Dart's「In The PLAYROOM」Gallery LE DECO 4
<2010年5月1日(土)夜>
リアルな描写と残酷な表現で人気を誇るミステリー小説「ザ・プレイヤー」シリーズ。その最新刊には「次の作品の登場人物になりませんか」という応募用紙が挟まれていた。応募して選ばれたのはいずれも熱心なファン。集合は渋谷駅に近い廃墟ビル。訝る彼ら彼女らの前に現れた作家と編集者は、犯人に追われる立場の登場人物となって逃げきってほしいという依頼をする。ファンが行動を伝え、作家が状況を説明するシミュレーションとして始まったはずの会話が・・・。
なんで芝居を観ていないのにこんなマイナー(失礼)な芝居を見つけたかというとCoRich手塚Blogを読んで気になったから。そこのリンクを辿ってサイトをみたら、未完成のところばかりだけど、その格好よさとチラシ画像とシナリオ説明で、これは観ても損はないという判断に。結果、正しかったです。絶賛とは言いませんが、スリリングな100分を存分に楽しみました。
冒頭に書いたあらすじ、結構説明が面倒なんですけど、芝居ではとても上手かつ格好いい導入部で、すんなり入りこませてくれます。その後の展開は、荒唐無稽といえばその通りなんですが、演技の達者な役者たちがそれを納得させてくれるので、思う存分引きこまれて、スリリングな時間が始まります。探せば名手はいるものだ。そんな役者をまとめて、鬼ごっこをこれだけのドラマに仕立てた脚本演出はすごいです。会場が狭い場所に雑といえば雑な座席を組んでいるのですが、それも設定の一部になっています(劇中の集合場所が今回の会場を想像させる設定)。
反面、オチがきれいに付きすぎてそれまでの緊迫感が若干萎んでしまった、参考のために配られた地図があまり参考にならなかった、会場から出られない場面の演出(設定)が不自然、名手と書いたけどひとりだけ名手でない役者がいた、などのもったいない面もあります。が、それらを差引いても、面白かったことには変わりない。久しぶりに小劇場のよさを堪能しました。
今回は会場の狭さが緊迫感を増していた面もありますが、この脚本は舞台がもう少し大きくてもやりようがあると思うので、新作を3本くらいやってから(ユニットなのでそれがどのくらいかかるかわかりませんけど)、また再演してほしいです。囲み舞台の似合う芝居なので、シアタートラムとか青山円形劇場とかでできるといいですね。
« 本谷有希子の次の公演 | トップページ | 青年団「革命日記」こまばアゴラ劇場 »
コメント