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2008年4月 7日 (月)

the company「バーム・イン・ギリヤド」シアターモリエール

<2008年4月6日(日)昼>

ギャングや娼婦がたむろするニューヨークのあるダイナー(食堂)。かつて姉が常連だったこの店を訪ねてきたガーリーンは、やはりこの店の常連であるジョーと出会い、引かれあう。そんな2人の周りで起きるある秋の物語。

tptから発足したthe companyの実質旗揚公演。オフ・ブロードウェイと銘打ってシアターモリエールに30人の役者を詰込んでの上演。最前列の席が取れたのですけど、とにかくエネルギーがすごい。数は力なり(笑)。決して遅刻してはいけません。

複雑なお約束が存在するアクティングエリアを駆使して、同時に会話を進めたり、役者をそのまま転がしておいたりすることで、荒んだ日常が段々と明らかになってきます。そこで描かれるのは、エネルギーはあっても明日への希望を持てない若者で、それを閉塞感が強まっている今の日本で上演するあたり、脚本選びのセンスがいいです。一応主人公らしき2人はいるのですが、基本的にはそれぞれの登場人物が、それぞれの絶望を背負っており、その点ではどの登場人物の間にも上下はありません。エンディングの台詞にどんな感想を抱くか、そこは観た人それぞれのお楽しみ。

演出は客とのコミュニケーションをとりつつ、大勢の役者がいる迫力を利用しており、蜷川幸雄を想像できなくもない。ただこちらのほうが、どことなく洗練されているというか(笑)、荒んだ日常といいつつ熱い志のようなものが感じられるのは、役者が若くて真面目なせいでしょうか。名前も知らない人のほうが多かったですけど、みな上手でした。携帯電話の注意その他、客とのコミュニケーションを一番とっていた役者が気になったんですが、配役表を読んでも誰だかわかりません(苦笑)。どなたか御教授を。ただ、主人公の2人(パク・ソヒと宮光真理子)はいただけない。他がよい分だけよけいに目立つ。これから楽日までにどれだけ化けるかで芝居の質が変わる。

スタッフはtpt譲りの贅沢な布陣。この規模でこのスタッフってすごいことですよ。安心して観られます。

できれば引いた席からもう一度観たいのですが、それは無理なので諦めます。次回はグリングの青木豪が書下ろす脚本を世田谷パブリックシアターで上演です。楽しみすぎます。

その他細かい点。
・当日パンフに挟まっているあらすじ説明が、あらすじでなくネタばれになっています。事前に読まないほうが吉。私はこちらで事前に確認していたので助かりました。
・舞台上で煙草をたくさん吸っているのですが、客席に煙がこないようにエアコンの向きを調整していました。最前列でも臭いはほぼゼロ。この気配りは煙草が出てくる他の芝居でも見習ってほしい(* ひょっとして特別な煙草なのかもしれない)。
・公式ページで客席の空き具合を掲載していますのでこれから観に行く人は参考にしてください。しかも終わった公演は速やかに印を変更しています。さすがゴーチブラザーズの制作。これはもっといろんな劇団が実践してもいいと思うんですけど。
・ホームページではいきなりTシャツを売っています。観に行けなかった人も、買いそびれた人も買えます。これをがめついと言うなかれ。絶対に黒字にしてやるという執念を感じます。ここらへんの商売上手もさすがゴーチブラザーズ。

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コメント

>携帯電話の注意その他、客とのコミュニケーションを
>一番とっていた役者が気になったんですが、配役表を
>読んでも誰だかわかりません(苦笑)。
>どなたか御教授を。

ドーピィ役の斉藤直樹さんです^^
アッカーマン演出の常連なのですよ。

薛珠麗様:

関係者による素早い御教授、感謝です。次回作も期待しております。取急ぎ。

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