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2014年9月24日 (水)

サンプル「ファーム」東京芸術劇場シアターイースト

<2014年9月23日(火)夜>

夫婦が離婚の話をしている。早く離婚して別の男と暮らしたい妻は離婚届の押印をせまるが夫は渋る。2人の間には特別な体質の息子がいて、通常よりも早く年を取るが、他人の細胞を培養して再生医療に提供することができ、夫が働く医療研究所でその仕事をしている。このような仕事をしている人間は「ファーム」と呼ばれる。

これ以外にもいろいろと、当人はいたって大真面目で、傍目にはおかしいと見える人物が出てきて、テーマを言えば生と死と家族と人間とは何かを問う話。でも出てくる登場人物のインパクトが強くて、部分的にナレーションで処理したり終盤一気に飛ばしたり脚本がかなり強引だけど、そういう強引な部分を含めてストレートプレイというかニュートラルな芝居で淡々と進めるので、久しぶりに気狂い芝居を観終わった気分(褒め言葉)。儀式にすがる男とそれを仕切る女など「シフト」と似た設定も出てくるけど、今回のほうが妄想度合いは高いし、より身近にありそうな場面が半分くらいを占めているのでその分緊張感が高い。

そんな芝居を演じる役者は高いレベルで安定していたけど、その中でも妻役を演じた町田マリーがやっぱり素直に目がいって、でも息子にファームを依頼している老婦人の羽場睦子が、登場当初から危ない感じが出ていて、どこで見つけてくるんだろうこういう役者は。大笑いできるものではないけど、105分とは思えない濃度は、観られるものなら観ておいて損はない芝居。

ここから先は文句。今回はアクティングエリアが張出し舞台の正方形で客席がコの字になっていて、観たのがサイド席だったのだけど、これが通常席と値段が変わらないくせにものすごい見切れる。舞台美術はほとんどないけれど、役者が舞台の線に沿って並びたがるのか演出がまずいのか、2人で話す場面の配置がとにかく正面席と並行になるので、サイド席からだと片方の背中が相手の正面を隠す形になる場面多数。いつまで同じ写真が載っているかわからないけど、公式サイトに載っている写真の3枚目、男が横並びで口論して、右後方で息子と老婦人と妻が一直線になって、左後方の女もほぼ同じラインに並んでいるこういう場面が典型的。息子について特別だ、特別じゃないと話す夫婦の場面は見せ場のひとつだったと思うけど、あれが背中しか見えなかったのは詐欺。

囲み舞台はともかく、サイド席が設けられた芝居をサイド席で観て得した覚えがあまりない。今回の芝居だと、場面が終わった役者は一部後ろで待機するスタイルをとっていたけど、それが演出に寄与していたとは思えないし(寄与していたのだとしたら、それがほとんど見えていないサイド席はやっぱり損)、張出し舞台を使う演出上の理由が思いつかない。意地悪な想像をすれば、想定客数より多目の客席が設けられる空間で客席数を調整するために舞台を張出したことと、使いたいアクティングエリアより広い劇場スペースを金を使わずに埋めるために客席をオブジェ代わりにつかったのではないかということ。見切れるならそれを事前に説明の上で1000円でも引いてくれれば諦めるし(1000円分は損したという感想)、それが嫌なら全部とは言わないまでもほぼすべての場面がそれぞれの席から見えるように演出で調整するべき。昔は「稽古場の演出家席がわかるような演出」に当たったこともあったけど、今回もサイド席からは少なくとも通しでは見ていないと言える。

芝居の内容がすごい良かった分だけ、不完全燃焼の恨みが残って、エントリーの半分以上が文句になるくらい残念だったサイド席という話。これから当日券で観る人は、出来る限り正面席を取るのが吉。

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