ナイロン100℃「世田谷カフカ」下北沢本多劇場
<2009年10月3日(土)夜>
カフカの小説の一場面と、それを参考に創作した場面と、おそらく小説とはまったく関係ない場面とを、カフカの小説の主人公を使ってつなげた芝居。
んーチラシの通り確かに区分や説明が難しい。個人的には面白かったんですよ。「トーキョーあたり」とか「犯さん哉」とかとは明らかに違った路線。でも1本の筋が明確に通っているというわけでもないし、こんなのつまらんという人がいても不思議ではない。実際私も粗筋すら説明できませんから。ネタばれ込みで説明してもいいけど、それを書いたところでつまらないだけですから止めておきます。
細かく場面をつなげるので、誉めたい場面はたくさんあったのですが、ここでは冒頭のダンス+映像と、後半の植木夏十の人形劇を誉めておきます。振付は役者としても登場している横町慶子が行なっていますが、単純に大勢を動かしてのインパクトが大きめだっただけでなく、何が理由かはわかりませんが普段の芝居で見かけるダンスよりも違和感が少なくてよかったです。植木夏十の成長も著しい。同じ劇団を長年観て、役者が成長するのを観るのがこんなに楽しいとは思わなかった。
で、芝居の内容を書けないので芝居と関係ない話をすると、今回は大ベテラン役者がほとんど出演していない代わりに、その後継者や中堅や若手をたくさん登場させているんですが、これが個人的には新鮮で、全体にバランスが取れていてよかったです。演出手腕がいいのか素質のある役者を集めているのかはわかりませんが、この癖のある芝居をきっちり仕上げていたので、大ベテラン勢がいなくても全然問題ないな、と思いました。これは劇団の規模(というか上演劇場の規模)を制限しているからこそ可能で、大劇場での芝居は劇団とは別にKERA単独で行なっていることのメリットのひとつです。
で、中堅若手がこのくらい出番の多い芝居を2年で4本くらい行なえればいいんでしょうけど、それをKERAの多忙が許さないのは残念かつもったいない。なにしろ次回は来年6月です。だから自分で劇団を作って発表の場を作っている人たちがいるんですけど、それにしても残念かつもったいない。
あ、それと席について一言。今回当日券で前の端の席になったんですが、それだと角度がつきすぎて、映像が楽しめなかったんですね。通路を全部使うので補助席が出せないのはしょうがないのですが、あれは割引してもよかったと思います。というか割引して売って下さい。
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