大阪の公務員は演劇禁止って本当ですか
元ネタは笑の内閣の人のこれで、ピンポイントで「政治的目的を有する演劇を演出し若しくは主宰し又はこれらの行為を援助すること」って書いているんだけど、ほんまかいなと検索したら興味あるブログが引っかかりました。
僕は知らなかったんですが、
国家公務員っていうのは「政治的目的を有する演劇を演出し若しくは主宰し又はこれらの行為を援助すること」もやっちゃいけなかったんだそうです。
たぶん「国家公務員だって地方公務員だって、やってることは一緒だろうがよ」っていう気分で、大阪市も条例案を作っているんだと思うんです。
そうか。それは寡聞にして知らなかった。
で、なんでピンポイントで演劇禁止なのかというと、やっぱりはまったときの威力が違うんですよねライブは。リンクがいつまで持つかわかりませんが、最近観た「リーガルハイ」の第9話のクライマックス場面、堺雅人の長台詞。パソコンで動画で観てもこの破壊力のアジテーションを、劇場で直接体験した日には、芝居見物慣れした私でも動揺必至です。まして芝居は初めてなんて人が体験したら一発ノックアウトです。そりゃ禁止したくなりますよね。
そしてそういう法律があるにも関わらず劇場法とか、難しいですね。毒のない芝居はつまらないし、タイムリーな毒は政治的な内容を含むことがありますし。何を支援して何を禁止するつもりなんだろうか。公務員だけが対象とはいえ、そういう空気は地味なボディブローとして効いてくると思うけど。ありうる展開は2つ。むしろ盛上がるか、地盤沈下になるか。
禁止されたらやりたくなるのは世の常なので、だんだん巧妙に、批判しつつそれとわからないような芝居を作る団体が出てくること。たまに本で見かける、戦争中はむしろ娯楽が輝いていたという類ですね。これが盛上がる場合。平田オリザとか、こういう脚本が得意そうです。
大阪市で演劇をやっている公務員がどのくらいいるかわからないけど、演劇に興味をもって詳しい公務員なら何人かいると思う。もし演劇をもって地域振興に役立てたい地方自治体があったら、いまが勧誘のチャンスです。人材獲得は物事の成功への第一歩。すでに競争は始まっていますので、敵失で有能な人材を獲得できるならそれに越したことはない。遠慮なく草刈場にしてしまって、その伝手でさらに人材を引張ってしまえばいい。これが地盤沈下になる場合。
大阪ほどの自治体であれば、よくも悪くもどちらかに反応してほしい、その程度に芝居の裾野が広くあってほしいけど、さて。
<2012年7月6日(金)追記>
コメント欄で有益な情報をいただいたので、そちらもご覧ください。
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コメント
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ピンポイントじゃないですよ。
要するに演劇を隠れ蓑にしての選挙活動を禁止しただけ。
国家公務員の選挙活動禁止という法律がある中での脱法行為を防ぐ為に可能な限り細かく定義してあるだけで、現在までに演劇で摘発された例はないはずです。
今回の大阪での話は国家公務員に倣っただけなんですけど、笑の内閣の人も最初は全く背景とか知らずに叩きまくってましたから(笑)。
指摘したら国会議員にも働きかけると言ってたのに、口だけみたいですね。
叩きやすいところを叩くのが演劇家のやり方なんですかね?
投稿: 関東人 | 2012年7月 6日 (金) 10時32分
>関東人さん
情報ありがとうございます。日本の法律だと背景だけでなく判例も重要ですが、なかなかその両方を把握するのは難しいので、参考になります。
私も含めて、そういう情報を把握していない人が騒いだのであれば、それはその人の知識の問題ではないでしょうか。そこを演劇家と職業で大きくくくってしまうのは、もったいない指摘になってしまいます。
投稿: 六角形(管理人) | 2012年7月 7日 (土) 01時33分