イキウメ「片鱗」青山円形劇場(少々ネタばれあり)
<2013年11月22日(木)夜>
とある住宅街。近所に引越してきた父娘の歓迎を兼ねたパーティーを開催していると、侵入者がきたと思しき形跡が見つかる。そういえば近頃あやしい人影を見たと話題になる。その場はそれで解散になるが、その後で植物が枯れたり、金魚が死んだり、いろいろ不思議な現象が起きる。やがて不思議な現象は住人にも・・・。
ホラー芝居なので、何を書いてもネタばれになりそうなのがつらいところ。驚かすわけではなく、少しずつ嫌な現象が積み重なって、最後にもう一回転させて、しっかりホラーしつつ、細かいネタはそのまま。ホラーの正体が今時の事情にうっすらシンクロしたメッセージ性も感じられて、現実がホラーといえばホラー。役者の「待機」は円形劇場ならではの演出。
ただ全体に密度が薄い。脚本は、個々の登場人物の味付けがいまいち。円形舞台を4つのエリアに区切った演出は、演技するエリアを満遍なく回すためかと思ったけど、順番にアクティングエリアがつぶれていってちょっと悲しい結果に(自分が観たのがDブロックで最初につぶれたエリアの前だった)。そして期待していた手塚とおるが、適役といえば適役だけど、よくいえば贅沢わるくいえば無駄遣い。今回の脚本なら娘の父をやってほしかった。
仕上がりはそれなりに高いけど、前回で俄然上がった期待値には届かず。考えるに、うっすらシンクロと書いたけど、あれはむしろシンクロさせることにこだわりすぎて芝居自体の物語性をブラッシュアップするところまで手が回らなかったのかも。
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