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2008年4月30日 (水)

東宝製作「ラ・マンチャの男」帝国劇場

<2008年4月29日(火)夜>

宗教裁判が横行する16世紀のスペイン。教会を侮辱した容疑で投獄された詩人のセルバンテスとその従者。牢名主に品定めの牢内裁判を開かれたセルバンテスは、自分の抗弁の代わりに即興劇「ラ・マンチャの男」を、囚人たちも巻きこんで上演する。年老いてなお読書が過ぎたため、ついには自分を騎士ドン・キホーテと思い込み旅を続ける男と従者の運命や如何に。

これも名前は聞いたことがあっても詳細は全く知らない芝居。ドン・キホーテは劇中劇だったことを初めて知った。見所が点在して途中は眠たくなったけど、最後は泣きそうになった。いい脚本です。ただし公式ページのストーリー解説は詳しすぎるので事前には見ないほうが無難。

朗々としゃべるけど音(おん)を重視しすぎて不自然な松本幸四郎は、正直いまいちでした。本編?である牢獄内の場面や、風車に向かう有名な場面などをあっさり終わらせすぎて、演出の強弱も不満。

その分を補って余りあるくらい松たか子がとてもよい出来で、あばずれ女と呼ぶほどではないのですが、強気で正直な女がはまっておりました。喧嘩の場面もきれいな立回りで、新感線の「メタル・マクベス」以来のできです。松たか子は暗い要素のある役だと魅力が出てくるようです。

夢は稔り難く
敵は数多なりとも
胸に悲しみを秘めて
我は勇みて行かん

よい歌詞です。それだけに「仕上がりがもったいない」という感想になってしまいます。2階席だったのですが、劇場が広すぎたのも物足りなさを助長していました。松尾スズキの演出、主演で、松たか子が大人計画に客演して、シアターコクーンで上演したらさぞかし面白いと思うのですが。

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2008年4月25日 (金)

ボリショイバレエを招聘する太っ腹なパトロン

こちら

温水洋一じゃないですよ。

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2008年4月23日 (水)

舞台の宣伝は難しい

藤原紀香主演のミュージカルの宣伝(広報)についてTHEACONが一刀両断しています。何でも応援するTHEACONがこれだけ書くのも珍しい。まあ最初に別のサイトで見かけたときに「柔軟体操が宣伝になるってのもどうよ」と思ったのは事実だが。

と思ったら、ちょうど宮藤官九郎の映画の宣伝が載っていた。記事が削除されると通じなくなるので引用もしておく。

映画は、宮藤さんが昨年書き下ろしたオリジナル脚本を映画化。レコード会社の新人発掘担当の契約社員のかんな(宮崎さん)はある日、弾けたパンクバ ンド「少年メリケンサック」の動画を見つけ、社長(ユースケさん)の命令でそのグループの契約を取るため会いに行く。すると、映像はかなり以前のもので、 実際のメンバーはアキオ(佐藤さん)やハルオ(木村さん)の兄弟やジミー(田口トモロヲさん)など50歳過ぎのオッサンたちだった。そんなことも知らず、 社長は全国ライブを次々に組み込み、同行することになったかんなは協調性なしのメンバーたちに振り回され……というストーリー。

会見にバンドのメンバーたちは撮影で着用しているパンキッシュな衣装で登場。バンドの最終目標を聞かれ、佐藤さんは「まあミリオン(ヒット)ですよね。 この映画から確実に3曲は」と豪語。木村さんも「印税生活で曲を南の島で聴きながら過ごしたい」、田口さんは「ミリオンの後はワールドツアーですね」と夢 を大きくふくらませていた。そんなメンバーたちを見守るマネジャー的な役の宮崎さんは「ライブ前にメークしている姿を見て、頑張って(ステージに)行って らっしゃいと思うようになった。けがのないように無事に帰って来てほしいとお母さん的な感覚になりました」と母性本能をくすぐられたようだった。公開は 09年春を予定している。

事前に打合せていたとは思うけど、こうやって読むとよく出来た流れだ。

宣伝とか広報って難しいですね、というオチのない話です。

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2008年4月21日 (月)

Bunkamura企画製作「どん底」Bunkamuraシアターコクーン(ネタばれあり)

<2008年4月19日(土)夜>

ロシアの地方のある村にある安宿。光も差さない不衛生な地下室にはその家賃にも苦労するような人々が相部屋で、大家からの取立ておびえながら暮らしている。ある日この宿に巡礼の途中であるという老人が宿泊する。ささいなことで諍いが絶えない住人を諌めたり慰めたりする老人に触発され、少しずつ皆の心が前向きになっていくのだが・・・。

読んだことはなくても題名だけなら誰もが知っている「どん底」を、ネタのためなら時代考証も無視するKERAの演出で上演。もはや驚かない3時間15分の長丁場ですが、長さが気にならない面白さです。

地下室の住人は貧困にあえいで、それでもそれなりに楽しく過ごし、時には助け合う人たちです。演技で観ているとものすごく魅力的なのですが、住人たちを取巻く環境がそれ以上よくなるような希望はまったくありません。大家の一家は貧しさこそ逃れているのですが、不信と諍いが絶えません。お金だけでは幸せになれないという典型です。彼ら彼女らに足りないのは「明日は今日よりもよくなる」という希望と、それを信じる心です。

そして希望を語る老人はすばらしいのですが、その希望が却って状況を悪化させる原因になってしまいます。ほんの数日立寄っただけの人による親切は、結果を見れば不親切に終わります。それで環境が改善されたのは、老人から何も励まされなかった饅頭屋だけです。

ひとりだけ、原作に新たに追加されたという正体不明の男は実は記者で、これは容赦なく人間のくずとして描かれています(笑)。他人を踏みつけて生きてきた人間の嫌らしさを短い台詞であらわしています。いくら生活に困らないとはいえまったく羨ましくない人物です。

人間に対する信頼と、そんなものを蹴散らすような冷徹さが混ざって、なんというか、現実主義なんでしょうか。どこまでが原作でどこまでが脚色演出なのかはわかりませんが、100年前の芝居とは思えません。幸せや希望や現実はいったい何なのか、選択肢の限られる人間がいったいどうやって過ごすべきなのか、考えさせるけど主張は提示されません。真面目に考えようとするなら、これほどきつい芝居もない。その混沌を、混沌のまま、上手に舞台化するKERAの腕前が発揮された芝居です。

そんな芝居を明るくしてくれるのは華も実もある豪華キャスト。KERA演出に役者の外れはないし、というか今回大当たりだし、段田安則や江口洋介や荻野目慶子や緒川たまきを褒めてもいいんですけど、それよりも目を引いたマギーと松永玲子をべた褒めしておきます。演技を演技と思わせないくらい伸び伸びとして住人のたくましさを全身で体現したマギーと、売春婦の強さと弱さを交互に出して魅力を十二分に振りまいた松永玲子の2人が、今回のキャストの中でも拳ひとつくらい目立っていました。

ひとつだけ残念だとすれば、これだけはどん底とはいかないチケット代です(苦笑)。私はとてもいい席で観られて満足しましたし、ぜひお勧めしたい芝居なのでが。立見も出ていますから、お金に余裕はないけど体力に自信のある人は立見を狙ってはいかがでしょうか。ちなみに見切対策で上手を優先的に発行しています。そういう細かさがありがたいシアターコクーンです。

ただ、先日観た「バーム・イン・ギリヤド」もそうですけど、本当にここのところ、きつい現実を描いた芝居が多いですね。人間が現実にそれだけ追いつめられているということでしょうか。

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2008年4月16日 (水)

以前書いたエントリの続報:野田秀樹と奥菜恵

その1:

野田秀樹が東京芸術劇場の芸術監督に就任して、よせばいいのにと書いたら、昔馴染みの高萩宏が副館長に就任したそうな。そういう当てがあって、引受けたんだな、と納得。そうは言っても劇場を作り変えられるわけでもなし、ラインナップ待ちなのは同じですけど。

高萩宏氏はひょっとして、世田谷パブリックシアターでアフタートークが行なわれるときに、「そろそろ時間ですので・・・」って言いに来ていた人かな?

その2:

奥菜恵が引退で残念がっていたんですけど、どうやら今回復活するようで、しかも第一弾は阿佐ヶ谷スパイダースの4人芝居をベニサン・ピット。それはそれで目出度いのですけど、切込隊長他でいろいろ書かれているようなので、女優の実力に期待している身としては、あまり私生活の話題を先行させてほしくないのが正直なところです。

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2008年4月 7日 (月)

the company「バーム・イン・ギリヤド」シアターモリエール

<2008年4月6日(日)昼>

ギャングや娼婦がたむろするニューヨークのあるダイナー(食堂)。かつて姉が常連だったこの店を訪ねてきたガーリーンは、やはりこの店の常連であるジョーと出会い、引かれあう。そんな2人の周りで起きるある秋の物語。

tptから発足したthe companyの実質旗揚公演。オフ・ブロードウェイと銘打ってシアターモリエールに30人の役者を詰込んでの上演。最前列の席が取れたのですけど、とにかくエネルギーがすごい。数は力なり(笑)。決して遅刻してはいけません。

複雑なお約束が存在するアクティングエリアを駆使して、同時に会話を進めたり、役者をそのまま転がしておいたりすることで、荒んだ日常が段々と明らかになってきます。そこで描かれるのは、エネルギーはあっても明日への希望を持てない若者で、それを閉塞感が強まっている今の日本で上演するあたり、脚本選びのセンスがいいです。一応主人公らしき2人はいるのですが、基本的にはそれぞれの登場人物が、それぞれの絶望を背負っており、その点ではどの登場人物の間にも上下はありません。エンディングの台詞にどんな感想を抱くか、そこは観た人それぞれのお楽しみ。

演出は客とのコミュニケーションをとりつつ、大勢の役者がいる迫力を利用しており、蜷川幸雄を想像できなくもない。ただこちらのほうが、どことなく洗練されているというか(笑)、荒んだ日常といいつつ熱い志のようなものが感じられるのは、役者が若くて真面目なせいでしょうか。名前も知らない人のほうが多かったですけど、みな上手でした。携帯電話の注意その他、客とのコミュニケーションを一番とっていた役者が気になったんですが、配役表を読んでも誰だかわかりません(苦笑)。どなたか御教授を。ただ、主人公の2人(パク・ソヒと宮光真理子)はいただけない。他がよい分だけよけいに目立つ。これから楽日までにどれだけ化けるかで芝居の質が変わる。

スタッフはtpt譲りの贅沢な布陣。この規模でこのスタッフってすごいことですよ。安心して観られます。

できれば引いた席からもう一度観たいのですが、それは無理なので諦めます。次回はグリングの青木豪が書下ろす脚本を世田谷パブリックシアターで上演です。楽しみすぎます。

その他細かい点。
・当日パンフに挟まっているあらすじ説明が、あらすじでなくネタばれになっています。事前に読まないほうが吉。私はこちらで事前に確認していたので助かりました。
・舞台上で煙草をたくさん吸っているのですが、客席に煙がこないようにエアコンの向きを調整していました。最前列でも臭いはほぼゼロ。この気配りは煙草が出てくる他の芝居でも見習ってほしい(* ひょっとして特別な煙草なのかもしれない)。
・公式ページで客席の空き具合を掲載していますのでこれから観に行く人は参考にしてください。しかも終わった公演は速やかに印を変更しています。さすがゴーチブラザーズの制作。これはもっといろんな劇団が実践してもいいと思うんですけど。
・ホームページではいきなりTシャツを売っています。観に行けなかった人も、買いそびれた人も買えます。これをがめついと言うなかれ。絶対に黒字にしてやるという執念を感じます。ここらへんの商売上手もさすがゴーチブラザーズ。

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2008年4月 3日 (木)

世田谷パブリックシアター企画製作「狂言劇場その四(Aプロ)」世田谷パブリックシアター

<2008年3月30日(日)昼>

文無しになった博打打ちが屋敷に盗みに入ったものの、子供の寝ている部屋を開けてしまい、目が覚めてしまった子供が騒がないようにあやしているうちに「子盗人」。鼓3人に笛一人の構成で能楽囃子。大陸に渡って皇帝に召抱えられるも故郷懐かしさに暇乞いを願う力士に、最後の御前相撲の披露が言い渡される「唐人相撲」。

芸術監督の野村萬斎が所属する万作の会による狂言2編と能楽囃子。前半は実質35分で休憩入りと前代未聞の体験(笑)。

面白そうな設定の割りに地味に終始してしまった子盗人はすこし残念。能楽囃子は聴かせてくれるも終了のタイミングがわかりづらく拍手のタイミングがずれる。笛の音はホワイトノイズも味わうものだと突然気がついて、なんか引込まれてしまった。

唐人相撲は古典狂言では最も多い人数が登場するものらしい。力士と通訳以外はみな中国語で能を演じる、とおもったら、あれは唐音というもっともらしいけどデタラメな能独自の言葉らしい。ニーメンハオとか言っていたから「中国語も覚えるんだ」とか勘違いして損した(笑)。部分的に適当な日本語も混じっていましたが(笑)。いろいろな方法で攻めてくる相手を力士がやっつけるだけの話なんですが、方法がいろいろすぎて、楽しませてくれます。

楽しかったのですが、少なめな動きと全体にゆったりとした進行とが、地味な印象につながってしまうのがもったいない。これを改善する方法が何かないものか。

解説イヤホンを無料貸出していたのですが、数が足りないため私が入場したときにはもう借りられませんでした。協賛貸出のブルームバーグにおかれましてはもう少し台数を用意していただけると助かります。

いつも工夫を効かせた劇場内展示のポスターは、狂言関係のポスターでした。野村萬斎ってやっぱりいろいろやっているんですね。

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