2009年6月30日 (火)

2009年上半期決算

本日で2009年の前半が終わりますので、決算をしたいと思います。

(1)NODA・MAP「パイパー」Bunkamuraシアターコクーン
(2)パルコ企画製作「リチャード三世」赤坂ACTシアター
(3)オリガト・プラスティコ「しとやかな獣」紀伊国屋ホール
(4)メジャーリーグ制作「ちっちゃなエイヨルフ」あうるすぽっと
(5)ポツドール「愛の渦」THEATER/TOPS
(6)グリング「吸血鬼」青山円形劇場
(7)Bunkamura企画「三文オペラ」Bunkamuraシアターコクーン
(8)松竹製作「赤い城 黒い砂」日生劇場
(9)tv asahi/ニッポン放送主催「鶴瓶噺2009」世田谷パブリックシアター
(10)ナイロン100℃「神様とその他の変種」下北沢本多劇場
(11)Bunkamura企画製作「桜姫」Bunkamuraシアターコクーン
(12)新国立劇場主催「夏の夜の夢」新国立劇場中劇場
(13)劇団、江本純子「セクシードライバー」ギャラリー LE DECO
(14)さいたまゴールド・シアター「アンドゥ家の一夜」彩の国さいたま劇術劇場小ホール

上記14本、隠し観劇はなし。チケットはすべて公式ルートで購入した結果、

  • チケット総額は89750円
  • 1本あたりの単価は6410円

となりました。残念ながら高値安定傾向です。芝居を観る本数がもっと減ると思っていたのですが、一部演目を見送った代わりに別の芝居に突っ込んでしまい、本数は前年同期と同じでした。

今期の特徴は、チケット代の高い芝居に不満足な出来が多かったこと。名指しで文句をいうと、行った回数が多かったシアターコクーンは、3本で3万円以上払いましたが、今期は期待を裏切られました。後ろの2本を切っておけばと悔やまれます。かと言って、数千円の芝居が面白いかというと、このクラスの当たり外れは、体感では以前と同じか、やや下回るくらい。全体に、値段の高い芝居ほど、つまらなくなっているような気がします。景気が悪くなる前に企画した芝居が多かったんでしょうか。

その分気を吐いていたのが公立劇場で、「夏の夜の夢」と「アンドゥ家の一夜」はよかったです。もちろん、チケット代が安いのは税金のおかげなんですが、チケット代を無視しても、こちらのほうが出来栄えはよかったです。他に面白かったのは「ちっちゃなエイヨルフ」「愛の渦」「神様とその他の変種」ですね。

私が芝居を観るときに気にする点として、次に何が来るのかわからないものをライブで観る緊張感というのがあります。そういう観点からいうと、次に何が起きても別に驚きはしない、「ふーん」で終わってしまうような舞台が多かったです。

これはひょっとして、小劇場の開拓にシフトするべし、というなんかよくわからないものの啓示かもしれません。下半期の観劇スケジュールは未定ですが、ちょっと傾向を変えたほうがいいかもしれないです。観る本数は20本より減ると思うのですが、それで選ぶのもまた一苦労。

引続きよろしくお願いします。

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2009年6月29日 (月)

さいたまゴールド・シアター「アンドゥ家の一夜」彩の国さいたま劇術劇場小ホール

<2009年6月28日(日)昼>

かつて日本で教師を勤め、今はポルトガルに住む安藤夫妻。主人が病気で危篤なため、かつての教え子の一人にもう一度会いたく、秘書に呼寄せるように頼む。が、手違いでその同期たちに話が伝わり、はるばる日本から面会にやってくる。家族や友人も集まって、なんとなくいろいろなことが起きるような起きないような、そんな一夜の話。

平均年齢70歳で、それを率いる蜷川幸雄も70歳越え。評判は耳にしても観るのは初めてのさいたまゴールド・シアター。えらい時間をかけて埼玉まで観に行きましたが、長さを感じさせない素晴らしい舞台でした。行って良かった。

まず褒めるべきはKERAの脚本で、高齢役者ばかりなのを逆手に取った設定がぴったりとはまる。これを実に上手に演出する蜷川幸雄。年齢が醸しだす迫力というかリアリティは、なんというか、観ないと上手く伝わらないです。プロンプター(蜷川幸雄も入っている)でところどころサポートしているのなんか気にならない。

補足しておくと、役者は素人と思っていると間違えます。たまに棒読みっぽくなることもありますけど、腹から出す声に乗せる意思は、棒読みなんて関係ない、中途半端な役者の小賢しい技術を吹飛ばすくらいの勢いです。その点は、蜷川幸雄が相当鍛えたのではないかと推察されます。

なんか上手く褒める言葉が見つからないのですけど、これはもう、観たもの勝ちです。見逃した人がいたら思いっきり羨ましがらせたくなるような芝居です。

最後はまた受付について。

  • 発券と支払は別々の人が担当すると効率が上がります。それだけの人手はいましたので改善してください。
  • 電話で「立見席は出ますか」という質問に「立見席は出ません」と答えるのではなく「補助席が出ます」と教えてください。
  • 再入場する客に「お帰りなさいませ」と声をかけるのはメイド喫茶みたいでなんか恥ずかしいので別の言い方を考えてください。

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劇団、江本純子「セクシードライバー」ギャラリー LE DECO

<2009年6月27日(土)夜>

タクシー内に携帯電話を忘れてきた女。歩いて歩いて、ようやく探した公衆電話からタクシー会社に連絡を取る。タクシーの運転手が届けてくれたが、その分のタクシー代を払えという。払いたくない女と払ってほしい男が繰広げるやり取りの結末は。

本当は「炎の人」を観に行きたかったんですが、間に合わなかったのでこちらに切替えました。作品だけ観れば佳作の80分。

どこまで脚本で細かく書かれているのかはわかりませんけど、よくここまで膨らましたなという脚本。それに対して演出は、前田司郎の怪演に負うところ大で、安藤玉恵が張合えなくて、バランスが悪い。あと、ちょっとだけ出てくる江本純子の場面が、直前直後の会話(安藤玉恵が江本純子を相手に会話しているように見せる場面)とリズムが合わなくて違和感。もちろん、後の会話への伏線というのもあるんですけど、あれなら省いても良かったと思う。

目の付け所も仕上がりも、良くも悪くも小劇場っぽい。値段に見合うかと言われれば、高い。あと受付がグダグダでマイナス30点。

でも次回作が、期待させるキャストに、女が描く女芝居で、気になるんですよね。またあの狭いスペースかと考えるとちょっと残念なんですけど、多分スケジュールが合わないので、それで見られないのは心残り。

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2009年6月15日 (月)

新国立劇場主催「夏の夜の夢」新国立劇場中劇場

<2009年6月14日(日)昼>

だいぶ前のアテネ。貴族の娘ハーミアは、親が決めた婚約者ディミートリアスとの結婚が不満で、相思相愛のライサンダーと駆落ちする。それを事前に打明けた幼馴染のヘレナは、実はディミートリアスに夢中で、駆落ちのことを話してしまう。やがて4人がやってきた森の中では、妖精の王と王妃が喧嘩の真っ最中。さらに芝居の練習にやってきた素人役者たちが妖精に見つかってしまい、どうなることやら。

名前は有名でも今まで観たことがなかったシェークスピア作品を東京千秋楽に滑りこみで。後藤ひろひとが素直に書いたような(笑)、予定調和の王道ともいうべきドタバタ喜劇、面白かったです。本当です。

妖精の王と王妃が村井国夫と麻美れいって、苦しいんじゃないかと予想していましたが、ぜーんぜんそんなことない。王と王妃の威厳に、子供っぽさを足して、非常に生き生きとした2人でした。4人組は、正直もう少しリズムがいいとよかったのですが、小山萌子を中心に笑いもとって、なかなかよろしいです。素人役者の職人も、妖精たちのダンスや歌も、行届いた演技でよかったのですが、なんといっても妖精パックのチョウソンハが噂どおりの素晴らしさで、いたずら好きとはこういうことかというはしゃぎっぷりで、これはもう観ないとわからない素晴らしさです。バンドメンバーまで羽根を付ける細かさも含めて、全体に、とても雰囲気のよさを感じるカンパニーです。

シルエットで訴える美術+照明とか、違和感を感じさせない妖精の羽根とか、こういうの普段あまり観かけないけどいいなー、と思ったら、外国人スタッフも含めたスタッフワークになっていました。いい悪いではないんですけど、何なんでしょうね、この違いは。

3時間20分は長いけど、苦にならない仕上がり。国立の威力でチケット価格も控えめ。それだけに腹が立つのは、千秋楽ですらS席からZ席まで全席種で空席を作った新国立劇場の営業力(またはやる気、またはその両方)のなさ。再演でそれなりに計算もできたはずなのに、あれは役者やスタッフに失礼だ。おかげで駆けこみでも当日券で観られたんですけど、それとこれとは話が別です。

シェイクスピア初心者にこそお勧めしたかったんですが、残念ながら東京は終わってしまいました。次の機会を願ってください。

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Bunkamura企画製作「桜姫」Bunkamuraシアターコクーン

<2009年6月13日(土)夜>

慈善活動に勤しみ、奇跡を起こすと言われている「聖人」セルゲイ。ある町で、手が開かい病気になった娘・マリアを治したが、開いた手のひらから出てきたのは、かつて心中しようとして独り死んでしまった相手が身に付けていたはずの宝石だった。病気が治り、婚約相手の家に向かうマリアが出会ったのは、かつて自分に暴行を働いて、今も忘れられない男・ゴンザレス。マリアを追うセルゲイと、マリアが追うゴンザレス、3人はやがて、貧民街に紛れてしまう。

コクーン歌舞伎の現代劇版ということで、オリジナルはもちろん歌舞伎だけど、長塚圭史を脚本家に迎えて、舞台を南米に移した現代よりすこし昔の話。長塚圭史が「わかってもらえなくてもいいや」モードで書いて、串田和美が「わからないようにしてやろう」モードで演出した感じの、猥雑な、ちょっと筋がわかりにくい話。

元の筋書きを知っている人はすんなりわかるだろうけど、南米らしいのかなんなのか、殺風景な美術の影響もあって、最後の場面でやっと「ああ、そういう筋だったのか」と思ってしまうくらいわからなかった。オリジナルの話がすでに複雑みたいなので、これから観る人はこのくらいの前知識を持ってから観るほうがいいです。

役者がですね、わけがわからないなりに惹きつけられる大竹しのぶとか、最近はずれなしの秋山菜津子とか、出番は少なくとも何気に格好いい井之上隆志とか、いろいろ気になる人はいるんですけど、主役の白井晃と中村勘三郎の台詞が何かさらさらして、個人的に駄目でした。もうちょっと、話の筋を主役の2人から感じられると良かったんですけど。というか、歌舞伎のフレームワークを外れてストレートプレイをやる(けど歌舞伎になってしまう)中村勘三郎は、観ていてつらいです。

個人的に、こういうわかりづらい芝居は嫌いではないのですけど、そういう芝居ほど、今なにをやっているのかだけはわからなくてはいけないわけで。あれこれ考えると、値段に見合わなさすぎだったかな。残念。

仮設席を使った囲み舞台なんですけど、舞台側の席は、趣向は面白いし見切れもほとんどないと思いますけど、やっぱり正面向きの芝居が多かったので、当日券で観に行く人は正面、または(空いていれば)舞台そばのサイド席をお勧めします。

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2009年5月 2日 (土)

ナイロン100℃「神様とその他の変種」下北沢本多劇場

<2009年5月1日(金)夜>

動物園の向いにある少し古い家。小学生の子供のために募集した新しい家庭教師がやってくる。なにやら問題のありそうな一家に、問題のありそうな人たちが集まって起きた出来事の物語。

KERAの芝居は頻繁に上演されているけど、ひょっとしたら久しぶりのナイロン100℃本公演。劇団員少な目、ゲストに舞台ファン好みの3人を迎えて、期待を裏切らない仕上がり。ただし上演時間も予想を裏切らない3時間強。

前半を観終わっていつもと違う雰囲気だったのが、後半で我慢できなくなったのか、いつもに近い雰囲気に。それでいて展開は新鮮です。蒔いた種を(ほとんど)全部刈取るその手際も見事。あと、主人公がいないというか、その場その場で違う登場人物が主人公になってしかも散漫にならないのは、KERAの脚本家の才能は円熟期を迎えています。当日パンフに載っている登場人物名も、細かい仕事ですけど、芝居の内容を考えると適切ですよね。

KERA演出では役者の実力が十二分に引出されるので、誰を誉めればいいのか本当に迷います。長田奈麻の邪魔くささ、植木夏十の貫禄ある老婆、前半と後半の落差を上手に見せる山崎一、嫌味にならない真面目さと正直さを魅せてくれた水野美紀、の4人かな。これまで観た芝居での演技が普通だったのもあるんですけど、特に今回は水野美紀の演技には心打たれるものがありました。

オープニングの映像も、よくも毎回あれだけ思いつくもんだと感心しますが、見易さを考慮しつつ、家の中の檻っぽさを表した美術が一番かな。前方サイドだと見切れるかもしれませんが。

まだ上演期間も残っていてもったいないので、内容は一切触れていない感想にしてみました。

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2009年4月26日 (日)

tv asahi/ニッポン放送主催「鶴瓶噺2009」世田谷パブリックシアター

枕「草彅剛は俺が預かった」、理由あって5日間とも話します「盲腸」、撮影するのも出演するのも人間です「弟、ディアドクター撮影裏話」、技術の進歩は人間を馬鹿にする「音声認識とか乗物とか」、芸能人だけでない変な人「鶴瓶のマネージャー」、兄弟姉妹の中では鶴瓶が一番普通「姉と兄」、最後の話は毎年スタッフからのリクエストで決めています「玲子との出会いについて」。

ここまできっちり決めて話したわけではないのですが、概要はこんなもんです。当日券派は突然気がついた舞台を観に行けるという利点があるわけで、前日に気がついたので当日券で観てきました。

終盤に少しだけ映像が入るのですが、基本的には2時間30分休憩なしでずっと話しっぱなし。様子を見ながら少しずつ手を加えて話を進めるのはベテラン芸人の安心感。面白い話といえば面白いです。

でも有名人の舞台を観るたびに思いますけど、有名人目当ての客席は緩いんではないかなー、と思います。冒頭の概要を見てもらえばわかりますけど、基本的には自分が体験した話を面白おかしく話しているだけです。その話し方がいかにも自然なので話芸といえばそうなんでしょうけど、客席が爆笑するとかえって笑えませんでした。ええ私はひねくれモノですが何か。

最後の話は準備も十分で一番よくできた話だったんですけど、残念ながら一部は偶然ラジオで聴いたことがありました。そのせいでちょっと損した気分。

テレビを観ているような舞台でした。

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松竹製作「赤い城 黒い砂」日生劇場

<2009年4月25日(土)昼>

長年に渡って争いを繰返す赤い国と黒い国。赤い国の王女と戦場で対決した黒い国の戦士2人だが、敗れて捕虜となる。その争い以降、新しい兵器を導入して黒い国を圧倒した赤い国の王族に近づくひとりの男があった。

どこまでがシェイクスピアでどこまでが翻案なのかわかりませんが、ところどころの展開でシェイクスピアっぽさを感じさせなくもない脚本。役者の力不足がもったいない一本。

有名でない話でも伝わりやすいのは衣装の分かりやすさのお手柄。新感線に慣れて地味な殺陣に耐えられない自分でも楽しめる殺陣になっていたのは生パーカッションのおかげで、あれは良い発案なのでぜひ他でも真似して欲しい。

だけど役者が今ひとつ。片岡愛之助の戦士と黒木メイサの王女が結構大きな割合を占めるのですが、前者は格好よさとか野心などのシェイクスピア芝居に欠かせない要素が足りず、後者は華があっても演技が安定せず殺陣がいまいちなのも「あずみ」で観て以来かわらず。もう一方の主人公である中村獅童は遊びがすぎるしリズムが悪い。せめて誰か一人は実力十分の役者を混ぜればよかったのに。

その分脇で頑張っていたのは女王の姉である馬渕英俚可で、喜怒哀楽から意地悪まで、ひとつの出番の間に何度も切換えてしかもやり過ぎない演技で、正直出番を一番期待しました。あとは王の中山仁とか商人の中嶋しゅうもよいですね。2回目のカーテンコールにこの人たちが出てこなかったのは不満です。獅童と愛之助は引っ込んでいなさい。

一般小劇場の芝居に比べればずい分派手ではあったのですが、それでも新感線だったらどうだったかな、と想像しながら観てしまいました。

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2009年4月14日 (火)

Bunkamura企画「三文オペラ」Bunkamuraシアターコクーン

<2009年4月11日(土)夜>

名の通った悪党を従えて、警視総監とは戦友で、怖いものはない男、メッキー・メッサー。今回は乞食の元締であるピーチャムの一人娘に手を出した。が、これに激怒したピーチャムは、メッキーを陥れるべく手を回し始める。

名前だけは聞いたことがある三文オペラが、ずいぶん魅力的なキャストで上演されたので観劇。当日券で2列目どセンターを取れてしまった。感想は、すごーくよく出来たオペラ(踊りがないけど、ミュージカルって言ったほうがいいのかな?)。

三上博史が堂々たる主役演技で引張る。三上博史ってこんな男くさい格好よさを出せる役者だったんだと感心。秋山菜津子、田口トモロヲなど小劇場出身の濃ゆい面子も王道演技。デーモン小暮、安倍なつみ、米良美一といったいわゆる有名芸能人が、それぞれのイメージをやや誇張した演技で対抗。デーモン小暮と米良美一はそれなりのレベルを最初から期待していたけど、演出と配役の配慮があるにしても、まさか安倍なつみがあれだけ観賞に堪える演技と歌を披露するとは思わなかった。モーニング娘。おそるべし。

大道具小道具はいろいろあるにしても、結構素舞台に近い空間で動くのがよいです。そして衣装がずいぶんと凝っていました。役者の造形を明確にするのに一役かっていました。例えば安倍なつみの衣装で、キティのバッジを付けた毛皮のコート、なんてのは子供っぽさを出すのに効果的ですよね。

で、それなりに満足したんですが、なんかものすごく大きくてしっかりした枠の中にきれいに収まったパズルのような印象を受けました。演出も役者も真面目にやりすぎて、脚本に負けていたのではないでしょうか(もちろん面白い脚本なんですが)。そういう意味では、最初に出てきたときに周りとの違和感があった明星真由美が、実は枠を取払うための努力を一番していたのではなかったかな、と終わってから思いました。田口トモロヲにもややその気配が感じられましたが。

出演者のファンであるなら楽しめることは間違いないのですが、純粋に舞台の仕上がりを考えると、S席12000円の価格を考えると、もう一歩の頑張りを求めたいところです。

土曜日夜で満席だったのですが、立見が出ていなかったので、当日券でも大丈夫だと思います(平日はS席を中心にチケットが余っているようです)。ただ、舞台の奥の搬出扉に近いところまでがアクティングエリアになるので、コクーンシートの前寄りだと見切れが発生するかもしれません。

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2009年3月 8日 (日)

グリング「吸血鬼」青山円形劇場

<2009年3月7日(土)夜>

ある古いアパートの一室で独身の女性がひとりで亡くなっていた。大学時代に付合っていた脚本家が、自殺と判定されたことに納得できず、また行詰った脚本のテーマにもすべく、彼女が亡くなった理由を探る。

久しぶりのグリングは青山円形劇場(たぶん)初登場。事前に知らなくてよかったのですが、某有名事件をモチーフにしているとのことで、じっとり重い話が進みます。前半の謎解きの緊張感と、それを後半で転がすテンポのよさ。たまに突飛な展開もありますが、その不完全さがこの脚本には寧ろ合っている気がします。

人間もウサギも、寂しいとだめなんですよ。という点では「ちっちゃなエイヨルフ」にも通じるところがありますが、それを現代で描くとこんな事件になってしまうというのが。前半の最終場面(と書くのがしっくりくる)と後半の最終場面は、非常に好みです。

役者は高橋理恵子、みのすけ、平田敦子、中野英樹が好演で、みのすけなんて一人何役も担当していたのにナイロン100℃よりよかったかも(さっそくこのネタでアドリブを披露していたあたりは余裕綽々ですな)。一方、脚本家役で芝居を引張るべき杉山文雄が力不足。杉山文雄ががんばると芝居の仕上がりがもう二段くらい上がったはずなので、もったいない。

あと演出の課題としては、全体に円形舞台上の役者配置が混乱していました。背中が見えるとかそういうのではなく、なんとなく「あっちのほうでやっている」感のする場面がいくつもありました。やっぱり難しいんですかね。

スタッフでは上手に変わる衣装がいいです。美術は今回グリングには珍しい抽象的な美術を採用していて、それ自体はよいのですが、上手の出入口に十分な高さを設けられなかったため、出てくるときはよいのですが引込むときに屈む姿が格好悪くて損しています。下手からだと隠れて見えなかったと思うんですけど、私の席は上手だったのでよく見えてしまったんですよね。

台詞や場面に見所満載で心打たれる一方、慣れない劇場の使いこなしに足を取られて、脚本のポテンシャルを引出せていない、という感想です。

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