NODA・MAP「キル」Bunkamuraシアターコクーン
<2007年12月30日(日)昼>
モンゴルの草原でファッションを生業とする遊牧民の息子として生まれたテムジン。ファッション戦争に敗れさった父の後を継いで勢力を拡大していく。やがて敵を討った彼は、シルクという名の美しい娘を手に入れる。
以下略。あらすじが無くても別に構わないでしょう。野田秀樹が留学から帰国して作った最初の芝居。再々演するだけのことはあって前期野田秀樹のエッセンスがすべて詰まった名作。テレビで初演は観ていました。
事前予想では妻夫木聡と広末涼子の主役2人が駄目でぶち壊しなんじゃなかろうか、特に広末涼子は「スジナシ」の収録を実際に観たので(画面で観るのと舞台で観るのとで全然違う)、起用に不安だらけだったのですが、観始めたら杞憂に終わりました。出だしこそいまいちでしたが、段々温まってきて、後半からは安心して観ていられました。堤真一と羽野晶紀のクローンっぽい演技と思わないでもなかったですけど、この芝居はそういう演技を要求するものだと考えれば、そんなに気になりません。見直したというか、悪い予想を立てて正直すまなかったと。
結髪役の勝村政信、人形役の高田聖子は実力全開で、硬軟両面で舞台を支えます。この2人がしっかりしていたおかげで、前半は安心して、後半は盛上がって観られました。あと市川しんぺーが予想以上にはまっていました。ちょっと残念だったのは小林勝也と中山祐一朗で、野田秀樹のリズムに乗れていませんでした。
そうはいっても、前半最後から客席点灯までの音楽と照明のタイミングとか、芝居全体のスピード感とか、無茶な設定なのにつじつまが合ってしまうところとか、ちょっといいことを言う最後の長台詞(笑)とか、最近こういう芝居を観ていなかったせいで新鮮な気分で観てしまった。今回は立見だったのですが、これなら来年もう一回指定席で観たいな、と素直に思いました。
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