Bunkamura企画「三文オペラ」Bunkamuraシアターコクーン
<2009年4月11日(土)夜>
名の通った悪党を従えて、警視総監とは戦友で、怖いものはない男、メッキー・メッサー。今回は乞食の元締であるピーチャムの一人娘に手を出した。が、これに激怒したピーチャムは、メッキーを陥れるべく手を回し始める。
名前だけは聞いたことがある三文オペラが、ずいぶん魅力的なキャストで上演されたので観劇。当日券で2列目どセンターを取れてしまった。感想は、すごーくよく出来たオペラ(踊りがないけど、ミュージカルって言ったほうがいいのかな?)。
三上博史が堂々たる主役演技で引張る。三上博史ってこんな男くさい格好よさを出せる役者だったんだと感心。秋山菜津子、田口トモロヲなど小劇場出身の濃ゆい面子も王道演技。デーモン小暮、安倍なつみ、米良美一といったいわゆる有名芸能人が、それぞれのイメージをやや誇張した演技で対抗。デーモン小暮と米良美一はそれなりのレベルを最初から期待していたけど、演出と配役の配慮があるにしても、まさか安倍なつみがあれだけ観賞に堪える演技と歌を披露するとは思わなかった。モーニング娘。おそるべし。
大道具小道具はいろいろあるにしても、結構素舞台に近い空間で動くのがよいです。そして衣装がずいぶんと凝っていました。役者の造形を明確にするのに一役かっていました。例えば安倍なつみの衣装で、キティのバッジを付けた毛皮のコート、なんてのは子供っぽさを出すのに効果的ですよね。
で、それなりに満足したんですが、なんかものすごく大きくてしっかりした枠の中にきれいに収まったパズルのような印象を受けました。演出も役者も真面目にやりすぎて、脚本に負けていたのではないでしょうか(もちろん面白い脚本なんですが)。そういう意味では、最初に出てきたときに周りとの違和感があった明星真由美が、実は枠を取払うための努力を一番していたのではなかったかな、と終わってから思いました。田口トモロヲにもややその気配が感じられましたが。
出演者のファンであるなら楽しめることは間違いないのですが、純粋に舞台の仕上がりを考えると、S席12000円の価格を考えると、もう一歩の頑張りを求めたいところです。
土曜日夜で満席だったのですが、立見が出ていなかったので、当日券でも大丈夫だと思います(平日はS席を中心にチケットが余っているようです)。ただ、舞台の奥の搬出扉に近いところまでがアクティングエリアになるので、コクーンシートの前寄りだと見切れが発生するかもしれません。
« SPAC「転校生」東京芸術劇場中劇場 | トップページ | 松竹製作「赤い城 黒い砂」日生劇場 »
コメント