俳優座劇場プロデュース「空(ソラ)の定義」俳優座劇場
<2008年12月12日(金)夜>
喫茶店を経営する父と、医者の娘。母は娘が2歳の時にいなくなった。娘は念願の留学が実現しそうだが、ちょうど妊娠し、同じく医者の夫と意見が食い違っている。というタイミングでいろいろな出来事が重なったある日の話。
青木豪脚本。表テーマに結婚の話を用意して、裏テーマに60年安保の政治活動を見せる。やや御都合な出来事を織交ぜつつ、かついかにも青木豪と言えなくもないけど、そこは上手に展開させつつ鋭い台詞をさらっと混ぜて、とてもよいお話。佳作です。
結婚生活に関する近頃の話と安保がつながるのかと思うんですけど、きれいにつながっていました。展開としてもそうなんですけど、メッセージというか、時間のつながりというか、それがとても腑に落ちた。いかにも安保な台詞もでてきますけど、それが本来のメッセージを引立てるスパイスだということがよくわかる。
並居るベテランを従えて松永玲子が主演だったけど、鮮やかに切替わる感情、目まぐるしく変わる表情、絶妙の声のトーン、一人勝ちになってもおかしくない素晴らしい仕上がりでした。同じ土俵に乗らずに自分の役を通した名取幸政や中嶋しゅうで、バランスが取れていました。普段だと縁の遠いベテラン俳優をこういうよい芝居で観られて幸せです。
それにしても結婚の話、この前の三谷幸喜もそうだったし、今度のKERA・MAPもそうだし、世の中そんなに結婚生活がやばいのか。世の中の変化に人間が追いついていないのか。
チケット半額デーだけでもありがたいのに、いい席が取れたので表情までじっくり堪能できて満足です。ひとつだけわからなかったのは客席の反応で、ここで笑うかという場面でも笑い声が聞こえたりして、なんというか、新鮮な客層でした。
あと、俳優座劇場の素っ気ない公演紹介ページはあんまりでしょう。改良を求む。
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