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2013年4月21日 (日)

公演中止の対応方法(追記あり)

「俳優が劇場に現れず舞台中止」とYahoo!のトップに出ていたからそれなりに大きい芝居だろう、あれかこれか、と思っていたら予想外の新国立劇場。前日までブログでアピールしていたのに連絡がとれない、自宅にもいない、らしいですよ。ばっくれた、事件事故に巻きこまれた、突然連絡が取れないほどの体調不良に見舞われた、どれでしょうね。現在進行形の事件は野次馬をわくわくさせますね。こんばんは、野次馬です。

これを一転、内部関係者にしてみたら、それこそ秒単位で対処を次々と決めないといけない。どんな対応をしていたのか妄想してみました。

(1)小屋入りの時刻になっても来ないのに気がつく
詳しくないのですが、13時開演なら遅くとも12時には小屋入りしていないといけないのではないでしょうか。この時点で制作か舞台監督が電話する、つながらない、を繰返して、12時15分ごろには「ヤバイかも」となって制作が対応を迫られるのでしょう。

(2)当日の対応を協議する
新国立劇場なので、個別の芝居の制作より、もっと上の責任者がいるだろうと思われるので、その人と協議する。いなければ制作が当日現場責任者として判断する。今回は外国人演出家だけど、演出家はいたのかな。多少キャスティングをいじっても代理でいける役者がいるかを確認する。いない、あるいは無理、とわかったら、少なくとも当日の公演中止を覚悟する。何時何分の段階で判断するかを決める。今回何時だったんだろう。観客が席に座ったとあるので、13時ぎりぎりまで待った可能性はあるけど、何時だったか。

(3)当日の観客への対処を決める
対処といっても「払い戻し」「別の日に振替」の2種類しかないので、どちらか片方か、両方か、を決める。公演側の一方的かつ突然の中止で払い戻しの選択肢がないことはないはずなので、払い戻しはあり。これは購入場所での払い戻しをお願いすることになるが、中には新国立劇場で購入した人もいるはずなので、ある程度の現金確保に走る。新国立劇場ならチケットセンターも併設しているからこの心配はないか。そして残り1週間の座席の残り具合を見て、振替も可能と判断すれば、それも採用する。これは、代理の役者の見込みがあるか、一人減らしたキャスティングでの上演のあてがあるかのどちらかが前提。これも新国立劇場なら、研修所のだれかあるいは卒業生であてが付きやすいでしょう。この両方の決定を、自分のところ、および外部のチケットセンターに連絡する。あわせて、すでに席に座っているであろう観客に、説明する文言を決める。

(4)周知
劇場関係者に本日の対応を周知したうえで、もぎりの入口を止める。また入場済の観客に事情を説明して引取ってもらう。

(5)それ以外の関係者への対応
適当に考えると(a)明日以降の観客および世間一般(b)業界関係(c)マスコミ(d)劇場の他の関係者、あたりが思いつきます。(a)は、次日程から継続上演なので、アナウンスだけです。発表内容だけ了解をもらったら、ホームページ管理者にアップロードしてもらって一応終わりです。電話の問合せ窓口には同じ内容が伝わっていることを念のため確認です。(b)は、何を差置いても行方不明の役者の事務所で、本人の身柄を確保してもらうことが最優先、というと犯罪者みたいだ。これは定期的な連絡時間と連絡方法を確認して、任せる。(c)は、こちらからアナウンスするかどうかはさておき、問合せが来た場合の担当者を決めて、他の人に問合せが入ったら全部そちらに流してもらう。そして、他の人の外部への発言は禁じるよう緘口令を出す。対外的な窓口をひとつに絞る。(d)これが劇団ならいいけど、よりによって日本で一番面倒くさそうな組織を持つ劇場が主催した芝居で、しかもわざわざ外国の脚本家演出家を招いた芝居での出来事なので、後ろから刺されないように、お騒がせの一報と、後日詳細を報告する日時を決める。変な話を広められても困るので、観客への対応だけ説明して詳細は後日で押しきれるとよい。

(6)その後の公演の準備
公演続行は決まっていて、不幸中の幸いで、次の公演まで49時間あるので、観客が戻った後の劇場を使って、役者が戻ってこない場合を想定した代理キャスティングでの稽古。そのための衣装やら照明やらなんやらの再調整。演出家が帰っちゃってつかまらないのであれば、これは舞台監督か、芸術監督か、研修所所長(2代前の芸術監督だ)あたりが責任をもって仕切ることになる、のかな。

妄想ここまで。

スタッフもキャストもベテランが多いから、「ああ前にも経験したことある」「むしろ燃える」とか言っているのかな。関係者におかれましては、ぜひこういう場合の対処方法を後日公開して、共有してほしいものです。

阿部サダヲに連絡がつかないで、それでもショーマストゴーオンをやって、しかも遅刻して到着した阿部サダヲと途中で入替わった松尾スズキは偉大です。もっともこれは、自分が脚本演出出演をしている芝居で、しかもここまで規模が大きくない公演だからできたことだと思います。

<2013年4月22日(月)追記>

本人が公演時間を間違えて携帯電話も切って自宅で寝ていた、という落ちだそうですよ。個人的には代役で抜擢された誰かが大活躍、というアメリカンドリームの第一歩に期待していたのだけど。

<2013年4月23日(火)追記>

当初予定になかった観客の交通費まで負担する、という記事が出ていた。

 21日の中止公演では、観客が「チケット代金の払い戻し」か「他公 演日への振替」を選択する形がとられた。「‐払い戻し」については、当日配布された「チケット代の払い戻しお申し込み書」に注意事項として、「劇場への交 通費、チケットご購入時の各種手数料は返金できません。」と記載されていたが、返金されることが発表された。

これは過剰賠償。当日の時点で返金できないと書いておいて、後から返金を発表するとか対応がまずすぎる。たとえ公演が当日その時点で中止になったとしても、遠方から来ていた観客がいたとしても、慣習で交通費までは返金しないでもいけるはず。過剰請求されたらどうするんだ。それに交通費まで返金するつもりがあるなら、当日の時点で発表しない時点で腰が定まってないのがばれる。

報道の大きさにびびったお偉いさんが独断で押切ったか、役者の所属事務所が「交通費まで弁償します」と言ったか言わされたか。どちらにしても小心な対応で、後出しの追加対応なんて自分なら儲けものと思いこそすれ、感謝はしない。

それよりなにより、公演中止の理由が間抜け100%だったとしても、これがスタンダードになったら興行業界大丈夫か。大きいところはまだしも、中小規模のところは公演の金銭的リスクが一気に跳ね上がる。一時的に過剰なサービスを求めて得られても、長い目で見たら観客側が損しないか、そっちのほうが気になる。つぶれる心配のない国立だからって適当な考えはないよな。

本家の発表を今見たら、払い戻しも自分のところだけでやるそうな。ますますわからない。手数料でもケチったのか。トラブルが起きても、対応は粛々と進めればそれでいいのに、後から変な色気を出すから騒ぎが大きくなる。

自分は観客として、ライブにハプニングは付物と肝に銘じて、むしろ話のタネにするくらいの気持ちを心がけたい。

<2013年4月24日(水)追記>

もういいやと思っていたらネビュラのサイトからリンクされていたので追記。

ネット上では「過剰賠償ではないか?」と指摘する声も挙がっている。

これ、自分は「過剰賠償」といさぎよく言い切ったんだけど、どこに「ではないか?」があるんでしょうか。リンクを張ってコピペで引用するのは、このエントリー内を含めて私も良くやることなのでよいのですけど、自分たちが責められないようにするためのマスコミテンプレ表現で他人の書いた文書を曲げるのはやめてくれい。

で、「ネット上では」ってあるけど、一人だけしか書いていないのをネット上ではといわれてもなあ、と思う。こういう時は何ていう肩書きがいいんでしょうね。「ブロガー」というほどブログは書いていないし、「観劇歴の長い観客からは」って言っても今回の公演中止で被害を受けたわけでもないし、「第三者からは」ってのも盛上がらないし。でも「ネット上では」じゃないよなあ。

ちなみに、ネビュラの中の人たちなら自分が直接経験したわけではなくても、しょうもない理由による公演中止の例を見聞しているでしょうし、今回の件を取材する伝手もあるでしょうから、公演中止を決断するにいたるまでの経緯とその後の対応について、トラブルシュートに興味のある自分としてはぜひとも記事にしていただきたく。

<2013年6月19日(水)追記>

後日談についてメモ代わりのエントリーを作成。

<2017年8月29日(火)追記>

新しいエントリーで引用しようと思ったら誤字誤記が見つかったので訂正。

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