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2012年10月 8日 (月)

劇団、本谷有希子「遭難、」東京芸術劇場シアターイースト

<2012年10月7日(日)夜>

生徒が自殺未遂を起こした、ある中学校。その生徒の学年の担任をしている4人だけが別職員室に隔離されている。自殺未遂を起こした生徒の母親は毎日やってきて担任の教師を責める。それをかばっていた同僚の教師たちだったが、ある日生徒から届いていた遺書を握りつぶしていたことを問いただすためにその中の2人だけで相談が行なわれる。握りつぶしていたのはもっとも評判のよい教師だった。

主演予定の女優が降板してからむしろ興味が増した、2006年初演の名作の再演。どうなることかと観てみたら、勢いでは初演に負けるものの、これはこれであり、むしろ初演より黒い感じの仕上がりに。

最初にケチをつけておくと、誇張とポップが求められる本谷有希子芝居の割りに、地味な役者が多かった。地味というと誤解を招くけど、真摯で丁寧な役に仕上げるというか。リズムをつけて引張れたのが片桐はいりだったんだけど、役どころの都合で出演場面が限られていたので、そうでない場面がやや地味。初演は松永玲子に吉本菜穂子も出ていたんだな。

地味なんだけど、笑える場面が何度も出てくる。これは脚本の力。本谷有希子があらん限りを尽くした意地悪と企みの数々に、つい笑ってしまう。これは菅原永二が起点になることが多く、その点で外すことはないので安心。

その菅原永二だけど、この代役をよく引受けたと思う。そして違和感があった。観ていて楽しかったけど、この主演は大役すぎるというか、男が演じられる役ではなかった。でもそこが本谷有希子のいう「男の人の体を通すことでしか、浮かび上がらせることのできない女の何かがある」なのではないかと考えた。それって何だと考えたけど、上手く言葉にできない。適当な言葉で申し訳ないけど、メモ代わりに「主観的(女)と客観的(男)」とか書いておく。どうせならもっともっと派手にころんでほしかった。

ちなみに他に誰かこの主演が務まる役者がいるかとも考えたけど、なかなか思いつかない。吉本菜穂子はいい線いくと思うけど、後が続かない。桑原裕子とかどうだろう。他に思いついた人がいたら教えてください。

初演の細部までは覚えていないのですけど、ラスト直前が、あれこんな酷い話だったっけ、という展開になっていた。片桐はいりが佐津川愛美にお願いしてからの展開、本谷有希子でこんな演出があるんだと、久しぶりに観たせいか衝撃だった。でもこれができるなら、これからの進化も期待できる。ただ、音響と相まって格好よかったラストの幕切れが、もっときれいな方向に変わっていたのが少し残念。

あと、観終わって気がついたんですけど、生徒が自殺未遂した学校で教師が酷い話、現実はもっと酷い事態が起きていましたけど、この芝居ではあまり現実との比較は気にならない。もともと主人公の内心がメインの話とはいえ、誇張とポップがこのくらいまでいくと、昇華されるんですね。こういう、華も笑いも毒もある芝居が劇場のオープニングラインナップに並ぶのはめでたいことで、東京「芸術」劇場の名に恥じない名作です。トラブルなしで準備万端の再々演も期待します。

これから観る人は、見切れがあるので、同じ列なら中心側を、同じ番号なら多少後ろでもできるだけ真ん中側で、見切れに備えましょう。

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