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2011年10月 4日 (火)

松竹が著作権を無視してひどすぎる韓国ミュージカルの件

この前書いていた話の続き。ちょっとひどすぎる話に展開しているので追加。

先に読売から。

 鈴木さんは1997年、講談社から漫画「カンナさん大成功です!」を刊行。韓国では2006年、鈴木さん側の許諾で、漫画を基にした映画「美女はつらいの」が公開されたが、08年に映画をミュージカル化した際には許諾はなかった。

 鈴木さん側は「容姿の悪い女性が全身の整形手術を受け、美人に生まれ変わる設定などが同じ」と主張。大須賀裁判長は「漫画の舞台は大学だが、映画 は音楽業界が舞台で、登場人物の関係の描き方も異なる」として、ミュージカルの基となった映画は著作権は侵害しないと判断し、ミュージカルも著作権侵害に は当たらないと結論付けた。

次に朝日から。

 講談社によると、ミュージカルの原作は元々、漫画家鈴木由美子さんの作品「カンナさん大成功です!」。韓国の会社からミュージカル化に向けた許諾申請が あったが合意できず、韓国企業は講談社と契約を結ばずに韓国内で上演した。日本公演については、鈴木さんの著作権を管理する講談社が松竹と交渉してきたが 折り合いがつかず、仮処分を申し立てていた。

それとスポニチからも。

 講談社によると、1997年に発売された鈴木さんの「カンナさん大成功です!」が原作で、鈴木さんは、自分の許諾を得ていないと主張。松竹は「著作権は2008年に韓国でミュージカルを上演した韓国企業にあり、公演の許諾を得ている」と反論していた。

これらの話が間違っていない前提で総合するとこうなる。

  • 2006年に韓国側は講談社経由でわざわざ映画化の許諾権を取って映画を製作した
  • 2008年に韓国側は改めて講談社経由でミュージカル化の許諾権を申込んだが合意に至らず、それでもミュージカルを強行製作した
  • このミュージカル化の際に原作マンガとは違う設定をいくつか盛りこんでいた
  • 作者の上演差止めに対して松竹は「ミュージカルの著作権は韓国側にある」と公式に表明している
  • 判決はミュージカルの内容がオリジナルとまったく同じではないという点で差止め判決を却下している

自分は最初、よくて韓国側の用意したもっともらしい契約書っぽいものに松竹がだまされた、悪くても松竹が契約確認を口頭だけにしておざなりにした、のどちらかだと思っていた。けど、これらの記事を読む限りでは、松竹は少なくとも講談社経由で「韓国側からミュージカル化の申し出があった」「が、合意に至っていないのに強行製作された」ことを知っていたことになる。

と思って調べたら、松竹のPDFがあった。これが差止め申請時。これが今回の判決を受けたもの。今年5月に契約、6月に講談社から申入れ。だったら知っていたと判断しても間違いない。キャラクターやストーリーが異なっているからオリジナル作品って言っているけど、だったらそもそも韓国側から許諾権の申込みなんてしないだろ。

それと判決。舞台や人物関係が原作とまったく同じとは限らないのはままあることで、最近だと「コクリコ坂から」なんてのはかなり原作から書換えているけど(Wikipediaのほうがわかりやすいかも)、それじゃあ別物かというと、んなことはない。大筋の設定や登場人物、それと許諾権を申込んできた事実、ここら辺を無視してOKなら、なんでも一度韓国で製作すればオリジナルに化ける。

目端の利いた業者が韓国に会社を作って、寅さんその他をパクってちょっと設定や人物関係をいじって日本に輸入しても文句は言えないんだぞ。それで本当にいいのか松竹。

松竹はPDF内で、韓国側で上演されてから講談社サイドが3年間なんのアクションもなかったこともオリジナル判定の理由に挙げている。ここで譲ったら他のマンガ全部が被害候補になる。これは原作者の鈴木由美子と講談社は全力で上告すべき。

<2011年10月4日追記>

5月契約、6月契約なら知らずに契約の線は残っていますね。眠くて思いっきり間違えていました。

それにしても、日本最大級の舞台興行元の松竹だったら原作者に事前に一言挨拶するくらいのことは普段からやっているだろうに、なんで契約前に原作者に挨拶に行かなかったんだろう。そうすればその場で気がついたはずなのに。漫画家を一段低く見ていたか、そもそも本当に日本のマンガが原作だと知らなかったか。

<2012年1月28日(土)追記>

そういえば観に行った話のリンクをここに載せていなかった。今時は検索で飛んでくる人もいるだろうから載せておく。これを書いたときとだいぶ感想は違う。

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