ナイロン100℃「神様とその他の変種」下北沢本多劇場
<2009年5月1日(金)夜>
動物園の向いにある少し古い家。小学生の子供のために募集した新しい家庭教師がやってくる。なにやら問題のありそうな一家に、問題のありそうな人たちが集まって起きた出来事の物語。
KERAの芝居は頻繁に上演されているけど、ひょっとしたら久しぶりのナイロン100℃本公演。劇団員少な目、ゲストに舞台ファン好みの3人を迎えて、期待を裏切らない仕上がり。ただし上演時間も予想を裏切らない3時間強。
前半を観終わっていつもと違う雰囲気だったのが、後半で我慢できなくなったのか、いつもに近い雰囲気に。それでいて展開は新鮮です。蒔いた種を(ほとんど)全部刈取るその手際も見事。あと、主人公がいないというか、その場その場で違う登場人物が主人公になってしかも散漫にならないのは、KERAの脚本家の才能は円熟期を迎えています。当日パンフに載っている登場人物名も、細かい仕事ですけど、芝居の内容を考えると適切ですよね。
KERA演出では役者の実力が十二分に引出されるので、誰を誉めればいいのか本当に迷います。長田奈麻の邪魔くささ、植木夏十の貫禄ある老婆、前半と後半の落差を上手に見せる山崎一、嫌味にならない真面目さと正直さを魅せてくれた水野美紀、の4人かな。これまで観た芝居での演技が普通だったのもあるんですけど、特に今回は水野美紀の演技には心打たれるものがありました。
オープニングの映像も、よくも毎回あれだけ思いつくもんだと感心しますが、見易さを考慮しつつ、家の中の檻っぽさを表した美術が一番かな。前方サイドだと見切れるかもしれませんが。
まだ上演期間も残っていてもったいないので、内容は一切触れていない感想にしてみました。
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