パルコ企画製作「リチャード三世」赤坂ACTシアター
<2009年1月23日(金)夜>
リチャードが次々に人をおとしいれ、裏切り、王になってゆき、やがて堕ちていくだけの話(当日パンフより)。
ま、そんな話です。登場人物の関係が、名前の混乱もあってわかりづらいかもしれませんので、洋モノの名前を覚えるのが苦手な人は当日パンフで事前に確認するとよいです。
いのうえ演出でどうくるかとおもったら、設定は当時のまま、テクノロジーだけ現代と同等、というちょっと意表を突かれる演出。ですが、これがはまりました。笑いは控えめながらも、脚本のポイントを強調するような演出に仕上がっていたと思います。映像の使い方も、モニターの映像の使い方がとても上手。もちろん音楽照明も派手派手で、これは蜷川幸雄を超えるシェークスピア演出家になれるかもしれない予感がします。この世界観をビジュアル面からささえた美術、映像、衣装、照明にも拍手。もちろん音響関連にも。
で、役者ですが、古田新太が省エネモードでつまらん、というのが大きいです。長丁場の疲れもあるかもしれませんが、悪人としての魅力、スケールの大きさやあふれるエネルギーや色気や、その他もろもろを感じることができませんでした。その代わりといっては何ですが、ベテラン女優陣で、銀粉蝶と三田和代の迫力と台詞回しが素晴らしい。後半では久世星佳も輝いていました。あとはさわやかリッチモンド(役者は・・・どなた?川久保拓司)とか、その父親(役者は・・・というか役名も・・・スタンリー:榎木孝明)とか、何気に皇太子(若すぎて夜のカーテンコールには出演禁止?)とか、暗殺者(役者は・・・)とか、脇に役者はそろっていたんですけどね。いかんせん主人公のよしあしにかかる比重が大きい脚本のようなので。
ということで、芝居としては見所にあふれていますが、値段に見合うかと言われたら、届きません、というのが感想です。あと、役名表がやっぱりほしかった。チケット代がこれ(1万円/8千円)で、さらに役名表目当てでパンフレットを買わせようというのは、商業演劇の悪しき慣習。シンプルな芝居ならともかく、当日パンフや劇中モニターで説明を試みるくらい複雑なんだから、最初から配ってくれい。
体調が悪いのでこんなもんで。
<2009年1月24日(土)追記>
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