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2010年10月19日 (火)

アーツカウンシルって何じゃらほい

それがわからんから苦労するけど、今どきはぱっと調べられる。Wikipedia英語版より。

An arts council is a government or private, non-profit organization dedicated to promoting the arts  mainly by funding local artists, awarding prizes, and organizing events at home and abroad. They are often arms length from the government to prevent political interference in their decisions.

英語はわからなくても翻訳サイトを使えばよい。自分の適当な翻訳では「アーツカウンシルとは芸術振興を目的とする公的または民間のNPO組織で、自国のアーティストへの資金援助、賞の創設と授与、イベントの主催を主に行なう。政治的な干渉を避けるために、政府からは一定の距離を置くことが多い」って感じか。Wikipediaにはずいぶんいろいろな団体が載っている。

こんな話が出てきたのはfringeで紹介されていたから。文化庁で来年に5600万円の予算を確保して試してみるらしい。

文化芸術活動に対する支援に関して、専門家(プログラムディレクター、プログラムオフィサー)を配置し、現場の実情を把握したうえで、審査員による専門的な審査・評価を行い、文化芸術活動への助成に関するPDCAサイクルを確立するため、日本版アーツカウンシルを試行的に導入する。

5600万円で何ができるかってな感じなので、まずはやってみて何が必要なのかを確かめるところから始めるんでしょう。新しいことをやってみるのはいいことだ。それが税金だということにはひっかかるけど、官僚が新しいことにチャレンジしてはいけないということはないので、予算が確保できた暁には有意義に使ってほしい。

で、資金援助(助成)や賞の授与をやるとして、誰が決めるんだということで、ようやくfringeの記事に戻ってきた。これを荻野氏(fringe管理人)は

劇場支配人である平田氏が自身の演劇祭に参加する団体を探すことと(その後の「サミット」ディレクターも同様)、芸術団体の評価をするアーツカウンシルの調査員とは、意味が全く異なる。前者は芸術監督と同じなので独断と偏見で決めてもいいが、後者は評価されるアーティストがどこまで納得するかが問われるだろう。

って書いている。これ、納得なんて無理でしょう。芸術に納得なんてものはない。そもそもこれひとつで全分野の全方面の評価をカバーしようとするから無理が出るんで、分野はさておき、目的を絞らないといけない。ぱっと考えただけでも
・新人の発掘を重視するか、ベテランも含めて素晴らしい技量を評価するか
・劣るところがあっても長所を評価するか、バランスまで含めた完成度を評価するか
・新しさを評価するか、伝統との融合を評価するか
・一般受けを評価するか、一般受けはしなくても芸術性を見るか
・国内の実績と海外の実績をどう見るか
などなどなどなど。きりがない。

本当はいろんなアーツカウンシルがあって、それぞれが個性を出して、トータルで成立できるのが理想なんだけど、今すぐには無理なんで、とりあえずこの公的アーツカウンシルがカバーする範囲を決めたほうがいい。個人的には、芝居で言えば「(1)新国立劇場の中劇場で上演する実力と(2)そこが満席になった場合に観客に面白さを伝えられるセンス(3)海外に持っていっても通用する普遍性、を表現した、主要メンバーが30歳未満の団体の発掘を目的とする」って当たりを税金には求めたい。もちろん、新国立劇場の上演と海外提携公立劇場の公演をセットで。そうすれば、新しいアーツカウンシルが出てきたときに、「その路線はもうあっちがやっているから、うちは新しい路線を打出そう」となる。

で、そういう「むしろ偏りをよしとする」という視点に立つと、fringeで引用されている「可児市文化創造センターサイト/館長の部屋」の

指揮者、演出家、俳優、演奏家、技術スタッフが一時的に創造現場を離れるキャリア・ブレイクをして評価機関に在籍するのが説得性はあるし、あわせて現場復帰後の彼らに芸術的進化や技術的向上をもたらすと考えます

というのはよくない。組織と言うのは所属しているうちに所属メンバーはその価値観を身に付けるもんだけど、1年2年では流動的すぎて価値観を共有するのは、無理とは言わないまでも厳しい。かと言って偏りを維持するために3年5年も在籍していたら、アーティストの現役活動に支障をきたす。年に1回2ヶ月集まるだけなら意味がない。視野が広がるのはその通りだと思うけど、それなら最初から「将来が期待できる芸術家に選ぶ側のプロセスを踏ませることによって視野を広げてもらうことを目的とする」としたほうがよほどいい。最もそれは冒頭のアーツカウンシルの主旨からは外れる。

選ばれたらプラス、選ばれなくてももともとゼロってものなんだから、アーツカウンシルには芸術監督同様、独断と偏見をもって活動してほしいもんです。まあ人材の確保が肝なのは賛成ですが、アーティスト以外から探す道筋も検討してほしいっす。

ついでにいえば、平田オリザの「ポスドク起用」発言は、国が積極的に博士を育成したものの日本企業からは嫌われて就職もままならない大量のポスドクの面倒を、やっぱり国がなんとかしないといかんという官僚の頭痛に付けこんだ撒き餌の一環で、芸術に税金突っ込ませるためにはそのくらいの取引上等と最初から狙っている平田オリザの「口頭」戦術なんだから、むきになって釣られてはいけない。向こうが釣りたいのは政治家であり官僚であり、法律であり税金だよ。

<2011年6月7日追記>

続編を書きました。

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