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2011年10月17日 (月)

国は国を支援し、地域は地域を支援するってのが単位として釣合うんじゃないかと

こんなエントリーを見つけました。タイトルが「国のお金を東京ばかりに落とすのはやめて欲しい、ホント・・・(新進芸術家育成)」なので、国の助成の話です。

まず、1.これまでより採択件数が減っている。2.これまでより東京で開催される企画にばかりお金が落ちて中央一極集中の度合いが増えている。
の2点である(演劇分野しかみてません)。
(中略)
しかし大つかみで言えば、例外の範囲であって、ほぼ東京を対象とした採択結果の度合いを強めたと言えると思う。

予算が減り、採択できる件数が減ったのは、まぁ仕方ないとして、採択事業をすべて並べてみたときの地域バランスは考えて欲しい・・・
ほんと、まじで・・・

芝居を芸術に分類するとして、芸術で地域を振興する、あるいは全国の芸術を底上げするために国が予算を割振るってのもひとつの考え方だと思う。でもここで、国が全国全地域の面倒を見るのが適切かどうかという視点を導入したい。

なんでこんな視点を導入するかというと、まったく私事で申し訳ないけど、会社の仕事で誰が何をするのがいいかと以前考え込んでしまったこと。仕事は全体を見ることと実務を担うことの両方が必要で、全体を見る人と実務を担う人とは、仕事を把握する単位が違う。仕事の規模が小さければ兼務することは可能だけど、規模が大きいと無理。その場合、迷ったり悩んだりする問題の大きさが人によって違いすぎて、そこを把握しておかないと、本人たちには深刻なことでも、お互いに「細かすぎて何を言っているのかわからない」「抽象的過ぎてまったく役に立たない」となってしまう。なので、規模が大きい場合は、職種だけでなく扱う問題の大小でも分業しないと仕事は上手く回らない、同じ大きさの問題は同じ大きさの問題を扱う人たちで解決するのがいい、扱う問題の大きさが違う人と話す場合は相手の問題の大きさに合せて話し方を変えたほうがいい、というのがそのとき得た結論。

話を元に戻すと、国が全国津々浦々の面倒を見るのは実務上無理だというのが私の意見。引用先の管理人の例だと、「福岡で地域演劇を支援する」と紹介文に書いているので福岡の人なのでしょう。なので、その場合は福岡市、福岡県庁が助成をするのが理想だと思います。なんだかんだいっても規模も場所も、日本の芸術の筆頭は東京だと思うので、国の対象が東京に集まるのはしょうがない。

その代わり、もし道州制が導入されて九州が芸術助成を行なうとしたら、福岡県はその筆頭候補になって集中助成されてもいいと思います。その場合に佐賀県の人に「九州は福岡ばっかり贔屓にしやがって」と文句を言われたときに、「じゃあ9分の1ずつ分けよう」とするのが適切か。一番でかい福岡が総取りして「ほしかったら福岡を拠点に活動しろ」と言い切っても私はいいと思います。その場合、佐賀の芸術支援は佐賀県や佐賀県の中の市町村が釣合った単位となります(九州の芝居事情は知らないので佐賀県に他意はありません、あくまで人口差による例ということで)。

あるいはもし福岡が年がら年中たくさんの芝居を上演して、フェスティバルで内外の団体を大勢呼んでいて、それを目当ての旅行客がエジンバラフェスティバルみたいに 集まって、「西の舞台芸術なら福岡」って普段芝居を観ない一般人にまで認知されれば、予算をぶんどるために名乗りをあげてもいいと思います。

ここまでが単位についての考え方。煽っているつもりはなく、助成金とは直接関係のない観客の立場から一般論で考えて、今だと「しょうがない」って感想で。

そうすると「地域を見るような階層の組織を作って目を配ればいい」って言う人がいると思います。ただ実際問題として、予算が余っているならともかく、削られています。国の税収も落ちているし、それでいて出て行く予算は増える一方なのは、日本に住んでいる日本人が国の助成を考える場合の基本要素だと考えています。年金つぶして芸術に回せとか、医療費削って芸術に突っ込めとか、詳しければいろいろいえると思いますが、そのためには相応の勉強が必要で、今の私にその資格はないので、助成金が減っているのは前提で考えます。

予算が少ないなら、それを分散投資するのは戦力の逐次投入と同じで、固く戒めないといけません。その少ない予算を集中投下してすこしでも効果や効率を上げたいと思うなら、一番規模の大きい東京が対象になるのは、やっぱりしょうがないと思います。

今回の予算額を把握しておらず、さらに九州の芝居事情にまったく疎い観客として私の質問なのですが、今回の東京の団体に渡ったのと同じくらいの金額が丸ごと福岡なり九州なりに「毎年」渡されたとして、消化できるだけの魅力的な企画を、単年度でなく、毎年用意できるんでしょうか。単年度ならたぶんお祭りでできる、でも毎年だと上演するほうも観るほうも続かないのではないかと想像します。これも煽りではなく、「規模の差」って何だと質問されたときの私なりの回答です。

国が助成を行なうなら、せめて助成の結果がどんどん複利で大きくなることを狙って使ってほしいと納税者の一人として願っています。そのためには継続が必要、そのためには規模が重要、だから東京集中というのは、それなりに筋が通った使い方だと思います。

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コメント

知り合いから、このエントリーについて、今日教えてもらいました。
遅ればせながら、コメントします。

このエントリーは、「バランス」や「度合い」という考え方があまりなく、極論と極論を比較しているので、誤解があるようです。

私の立場は、こちらをご覧いただけるとわかりやすいかと思います。
http://fringe.jp/blog/archives/2011/04/02083036.html

>もし道州制が導入されて九州が芸術助成を行なうとしたら、福岡県はその筆頭候補になって集中助成されてもいいと思います。

集中の度合い、割合の問題だと思います。

>一番でかい福岡が総取りして「ほしかったら福岡を拠点に活動しろ」と言い切っても私はいいと思います。

総取りとは、少なくとも90%以上を福岡が取って、ということかと思いますが、こちらは賛成できません。

>高崎さん

どうも。載せていただいたfringeのリンク先も拝見しました。金額が2つ合せて13億、そのうち7割が東京というのはこれでわかりました。ありがとうございます。その上で、バランスと投資効果について追加でコメントを。

まずバランスについて。高崎さんの考える「バランス」は人口比(横・面のつりあい)で、私の考える「バランス」は支援元と支援先の対応付け(縦・階層のつりあい)だと思います。これについては金額の公平性よりは、払い元と受取先とが近いほうがいいと私は思います。貧しい都道府県市町村ではその分補助金額が少なくなることも含めてです。私も会社で予算がなくてひーひー言っていますので、受取先からすれば金額が一番大事なのは実感しています。ただ、税金の場合は使途が不明な支出、使途に目が届かない支出であることのほうがより大きい問題だと考えます。

だからもっと言うと、国ではなくて、自治体(芸術に力を入れると決断した自治体)が支援したほうがいいと考えます。そうなると、芸術よりも教育だったり観光だったり、他の分野に力を入れる自治体も出てくるでしょうが、そうやって自治体ごとに力を入れる分野が異なるほうが健全だと私には思えます(そのとき芸術に投資する自治体が出てこなかったら、それはそれだけのアピールができなかった芸術関係者の責任ではないでしょうか)。

次に投資効果について。私を含めた個人の立場では1年間で13億円は大金だと思いますが、芸術振興という目的を達成するためにはぜんぜん足りない金額だと思います。13億円の7割で9億円だとしても、目的に対しては少なすぎるのではないでしょうか。個々の団体の単年度の活動を補助するだけでなく、芸術振興という大目的があるのであれば、もっとそれ以外の効果も含めて期待したいです。

であれば、面で広く投下して一箇所当たりの効果をするより、一箇所に集中して投下するほうがいいというのが私の趣旨です。1000円の服を30枚買うより、1万円の服を3枚買ったほうが結局長持ちする、というのが適切な例えかわかりませんが、あるラインを超えるだけのまとまった投資をしないと効果が出ないというのは、何となくイメージしてもらえるかと思います。

2つの内容について、お互いの意見のどちらが正しいか正しくないかではなく、こういう見方もあると見ていただければ幸いです。

それと追加ですが、リンク先に「日本国内からお金を集めてきて、ほぼ東京だけに落としている」と書かれていますが、こちらの5-13だと、地方交付税は東京都(と愛知県)はゼロです(昭和60年度から平成19年度)。
http://www.stat.go.jp/data/nenkan/05.htm

他の税金まで調べられていませんが、地方交付税については、東京から見ればむしろ地方に持っていかれる立場になります。

すいません、トラックバックをしなかったことも書かれていたのに今気がつきました。トラックバックは一時期このブログにもスパムが多かったこと、あと今時の世間ではTwitterやFacebookなどでのやり取りが主流になったこと(自分はどちらもやっていませんが)、などから、今はトラックバックはしないようになりました。ご了承ください。

ご主張確かに一理あると思います。
投資の集中の考え方もよくわかります。私としては道州単位くらいでこれを考えていくのがいいと考えています。

現在のところ、国の税金を原資とする予算の大半が、一地方自治体である東京に特に集中的に落ちていることは問題だと、私は考えています。
このへんはバランスかと思います。東京が最も優遇されるのは私も賛成です。

地方交付税との比較は、国の構造・偏りの度合い・予算の目的の違いがあり、あまり意味が無いと思いますので、これについてのコメントは差し控えます。

それと、これは確認ですが、

>これについては金額の公平性よりは、払い元と受取先とが近いほうがいいと私は思います。

例えば、日本芸術文化振興会が大阪にあれば、大阪の団体により多く、助成されるべき、というお考えになりますでしょうか。


>一番でかい福岡が総取りして「ほしかったら福岡を拠点に活動しろ」と言い切っても私はいいと思います。
という記述があります。

現状としては、一番でかい東京が総取りして、「ほしかったら東京を拠点に活動しろ」というお考えになりますか。

>高崎さん

2つの質問に対する返答です。

まず払い元と受取先の話ですが、組織の所在地というより、組織の間に挟まる階層の話です。たとえば福岡の劇団が福岡の公演の助成金を申請するのであれば、福岡市(や福岡県)が支払い、事業の推進具合を確認し、それが福岡市(や福岡県)の住民にどれだけ寄与したかをフォローする。特にフォローが重要で、それによって助成金の効果を調べ、次回以降のその団体への(あるいは芸術分野全体への)助成金を増やすか減らすかを調整するサイクルが回るようにしたいです。

これは組織の場所だけが近くてもだめで、受益者の住民と関係の階層が直接接する団体でないと上手くいかないと思います。そうすると、市民と市役所、せいぜい県民と県庁くらいが限界だと思います。国では大きすぎる。

もうひとつ、現状の場合ですが、総取りとまではいかないまでも、大半を東京に使うのが効果的と考えているのはエントリーに書いたとおりです。なので、現状で国の補助金を当てにしたいのであれば東京を活動拠点の中心にしろというのは、その通りです。

むしろ私が疑問なのは、東京以外の各地域の団体がなぜ地元の自治体に助成金の設置を陳情しないのかです。地元で理解されていないのに(理解されていないから)国から助成金をもらいたいというのであれば、国の都合(東京集中)に振回されるのは、それがいいとは思いませんが、やはり「しょうがない」面があると思います。

これらはちょうど高崎さんがfringeでも書いている「劇場,音楽堂等の制度的な在り方に関する中間まとめ(案)」 の話と絡めて、あらためてエントリーを起こします。

>高崎さん

取急ぎ書きました。
http://www.kangekiroku.com/2011/11/post-49d0.html

ご回答ありがとうございます。

>まず払い元と受取先の話ですが

この部分は元より、同感です。

>総取りとまではいかないまでも、大半を東京に使うのが効果的と考えているのはエントリーに書いたとおりです。

ここは、バランスの問題なので、あえて聞くのですが、「総取りとまではいかないまでも、大半」とは6割程度ですか、7割ですか、8割ですか、9割以上ですか?
(幅のある数字でも構いません)

私は5割の立場ですが、6割程度とお考えなら、大きな立場の違いはないのかもしれません。

これまでの主張からは9割以上であると類推しておりますが、類推にすぎないので確認させていただければ幸いです。

>高崎さん

助成金配分のバランスについてですが、5割では少ないと思います。9割とは言いません。ただ6割は半端、7割は妥当、8割でも許容、くらいの幅です。

一応自分の根拠になっているのは、以前書いた「大阪の劇団数は東京の十分の一」というエントリーです。
http://www.kangekiroku.com/2009/09/post-8379.html

東京と大阪でこれだけ差がついたら、首都圏以外の地域を全部足してもたぶん追いつかないだろうというのがひとつ。であれば傾斜配分で効果を大きく狙いたいので、その傾斜の程度をランチェスターの法則あたりを適当に引っ張り出して、おおよそ首都圏(1位)とそれ以外(2位以下)とで2乗の差をつけて、73%あたりがラインなんじゃないかと考えました。ここで劇団数の比率で機械的に配分するのは、余裕のない現状、投資とも判断とも政治とも呼びたくありません。それなら首都圏以外に全部配分したほうがよほどいいです。

念のために書いておくと、最近読んだ「演劇は仕事になるのか?」という本では、1章の一番最初のページに「首都圏だけでも、2000とも3000ともいわれています。全国で考えたら、いったいどれだけあるのか誰も正確に把握したことがないのが実態です」と書かれているので、絶対数なら2年前のエントリーよりもう少し数は増えると思います。ただ、絶対数が増えても比率が変わらないのであればバランスの計算に問題はないこと(むしろ首都圏にもっと集中しているのではないかと個人的には疑った)、絶対数が増えているのであればより集中的な投資が望ましい(バランスを偏らせてもしょうがない)こと、正確な数字が誰も分からない現状では手がかりになる数字を元に話を進めるのは悪くないこと、と考えています。

回答有難うございます。
根拠についてもよくわかりました。

7割は私の感覚では現状と同じ比率だと思っています。

私は、過剰な中央一極集中は良くないと思っている立場で、現状の7割は一極集中を助長すると考えています。段階的に下げていき、最終的に5割くらいで落ち着くのがいいだろうと思っています。

なにをもって過剰というかも、立場に差はあると思いますが、私が、一番重要と考える数字は、やはり人口ですね。
(首都圏人口は国内人口の約1/3)
劇団と言うよりも、観る人のことに重点を置いているわけですが。

>高崎さん

どうも。人口で考えたとしても首都圏の人口がそれだけ多いのであれば、私の「しょうがない」という結論は変わらなくなります(ランチェスターの法則は、順位が上のものに勝つためには2乗の戦力が必要なので、逆に強いものをさらに強くするためには2乗の戦力差を、この場合は助成金を、与えればいいのではないか、という意味で使っていますので)。

この手の話は芝居業界だけを考えればいいとは限らないのですが、おおよその考えの違いは出尽くしたと思いますので、これで一旦議論は終わりにできればと思います。自分の考えがまとまったらあらためてエントリーを起こします。

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