パラドックス定数「東京裁判」pit/北 区域
<2009年11月21日(土)昼>
東京裁判の開かれた法廷。28人のA類戦犯を弁護するために集まった、圧倒的不利な5人の弁護団の法廷闘争。
男5人による、直球勝負のストレートプレイ。かねがね評判になっていたパラドックス定数をようやく観られたと思ったら、こんな当たり芝居にいきなりめぐり合えました。
東京裁判についてはいろいろな見方がありますが、法律の観点からは、ずさんなところが多くみられるのは最近の研究で指摘されています(私が読んだことがある本はこれ)。その法廷闘争を中心におきつつ、弁護に関わる5人の立場の違いを上手に描いて、引込んでくれます。法定で弁護団があんなに私事の絡む協議をするわけはないのですが、そこは芝居の力というもので、それが複雑な事案を順番に説明するのに一役買っています。多少は前知識があったほうが理解はしやすいと思いますが、無くても十分楽しめます。
今回pit/北 区域という劇場には初めて行ったのですが、劇場自体が非常に狭く、そこに照明変化なし、音響ゼロとすることで、役者の力だけで芝居を成立させることを要求するのですが、十二分に応えています。素舞台にテーブルと椅子を置いただけという舞台は、そのために役者の位置や向きが制限されて顔が見えないことも多々あるのですが(私は自由席)、この劇場内に響く声の説得力は圧倒的でした。5人ともものすごく上手。
まさか小劇場の芝居でこんな重厚なドラマを観られるとは思っていませんでした。劇場が狭いというアドバンテージはあるにしても、そこらの海外の芝居を吹飛ばす質です。勝手な願いですけど、この芝居はジャップと呼ばれる覚悟で海外、特に欧米に持っていって上演してほしいです。世界のどこに持っていっても通用します。せめて全国ツアーをやってください。パンフレットや脚本は絶対買わない主義の私が脚本を買ってしまいました。見逃したらもったいない。ぜひ観てください。
あと、受付から座席案内、事前の携帯電話停止依頼、何かあったときの対応の説明など、狭い劇場でぐだぐだになってもおかしくないところを手際のよくさばいていた制作陣も素晴らしかったので書いておきます。
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