東宝製作「ラ・マンチャの男」帝国劇場
<2008年4月29日(火)夜>
宗教裁判が横行する16世紀のスペイン。教会を侮辱した容疑で投獄された詩人のセルバンテスとその従者。牢名主に品定めの牢内裁判を開かれたセルバンテスは、自分の抗弁の代わりに即興劇「ラ・マンチャの男」を、囚人たちも巻きこんで上演する。年老いてなお読書が過ぎたため、ついには自分を騎士ドン・キホーテと思い込み旅を続ける男と従者の運命や如何に。
これも名前は聞いたことがあっても詳細は全く知らない芝居。ドン・キホーテは劇中劇だったことを初めて知った。見所が点在して途中は眠たくなったけど、最後は泣きそうになった。いい脚本です。ただし公式ページのストーリー解説は詳しすぎるので事前には見ないほうが無難。
朗々としゃべるけど音(おん)を重視しすぎて不自然な松本幸四郎は、正直いまいちでした。本編?である牢獄内の場面や、風車に向かう有名な場面などをあっさり終わらせすぎて、演出の強弱も不満。
その分を補って余りあるくらい松たか子がとてもよい出来で、あばずれ女と呼ぶほどではないのですが、強気で正直な女がはまっておりました。喧嘩の場面もきれいな立回りで、新感線の「メタル・マクベス」以来のできです。松たか子は暗い要素のある役だと魅力が出てくるようです。
夢は稔り難く
敵は数多なりとも
胸に悲しみを秘めて
我は勇みて行かん
よい歌詞です。それだけに「仕上がりがもったいない」という感想になってしまいます。2階席だったのですが、劇場が広すぎたのも物足りなさを助長していました。松尾スズキの演出、主演で、松たか子が大人計画に客演して、シアターコクーンで上演したらさぞかし面白いと思うのですが。
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