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2008年6月30日 (月)

松竹製作「夏祭浪花鑑」Bunkamuraシアターコクーン

<2008年6月29日(日)夜>

腕は強いが喧嘩も早い団七九郎兵衛。夏祭りで刃傷沙汰を起こして投獄されていたが、御赦免がかなって釈放される。ところが恩ある殿様の息子である磯之丞が人を殺めてしまい、団七九郎兵衛とその仲間は、何とかして磯之丞とその恋人である遊女琴浦を逃がそうとする。先に磯之丞を逃がしはしたが、琴浦に思いを寄せる殿様の家臣が、団七九郎兵衛の舅をそそのかし、琴浦を連れ去ろうとする。返せ返さぬとの揉みあいのうちに、団七九郎兵衛は舅を手にかけてしまう。

コクーン歌舞伎で再々演、ニューヨークでも上演された人気演目。あまりにも評判がいいので千秋楽に挑戦して無事に良席で観劇。立回りあり、人情あり、通路や照明や美術を工夫した派手な演出あり、生演奏も十分、歌舞伎の楽しさをたっぷりと味わわせてくれる芝居でした。なるほど評判がよいだけのことはある。

しかも千秋楽だから後半の立回りで客席が盛上がる盛上がる。見せ場ごとに掛声に拍手喝采がひっきりなし。蜷川芝居ではおなじみの劇場背後の搬入口を出てみたら、それを知って待構えているファンが大勢。「御用」って幕が掲げられていたけど、用意がよすぎる(笑)。

カーテンコールはもうスタンディングオベーション。紙テープが降ってきて、紙吹雪が舞って、風船が飛んで、役者が練歩いて、それはそれは熱気にあふれたものだった。この作品、こんどはベルリンにも行くらしい。

しかも来年のコクーン歌舞伎は1ヶ月公演を2演目の2ヶ月公演とのこと。いろんな歌舞伎役者が出たがっているとのことなので、出番の機会を増やすつもりかな。

ただ、これだけ盛上がっていたし楽しめたけれど、やっぱり歌舞伎の台詞回しは聞き取れないんですよ。釣船三婦役の坂東彌十郎くらいならまだなんとかなるんですけど。中村勘三郎もいわゆる歌舞伎調。わからなくはないけど、台詞を解読するのに気を取られて、芝居への集中が途切れる。

あと台詞回しにも絡むけど、やっぱりテンポが遅い。あのテンポがなぜ許容されているのかわからない。

野田版鼠小僧に出ていたときの中村勘三郎や、三谷幸喜のPARCO歌舞伎ではみんな聞きやすかったし、スピード感もあったから、演出の趣味になると思います。そもそも演出家がいない歌舞伎に比べれば、演出家がいる分だけ今回は観やすくなっているとは思いますが、外部演出家による上記2本を観た身としては、なぜあのスピード感や台詞回しが歌舞伎標準にならないのか、わかりません。

芝居の内容以外では、当日券の客捌きをもう少し早くしてもらえると、休憩時間用の軽食を近所に買出しに行きやすくて助かります。事前に座席の説明をしていましたが、希望の席まで訊いて、その席の引換券を並んでいるうちに渡して、窓口では支払のみにしてしまえば、もっと早く列が進むと思います。

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