M&O playsプロデュース「水の戯れ」下北沢本多劇場
<2014年11月2日(日)昼>
ある仕立て屋。3人兄弟のうち、仕立て屋の家業は独身の次男が継いでいる。長男は仕事で飛びまわり、三男は亡くなって13年になる。三男の住んでいた近所のマンションには妻がまだ独りで暮らしているが、マンションの取壊し計画をきっかけに、彼女に心を寄せているがなかなか打明けられない次男はこの機会に自宅に来ないかと遠まわしなプロポーズをしている。そこへ長男が中国人の彼女を連れて帰宅。うやむやになっていた家の権利を次男に譲りたいと持ちかける。
じりじりと進む話の中に、男の面倒と女の面倒を詰めこんだ1本。脚本演出に加えてキャスティングもはまった傑作。前半の最後から後半に飛んだ直後からのスリリング。やっぱり岩松了芝居はもっと観ないと損だと思い知らされる。
この脚本を成立させるには次男と三男の妻の配役が鍵だと思うけど、そこに光石研と菊池亜希子を連れてきたのが大当たり。特に菊池亜希子は役どころもあるけど、観ていてくらくらした。他に誰を挙げてもいいけど、みんないいので挙げられない。
これまで観た岩松了の芝居は役の内心に委ねることが多くて、よく言えば観る側の想像にまかせる悪く言えば煙に巻かれることもあったけど、今回は所々ではっきりとした台詞が何度かあって、かなり親切なほうだった。当日券でも良席が残っていたので、これからでもこの面倒の行方をぜひ見届けてほしい。お勧め。
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