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2007年9月18日 (火)

シアターナインス「シェイクスピア・ソナタ」PARCO劇場(若干ネタばれあり)

2007年9月17日(月)昼

旅公演を中心にシェイクスピアを上演する沢村一座。公演の最終地は座長の亡くなった先妻の実家に用意される仮設劇場で行なう事が恒例となっている。だが、先妻が亡くなった直後に一座の女優と再婚した今年、これまで支援してもらっていた先妻の実家に対する緊張がある。上演こそできているものの、先妻の妹夫婦からの冷たい視線と、一座内の揉事が重なり、しかも義父は出張先から戻ってこない。座長の心痛は増すばかり・・・。

随所にシェークスピアの台詞を取入れ、色々ほのめかしながら進む岩松了の脚本演出に満足。ほのめかしに耐えられない人は公式サイトで事前情報を仕入れていくのが吉。

ややこしい背景で、名前だけしか出ない人物もいますけど、基本的には屈折した登場人物達は誰かが好きで、しかも寂しいんだよ気づいてくれよっていう、その感情を素直に出せないという話。と思っておけば大丈夫、なはず。その屈折をあの手この手で描いて進んでいくのが、よいのですよ。

松本幸四郎ってテレビで観ても好きになれなかったんですけど、こういうヒネた芝居では、非常によくはまる。先妻の妹役の伊藤蘭と、その夫で専務役の高橋克実は、なんというか、役の背景をとても感じさせてくれる演技でした。もったいなかったのは松本紀保で、この人の所作とか声とか気になる役者のひとりなので、「OUT」みたいに出番を増やしてほしかった。まあこの立場で他より目立ったらいかんとは思うけど。

あとですね、岩松了はおいしいだけの役をよく考え付きますね。しかも高橋克実の役をやらせたくなるくらい上手いのがかえって憎たらしいというか(笑)。

シェークスピアの台詞が大量に引用されているっぽいのですけど、それを理解するには知識が足りない。そこは台詞というより音を楽しむ。「結局ハムレットはオフィーリアのことが好きだったんですか?」には笑ってしまった。

当日券でも結構良い席が空いていましたので、高い芝居ですけど気になっている方はぜひ。

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