パラドックス定数「怪人21面相」spaceEDGE
<2014年9月23日(火)昼>
江崎グリコの社長を解放した直後のアジト。元警察官を中心に、暴力団員、現役新聞記者、そして江崎グリコの現役役員の4人の男たちがこの後の手はずを確認している。世間を騒がせ、警察庁広域重要指定事件にして史上初の迷宮入りとなった事件をが収束するまでの顛末を、魅せる。
ガレージ風の空間とロフト構成がいかにもアジトに見える会場で、再演と思ったら再々演。犯人候補と推測されていたグループ像を4人の男にまとめて、犯行と犯行の合間のアジトでの会話を演ずる、という案を思いついた時点で脚本は半分成立している。予定を曲げて観に行ったかいがあった。昼は新聞紙でふさいだ窓の向こうから光が入って、これがアジト感を倍増。「夜はまた雰囲気が違うので」と挨拶で説明していたけど、この会場なら昼のほうが当たりだと思う。
終盤に動機の説明が重なって、それがちょっと同情的な雰囲気になってしまうのがもったいなくて、もう少しドライなまま終われたら格好よかった。あと、脚本がいいだけ、役者も試される感じで、やや追いついていない場面もあった。けどそういうのを差置いても、パラドックス定数を観るならこういう芝居、という満足感は高い。
もう終わってしまったのでお勧めのしようがない。再演ものならある程度出来も読めるだろうに、なぜこの劇団はロングランをしないのだろう。会場が雰囲気を出していたけど、普通に劇場で上演しても通用する脚本だから、小さい劇場で1ヶ月くらいできると思うのだけど。
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