M&O playsプロデュース「アイドル、かくの如し」下北沢本多劇場
<2011年12月10日(土)昼>
元女優とそのマネージャーだった夫が経営する芸能事務所。夫は事務員と浮気をしており、マネージャー同士はあまり仲がよくないが、人気上昇中のアイドルを抱え経営は順調。ある日、そのアイドルの仕事で付合いのあった音楽会社の社員が逮捕される。
岩松了の作演出による新作ですが、ときどき起こるイベントの重大度に比べれば淡々と進むのに、目が離せなくなる芝居でした。
いい役者が揃っていたけど、やっぱり宮藤官九郎がよい。もてて頼りになるけど駄目男の役で、真面目に読んだら格好いい台詞をまったく格好よくなく話して、でも全体として格好いいという不思議。それを受ける伊勢志摩も、ださいのに格好いいという不思議。この2人が前半最後に繰広げるやり取りがおかしくてたまらない。夏川結衣の声のトーンとか、津田寛治の独り言場面とか、見所だくさんで満足。ついでにいうと、岩松了の身のこなしが妙に軽くて目を引く。
でも、役者が上手いのはわかるとして、脚本も面白さに一役買っているはずなのに、何が面白いのかわからない。事務所の活動や劇中のイベントを通して、登場人物のすれ違いや対立が浮かび上がるというのが一般論だと思うのだけど、誰の何がどう絡む構造でこれだけ面白くなったのか、甘えというキーワードはあったけど、でも1回観ただけではわからなかった。勉強不足。
劇場に入った瞬間に期待できると思わせてくれた舞台美術(伊藤雅子)だったけど、これは当初予定の磯沼陽子が急逝したピンチヒッターとのこと。ピンチヒッターでよくこれだけ出来たものだと感心。で、磯沼陽子は「人形の家」の囲み舞台も担当した人。「ゴドーを待ちながら」は観られなかった。これからという年齢で亡くなったようで、合掌。
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