青年団「暗愚小傳」吉祥寺シアター
<2014年10月25日(土)昼>
高村光太郎が智恵子と結婚して、智恵子が病んで、法事を営んで、戦後を迎える4幕芝居。
いつもの青年団をもう一回り突放したような、ずいぶんと起伏のない、それでいて妙にいろいろなものが詰まっている、不思議な芝居。場面転換があるのが最近の芝居と違って新鮮だけど、場面転換ごとにあっさり人が死んでいるあたりのあっさり加減は普通の芝居ではなかなかできない見事なもの。
こんなご時勢にこんな内容の芝居で世の中嗤っているのかと思ったけど、当日パンフによれば、1991年に書換えて上演したバージョンが基になっているとのこと。書換えたとはいえ1991年にこんなモダンな芝居を創った平田オリザのセンスはすごい。そしてたぶん、その頃からある種の厭世的な気分を持っていたんだろうな。
青年団はこれまで何本も観たけど、山内健司はひょっとして初めてかも。高村光太郎を演じて、非常にはまっていた。場面では「馬に乗りたい」の場面が美しい。そして、正しく声に乗った詩はとても美しい。
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