イキウメ「関数ドミノ(プレビュー公演)」シアタートラム
<2014年5月25日(日)夜>
自動車事故の再調査で保険調査員に集められた関係者たち。自動車が歩行者をはねたはずなのに、歩行者は無傷で自動車が大破、助手席の同乗者が瀕死の重傷となる。関係者の証言を再確認しても原因は不明のまま。話が行き詰ったところで、目撃者の一人が仮説として、「ドミノ理論」として願いが何でもかなう人間が存在する可能性を指摘する。
初日のつもりがプレビュー公演だった。「散歩する侵略者」と並んで再々演だが設定はかなり変えたらしい。ドミノ人間の存在を指摘するところから始まる唐突感も、話が進むにつれて引込まれる。途中から最後が読めたけど、それが気にならないエネルギーあり。目いっぱい後向きな脚本を出来る限り前向きに演出した感じで、思わず前のめりに観てしまう仕上がり。この脚本を書いたころの作者の心境と、今の演出時の心境との違いが気になる。
再々演となると演じているほうも慣れたのか、前回と比べて安心して観ていられる演技。役どころとして安井順平が目立つ(そして目立つだけの演技をしている)のはあるけれど、それ以外にも伊勢佳世の、こういっては失礼なのだけど、若干微妙な演技を補って余りあった魅力を観せられて、演技って本当何なんだろうと考えさせられる。
1時間50分でコンパクトにまとまったよい芝居なので皆さん観ておきましょう。舞台美術は端から端まであってもアクティングエリアは中央に寄っているし舞台の見切れはないのですが、舞台前方で横に向かい合って片方の表情が見切れる場面が多かったので、前列の端よりはトラムシートでもいいから真ん中に寄っておけ、というのが前列の端で微妙になった私から当日券狙いへのアドバイス。それは演出家の場面作りのせいかもしれませんが、ああいう席より先にトラムシート解放してくれよ当日券向けに、とこれは文句言っておきます。
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