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2012年1月18日 (水)

つまらないものをつまらないと書くのはむずかしい

たまたま読んだら、海外まで観にでかけたり批評を投稿したり英語を勉強したり、趣味を突詰めるとここまでやってしまうという見本のようなエントリーを見つけた。大阪に出かけるなんて遠征のうちにも入らない。

優れた批評を書けるようになるための前提条件としてひとつ掴んだと思っているのが、「自分はこの劇について何を論じたいのか」というスタンスを明確にする こと。それは、舞台を鑑賞しながら心に残った「引っかかり」を大事にして、それについてひたすら考え抜いてみることが元になるのでしょう。「引っかかり」 にひとつでも多く出会うためには、対象の舞台に様々な角度から関わる知識を持っていることが重要。その劇の戯曲の上演史、演出家・制作カンパニーの姿勢、 また現代演劇界の動向、それから文学・歴史・あとおそらく哲学の一般教養、更には現代の社会一般について知見を備えていることも、プロの演劇批評家にとっ ては必須なのでしょう。

全文はリンク先を読んでもらうとして、この引用文を読んだ人が、どこに興味を持ったか、あるいは持たなかったかを一度考えてからこの先を読んでほしい。

以下自分の場合。

自分はプロの批評家になるつもりも素養もないけど、これまで感想をブログを書いてきた経験から、引っかかりを大事にするという点にはとても共感を覚える。つまり前半部分にとても興味を持った。順番は違うけど似ている。

文句なしに面白かった芝居と、弁解の余地がないくらいつまらない芝居の場合はいいけれど、問題はひとつの芝居の中でいろいろな要素が玉石混合な場合。そしてそういう芝居はとても多い。

感想を生のまま持つのは、他の人はいざ知らず自分にはとても難しくて、芝居中に何か大きいインパクトがあると、それに引張られてしまう。特に、まあまあ無難な芝居の中にものすごい面白い要素が混じった場合、ついうっかり「面白い」と書いて、後で失敗したと反省することがたまにある。どのエントリーがとは言わないけど。

それを何度も繰返して覚えたのが、とにかく観終わった直後の第一印象に従うということ。見所がたくさんあったのに不満だったり、粗がたくさん目立ってもどこか揺さぶられたり、そういう第一印象を「引っかかり」として覚えておいて、帰りの道すがら、それはどうしてだったのかを考えて突止める。これは本当に最近覚えたことで、ターニングポイントは3ヶ月前の「イロアセル」の感想エントリー。エントリーの順序は前後するけど、その前にスタニスラフスキーの本を読んだ影響でそういう「引っかかり」を分析する「取っかかり」が見つけられていたのでそういう感想が書けた。

この2本のエントリーを書いてから、スタッフワークに言及することにあまりこだわらなくなった。学生時代にスタッフをやった経験からよくも悪くも気になることが多かったけど、人によって「あのパートがよかった、と言われた時点で目立ちすぎて失敗」と考える人もいるみたいだし、引っかかる箇所を突詰める過程で結果としてそれなりに触れることもあることがわかったので無理に気にすることはやめた。そうしたら、役者とスタッフの境目が消えて、全体的な感想に近づいて、「何が論じたいのか」に集中できることが増えた。そうやって書いたものが、後で読みかえして自分で面白いエントリーになったことを去年の年末に体験したのは、大げさにいうと人生のターニングポイントで、ああ感想ってこうやって言語化するものか、と実感できた。

そういう実感の後で考えると、その芝居がなぜ面白いか、またはつまらないかを書くのは、楽しいというのともまた少し違うけど、進んで書きたいと思える。そういう気持ちがあればこそブログをやっているわけだし。むしろその芝居がよかったか、つまらなかったか、そこで自分の第一印象を裏切らないように書くこと、特に、全体的によくできているように見えて不満を覚えた芝居を「つまらない」と判断して書くところが自分には一番難しい。他はさておき、芝居の感想については第一印象を裏切らないという経験をもっと積んで、自分の第一印象を信用できるようになりたいと思う。

ここまで書いてこのブログを検索したら、「つまらない」っていう単語を思ったよりもたくさん使っていました。今後は「つまらない」という単語を使わないでつまらなさが伝わるように工夫します。

ただし、第一印象の引っかかりを覚えたり突詰めたりすることと、それをよい文章に書くこととはまた別で、文章技術は技術としてもっと磨かないといけない。雑でもいいからわすれないうちに、感想はできるだけその日に書くようにしているので、時間が限られているなら長文になるほど雑になるのは当然のこと。でも、思いついたことをそのまま書いても、もう少し読みやすい文章になってもいいと思う。

それでこっち方面も勉強しないと駄目か、とか考えて、そうやってみんな勉強していくんでしょうね。引用元の管理人とは違って、自分の場合は趣味を趣味として維持したほうが自分のためになるという直感があるから、勉強の方向もまた違うだろうけど。

そのついでに何か英語を勉強したくなるような趣味を持ちたい。毎年イギリスに芝居見物に行く、とか勝手に目標を立てればいいのかな。

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