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2010年11月13日 (土)

東京芸術劇場「ブルードラゴン」東京芸術劇場中ホール

今の中国で画廊を営むカナダ人の男。才能ある若い中国人の画家の女を売込みつつ、付き合っている。その画家の個展も間近にせまったある日、カナダ人の知り合いの女性が中国にやってくる。中国人の養子を迎える途中で男に合いに来た。ここを境に動く、男女3人の物語。

ロベール・ルパージュは「アンデルセン・プロジェクト」のインパクトが強かったのでぜひ観たかった。リアルな脚本と演出はさすがで、達者な役者も含めて面白いのは確かなんだけど、観ていて先読み以外の想像力を働かせる余地があまりなかった。

途中、個展会場で女2人が初めて話して、そこからバーに流れて以降の一連の流れはすばらしい。男の観客としては「自分でなくてよかった」とひやひやしながら観てました(何にひやひやしたかは実際に舞台で確かめてくれ)。あと、中国って日本は近いだけに迷惑で規格外なのもわかって慣れているんだけど、欧米の人たちはよくわからなくて怖がっているのかな。そういう印象を受けた。

あと、照明映像舞台美術効果音はよくて、特に効果音の繊細さは日本の劇場ではついぞお目にかかれないもの。それはよかったんだけど、いかにも中国っていう選曲と、一昔前の小劇場(とまでは言わないけど)で見かけた、途中で突然ダンスが入るのは集中力が切れて個人的に不満。

リアルな分、テンポはよくてもスピードがやや遅めだったな。こういう芝居を観ると、野田秀樹の「省略と誇張」に代表される日本の舞台のスピード感は、あれはあれですばらしいと思わずにはいられない。

だらだら書いたけど結論は、ガキの芝居に飽きているなら観ろ、芝居にリアルなんて求めねーよって人なら見送れ、って感じですね。次回作はぜひ「アンデルセン・プロジェクト」を文句なしのぶっちぎりで超えてほしい。

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