モダンスイマーズ「真夏の迷光とサイコ」青山円形劇場
<2010年7月11日(日)昼>
丘の上の屋敷に引きこもる車椅子の女性。役目を与えられて本名と違う名前で呼ばれる使用人。彼女に見えるのは一人の男性の生活。二人の日常が交錯する。
話題になって久しいのに今さら初見のモダンスイマーズ。これをもっと劇団初期に、もっと小さい劇場で観ていれば可能性を感じたのかもしれないけど、ちょっと期待が大きかった分だけ外した感あり。
一番つらかったのは、交錯するのはいいとして、展開が個人的に「だからどうした」になってしまったこと。男性編はそれなりにわかるんだけど、そこに女性編を絡ませる意図がわからない。意味らしい意味があったのは最後の最後だけで、それだけのために引張るには女性編は不可解というか説得力不足。
ただし役者の上手さには目を見張るものがあった。主役の二人とドラム担当以外は二役を演じるんだけど、よかった。特に古川悦史と岡野真那美がよかった。調べてみたら前者の文学座はほほう、って感じだけど、後者は新国立の演劇研修所一期生だった。育っておりますな。反面、YOUはもう少し頑張ってほしかった。一人だけ華やかさが違うし、使用人を使い慣れている雰囲気の上手さはさすがなんだけど、ウマヘタ(ヘタウマではない)だった。もう少し緩急があってもよさそうなもんだけど、演出の間違いなのか演技力の限界なのかどっちなんでしょう。その他でいうと、ドラムをメインに使った音響とすっきりした衣装は好み。
駄目な点は、当日券の席(Cブロック)に背を向けることが多い演出。机を斜めに配置して椅子の位置を工夫すれば回避できるのに、どうしてああなるんでしょう。昔、KAKUTAの青山円形劇場初演でもひどい目にあったことがあって、今回はそこまでひどくないんですけどやっぱり円形を考慮した演出まで気が回らないんでしょうか。
そこしかないって言われたから当日券だししょうがないと納得して買ったのに、開演してみたらいろんなブロックで端の一列+最前列二席が空いているのが円形劇場なだけに芝居中も目に入って、ああこれはきっと有名人向けに備えていた関係者席が目一杯ドタキャンされたのかな(正式な経路で売れ残ったなら引揚げて当日券にまわされるはず)、とか考えながら当日券で外れ席から観る芝居のがっかり感というものをもう少し制作者におかれましては気にしていただきたく。
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