シス・カンパニー企画製作「かもめ」Bunkamuraシアターコクーン
<2013年9月14日(土)夜>
ある女優が所有する湖畔の別荘。夫がなくなった後も愛人を連れまわす奔放な女優と、芸術に打込むが仕事もなく母に放置されて暮らすその息子。息子は近所に住む女性に好意をよせて一緒に新しい演劇を目指すが、その女性は女優の愛人で著名な作家に憧れる。
チェーホフの中でも初見。恋愛や母子の愛憎をメインに据えて、芸術や創作に打込む人間の苦悩や覚悟を描いた悲劇、だと思うのだけど、喜劇らしい。多少の笑いはあるけれど、全体に真摯な雰囲気で進行する、とても丁寧な仕上がり。華も実力もあるキャストがそろっているので、「かもめ」を観たことのない人にはお勧め、と初見の一人としてすすめてみる。
三幕の大竹しのぶの喧嘩上手みたいに楽しめるところもあれば、二幕終わりで野村萬斎演じる作家の、嫌味だけど切実な創作の苦しみや、四幕最後の蒼井優の長台詞など、はまっていて心動かされる場面がいくつもあった。ついでにいうと一幕の劇中劇も結構いいんじゃないかと感じさせられて、蒼井優は今後舞台女優として大成すると思った。けど、それより今回気になったのは、浅野和之の使い勝手のよさ。何をやっても馴染むんだなこの人は。
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