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2012年7月16日 (月)

トーク・アバウト・ダメージコントロール

こちらでも以前取上げた、バナナ学園純情乙女組の行き過ぎた客いじりの件ですけど、劇団が解散することに決まったとのことです。こっちのほうが記事としては残るかな。

この件について、次に予定されていた公演が中止になるとのことで、会場になっていたこまばアゴラ劇場の支配人として平田オリザがコメントを出しています

 三十年近いこまばアゴラ劇場の歴史において、このような形で上演を中止することは初めての事態です。民間劇場として、表現者の表現の機会を最大限保証することは、私たちの責務だと思います。劇場支配人としては、本当に忸怩たる思いです。
 今回、バナナ学園純情乙女組は、解散を決断されたと聞いています。
 しかし、二階堂瞳子さんの才能、そこに集まってきた人びとの舞台への情熱は、このまま消え去るにはあまりに惜しい。ぜひ、何らかの形で再起を図り、新しい表現を生み出していっていただきたいと願っています。こまばアゴラ劇場は、そのための協力を惜しまない所存です。

以下、バナナ学園純情乙女組を一度も観たことがない人間による、芝居の良し悪しと関係ない立場から、芝居の良し悪しとまったく関係のないコメントです。

今回の件は、まず王子小劇場の対応の早さが素晴らしかった。土曜日に発生して、日曜日にTwitterが出回って、月曜日に劇場サイト更新ですから。今時は悪い噂は(悪い噂ほど)Twitterその他であっという間に広まってしまうので、公演終了後に私がその噂を読んで検索した時点で劇場のコメントが引っかかったのは、劇場の迅速な対応の賜物で、さらに追加のコメントが更新されているのもポイントが高い。

劇団側も無駄に突っ張らず、謝罪の方向に持っていったのは賢明だった。これが芝居の主張内容とかで突っ込まれたならまだしも、客をいじった時点で表現の自由とか主張するのは無意味で、ここで被害者と対立姿勢をとったら明らかに負け。謝罪の行方までは確認できていないけど、まずまず収めることができたのではないかと推測される。そこに解散というのは、ひきずりたくない負の遺産を全部清算できるウルトラC。これが解散ではすまないほど有名な劇団ならまだしも、マニアの間で注目されてはいるもののまだブレークしていない今なら解散の選択肢もあり。

いわゆるダメージコントロールですね。自分たちのやったことが悪い(または不利だ)と認識した時点で、切れるカードは全部切って、悪影響を最小限に抑える。劇団が解散になった時点で「これで悪影響が最小限かよ」という人もいると思うけど、関係者が今後も芝居を続けていきたいなら劇団なんて一時的なこと。どうしてもまたやりたいなら5年くらいして別名で再結成すればいい。「けじめ」や「みそぎ」は大きな武器になります。

そういう立場に立って考えると、一番解せないのが上で引用した平田オリザのコメント。応援するなら今回予定されていた上演を解散公演のために解放してさっさと解散(から復帰)の道筋をつけてあげればいいし、芝居の内容をある程度すり合わせて客いじりについて合意をとればいい。劇場として客の安全が第一だから公演中止するのであれば無駄な応援コメントは載せずすっぱり中止にしてしまえばいい。素直に読めばお客様の安全を確保した上での公演ができないとのことなので、別に民間劇場が騒ぎを起こした団体の上演を中止にしても一般人は誰も文句を言わないと思う。そこで平田オリザの表現者としての矜持と、劇場支配人としての客商売の懸念とが対立してしまったんだろうと推測するけど、どちらでもない私にはその苦悩は計り知れない。

繰返すけど、劇団の解散まではダメージコントロールとしてとても見事。だけどそれが貫徹できていない。さっさと貫徹して、再起を目指すのが一番。そういう視点で公演が中止になる前に主宰者にアドバイスする人はいなかったんだろうかと思ったので、書いてみた。

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