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2011年11月13日 (日)

ホリプロ主催「炎の人」天王洲銀河劇場

<2011年11月12日(土)昼>

宣教師として貧しい人たちを救えないことに悩み、志を画家に転じた男、ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ。絵は売れずに弟の世話になったまま、やがて心を病んでいく彼の、それでも止まない絵への情熱を、ハーグでの勉強、パリでの著名な画家との交流、アルルでのゴーギャンと同居生活を通して描く。

初演は劇団民藝で1951年に滝沢修主演とのこと。三好十郎は初なんですが、とても終戦間もない時期に書かれたとは思えないクオリティ。そして受賞作なだけのことはある仕上がり。

絵を描かずにはいられないゴッホの情熱がどこから来ているのかはわからないけど、そのわからない情熱が「炎の人」の所以なんでしょう。演じるには技術以前に大変なエネルギーが要求されると思うのですけど、市村正親が演じきりました。益岡徹のふてぶてしさや富田靖子のラシェルのノリなんかも、かなり惹かれるものがあります。

オープニングは老婆が反則でエンディングは台詞が圧巻なんですが、特にエンディング。今時は青空文庫で読めるので最後の男の台詞を読んでみてほしい(日本の画家のところは割愛されていましたが)。ゴッホの苦悩を散々みせられた後に、これを中嶋しゅうに淡々とした調子で語られた日には、野田秀樹のラストの長台詞もかすむ。「飛んで来て、取れ。」とか格好良すぎてしびれる。

ただ残念だったのは、劇場が大きすぎた(天井が高すぎた?)のか、空気がなかなか充満しないで、ちょっと発散気味になったところ。2階席が舞台から遠すぎたのかな。紀伊国屋ホールとか俳優座劇場だともっと圧倒されただろうし、シアターコクーンでも参ったと思う。場所が不便なのもそうなんだけど、あまり好きではないなこの劇場は。

そして貧乏は嫌だ。観ている間に何度も「金がないのは首がないのと同じ」と言った西原理恵子の名言を思い出してしまった。だからこそほとんど憎んだんだろうな三好十郎も。

余談ですけど、ゴッホについては、色覚の話とか、ティルトシフトの話とか知っていると、もう少し楽しめるかもしれません(楽日過ぎたけど)。ちょっと目が違っていたんでしょうね。

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