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2009年6月15日 (月)

Bunkamura企画製作「桜姫」Bunkamuraシアターコクーン

<2009年6月13日(土)夜>

慈善活動に勤しみ、奇跡を起こすと言われている「聖人」セルゲイ。ある町で、手が開かい病気になった娘・マリアを治したが、開いた手のひらから出てきたのは、かつて心中しようとして独り死んでしまった相手が身に付けていたはずの宝石だった。病気が治り、婚約相手の家に向かうマリアが出会ったのは、かつて自分に暴行を働いて、今も忘れられない男・ゴンザレス。マリアを追うセルゲイと、マリアが追うゴンザレス、3人はやがて、貧民街に紛れてしまう。

コクーン歌舞伎の現代劇版ということで、オリジナルはもちろん歌舞伎だけど、長塚圭史を脚本家に迎えて、舞台を南米に移した現代よりすこし昔の話。長塚圭史が「わかってもらえなくてもいいや」モードで書いて、串田和美が「わからないようにしてやろう」モードで演出した感じの、猥雑な、ちょっと筋がわかりにくい話。

元の筋書きを知っている人はすんなりわかるだろうけど、南米らしいのかなんなのか、殺風景な美術の影響もあって、最後の場面でやっと「ああ、そういう筋だったのか」と思ってしまうくらいわからなかった。オリジナルの話がすでに複雑みたいなので、これから観る人はこのくらいの前知識を持ってから観るほうがいいです。

役者がですね、わけがわからないなりに惹きつけられる大竹しのぶとか、最近はずれなしの秋山菜津子とか、出番は少なくとも何気に格好いい井之上隆志とか、いろいろ気になる人はいるんですけど、主役の白井晃と中村勘三郎の台詞が何かさらさらして、個人的に駄目でした。もうちょっと、話の筋を主役の2人から感じられると良かったんですけど。というか、歌舞伎のフレームワークを外れてストレートプレイをやる(けど歌舞伎になってしまう)中村勘三郎は、観ていてつらいです。

個人的に、こういうわかりづらい芝居は嫌いではないのですけど、そういう芝居ほど、今なにをやっているのかだけはわからなくてはいけないわけで。あれこれ考えると、値段に見合わなさすぎだったかな。残念。

仮設席を使った囲み舞台なんですけど、舞台側の席は、趣向は面白いし見切れもほとんどないと思いますけど、やっぱり正面向きの芝居が多かったので、当日券で観に行く人は正面、または(空いていれば)舞台そばのサイド席をお勧めします。

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