五反田団「すてるたび」アトリエヘリコプター
<2008年11月23日(日)夜>
長女、長男、次男、次男の妻のいろいろを、次男の視点で描く。
同じ話題で生とか死について見た夢をそのまま何本か舞台にあげました、みたいな芝居なのであらすじを説明しづらい。ネタばれOKならアレーシャ日記のエントリーを参考にしてください。でもここまではっきり説明すると、曖昧さに潜む面白さとか不気味さが失われてもったいない気もする。4つの椅子だけで場面転換を進めていく素早さは、最近こういう見事な展開を観ていなかったので新鮮。
当日パンフによれば思いついた内容を、思いついた段階の未分化なままに近い形で作った脚本らしいですが、(えんげきぶっくの記事によれば)やはり思いつきに近い宮藤官九郎の「七人は僕の恋人」とはまったく違うことに、個性とは何ぞやとかいろいろ考えたりします。笑いを取る合間に深い台詞を混ぜたり、余裕度が高いです。こちらのほうが展開がとっぴでマニア度は高いですが、かといって何を言っているのかわからないということもない、すれすれのバランスは保たれているのが脚本演出の腕なんでしょう。
次男役の黒田大輔が全力で優柔不断に振舞ってじたばたするのも見ごたえありですが、それを長男役の前田司郎がいなす間が絶妙。前田司郎はもっと役者としても活躍してよいのではないでしょうか。長女役の後藤飛鳥と妻役の安藤聖にMな仕打ちもある意味エロい。
苦情をひとつ。客席がぎっしりだったため入口付近も混雑していたのですが、それにしても終わってすぐに元気な声で「順番に退席していただくのでお待ちください」と案内するのは余韻が台無しです。あそこはもう少し大人な声で案内するか、あるいは事前に案内しておくか、工夫がほしいところです。
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