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2008年12月24日 (水)

KERA・MAP「あれから」世田谷パブリックシアター

<2008年12月23日(火)昼>

中学生時代に同級生で30年ぶりに再会した女性2人。それぞれ夫と分かり合えない問題を、片方は仕事に打ち込むことで、片方は不倫で紛らわしているが、そんな話をいきなり相談できるわけもない。そんな中年夫婦2組の、接点を持たせたり持たせなかったりして描く日常の危機の話。

あーもうこれは傑作としかいいようがない。夫婦のすれ違いの原因とか、登場人物の職業とか、微妙だったり微妙じゃなかったりするエロとか、あってもおかしくなさそうなちょっとした設定やイベントをどんどん重ねて絡めて盛上げていくあたりが最高です。私には味わいきれない部分もあるんですが、似たような経験を持っている人が観るとより深く味わえるのではない かと思います。ラストはちょっと予想外だったのですが、あれが今の気分ってやつでしょうか。主人公が女性2人なので、女性のほうがより感情移入できそうです。

高橋克実-高橋ひとみの夫婦と、渡辺いっけい-余貴美子の夫婦で、脇でも贅沢な役者をそろえて、はずれなし。というか豊作。高橋克実、高橋ひとみ、余貴美子、山西惇たちの演技を堪能した一方で、渡辺いっけいにもっと出番がほしかったとか、植木夏十のツンデレ娘と赤堀雅秋の乱暴者と萩原聖人のちょっといい男がKERA芝居で続いている気がするので別の役でも観たいとか、微妙なリクエストはあるんですが、今回の出来は全員よいです。

芝居の内容をそのまま抽象化したような美術と、格好いい照明と、どきどきする音楽と、おしゃれな衣装+髪型。スタッフワークもいいもの観たって感じです。

ただひとつ、ある程度まではリアルな設定なんですが、カウンセラーの助手があの調子というのが、話を転がすために必要とはいえ、ちょっとやりすぎたかと。それを言ったら赤堀雅秋の乱暴っぷりはありなのかとか、深さ(観ればわかる)とか、抗議に来る際の名乗り方とか、突込みどころはいろいろあるんですけど。客席が結構真面目に観ていたような回だったので、別の回に観れば印象がちがったかもしれません。まあそれで傑作の評価が変わりはしません。

最後にひとつ。客席が埋まっていません。日にちと時間が悪かったのかもしれませんが、2階席なんてスカスカでした。この芝居を埋もれさせてはもったいないので、制作は最後に頑張ってほしいところです。今やっている三谷幸喜と同じ値段で、あちらはあちらで面白かったのですが、私はこちらを推します。24日の休演をはさんで残り6ステージのみですが、今年の芝居納めにこの1本、いかがでしょうか。休憩を挟んで3時間と相変わらずKERA=長時間ですが、面白いから大丈夫ですよ。

<2008年12月28日(日)>

粗筋を訂正。

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