2010年7月 4日 (日)

2010年上半期決算

2010年上半期決算

恒例の決算です。一部順番を変えてあります。

(1)Bunkamura主催「東京月光魔曲」Bunkamuraシアターコクーン
(2)PARCO PRESENTS「志の輔らくご in PARCO」PARCO劇場
(3)(4)青年団「カガクするココロ」「北限の猿」こまばアゴラ劇場
(5)阿佐ヶ谷スパイダース「アンチクロックワイズ・ワンダーランド」下北沢本多劇場
(6)Dart's 「In The PLAYROOM」Gallery LE DECO 4
(7)青年団「革命日記」こまばアゴラ劇場
(8)チェルフィッチュ「ホットペッパー、クーラー、そしてお別れの挨拶」ラフォーレミュージアム原宿
(9)パルコ企画製作「裏切りの街」PARCO劇場
(10)劇団、本谷有希子「甘え」青山円形劇場
(11)(12)(13)新国立劇場主催「夢の裂け目」「夢の泪」「夢の痂」新国立劇場小劇場

以上13本、隠し観劇はなし、チケットは1本のラッキーチケット以外はすべて公式ルートで購入した結果、

  • チケット総額は63350円
  • 1本あたりの単価は4873円

となりました。半分が新国立劇場と青年団ということで、単価が一気に5000円を割りました。ただし、時間があれば6月中に観られたナイロン100℃や野田地図が入っていませんので、あまり真に受けられない数字です。

上半期は、芝居を観に行く時間が取れなかったことに尽きます。1月、飛んで4-5月、最後に意地でシリーズ物の1本、という感じです。観に行ったものの当日券が取れずに見逃したこともあったのですが、他の予定が優先する、あるいは疲れすぎて出かけられない、というのがこんなに多い期間は初めてでした。こうやってみんな芝居の観客人口からフェードアウトしていくんだろうな、それでもたまに観るとしたら鉄板の有名芝居だけになるんだろうな、というのがよくわかりました。

この感覚がわかる人で、さらにこの状況を踏まえて戦略を立てられる人が演劇界にいて、いろいろ試みてもらえるといいんですけど、どうなんでしょう。個人的には、聴きに行っていませんけど、「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン『熱狂の日』音楽祭」の企画は素晴らしいと思います。毎年ゴールデンウィークに集中させる開催時期、圧倒的に大量のプログラム、別のホールまで1分で行けるというあの密集間、有名な(ここ重要)作曲家の曲で統一したわかりやすさというのは、敷居の高いクラシック音楽に無関係な人でも興味を持つように仕向けるのに十分な資格を持っていると思います。あれに比べたら「フェスティバル/トーキョー」なんて、個々のコンテンツの質はさておき、芝居に無関係な人間を振向かせる、忙しくてもその時期だけは確保する、というところには遠いです。音楽は学校で習うけど芝居は習わないとか、いろいろ音楽有利な理由はあると思いますが、それはまた別の機会に。

7月は面白い芝居が目白押しなので、少しでも観に行ければと思っているのですが、そういっている今週末からして観にいけなかったので、先が思いやられます。

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2010年6月21日 (月)

新国立劇場主催「夢の痂」新国立劇場小劇場

<2010年6月20日(日)昼>

終戦後、参謀本部勤務で敗戦の責任を取ろうとしたが一命を取りとめた男。それから2年、親類の仕事を手伝って東北の旧家に滞在中、天皇行幸の宿泊場所としてその旧家が選ばれる。参謀本部で天皇を何度か観かけていた男は、失礼のないように予行演習を指導してほしいと旧家の一族に依頼され、了承するが・・・。

東京裁判三部作といいつつ、東京裁判は全然出てこない最終作。戦争の責任を問うという意味では、まあ間違っていない。けど、3本とも観た感想(夢の裂け目夢の泪)では、これが一番よくできていて面白い。

演出と脚本とどちらの影響が大きいのかはわからないけど、説教くさいのは前2本と同じながらも、前2本と比べて辛気臭さが薄いのは、直接東京裁判が出てこないせいか。あと、文法を手がかりに進める話の展開は、国語上手といわれた井上ひさしらしい。クライマックスで言い分を踏込んだあたりも、内容の是非はともかく、ようやく脚本がリスクをとってくれたと思えて、前2本の欲求不満が解消できた。

ただ、千秋楽で大盛上がりのところを申し訳ないけど、スタンディングオベーションすることはないだろうとは思った。その1。舞台装置が寂しすぎる。能舞台を模して、そこに劇中劇とか幽玄境を云々とか、いろいろ意味を込めたとは思うけど、離れの別宅とはいえ、宿泊場所に選ばれるような旧家で、娘が骨董を持出すような物持ちで、あれは簡素すぎる。その2。3本ともオチが同じなので、前半始まってまもなくオチが予想できたのは、シリーズ物であることを差引いてもつらい。その3。これが一番大きいけど、役者の実年齢と主役の年齢が離れすぎている。この芝居で32歳を68歳が演じたり、推定45歳前後を62歳が演じたりするのは、さすがに無理がある。最初は 台詞と役者の設定が一致しなくて(最後までその違和感は残って)大変だった。実力とか、初演に縁のある役者とか考えたんだろうけど、いくら人材の乏しい日本演劇界でも探せば適役はいるはずで、これはキャスティング ミスだと声を大にしていいたい。念のために言っておけば、役者は全員すばらしい演技だった。けど、演技ではカバーできないケースもある。

3本観終わって、もういいやとすっきりしましたが、チラシには井上ひさしの公演が多数。本当、多いですね。とりあえず「黙阿弥オペラ」と「父と暮らせば」は、都合がつけば観たいと思います。

そういえば、当日券で観たんですけど、並んでいる人数が少なく、しかも千秋楽だからとはいえ、お堅い新国立劇場にしては珍しく真摯に当日券の確保を調整していました。不慣れな点が誠実に見えただけとも言えますが、まあちょっとだけ好感度が上がりました。新国立劇場の職員も、少なくともそれなりに一生懸命な人もいるんだというのはわかりましたが、それでいてこの劇場の活動が演劇界の邪魔をしているようなへたくそな印象を受けるのは何が原因なんでしょう。私の妄想なんでしょうか。

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2010年5月17日 (月)

新国立劇場主催「夢の泪」新国立劇場小劇場

<2010年5月16日(日)昼>

終戦後の東京。新橋で法律事務所を営む弁護士夫婦。女癖が悪い夫に妻は腹を立てて別居している。そんなある日、妻が東京裁判で松岡元外相の弁護団の一員に選ばれる。

井上ひさし東京裁判三部作の第二部。前作が戦争責任の追求を中心においたのに対して、今回は戦争や裁判の位置づけ、それに戦争に翻弄された国民を描くことを主にしている。よくできているのは第一部と変わらないけど、熱中して観られないのも第一部と変わらず。

戦争の位置づけとか、差別の話とか、それはそれでいいんですけど、急に登場するから、第一部ほどではないにしても、脚本が説教くさいんですよね。あと音楽劇にすると上演時間が長くなるわけで、それも個人的にはマイナス。ただし、最後の10分はとても美しい。これは認める。

役者は全員上手だし、音楽劇なだけあって、みんな声がきれい。聴いていて心地よい。初見の人も多かったけど、石田圭祐と大和田美帆は別の芝居で観てみたい。

なんか意地になって観ている気がしないでもないけど、ここまできたら第三部も観ないといけない。でもどんな感じになるんだろう。

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劇団、本谷有希子「甘え」青山円形劇場

<2010年5月15日(土)夜>

父と2人暮らしの娘。母は娘を産んですぐに家を出て行った。父は娘になるべく外出しないように強要する。ある日、父が女性と再婚することを決めて、女性を家に連れてくる。

こんな粗筋で申し訳ない。事前の予想ほどエロくはない。役者は全員上手で、面白いかどうかと聞かれれば面白いけど喰い足りないと返事をする。なんか消化不良の2時間弱。

よく言えば登場人物の話に集中した脚本は、舞台や日常などの設定描写を省きすぎてなかなか入り込めず。抽象的で美しい舞台も、入退場のルールの自由度が高すぎて場面を思い描くまでに時間がかかる。

それらは認めるとしても、役者の演技の種類と脚本があまり一致しない。たぶん、広岡由里子のすごいデフォルメした(それでいて妙に台詞が自然なのは役者としての力量だと思われる)演技がこの脚本には求められていて、だけど小池栄子と大河内浩の演技が真面目すぎて、なんかテンポが悪くなったんだと思う。あと、水橋研二の演技にメリハリがなくて、そこでもテンポが悪かった。安藤玉恵はかなり頑張っていて、以前がっかりしていたので、これは収穫。

総じて、本谷有希子の演出もっと頑張れって結論になる。脚本のオチは結構面白かったけど、ここから公演後半にかけてよくなるかは、演出の問題なので、ちょっとわからない。

あと、これから当日券で観る人は、たぶん端のブロックは避けるのが吉。自分はほぼ正面の席で観たけど、前と横への演技が多いかもしれない。最後列でも舞台に近いのが青山円形劇場のいいところなので、極力正面よりの席を選びましょう。

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2010年5月10日 (月)

パルコ企画製作「裏切りの街」PARCO劇場(若干ネタばれあり)

<2010年5月9日(日)昼>

フリーターだがバイトもさぼって同棲する彼女のヒモになっている男が、テレクラでつかまった人妻に会いに行く。一回り以上も年齢差がある二人が、互いの浮気を承知で付合い始め、果てしなくだらしなくなっていく。

三浦大輔は「愛の渦」に続いて2本目の観劇。やっぱりセックス場面が出てくるんですが、それは別にどうでもよい。煮えきらない場面がひたすら続き、それがねっとりと劇場を覆ってなんとも重苦しくなるという不思議な芝居。青年団なら2本分、チェルフィッチュなら3本分の3時間20分でしたが、力作でした。

シアターガイドなんかに書いてある通り、人間のダメな部分を完結させないで描くという試みは成功しています。なんていう固い説明より、あのヒモっぷりの描き方に興味津々。いや、知人にヒモがいなかっもんで、ああいうぐだぐだな生活とか、お金をせびりもしないでもらえるとか、「明日から本気出す」とか、そこらへんの実際がわからないんですが、すばらしい。私には務まらない。あれだけヒモができるなら大抵のことはできるだろうに、やらないところがダメ人間のダメ人間たるところで、全体に卑屈な田中圭がよい。それを受けてずるずるとはまる人妻は秋山菜津子。もっとがつがつした人物描写かと思ったら、卑屈にプライドが絡まったやっぱりダメ人間、だけどいろいろな台詞や仕草がいちいちセクシー。すばらしい。この2人が絡んで、後ろめたさとか背徳感でなく、ダメさを強調しているのがいいところ。

そんな中でやっぱり松尾スズキは特異な役で、ダメ人間には変わりないけど全体になんか狂った雰囲気が漂っている。説教する場面の穏やかな言葉遣いと一緒に出している殺気が怖い。役者松尾スズキはもっと色んなところに出演してもいいと思う。

他の登場人物もそれぞれにダメ人間で、これを脚本演出した三浦大輔は、よほどいろんなダメ人間を知っているんだろうなと推測。後半に出てくる「授業の楽な 先生」とか「顔だけだったら」というのは秀逸な台詞。スタッフワークも抜かりなく、目まぐるしい転換がお疲れな美術もよかったけど、特に衣装がよい。

でも、普通は休憩時間とか終演後のロビーはもっと賑やかなものだけど、全体に静かだったのが普段のパルコ劇場とは違ったな。1人で観に来た人が多かったのか、みんないろいろ自分のことを思い返していたのか。役者の格好よさとか筋書きの面白さについて語り合う芝居ではないのは確かで、これを「あるある」と話されても困るけど(笑)、いつもと客層が違う気がした。若い人が多かった。後ろは空席が残っていたので、ダメ人間に興味がある人は、当日券で挑戦してみては如何でしょうか。2階建ての美術の2階部分もそれなりに使うので、後ろのほうが見やすい場合もあります。

でも3時間20分はなあ。最近の芝居は「長いけど長さを感じさせない」面白さと「情報を圧縮して短い実時間で長い時間を体験させる」面白さの2種類があって、今回の芝居は前者なんだけど、いろいろな都合を考えるとやっぱり後者の芝居のほうが好ましい。そこは脚本演出の課題として挙げておく。

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2010年5月 9日 (日)

チェルフィッチュ「ホットペッパー、クーラー、そしてお別れの挨拶」ラフォーレミュージアム原宿

<2010年5月8日(金)夜>

契約を切られた派遣社員の送別会を、別の派遣社員たちが幹事となって企画する「ホットペッパー」。その会社の正社員が仕事やオフィス環境についてかみ合わない会話を「クーラー」。そして契約を切られた派遣社員が最後の勤務日に皆の前で「別れの挨拶」。

すごい久しぶりのチェルフィッチュはダンスとか言われていてびっくりした。ドイツの劇場と共同製作したらしいです。外国人が撮影をしていたのもその絡みかな? せりふの繰返しを多用したり、音楽にあわせたり(完全にはあわせていないあたりがまたチェルフィッチュっぽい)していたけど、やっていることはそんなに変わらない。

派遣社員の切迫感と正社員の能天気さを対比させてそれなりに真剣な話を、あの動きと会話による方法で感情的な面を取除くと、かえって深刻さが浮き出しになる。けど、繰返しがきつくて退屈する場面もあって、もともとチェルフィッチュに熱心でない自分には、もうちょっとストーリーがないと観ていてつらかった。

3本を組合せたオムニバスなんだけど、3人、2人、1人と演者の数は減っていて、最後の1本は(細かい演技をほかの人がしていたとはいえ)ほとんど独りで演じきったのはお見事。観ている分には脱力演技なんですけど、終わったらマイクを通じて荒い呼吸が聞こえるので、負荷は相当のものなんでしょう(しかもハイヒールだし)。すっきりした舞台にはっきりした照明も格好良かったです。ただマイクトラブルが残念。

文句としては、配役表を当日パンフに載せておいてほしかった。正社員の男性と、辞める派遣社員の女性がよかったんですけど、誰だかわからん。知っている人教えてください。それと狙っているのか、会場のクーラーが上演中もきいていて、それに直撃する席に座ってしまって寒かった。70分の直撃は寒いです勘弁してください。

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2010年5月 3日 (月)

青年団「革命日記」こまばアゴラ劇場

<2010年5月2日(日)夜>

表向きは政治思想を持って弱者救済活動を行なう団体。裏では本当のテロを計画する「革命」集団。テロ計画の最終打合せのために活動家の家に集まった構成員たちだが、様々な来訪者のためになかなか打合せができない。

まったく見落としていた青年団の芝居をなぜか初日に観るという不思議はさておき、もともと外部に書いた脚本の再演とのこと。大げさなタイトルにふさわしい設定に、似つかわしくない設定と会話(笑)が混ざって、青年団には珍しい怒鳴りあいの場面もあり、「なんとも切ない90分(当日パンフ)」を通り過ぎて、虚しくなりました。

革命を宗教や芸術に置換えてもいいと、これも当日パンフに書かれていましたけど、私は仕事に置換えました。先を考えない計画、議論のすり替え、日常の犠牲、普段とかけ離れて実体を失った言葉遣い。個人が自由意志で集団に参加するはずが、集団が個人の自由意志を無視した上に成立って、その集団の目的を絶対的な善とするごく少数の個人の意見に構成員が振回されるという点では革命も町内会も同じ。集団のあり方という言い方をされていましたが、もっとネタばれっぽく言えば、個人に無理を強いる集団はやがて歪むということ。それを描いて見事すぎるのですが、なんなんでしょうね観終わったあとのこの絶望感。

こんな魅力的な女性陣ばっかりの団体だったら入っちゃうぞーとか最初気楽に思っていたんですけど、近藤強の歪ませた口元を見ながら台詞を聞いていたら殴りたくなってきた。笑えるはずの場面でも笑えない。芝居を観てそんな風に考えることはあんまりないんですけど、ちょっと仕事に忙殺されて神経まいっていたのかな。

客席には小さい子供もいましたが、こんなシニカルな芝居を楽しむにはまだ早いぞ、とか考えたあたりがもうおっさんの証拠ですね。しかしシニカルになってしまった大人にはぜひお勧めしたい。そんな95分。

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Dart's「In The PLAYROOM」Gallery LE DECO 4

<2010年5月1日(土)夜>

リアルな描写と残酷な表現で人気を誇るミステリー小説「ザ・プレイヤー」シリーズ。その最新刊には「次の作品の登場人物になりませんか」という応募用紙が挟まれていた。応募して選ばれたのはいずれも熱心なファン。集合は渋谷駅に近い廃墟ビル。訝る彼ら彼女らの前に現れた作家と編集者は、犯人に追われる立場の登場人物となって逃げきってほしいという依頼をする。ファンが行動を伝え、作家が状況を説明するシミュレーションとして始まったはずの会話が・・・。

なんで芝居を観ていないのにこんなマイナー(失礼)な芝居を見つけたかというとCoRich手塚Blogを読んで気になったから。そこのリンクを辿ってサイトをみたら、未完成のところばかりだけど、その格好よさとチラシ画像とシナリオ説明で、これは観ても損はないという判断に。結果、正しかったです。絶賛とは言いませんが、スリリングな100分を存分に楽しみました。

冒頭に書いたあらすじ、結構説明が面倒なんですけど、芝居ではとても上手かつ格好いい導入部で、すんなり入りこませてくれます。その後の展開は、荒唐無稽といえばその通りなんですが、演技の達者な役者たちがそれを納得させてくれるので、思う存分引きこまれて、スリリングな時間が始まります。探せば名手はいるものだ。そんな役者をまとめて、鬼ごっこをこれだけのドラマに仕立てた脚本演出はすごいです。会場が狭い場所に雑といえば雑な座席を組んでいるのですが、それも設定の一部になっています(劇中の集合場所が今回の会場を想像させる設定)。

反面、オチがきれいに付きすぎてそれまでの緊迫感が若干萎んでしまった、参考のために配られた地図があまり参考にならなかった、会場から出られない場面の演出(設定)が不自然、名手と書いたけどひとりだけ名手でない役者がいた、などのもったいない面もあります。が、それらを差引いても、面白かったことには変わりない。久しぶりに小劇場のよさを堪能しました。

今回は会場の狭さが緊迫感を増していた面もありますが、この脚本は舞台がもう少し大きくてもやりようがあると思うので、新作を3本くらいやってから(ユニットなのでそれがどのくらいかかるかわかりませんけど)、また再演してほしいです。囲み舞台の似合う芝居なので、シアタートラムとか青山円形劇場とかでできるといいですね。

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2010年4月11日 (日)

新国立劇場主催「夢の裂け目」新国立劇場小劇場

<2010年4月11日(日)昼>

太平洋戦争終戦後で、東京裁判進行中の東京。紙芝居の元締として生計を立てる一家に、復員兵や昔の知合いが転がり込んでくる。それで上手くやっていたある日、GHQから親方に、東京裁判で検察側の証人となってほしいという。

東京裁判三部作と銘打った井上ひさし脚本の最初。よくできていました。が、正直なところ、自分の興味とは少しずれていた。音楽も良かったんだけど、でも音楽劇じゃないほうがよかったような。

戦争の責任をどこに問うかということで、2種類の問題提起がなされていますが、どちらも中途半端に終わってしまう(終わらせてしまった)あたりがまさに日本人に対する問題提起なのかな、と思います。思いますけど、そこで止めるのはまさに紙芝居の「次回こうご期待」なわけで、それはないだろというのが率直な感想。それがこの後の2本でもう少し踏込むのか、問題提起に止まるのかは、せっかくなので観てみます。今の自分の個人的な意見としてはインテリさんの意見に近いのですが、まあそれはどうでもいい。

もっとどうでもいいところでは、キムラ緑子がなぜ洋服の出番が多いのか、全編和服で通すべきではないのかという点がありますが、これも置いておきます。

で、もともと観に行くつもりだったんですが、タイミングとしてこんな日になってしまいました。マスコミも来ていましたな。取材されましたが拒否です。邪魔くさい。

新作は これからずっと 遅筆堂

お悔やみ申し上げます。

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2010年1月25日 (月)

阿佐ヶ谷スパイダース「アンチクロックワイズ・ワンダーランド(プレビュー公演)」下北沢本多劇場(ネタばれありあり)

<2010年1月24日(日)昼>

作家の男。それまでの路線を変えて、観念的な話に挑戦して2冊目の本が出版されたばかり。だけど書評は酷評ばかりで、読者評でもけなされている。そこで編集者と自棄酒を飲みに行ったところから始まる、現実と観念とが入混じった世界。

留学帰国後第一作ということで注目の高いときに観念路線を投げてくる確信犯。プレビューということもあるけど、ここの場面は面白くて興味深いけど、全体的になんかちぐはぐ感は否めず。本番でどのくらい変わるのかは不明。以下ネタばれ混じりで。


冒頭の話で勘のいい人はわかると思うけど、今回も「失われた時間を求めて」と同様、長塚圭史の葛藤を舞台化した観念路線。そのときにやりつくしたと思ったらまだ葛藤していたのかとびっくり。冒頭の酷評の部分で「観念路線で2作目だが上手くいっていなくて手垢にまみれて云々、元の刺激路線を求む云々」とこの芝居の感想を予告するような構成を取入れてすでにアンチクロックワイズ。イギリスは皮肉と議論の国だっけ、と思ったり思わなかったり。

登場人物は、制作仲間(欲しくもない応援をして作家をがっかりさせる)、作品ファン(刺激路線を強要する、作品の内容より作家の心情に興味を持つ、観念路線を受入れる)、過去の作品の登場人物(「失われた時間を求めて」の登場人物、飛びだして作家にサジェスチョンする)の大きくわけて3種類。

刺激路線を強要するファンは殺したと思いきやしぶとく生残ったのでもっとひどい目にあわせようとしたり、作家に興味をもつファンは消してしまったりして、観念路線を受入れたファンには過去作品の登場人物を救済させる。最後は制作仲間の元に帰る。

まあこんな感じ。観念路線はどちらかというと好きな路線なんですけど、それでもそれなりの物語と人物描写を求めたい性質の私には、今回の芝居には両方とも足りない。ワークショップで作ったせいかどうか、キャラクターに統一感の取れていない登場人物がいたり、場面ごとの雰囲気に統一感が欠けたり、プレビュー公演だとしても仕上がりはイマイチでした。あと、猫とか公園とか、「失われた時間を求めて」を観ているかどうかで理解度に差が出てくるのはいただけない。シリーズ物だとしても単品での仕上がりは担保してほしいので、その点は平田オリザを見習ってほしいです。

あとは提出を忘れたアンケートへの回答を。
・印象に残ったシーン:作家が、ファンの女の家で話す序盤の場面。
・登場人物の印象:そのファンの女を演じた小島聖は、キャラクターが生きていてよかった。馬渕英俚可は、あの役を演じるには今回の役者では一番適任だったとはいえ、結果としてもったいない役になってしまった。
・スタッフワークの印象:モノトーンの舞台に色をつけない照明は渋くて好き。だけどその分は衣装で色の変化を付けてほしかった。小島聖以外は地味な色ばっかりで、意図があるとしても暗すぎる。
・上演時間と休憩時間:観念路線に休憩時間は禁物。2時間に収めて休憩なしにしてほしい。
・客席内の温度:当日券エリアで観たけど、寒いです。眠気覚まし狙いなら勘弁してください。
・料金:こんなもんかと思う。どちらかというと劇場の選定に異議あり。ベニサン・ピットがなくなった今、こういうのはスズナリか、世田谷パブリックシアター/シアタートラムのほうがいいでしょう。本多劇場はエンターテイメント劇場です。
・困ったこと:当日券は椅子が痛い。クッション追加希望。
・色にたとえると:どんよりした灰色。
・感想:さっき書いたとおり、観念路線は好きなほうだけど、刺激路線を求めている客は寝るんですよ。前回も今回も隣の客が寝ていました。そうすると観ていてがっかりするので、この路線を区別するようなユニット名(?)を付けて、間違えた客が混じらないようにしてもらいたいです。「阿佐ヶ谷スパイダース 表現かんねん」みたいな。営業上は嬉しくないかもしれませんけど、これから観念路線を定期的に上演するのであれば、ぜひ検討してください。

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