パルコ企画製作「キャバレー」青山劇場
2007年10月7日(日)夜
第二次世界大戦前のベルリンのキャバレー「キット・カット・クラブ」は連日大賑わい。そこの歌姫サリーは、客のアメリカ人クリフと恋に落ちる。幸せな生活を誓った2人だが、近づく戦争が2人の周囲に忍び寄る。
なんかいろいろと有名なミュージカル。来日公演で過去に観たことがあるけど、それよりもずっと面白い。翻訳臭を取除き、不自然な場面は小ネタで馴染ませ、さらに松尾スズキのオリジナリティーに最強の出演陣が加わって出色の出来。ひょっとして日本のミュージカル史上もっとも自然で違和感のない出来なのでは。
とにかく主要な出演者の仕上がりが素晴らしい。松雪泰子の歌とか、阿部サダヲのMCとか、小松和重の貫禄とか、平岩紙の無邪気さとか、森山未來の素直さとか、村杉蝉之介の怪しさとか。秋山菜津子はもはや別格の域。ダンサーも奏者も、上手な人を集めています。曲がいいのは元からですけど、演奏は特に気に入りました。上手いですよね?(<観てきた人)
あと訳詞が、適度に英語を残したりいまどきの口語を混ぜたりしつつ、音符の数からそれほど離れないように言葉を選んで、とにかく不自然さを感じない。クラブやパーティーの場面が多いので歌う場面自体に不自然を感じないで済むのも大きい。
その上で脚本本来の暗い部分がはっきり浮び上がるような、メリハリを持たせている。洋モノのミュージカルに対して松尾スズキの演出力が圧倒的に上回った感あり。
ミュージカルが好きな人はもちろん、ミュージカルが苦手で敬遠している人にこそ勧めます。これで無理ならミュージカルは当分諦めた方がいいくらい。高いですし、チケット取りづらいですけど、そこを何とか工面して一度キット・カット・クラブに行って御覧なさいな。
と絶賛して終わってみる。いやほんと、ミュージカル苦手の私が言うのですから。
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