Bunkamura企画製作「もっと泣いてよフラッパー」Bunkamuraシアターコクーン
<2014年2月11日(火)昼>
1920年代のシカゴ。キャバレーが流行り、ギャングが縄張り争いで敵対する中、仕事を探しにやってきた一人の踊り子と、その周辺で起こる一騒動。
あまり粗筋に意味がない。すがすがしいほどデタラメかと思いきや、最後のタイトルナンバー(かな? いい曲ですね)を聴いたらそれっぽく形がついて、見終わったら何か不思議なものを観た感覚になった芝居。何演目かわからないけど、今の時代で同じことができる人はたぶんいないので、串田和美というのはやっぱりすごい人なのだな。記憶よりもだみ声になってて最初誰だかわからなかったのは病気したせいですかね。脇でじーっと観ているのは、あれがブレヒト何たらかんたら効果というやつでしょうか。
一応前半までの不満をメモしておくと、この芝居はデタラメ加減が一定ラインを超えて猥雑さを出すことが重要だと思うけど、この立派な劇場で舞台がきっちりプロセニアムアーチの向こうに収まっていたせいか上品な印象になってしまい、それを役者がなかなか超えられなかった。そこを後半冒頭の松尾スズキが個人技で打開してからようやく集中できた。他は、下手で邪魔したような役者はいないという前提で、なお目を引いたのは秋山菜津子と片岡亀蔵、あと後半は松たか子もよかった。
好き嫌いの分かれる芝居だと思いますが、興味のある人は串田和美が元気なうちに観ておけ、と上海バンスキングの当日券で蹴られた私が書いておきます。ただし3時間20分の長時間は要注意。勝手ことを最後に書けば、これは大人計画にゲストを迎えて串田和美が演出すればもっとよかったのではないかという考えが、実は偉大な役者である松尾スズキの演技を堪能しながら頭をよぎりました。
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