2人も、あのくらいの出番だったら若い劇団員を抜擢してほしかった。演技力を見て出番を調整した結果あのくらいの出番になってしまったんでしょうか。そんな中で、犬山イヌコと松永玲子の昔の男を巡るやりとりは数少ないスリリングな場面で、ベテラン劇団員主体なのにそういう場面が少なかったことを後から思い返して愕然としたり。

ラストがハッピーエンドっぽいのは、まあ最近幸せでキャスティングもされているしそういう芝居が書きたくなったんだろうかとも思いますが、野田秀樹みたいにちょっときもちのいい長台詞だったのはびっくり。昔は劇中でそれを笑いの対象にしていたのに。でも余韻はいまいちで、KERAでもこれから勉強が必要な分野ってものが芝居の中に残されているのかと思うといろいろ考えさせられる。

すごい悪く書きましたけど、そこらの芝居よりはずっといいですよ。ただ、個人的には「世田谷カフカ」のほうがエネルギーにあふれていたなと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

2010年7月12日 (月)

モダンスイマーズ「真夏の迷光とサイコ」青山円形劇場

<2010年7月11日(日)昼>

丘の上の屋敷に引きこもる車椅子の女性。役目を与えられて本名と違う名前で呼ばれる使用人。彼女に見えるのは一人の男性の生活。二人の日常が交錯する。

話題になって久しいのに今さら初見のモダンスイマーズ。これをもっと劇団初期に、もっと小さい劇場で観ていれば可能性を感じたのかもしれないけど、ちょっと期待が大きかった分だけ外した感あり。

一番つらかったのは、交錯するのはいいとして、展開が個人的に「だからどうした」になってしまったこと。男性編はそれなりにわかるんだけど、そこに女性編を絡ませる意図がわからない。意味らしい意味があったのは最後の最後だけで、それだけのために引張るには女性編は不可解というか説得力不足。

ただし役者の上手さには目を見張るものがあった。主役の二人とドラム担当以外は二役を演じるんだけど、よかった。特に古川悦史と岡野真那美がよかった。調べてみたら前者の文学座はほほう、って感じだけど、後者は新国立の演劇研修所一期生だった。育っておりますな。反面、YOUはもう少し頑張ってほしかった。一人だけ華やかさが違うし、使用人を使い慣れている雰囲気の上手さはさすがなんだけど、ウマヘタ(ヘタウマではない)だった。もう少し緩急があってもよさそうなもんだけど、演出の間違いなのか演技力の限界なのかどっちなんでしょう。その他でいうと、ドラムをメインに使った音響とすっきりした衣装は好み。

駄目な点は、当日券の席(Cブロック)に背を向けることが多い演出。机を斜めに配置して椅子の位置を工夫すれば回避できるのに、どうしてああなるんでしょう。昔、KAKUTAの青山円形劇場初演でもひどい目にあったことがあって、今回はそこまでひどくないんですけどやっぱり円形を考慮した演出まで気が回らないんでしょうか。

そこしかないって言われたから当日券だししょうがないと納得して買ったのに、開演してみたらいろんなブロックで端の一列+最前列二席が空いているのが円形劇場なだけに芝居中も目に入って、ああこれはきっと有名人向けに備えていた関係者席が目一杯ドタキャンされたのかな(正式な経路で売れ残ったなら引揚げて当日券にまわされるはず)、とか考えながら当日券で外れ席から観る芝居のがっかり感というものをもう少し制作者におかれましては気にしていただきたく。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

2010年7月 4日 (日)

7月のメモ

気になる芝居をメモしておかないと忘れてしまうので。参考は「しのぶの演劇レビュー」メルマガより。

・野田地図「ザ・キャラクター」06/20-08/08 東京芸術劇場中ホール:早めに観たい
・ナイロン100℃「2番目、或いは3番目」06/21-07/19 下北沢本多劇場:見逃せない
・青年団「東京ノート」07/02-07/17 新国立劇場特設会場:時間が空いたら
・Bunkamura「ファウストの悲劇」07/04-07/25 Bunkamuraシアターコクーン:評判を聞いてから
・モダンスイマーズ「真夏の迷光とサイコ」07/08-07/18 青山円形劇場:Youが出演ってところで「エネミイ」よりはこちらを
・こまつ座/ホリプロ「黙阿弥オペラ」07/18-08/22 紀伊國屋サザンシアター:観たい
・男子はだまってなさいよ!「天才バカボン」07/23-08/01 本多劇場:配役が豪華すぎる
・劇団、江本純子「婦人口論」07/15-07/25 東京芸術劇場小ホール1:江本純子は期待できる
・新国立劇場演劇研修所「朗読劇 少年口伝隊一九四五」07/30-07-31 新国立劇場小劇場:気になっているのにまだ観ていない研修所

さて、何本観られるか。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

2010年上半期決算

2010年上半期決算

恒例の決算です。一部順番を変えてあります。

(1)Bunkamura主催「東京月光魔曲」Bunkamuraシアターコクーン
(2)PARCO PRESENTS「志の輔らくご in PARCO」PARCO劇場
(3)(4)青年団「カガクするココロ」「北限の猿」こまばアゴラ劇場
(5)阿佐ヶ谷スパイダース「アンチクロックワイズ・ワンダーランド」下北沢本多劇場
(6)Dart's 「In The PLAYROOM」Gallery LE DECO 4
(7)青年団「革命日記」こまばアゴラ劇場
(8)チェルフィッチュ「ホットペッパー、クーラー、そしてお別れの挨拶」ラフォーレミュージアム原宿
(9)パルコ企画製作「裏切りの街」PARCO劇場
(10)劇団、本谷有希子「甘え」青山円形劇場
(11)(12)(13)新国立劇場主催「夢の裂け目」「夢の泪」「夢の痂」新国立劇場小劇場

以上13本、隠し観劇はなし、チケットは1本のラッキーチケット以外はすべて公式ルートで購入した結果、

  • チケット総額は63350円
  • 1本あたりの単価は4873円

となりました。半分が新国立劇場と青年団ということで、単価が一気に5000円を割りました。ただし、時間があれば6月中に観られたナイロン100℃や野田地図が入っていませんので、あまり真に受けられない数字です。

上半期は、芝居を観に行く時間が取れなかったことに尽きます。1月、飛んで4-5月、最後に意地でシリーズ物の1本、という感じです。観に行ったものの当日券が取れずに見逃したこともあったのですが、他の予定が優先する、あるいは疲れすぎて出かけられない、というのがこんなに多い期間は初めてでした。こうやってみんな芝居の観客人口からフェードアウトしていくんだろうな、それでもたまに観るとしたら鉄板の有名芝居だけになるんだろうな、というのがよくわかりました。

この感覚がわかる人で、さらにこの状況を踏まえて戦略を立てられる人が演劇界にいて、いろいろ試みてもらえるといいんですけど、どうなんでしょう。個人的には、聴きに行っていませんけど、「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン『熱狂の日』音楽祭」の企画は素晴らしいと思います。毎年ゴールデンウィークに集中させる開催時期、圧倒的に大量のプログラム、別のホールまで1分で行けるというあの密集間、有名な(ここ重要)作曲家の曲で統一したわかりやすさというのは、敷居の高いクラシック音楽に無関係な人でも興味を持つように仕向けるのに十分な資格を持っていると思います。あれに比べたら「フェスティバル/トーキョー」なんて、個々のコンテンツの質はさておき、芝居に無関係な人間を振向かせる、忙しくてもその時期だけは確保する、というところには遠いです。音楽は学校で習うけど芝居は習わないとか、いろいろ音楽有利な理由はあると思いますが、それはまた別の機会に。

7月は面白い芝居が目白押しなので、少しでも観に行ければと思っているのですが、そういっている今週末からして観にいけなかったので、先が思いやられます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

2010年6月29日 (火)

ワールドカップ期間に公演を企画した劇団は何を考えたのだろう

どうなんでしょう。サッカー人口と芝居人口が重なっているという情報があるわけではないんだけど。それにしたって予想外(私は予想外でした)の予選突破で、今日なんて当日券はどこもガラガラなんじゃないか。

ワールドカップを飲み込まんばかりに思いっきり期間が重なっているナイロン100℃は、劇団とKERAの確固たる人気と実績があればこそ。それとも、この期間が不人気だからあえて安く劇場を借りられたりしたのか。野田地図くらいまでいくと、もういつでもいいっス、くらいなのかな。

芝居は前売がほとんどだから大丈夫って考え方もある。でも身内客が多い小さい劇団は大丈夫なんだろうか。いや、身内が多いからこそ義理堅く劇場に足を運んでもらえるとか。

別に23時なら間に合うじゃないか、と考えるのは都内の便利な場所に住んでいる人。明日仕事なのに終わったら1時だし、事前に風呂入って、明日の用意をして、瞑想して(?)、準備万端でゆったり観たいのがファン心理。もし3時半の試合を観たいなら、むしろ仕事が終わって帰ってすぐ寝て、3時半に起きて観て、終わったらそのまま仕事に行って定時でさっさと帰る、とか。

何でこんなことを考えたかと言うと、チェックしているいくつかのサイトの更新状況が悪いこと。いや自分も更新が滞っていて、それは仕事のせいで、他のサイトもそうかもしれないんだけど、チェックしているサイト全部の更新状況が悪いと言うのは妙だ。ということで考えてみたわけです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)
|

«新国立劇場主催「夢の痂」新国立劇場小劇場