こまつ座「きらめく星座」紀伊国屋サザンシアター
<2014年9月14日(日)昼>
昭和戦前の日本。東京にあるレコード屋は、西洋文化締出しの風潮が強まる中、2階を下宿に貸してやりくりしている。子供は一男一女がいるが、軍隊に入隊して訓練中の兄が脱走したという。憲兵が取締に家を訪れる状況を案じた後妻は、妹を傷病兵と結婚させて美談を仕立てることで窮地を逃れようと画策する。
ちょうどよい時間に当たっていたので観劇。憲兵や軍人の横暴と、それを潜りぬけて生きる庶民とを描きながら、日本人の理不尽を訴える。私の基準で言えば説教くさい分類の井上ひさしだったので、その点は大いにマイナス。なのだけど、役者陣の熱演はさすがで、特に井上ひさしとはまったく合わないだろうと思っていた秋山菜津子が木場勝己と拮抗するくらいに活躍していたのはうれしい誤算。舞台にかかる日めくりカレンダーの日付に気がつくと、観ている集中が増す。
こういう話を観ると、単位が大きいのはよくないということを再認識する。国や軍など大きい組織に自分を同化するのではなく、未熟でも個人としてどこまでいけるかが大事。そこまで話に組込んでくれていれば脚本がより輝くところ、どうしても軍と庶民のような群の対立というか、もっと言えば国と軍への反対が描写のメインになってしまうのが、井上ひさしの説教系芝居を観ていてつらいところ。
<2014年9月15日(月)追記>
「状況倫理と絶対倫理と説教芝居と芝居の強度について」という補足エントリーを作成。
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