NODA・MAP番外公演「THE BEE(日本バージョン)」シアタートラム(ネタばれ有り)
<2007年7月8日(日)昼>
仕事を終えたサラリーマンが帰宅しようとすると、自宅に脱獄犯が立てこもり、妻子を人質に取っていた。周囲を封鎖する警官に様々訴えるも、なんら具体的な対策は教えてもらえない。そこで脱獄犯の説得を依頼するために脱獄犯の妻に会いに行くが、彼女はまったく取りあわない。業を煮やしたサラリーマンは、脱獄犯の妻子を人質にとり、脱獄犯に対して家族の解放を要求する。
短い芝居なので粗筋がすでにネタばれっぽいのはご容赦。筒井康隆の原作は読んだはずだけど覚えていない。舞台に障害物がないので立見でも見切れなし。
内容はきつい話。野田秀樹の悪人が全然怖くないのと、いかにも野田秀樹らしいシンプルな舞台を駆使した演出が全体を和らげる。代わりに、銃や鉛筆やテレビ番組などの小道具、ストレートな強姦といった暴力要素が前面に出ているあたりは、近年の野田秀樹の特徴。
芝居前半は全員いろいろな芝居を見せてくれるのだけど、後半が野田秀樹の一人芝居みたいになってしまうのがもったいない。せっかくの豪華な役者陣なら、キャスティングを入替えたほうがよかったなと思う。とても真面目な演出だけど、前述の通り野田秀樹の主人公があまり怖くない。狂気がエスカレートする段階をすっ飛ばしているので、芝居のスピード感は出ていても物足りなさを感じる。秋山奈津子はこの役ならば彼女でしょう、というキャスティング。ただしこの路線の候補があまりいないのは寂しい限り。
最近いろんな人が映像を使うようになってきたけど、今回も映像を上手に使っていた。特に最後がよかった。でもやっぱり「アンデルセン・プロジェクト」のロペール・ルパージュの衝撃は超えられない。映像メインでないから十分ですけど。
以下雑感。
その1。カーテンコールでロンドン版のチケットの宣伝をしていた。単なる予感だけど、この芝居はロンドン版の方が面白そう。売れなさすぎでは困るけど、当日券派の私としてはチケット入手が簡単なのはありがたい。
その2。当日パンフに日本版とロンドン版のスタッフが記載されているけど、これが結構面白い。英語の参考にもなります。照明ではDesignerとAssistant to DesignerとCoordinatorとOperatorとが掲載されているし、国際貨物輸送とか法務アドバイザーなんてあたりは海の向こう感が漂っていて、なんかよいです。舞台監督に直接該当するのはプロダクションマネージャーでいいのかな、きっと担当範囲が違って訳しあぐねたのかな、とか想像してしまう。
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