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2011年1月30日 (日)

新国立劇場主催「わが町」新国立劇場中劇場

<2011年1月29日(土)昼>

アメリカはニューハンプシャー州の片隅にある人口二千人余りの町、グローヴァーズコーナーズ。20世紀初頭に、この町で道を挟んで向かい合う2つの家族を通して描かれる、ありふれて平凡で、とても美しい人生についての物語。

1本しか観られる時間がないってことで他の芝居とどっちをとるか大いに悩んで、3ヶ月前に観たばかりだったのですが、全力のキャストで一度観てみたかったのでこれを選びました。期待通りの出来で満足でした。

とりあえず小堺一機。役者で誰かひとり挙げろと言われたら小堺一機。キャスティング勝ちとしかいいようがない。あて書きなんじゃないかってくらいはまっていた。ちょっと固い場面もあったけど、最後の「おやすみなさい」の台詞には泣きそうになった。

他もよかったですね。全体に、女性陣が目立っていたのは演出家が女性だったからでしょうか。筆頭は鷲尾真知子。男性陣は優しめの設定でしたけど、その中では山本亨の存在感が目を引いた。

中劇場の舞台を広くとって客席との距離を近くするのは最近の流行りですけど、やっぱり観やすくていいです。そしてあまり色を使わずに、それでいてその広さを存分に生かす照明が美しかった。音響は、ピアノ生演奏に役者の生効果音を足して、上手に物語を進めていた。

で、いろいろ褒めましたし、脚本が面白いのが大前提なんですけど、やっぱり演出家の実力なんだろうな。面白い脚本にさらに面白さを足せる演出家はいろいろ思い浮かびますが、面白い脚本の素材を十二分に引張りだして仕上げる演出家という点では、やはり宮田慶子は一級の演出家だなと思わせられました。

千秋楽に間に合ってよかった。

2011年1月10日 (月)

柿喰う客「愉快犯」東京芸術劇場小ホール2

<2011年1月9日(日)昼>

戦国時代まで遡れる名家・琴吹家。とことん運がいいのと、ありあまる財産とのおかげで、何一つ不自由のない生活を送ってきたが、代わりにストレスに極度に弱いという体質を抱えている。そんな一家だったが、クリスマスイブの夜に長女がなくなってしまう。そこから始まる家族の迷走。

新年早々目当ての芝居で当日券が蹴られて、夜に観る予定だったこの公演を昼に繰上げ。以前から評判がよかったのとチラシの手間の掛けかたに期待していたら、最初よくわからなく、そのうちこういうもんかとわかった。面白かったけど、それ以上になんかエネルギーをもらったような満足感。

登場人物が不自然なほどおおげさに話したり動いたり繰返したりするのはこの劇団の特徴ってことであっていますでしょうか。それだけかと思いきや、後で考えると脚本は案外しっかりしているし、役者もよく動き、よく話す。あのくらい大げさにやると返って納得するよねっていう水準以上に大げさにやる、というと簡単だけど、それを上演中キープするのはすごいですよ。芸劇eyesにスカウトされるだけのことはある。

役者もみんな、声は大きいし背は高いし、ビジュアル面でもキャラを立てて、こういう元気のよさは新鮮だ。新春公演ということで口上なんかも仕込まれて、なんか得した気分です。

あと何がよかったかって、上演時間1時間20分というのがよい。実際にはほぼ毎回アフタートークをやっているらしく、そこまでいれると2時間だったけど、ひたすら上演時間が延びる最近の芝居の中で、このコンパクトさは売りになる。観られるものなら次回公演も観たいぞ。

アフタートークのメモ。いつものことだが細かいことは気にするな。今回は中屋敷法仁と深谷由梨香。この人(深谷由梨香)だけ劇団員中ぶっちぎりでトークが下手らしくて、実際下手で、役者でもここまでトーク下手な人がいるのかとこっちがびっくりした。

中屋敷「自分で狙いがあってスカウトしておいてなんだが、何で劇団にいてくれるのか」
深谷「自分は芝居を観るのはあまり好きではない。でも柿喰う客でやるのは楽しい」

観客「柿喰う客という劇団名はどうやって決めたのか」
中屋敷「いろいろな命名の法則を考えている大学の先生に決めてもらった。老若男女の誰が口にしても恥ずかしくないのはいい。知合いにXXXX(伏せときます)という劇団があるが、結婚式で言われたら恥ずかしい」
「あと、早口言葉をちゃんと練習しているように(いい方向に)誤解されるのも特」

観客「繰返しが多いがどこまで脚本でどこまでアドリブか」
中屋敷「脚本にすごい細かく書いている。自分の芝居は音楽みたいなもの。繰返しを入れることで、お客さんが安心して観られる効果がある。自分は繰返しのない音楽は聴いていて不安になる」

中屋敷「自分の芝居は観客にいかにフィクションであることに納得してもらった上で入り込んでもらうかが鍵。舞台上で濃い内部空間を作るのもありだけど、自分は常に開く方向にありたい。『観客に観られていること』に対して何をどうやって返すかが大事」

中屋敷「テンパって回りが見えていない役者には怒る。『自分の役は考えるな、相手の役のことを考えろ』という。そうなることを防ぐ意味もこめて、毎公演とも役者を入替えるシャッフル回を実施する(今回は13日夜)」

観客「セットが目立ったがどうやってこのセットになったのか」
中屋敷「柿喰う客のセットは、何もないか、すごい動きづらいか、どちらかであることが多い。美術の打合せでは芝居の内容はまったく打合せず、イメージとかやりたい動きとかを伝えて、形にしてもらう。今回は新春らしく扇とか、派手な色とかを希望として伝えたらこうなった」

2011年1月 6日 (木)

2010年下半期決算

旧年中にまとめたくてまとめられなかった2010年下半期決算です。

(1)モダンスイマーズ「真夏の迷光とサイコ」青山円形劇場

(2)ナイロン100℃「2番目、或いは3番目」下北沢本多劇場

(3)こまつ座「黙阿弥オペラ」紀伊国屋サザンシアター

(4)NODA・MAP「ザ・キャラクター」東京芸術劇場中ホール

(5)劇団M.O.P.「さらば八月のうた」紀伊国屋ホール

(6)ブス会「女の罪」リトルモア地下

(7)パルコ企画製作「ハーパー・リーガン」PARCO劇場

(8)サンライズプロモーション東京製作「イリアス」ル・テアトル銀座

(9)テアトル・エコー「日本人のへそ」恵比寿エコー劇場

(10)ナイロン100℃ Side Session「亀の気配」サンモールスタジオ

(11)TBS・サンライズプロモーション東京主催・制作「志の輔らくご in ACT」赤坂ACTシアター

(12)青年団「砂と兵隊」こまばアゴラ劇場

(13)SPAC「わが町」静岡芸術劇場

(14)東京芸術劇場「ブルードラゴン」東京芸術劇場中ホール

(15)こまつ座「水の手紙/少年口伝隊一九四五」紀伊国屋サザンシアター

(16)大人計画「母を逃がす」下北沢本多劇場

(17)演劇集団キャラメルボックス「サンタクロースが歌ってくれた」サンシャイン劇場

以上17本、隠し観劇はなし、チケットはすべて公式ルートで購入した結果、

  • チケット総額は101850円
  • 1本あたりの単価は5991円

となりました。上半期の13本とあわせて

  • チケット総額は165200円
  • 1本あたりの単価は5507円

です。上半期は青年団と新国立劇場の芝居が多くて5000円を切っていた単価ですが、下半期は商業演劇(イリアス)、こまつ座、東京芸術劇場中ホールと高額な芝居が多く通年の単価5000円切りはなりませんでした。それでも6000円を超えていた近年の傾向を考えると望ましい結果です。

どの芝居も観てからそれなりに時間が経っていますが、今になって選ぶと「カガクするココロ」、「黙阿弥オペラ」、「さらば八月のうた」、あとなぜか半年に1回観たことになる「志の輔らくご」が観てよかったと思います。期せずして上半期、下半期とも2009年と同じ本数になったのですが、チケット総額が1割以上圧縮された割に、満足度はそれほど変わらないのが発見と言えば発見です。

話は変わって、上半期でも書いたのですが、今年は芝居を観に行く時間が上手く取れませんでした。経済的にヤバい、という時期は脱したのですが、代わりに時間がなくなった。特に12月は例年注目作が多くて本数の増える時期なのですが、今年は1本だけという有様です。ラインナップを見返しても初見の団体がほとんどないのは余裕がない証拠です。仕事が忙しくて休日を食ったというのもあるのですが、それより体力がきつい。うまくやれば1日2本観られるところ、土曜日は疲れて午前中は動けず、昼から動くため夜の芝居しか観られないという効率の悪さです。

そして12月に見逃しと売切御免を連発した結果、芝居見物の欲求が少なくなっていることに気がつきました。なぜかと年末年始に考えたのですが、

  • 芝居を見慣れた結果、期待のハードルが上がって、その分得られる感動が減っている
  • 生活の危機感が趣味への興味を上回った

という結論になりました。前者はお前程度の見物本数で何がわかると言われればそうなのですが、それでもこのくらいの本数と金額の芝居を毎年自分で選択、チケット手配、自腹支払までして観ていると、それなりに目は肥えるという話です。後者について補足すると、自分の年齢と今のビジネススキルについて芝居を観る本数を減らして、その分を修行に当てないと今後社会人として危なくなるという危機感が出てきました。いろいろ足りないものを身に付けないといけないので、今後芝居を観なくなるというわけではないのですが、そこに振分けるリソース、とりわけ時間は減らそうと考えています。

なので、2010年の30本/28日を2011年は減らす方向で調整して、月1日に2本観る計算で、24本/12日くらいまで圧縮することを目指します。1月がまた忙しい上に観たい芝居が多いんですけど、観すぎた場合は2月で調整します。こんな零細ブログでもほんの少々の常連さんはいらっしゃるようですが、そのくらいの更新頻度でもひとつ生暖かく見守っていただければ幸いです。

本当はそれでも観に行きたくなるくらい面白い芝居であふれているといいんですけど、世界で一、二をあらそう大都市の東京といえども、それは難しいのですね。半年や1年のロングランが成立たないところが、新作を促してある種の活気を産んでいたと思うのですが、面白い芝居がロングランにできないことは創るほうにも観るほうにもデメリットなんじゃないかと思うようになってきました。

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