Bunkamura企画製作「殺風景」Bunkamuraシアターコクーン
<2014年5月3日(土)夜>
昔、炭鉱で栄えて、今は寂れた田舎町となっている福岡県某市。父親が暴力団の一家は商売が上手く行かず、街金から借りた数千万円の返済が滞っている。現金の強奪を目的に、一家は街金家族の殺害に踏切る。
初日観劇。某市と書いたけど途中で大牟田市とわかる作りで、本当の殺人事件を基にした今昔の話。冒頭から最後まで福岡弁の舞台は、真相不明確な話を達者な役者が演じきる。
現在の話がきれいな世の中の絶望という路線に対して、過去の話が汚い世の中の希望という路線で、うっかりすると昭和礼賛昔はよかった路線じゃないのと悪態つきたくなるところ。さすがに赤堀雅秋はそれを阻止するような脚本。なのだけど、微妙に昔は良かった的な印象を残すのは演出の意図か、それともシアターコクーンで上演するから本当の殺風景はためらわれたか。現在が絶望というのはいいのだけど、個人的な好みでは、希望は過去ではなく未来につなげてもらいたい。それともそこに未来があったのを自分が見落としたのか。もやもや感が、どこまで狙ったものなのかいまいちわからず。
殺伐とした役を殺伐としたまま魅力的に演じるのはやっぱり難しくて、過去と現在でほぼ全員二役を演じる達者な役者はよくぞ揃えたという感じだけど、初日だとキムラ緑子が別格の出来。ただし過去に見たTHE SHAMPOO HATはもっと乾いた芝居のことが多くて、あの魅力が芝居に狙い通りに作用したのかは気になるところ。
体調が悪かったので歯切れの悪い感想になってしまいましたが、こういう芝居をシアターコクーンでやるのだから、がんばっていますよねBunkamura。
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