日本の30代「十二夜」駅前劇場
<2014年4月26日(土)夜>
航海で嵐に会い一人陸地にたどり着いた娘は、生活のために男装してその地の公爵の付人となる。公爵に焦がれるも男の振りをしているばかりに思いを伝えられない娘は、公爵が恋する伯爵令嬢への使者に出される。公爵につれない返事ばかり返す伯爵令嬢を説得する娘に今度は伯爵令嬢が惚れてしまう。その伯爵令嬢の家には叔父とその友人が滞在しているが、これがいたずらを企んだばかりに話がややこしくなる。
演出が鵜山仁だけど役者は小劇場出身だから、どれだけ崩してくるかが見所と勝手に想像していたら、小田島雄志訳を使った真っ向勝負だった。初見の演目だったけど「ちゃんとした上演で観たことがある」といえる仕上がり。衣装に手間をかけたところがとてもよかった。ついでに言うと、駅前劇場に思ったよりもシェイクスピアが似合っていた。
正直に言うと、言葉に声が追いついていなかったり、演技のトーンが出演者間で少しずつ違ったり、後半の盛上がりに大して前半がおとなしいという印象も受けた。けれども、そういう細部のあれこれを上回る何かが舞台を支えていて、観劇後の印象が満足感につながっていた。もちろん演出のおかげで大幅に水準が上がったはずで、それは認めるけど、それだけではないような気がする。根性論は嫌いだけど、上演に対する必死さというかひたむきさというか、何かそういう要素が水準をさらに押上げるくらいに充ちていたのではないかと推測する。
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