ハイバイ「て」東京芸術劇場小ホール1
<2009年10月3日(土)昼>
祖母、両親、二男二女の家族だが、長男以外はすでに家を出ており、祖母は痴呆が進んでいる。そして祖母が亡くなった葬式の日から数日前、久しぶりに一家が揃った日におきた家族の話。
野田秀樹の芸術監督就任に伴って企画された、これからの劇団を集めた芸劇eyesのトップバッター。初見ですけど、トップバッターにふさわしい仕上りと実力で応えてくれました。
脚本演出の岩井秀人の家族の話が元になっているとの事で、元にするくらいだからもめ事を内包しているんですが、これを酷くしなりすぎないように、しかも後でいろいろな事情がわかるように観せる構成が上手。そして壁がなくて向かい合う客席に挟まれた美術の使い方もずいぶん慣れたものです。役者も十分期待に応えていました。
家族のいろいろな人がいろいろな人とお互いにやり取りする何本もの線が、ひとつひとつの印象と、前後のやり取りがつながった時の印象とがこれだけ違うのには、やられた、と思いました。
個人的な疑問点としては、父親役にそれなりに年上の役者(猪股俊明)をキャスティングしているのに、母親役は同年代の男性(菅原永二)をキャスティングしている点。上手だし、全体の緊張感を緩和する意味もあるのかもしれませんが、中途半端だったかと。あと、葬儀屋が葬儀の業務で不手際を行なう点は、笑いを取りやすい場面だったとしても、リアリティの欠如としてはもったいなかった(仮に実際にあった話だとしても、そうは思えなかった)。
これから観る人への注意点。私が観た回はカメラが入っていたんですけど、すべてのカメラが入口寄りに陣取っていました。それに気がついて入口側の席を確保した私はよかったですけど(全席自由)、たぶん奥側の席だと背中率が少し高くなります。芝居の途中で席を移ってきた観客がいました。見切れはまったくないのですが、気をつけましょう。二面以上の舞台を組むのであれば、これは演出家の責任事項なので、演出家には公演の途中でも立ち位置の調整をお願いします。
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