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2011年8月14日 (日)

(ワークショップ)新国立劇場演劇研修所「NNTドラマスタジオ オープンスクール(3日目)」新国立劇場内稽古場

読む際の注意事項は目次をご覧ください。

<1限目「声と演技」池内美奈子>

  • いつもどおり腰、肩の確認。これは自分の体の感覚を自分で手に入れるため。全身の筋肉を動かすのが目的ではない。自分で自分の感覚を手に入れる。できるだけ繊細になる。実際に何か動作をしたり、声を出したりしたときにそれが自分の体感で納得できるものかどうかを自分で判断できるようになるための基礎。
  • 呼吸。下から吸って吐いてみる。立っているときは足の裏から、座っているときはお尻から吸って吐くイメージ。
  • ハミング。上のハミング。鼻で「んー」と言ってみる。高音のハミング。下のハミング。口で「うー」と言ってみる。低音のハミング。高音のハミングは音(声)を共鳴させる仕組み。欧米人の声がよく通るのはこれ。実際に台詞を言う際には高音低音がバランスよく混ざるとよい。
  • 頭の上で手を動かして、一番高い声を出してみる。頭の上から高音が出るイメージ。
  • 片腕をまっすぐ上に伸ばして、ゆっくり下に下ろす。それにあわせて高音から低音に「あー」と言ってみる。崖から人が落ちるときの叫び声のような感じ。
  • 両腕を上下に伸ばして、同時にゆっくり上下を入替える。それにあわせて高音から低音に「あー」と言ってみる。その直後、両腕をまっすぐ前に伸ばし、一番普通の声で「あー」と言ってみる。これが自分の声の音程のほぼ真ん中。そのまま両腕を横に広げながら息が続くまで「あー」。
  • 鼻のハミングが上手くいかない場合、あるいはもっと効果的に行なう方法。猫の鳴き声。鼻でドラ猫のような鳴き声(喧嘩しているときのような声)を真似てみる。
  • 呼吸。顔の前に手を置いて、そこに届くと思うように息を吐く。手を伸ばして。少し先の床を指差して。そこにいる人を指差して。遠くの何かを指差して。距離に応じてそこに届くと思う息の量を調整しながら。指差す場合は具体的にピンポイントで。
  • 2人1組の声のゲーム(?)2種類。片方が動かす手の動きのイメージにあった声をもう一方が出す。片方が出した声のイメージにあった動きでもう一方が動く。
  • 歩きながら読む。2日目のルールに加えて、自分で歩く長さ、速さをその行のイメージに合わせて都度変えながら。その後、座って読んでみる。歩いたときの長さ速さの感覚が残っていたりしないか。
  • 2人1組。座りながら。一度2、3行読んでみる。終わったら、床におでこをつけて、猫の鳴き声のハミングで同じ箇所を読む。もう一度同じ箇所を読んでみる。高音の共鳴が混ざって少し響きが変わっていないか。

動きに意味をつけながら読むのですが、単に読んだ後でこれをやると、台詞と動きに解釈が混ざって、ちょっと声の調子が変わりました。これは結構面白い体験。それとは別にテクニカルなハミングの説明もいいです。

<2、3限目「戯曲を読む」宮田慶子>

  • 研修所、養成所に入ったからといって役者になれるわけではない。なりたいと思ってなれるならそんな結構な話はない。アスリートと同じ。自己ベストを更新する努力を何年も何年も行なってやっとモノになる人がいる。
  • 新国立劇場の研修所では上演する芝居の稽古や本番を必ず観る。それでトップレベルを目にして、目標「値」がはっきりわかる機会が持てるのはここの研修所のいいところ。
  • 自分探しなんてやめてくれ。そんなものは探しても見つかるわけがない。もっといいものを探してくれ。
  • たかだか20年少しの人生は人様に見せられるような面白いものか。謙虚でいてくれ、具体的なあこがれ(目標)の対象を持ってくれ。あこがれの対象はたくさん持ってくれ。やっているうちに目標「値」が上が(ってきりがなくな)ることを楽しんでくれ。日本にあこがれがなければ海外を見ろ。研修所で日々の課題をこなすことに精一杯で目標を見失なわないようにしろ。
  • 映画や芝居を観客目線で観て楽しかったとか言うな。あれは商売敵だ。他の役者がどうやって表現しているのかをよく観察しろ。映像だといいショット取りになっているので途中経過がわかりづらいが、舞台は生身の肉体なのでとても観察しやすい。
  • いい役者の芝居を観ろ。小劇場の弱点は仲間内の役者だけを観て、いい役者を観ないで育つこと。4、5年先輩なんてたいしたことはない。20年先輩を観ろ。座長の色しか出せない役者になるな。いろいろな演出家、国内だけでなく海外でも通用するカラーを身に付けろ。
  • 自立しろ。小劇場を観て、それでいいのかと思う役者がいる。独立する人もいるが、10年経っても同じ劇団でくすぶっている人がいる。10年経ってそうなら芽が出なかったということ。劇団寿命10年説とはそういうこと。
  • 映像だったり舞台だったり、媒体によって役者に求められるものは違うが、舞台役者はオールマイティーな実力が求められるので、そこからどの媒体にも出ていける。研修所は舞台役者を育てたい。
  • タレントと役者の違い。タレントは自分を売る。数年で飽きられるので、最後はプライバシーを売ることになる。役者は役を作って売る。役を作る能力があればプライバシーは問われないし、誰も気にしない。
  • 役者の身体は自分が預かっている商品。腐らせてはいけない。常に商品管理をしろ。畑から耕す八百屋になれ。身体も心も、自分のものであって自分のものでないように客観的に管理する。客観的に管理するのはいいことで、何か問題があったときの立ち直りが早くできる。
  • 稽古中は主観3割、客観7割。本番中は主観9割になっても客観1割は残す。本番中でも主観10割になるのはほんの一瞬。
  • 発声は腹、喉、口内を通した空気の送り出し。発音はXX(失念)。口の形はひとりひとり違う。母音と子音に分けて認識することで自分の癖を知る。体の癖と同じように口内の癖もある。欠点はカバーして長所は伸ばす。
  • 腹に落ちていない台詞を出すと喉をつぶしがち。

(ここから本読みについて、テネシーウィリアムスの「話してくれ、雨のように」)

  • 本読みでは最低限、稽古場にいる関係者全員に聞こえる声の大きさで、できれば空間が埋まる声の大きさで。みんなその声に反応しようと思って待っている。スタッフは一緒に芝居を作っている人。その芝居が好きだったり、その声を聴きながら自分のプランニングをしている。辛辣な意見を持っている。その人たちが聞こえない声を出すな。
  • 脚本をもらって自分の台詞しかチェックしない役者は馬鹿。まずは全体像を把握することが必須。
  • テネシー・ウィリアムスはおせっかいな作家で、演出プランのようなト書きが多い。でも書かれているならやらないといけない。それは台詞と同じ。そこに自分がやりたいことを乗せていく。
  • このト書きは、これがない場合に、これと同じような内容を役者と演出家とで作らないといけないプランニングのちょうどいいサンプルでもある。
  • 脚本はチェックしながら読む。チェックするとは、入れないといけない情報を確認すること。
  • 長台詞が多い。プランニングが大変。生まれてからそこまでの人生を作らないといけない。
  • 冒頭の「何時だ?」の一言にその役の人生を込めないといけない。
  • 記号をどう読むか。点線、棒線、句点、読点、クエスチョンマーク、エクスクラメーションマーク、傍点、etc. 作家によってルールが違うので読みながら判断する(テネシー・ウィリアムスはかなり独自なほう)。
  • 結構面白い。有名な脚本は暇なときに読んでおく。短い脚本なら1日使って口に出していろいろ試しながら読んでみる。

(ここから駄目だし、長台詞を読んだときの)

  • 最初に見つけた情報にいきなる乗ると、他の情報を見落とすことがあるから我慢する。キャッチした情報をすぐに信じないで疑っていると、言葉に重みが出てくる。
  • プランは100通り出せても、実際に使えるのは3通りくらい。全部試したら1本の稽古に3年かかってしまう。冒険するのはいいが、使えないものは早く捨てる。
  • 間違えないことを目指すのではなく、何かを出す(表現する)ことを楽しめるように。
  • 台詞は動機が大切。
  • 台詞を話す動機は大きく持つ。
  • その台詞の動機は何か。一言で言い換えるとどうなるか。
  • 誰に向かってその台詞を話しているのかを想定する。
  • 解放して話す。
  • 句読点でリズムを出すことがあるので注意。
  • 句点から句点までがワンフレーズ。これは一息で読む。
  • 理解と話す技術とをつなげられるように。口の中で100本ノック。いろいろな声も出してみる。
  • 顔が動くと声の調子も変わる。顔を動かして試す。
  • 長台詞を話すときにはどこかに「へそ(強調ポイント)」がほしい。

この講義中、あらゆる指摘が具体的に言語化されて指摘されるあたり、2日目の西川講座でも感じましたが、優れた演出家の言語化能力はすばらしいです。戯曲の読みももちろん行なったのですが、もらった戯曲のコピーが注釈で真っ赤で、ちょっと戯曲依存すぎてメモを起こせないので割愛しています。あと駄目出しは実際に読んだものを聞いていないとどういう指摘なのか理解しかねるところもありますが、なんとなく通じそうなので、メモをそのまま起こしました。

戯曲の読み方については、ちょっとジャンルは違いますが「本を読む本」を連想しました。直接ではないにしても参考になると思いますので、興味がある人は購入してみてはいかがでしょうか。

ただこの講義のポイントは、個人的には冒頭の30分の指摘。録音禁止と言われたこの4日間の中で、ここだけは録音して全国にばら撒きたかった。これで私の疑問のひとつも解決しましたが、これについてはまとめで。

もうひとつ個人的な話ですが、宮田慶子には「東京原子核クラブ」を改めて上演していただきたく。ぜひ検討を。

<サロン「音楽と芝居」小曽根真>

  • 即興1曲。
  • 海外でよく訊かれること。What do you want to do?
  • この時間は音楽と芝居の共通点について。
  • アドリブ(失念)。
  • メロディとリズム。ここにすごい情報量がある。リズムはみんなが責任を持たないとスピード感を出せない。
  • ハーモニー。長調が明るく、短調が暗いとは限らない。弾き方で変わる。
  • メロディとカウンターメロディ。カウンターメロディを固定してメロディラインを動かした場合とメロディラインを固定してカウンターメロディを動かした場合との比較。ハーモニー全体の雰囲気を変えられるのはカウンターメロディ。
  • 自分の好きな音楽家は、曲の全体像を把握した上で、自分の表現で音を出す。自分の出したい音を出して満足、という音楽家ではない。
  • 自分がどう弾くかより、相手がどう弾いたかを聴かないとつまらない音楽になる。そのためには全体像を把握する。自分を良くすることより作品全体を良くすることにJoyを見つけてほしい。
  • ダイナミクス。ピアニッシモはフォルテッシモと同じくらいエネルギッシュ。エネルギーを解放するように出すのがフォルテッシモ。エネルギーを細く出すのがピアニッシモ。
  • 昔アルバイトでラウンジでピアノを弾いていたときの話。どんなに音量を小さく弾いても、エネルギーを込めて弾いたらお客さんは会話を止めて聞いてくれた。そうしたら会話が止まったのを気にした支配人から「もっと小さい音で弾け」と言われた。もっと小さく弾いて、それでもお客さんは聞いてくれて、しまいにはもう小さくできなくなった。
  • 妻(神野三鈴)は一番小さな声を出すとき、最後列の後ろに放物線で落ちるように、できれば後ろの壁を抜けて外へ届くことを目指しているとのこと。
  • 自分が思ったものの3倍にしないと伝わらない。
  • 恐怖の正体は知らないこと。向き合って理解すると別にそこまで怖くないことが多い。知らないことと出会ったときに、向き合えるかどうかは知性による。
  • 生のパフォーマンスは栄養剤。感動とは別に、分析的な見方にもなるのは仕事柄そういうもの。
  • 芸術は自分の感性を戻すもの。合う合わないはあるし、パフォーマーも人間なので自分が観た回の出来が悪いこともある。お金を払ったから最後まで観ないともったいないと、特に日本人は思いがちだが、そういう場合は切のいいところで帰ってしまってもいい。
  • 自分の意見を持て。ただし評論家になるな。匿名の無責任な評価は嫌い。

「匿名の無責任な評価は嫌い」あーすいませんそれは私です。しかし金を払ってスカをつかんだときの腹立たしさもまた観客の正直な気分です。自腹でチケットを買うこと、最後まで観てつまらんものはつまらんと確認することがブログに書く時の自分の最低限のルールです。それで勘弁してください。

それとは別に、音楽と芝居との共通点、非常にわかりやすかったです。目の前1メートルでピアノが聴けたのは非常に贅沢な時間でした。

ここまでで3日目終了。

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