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2011年8月14日 (日)

(ワークショップ)新国立劇場演劇研修所「NNTドラマスタジオ オープンスクール(4日目)」新国立劇場内稽古場

読む際の注意事項は目次をご覧ください。

<1限目「身体で語る」小野寺修二>

  • 床に手を付いて肘が伸びた状態で肘だけを内外に回転させる。たいていの人ができる。両腕を前に伸ばしてどこも触っていない状態で、手や肩を動かさずに肘だけを回転させる。たいていの人ができない。
  • 振返る動き。早い、普通、ゆっくり。あるいは首だけ、肩も、腰も。それだけで観ている人に伝えられる情報は変わってくる。
  • 知らない人は肘の回転の可能性について一生知らない。あるいは振返るときにどういうバリエーションがあるのかに気がつかない。でも知っていて10年試していれば、あるときできるようになるかもしれない。身体の部位の分け方にはいろいろなシステムがあるが、体の仕組み、可能性を知るきっかけをこの講義でつかめれば。
  • 動きは点で切替える。日常はグラデーションで切替わらない。泣くとき、驚くとき、etc. 感情も動きも、点で切替わったほうが面白い。
  • 円で歩く。普通に歩く。つま先だけで、かかとだけで、内側だけで、外側だけで。足の裏は普段4箇所で支えている。意識しているか。
  • 円で前向きに、腰を落として歩く。横向きに、足を前後に交差させて歩く。腰を落として横向きに足を前後に交差させて歩く。丹田(センター)を意識する。腰を落とした動きには、和物の舞台をやるときに向き合うことになる。
  • 立っているところから床に仰向けに寝るまで、等速で動いてみる。逆もやってみる。他よりも早くなったところ、あるいは遅くなったところが特に注意。それがきついところの場合が多い。日常生活では早く動けばきつい箇所は回避できる。どこがきついかに気づく。気づいたら、それを克服する方法と、回避する方法の両方を考える(床に仰向けに寝るという指示は出したが、まっすぐ動けとは指示していない。つらい箇所は横向きに動けば回避できるかもしれない)。
  • 立っているところから、横の床の1点を見て、頭がそこまで一直線になるように動いて身体を倒す。逆もやってみる。自分の頭がどうやって動いているかが自覚できないとできない。見た箇所が自分から離れた場所の場合は、そのまま倒れても届かない。足を上手に使いながら、それでも頭が一直線になるように。
  • 端から端まで歩く。こういう指示を出すとたいてい不自然な歩き方になる。きれいに歩こうとすると変。ホームの向こうから歩いてきたら避けたくなるような。日常生活ではたいていどこかに重心が偏った姿勢、動きになっている。自分や他人を観察してみる。重心がバランスした人を見つけたらラッキー、くらい珍しい。
  • 端から端までニュートラルに歩く。こういう指示を出すとたいてい気配を消すような歩き方になる。ニュートラルとは気配を消すことではない。ニュートラルな動きとは? 正解はない。ただ、もしそれに近い動きができるのであれば、演出する側はそこに指示を足せる。「普通に歩いて」という指示で役者に変な歩き方をされると、演出のしようがない。
  • 端から端まで、前、後ろ、反転(身体の向きを変えて、歩く向きはそのまま)の3つを指示に従って切替えながら歩く。前と後ろだけだとたいていの人ができる。そこに反転を足すとできなくなる。でも、そこで混乱したときに出た動きは自然な動きであることが多い。これもしばらくやっていればできるようになる。苦手な動きは、日常生活でやっていない動作であることが多い。普段からいろいろ試すとよい。
  • 自分の身体、自分の癖に自分で興味を持つ。習おうとするといろいろありすぎてきりがないし、その教師を信じる信じないの話になってしまう。自分で自分に興味を持てばそうならないで済む。
  • 2人1組(1):向き合って座った状態で両手をつなぎ、合図なしでバランスを取りながら立上がる。また座る。背中がもたれかかるように全体重を後ろにかけると体重差でバランスが難しくなる。腰を落として上半身をまっすぐにして、腰でバランスを取るともっと軽い負荷でバランスが取れる。そうすると、かなりの体重差でも立上がれる。片手でも大丈夫。
  • 2人1組(2):端から端まで、入れ替わり引張りあいながら進む。引張られて次に進んだときの勢いを次に伝える。できるだけ効率的に動きたい。効率的に動けているときはどんどん加速していく。
  • 2人1組(3):背中合せで座った状態から、合図なしで中腰まで立上がり、その状態で歩く。バランスはやはり腰で取る。歩く向きは背中越しに相手の反応で決める。反応は伝わる。
  • この手の2人1組をやる場合に、(1)や(3)で足を閉じた姿勢からスタートする人が多い。体育座りの習慣。足幅は適度に開いたほうが楽。閉じたほうがきつい。
  • 2人1組(4)人形:片方が人形で動かされた通りの姿勢を保つ。もう片方が人形を動かす人。どういう関節を動かしてどういう姿勢を取れるか。人形を動かす人は、関節を動かす前に何回か試しに動かしてから位置を固定すると、人形側の人が関節の感覚をつかみやすい。足を動かしたい場合など、どちらかに重心を寄せれば、もう片方の足は浮かせられる。
  • 2人1組(5)止まる:相手を触ったらそこで止まる。今度はもう片方が動いて、別のポーズで相手に触って止まる、の繰返し。触る、叩く、押す、はそれぞれ違う。触られて動き始めた側が、等速で動けば観るほうは動きに注目する。緩急のある動きで動けばパフォーマーに注目する。どちらを見せたいか。
  • 動くことは、相手の動きを受けて自分が動く。その繰返し。

身体だけのことをここまでまとめて意識したのは初めての体験で、「できるだけ効率的に動く」と「等速と緩急の違い」は改めて指摘されて気がつきました。もともとの身体状態の話を受けるボキャブラリーが不足していたので言われた内容を消化するには時間がかかりますが、でも面白かった。運動不足の自分には息切れしながら受けていましたけど、あと30分受けたかった。

<2限目「歌と演技」伊藤和美>

  • 歌の訓練でカラオケが上達してほしいわけではない。
  • 苦手な人はいろいろ。学校の授業で下手と言われて苦手意識を持った、音程が取れない、etc. 理由はいろいろだが、研修所の場合は1年から2年経つと、苦手な人でも苦手意識が取れてだんだん好きになる。
  • 音程については、音程と、その音程の声帯の筋肉の使い方の関連付けができていないから。
  • 楽譜が読めなくても、とりあえず音符の上げ下げがわかれば、あとは耳で聞いて覚えて何とかする。
  • 音楽的な説明が今回の中心。芝居との具体的な関係はまた別。
  • 「あー」の発声。口は大きく開ける。前歯が軽く見えるように、唇を巻込まない。口より上、目の周りの筋肉も動かして。
  • 腹式呼吸。口から吐く、吐ききったら止める、鼻から吸う。腰を盃に見立てて、腰を傾けて盃を空っぽにするイメージで腹をへこます。自分は腹式呼吸を推奨しているが、これが絶対ではない。教え方は教師によってそれぞれなので、自分に合った方法を見つける。
  • 怒ると喉が閉まる。怒った感情の曲に怒った感情をどう乗せるかは修行。
  • 10分CDのトレーニング(メモひとつだけ)。輪になって、誰かを指し示しながらハレルヤ。大きい輪、普通の輪、小さい輪。距離によって同じ「ハレルヤ」でも声は違う。好きなつもりで、嫌いなつもりで、大嫌いなつもりで。感情によっても同じ「ハレルヤ」でも声は違う。
  • 滑舌。母音がアエイエアエイエアエイオウで。(1)喉:A、K、H、Y、W、G (2)舌先と歯:S、Z (3)舌:T、N、R、D (4)唇:M、B、P
  • 歌。前日利用したテネシー・ウィリアムスのト書きに出てきた「エストレリータ」。原詞の訳を読んでから脚本を読み直すと、また違ったイメージが出てくる。音符の制限があるので原詞と訳詞とでどうしても細かい違いが出てしまうのはしょうがない。
  • 歌の練習。
  • BGMのある場面で、音楽に合わせて台詞を言わない。BGMはBGM、台詞優先。偶然タイミングがあうのはいいが、あわなくてもいい。
  • 芝居中に歌を使うと、表現される幅が広がる。歌が出てきたときに、苦手意識を前面に出すのではなく、どうやって作品世界を広げられるか、そう前向きに考えてほしい。

10分CDと歌の練習が、ちょっとテキストに起こしづらいので短いメモになりましたが、ああいうのは音楽用語でなんていえばいいんでしょうか。ハレルヤの練習、あれは確かに声が違って面白かった。

後でいくつか質問はしたのですが、自分は音痴で歌が苦手なので、練習方法についてもう少し質問をしておけばよかったと悔やんでいます。

<3限目「声と演技」池内美奈子>

  • 各種ウォーミングアップ。前の日までに感じられた感覚が感じられないことがあるかもしれない。毎日同じ感覚を味わえるとは思わない。また、感覚を感じられない日の感覚はどんなものか、探る。
  • 文章に合せて上下を指して、あるいは左右に動いて。作者の意図する前向きな単語(上向き)と後向きな単語(下向き)で。また役者の感情に役立つ(上向き)か役立たないか(下向き)で。
  • 2人1組。耳元でささやくように読む。

3日目の内容をもう少し進めたものですが、今回は上下の指差しや左右の動きで本当に上向きでいいのか、と迷って、声も迷うという体験をしました。それはそれで声に反映されていたので興味深い体験でした。ここらへん、練習に使ったソネットの内容をもっと納得を伴った理解をして、もう少し時間をかけると、台詞と動作と声がつながって、そのうち座ったままで動作なしでも内容の理解(感情?)が声に上手く反映されるようになるのだと思います。

本当、自分には4日間ではまったく足りなかったのが、惜しまれるところです。

ここまでで4日目終了。

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