劇団☆新感線「髑髏城の七人」青山劇場
<2011年9月11日(日)昼>
豊臣秀吉が天下統一を目指して関東攻めを準備している戦国時代。が、関東では、天魔王率いる「関東髑髏党」が北条一族を滅ぼして関東一円を手中にし、戦に備えて新たに城を築く一方、領内で狼藉の限りをつくしていた。それに対抗して村人を救った若者集団「関八州荒武者隊」と、通りがかって手助けをした正体不明の浪人捨之助。救った村人を送り届けたのは無界屋蘭兵衛が作り上げた、流れ者の色町として名高い「無界の里」。送り届けたまではよかったが、どうやら捨之助と蘭兵衛は知り合いらしい。やがて関東髑髏党の手は無界の里まで伸びてくる。
登場人物の多い芝居は粗筋を書くだけでも一苦労ですね。新感線の代表作と名高い一本に、これでもかと豪華役者を持ってきたキャスティングで、文句を言ったら罰があたるエンターテイメントに仕上がっていました。今の日本でこれを超えるチャンバラ時代劇笑いあり涙あり娯楽大作は、新感線自身でしか創れないでしょう。オールスタンディングオベーションとか久しぶりに見ました。
主役の三人(小栗旬、森山未來、早乙女太一)とかもっと飽きると思っていたんですけど、押しもよし、殺陣の切れもよしで、大劇場で主役を張るとはこういうことかと最後まで感心しっぱなしでした。特に小栗旬がよかった。小池栄子と勝地涼もかなりいい。でもゲストで一番目を引いたのは千葉哲也。出番が少ないのがもったいないけど、逆にあれしかない出番で何に惹かれたのかわからない。いや声に惹かれたのはわかるんですけど、あの声を出せるのがすごい。で、「文句を言ったら罰が当たる」と書きましたが、役者で唯一文句があるのが仲里依紗。このチケット代でその出来は見逃すわけにはいかない。でも芝居の勢いにも助けられたのか、歴代の二大大根テレビ女優と比べたらまだましな部類だったので、精進してください。とりあえずまっすぐ立てるようになってください。
そしてがっちり脇を固める新感線メンバーがまたいい。みんないいんですけど、あれだけ嫌な感じの髑髏党の役で嫌に感じさせない右近健一と、一際大きい拍手をもらっていた高田聖子を挙げておきます。高田聖子も出番が少なくてもったいなくて、それでいてそれだけでも客席を魅了できる役者ですよね。いま思いついて昔のキャスティングを調べたら、やっぱり豪華でのけぞりました。高田聖子は沙霧も極楽太夫もやっていたのか。
最近エンターテイメント芝居に辛口なのですけど、このくらいやってくれるとさすがに感心しきりです。でもこれを観たら他のいのうえ歌舞伎はしばらく観なくていいです。ロッキーホラーショーは観たいですけど。
で、芝居に文句はない代わりに、当日券運が足りなかったというか、五右衛門ロックとほとんど同じ悪い席をつかんでしまいました。今回は見切れこそなかったんですが、スピーカーが真正面で音量がきついし、反対側に役者が固まるので前列の割りに役者が遠いし、散々でした。五右衛門ロックのときはA席扱いだったのに、今回はS席っていうのは異議がある。あれは再考してください。
当日券の情報についていうと、前日電話予約が取れれば中には入れる、ただし立見の可能性もあり。電話予約なしだと販売順の抽選をして立見のみ、それも足りなくてキャンセル待ちになっていました。でも立見料金が8500円でしかも2階席最後方でさらに3時間越の芝居ですから、ぶっつけ本番で並ぶ前に電話予約に挑戦する事をお勧めします。
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