2014年6月30日 (月)

2014年上半期決算

中間決算です。まとめが遅れて、これを書いている時点で夏が終わりそうです。

(1)パルコ企画製作「志の輔らくご in PARCO 2014」PARCO劇場
(2)Bunkamura企画製作「もっと泣いてよフラッパー」Bunkamuraシアターコクーン
(3)東京芸術劇場主催「おそるべき親たち」東京芸術劇場シアターウエスト
(4)こまつ座/ホリプロ主催「ムサシ」Bunkamuraシアターコクーン
(5)サンプル「シフト」東京芸術劇場シアターイースト
(6)青年団・こまばアゴラ演劇学校「S高原から」こまばアゴラ劇場
(7)日本の30代「十二夜」駅前劇場
(8)ティルト主催「春風亭昇太独演会 オレスタイル」紀伊國屋サザンシアター
(9)Bunkamura企画製作「殺風景」Bunkamuraシアターコクーン
(10)演劇集団円「錬金術師」東京芸術劇場シアターウエスト
(11)イキウメ「関数ドミノ」シアタートラム
(12)青年団「働く私」こまばアゴラ劇場
(13)松竹/Bunkamura主催「三人吉三」Bunkamuraシアターコクーン
(14)青年団「忠臣蔵・OL編」こまばアゴラ劇場
(15)青年団「ヤルタ会談」こまばアゴラ劇場
(16)NPO法人劇場創造ネットワーク/座・高円寺企画製作「リア」座・高円寺1
(17)青山円形劇場/ネルケプランニング主催「赤鬼」青山円形劇場
(18)シス・カンパニー企画製作「抜け目のない未亡人」新国立劇場中劇場

以上18本、隠し観劇はなし、チケットはすべて公式ルートで購入した結果

  • チケット総額は99100円
  • 1本当たりの単価は5505円

となりました。

本数が多いのは青年団のせいで、それがなければ14本だからほぼ予定の範囲。単価が高いのはシアターコクーンと三谷幸喜のせいで、それがなければ1000円くらい下がる。劇場は渋谷方面に回帰していたのに今気がついた。

前年下半期と比べるとさすがに明るい芝居も増えている。ほぼすべて佳作で、無理に絞ると、笑える面白さなら(10)、今時っぽさなら(11)、これこそ芝居という出来なら(4)になる。でもとびきりの1本はなかった。体が欲した感じがしたのは(4)と(17)か。

野田秀樹演出で何度も観た「赤鬼」はさておき、「ムサシ」とか一度も観ていないのに欲したのかというと、欲した。鼻が利くというのとは別に、よくわからないけど、今観ておけという勘が働いた。食事が偏りすぎて、野菜食っとけと体が欲したような。でもじゃあ何でそれが野菜だとわかったかというと、鼻が利いたとしかいえないので、書いている自分でもわかっていない。

最近は観たあとに感想をアップする時間が遅れてきているけど、読者の皆様にはそれを気にせずに細く長くお付き合いいただきたく。

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2014年6月29日 (日)

シス・カンパニー企画製作「抜け目のない未亡人」新国立劇場中劇場

<2014年6月28日(土)夜>

国際映画祭が開催中のベネツィアのあるホテル。かつて一世を風靡して、結婚後は長く現場を離れていた女優が、夫である映画監督の死亡をきっかけに現役復帰を計画する。出演作品では監督と相思相愛にならなくてはいけないという信念の女優に、国も違えば作風も違う4人の監督が次回作の主演キャスティングをオファーしてくる。夫の遺産で出演料は気にしないでも構わない女優がどのオファーを受けるか迷っているときに、エージェントがひとつの提案を出す。

初日。イタリア喜劇の原作をアレンジして、三谷幸喜の持味のひとつであるとても軽い喜劇に。全体にデフォルメ勝負の役作りの中、あれだけおおげさにやっても馴染む大竹しのぶはやっぱり大物。ホテルマン兼進行係のの八嶋智人はこういう役だと非常に生き生きする。峯村リエはもうすこし観たかった。女優の妹の話がもう少し本線の話に絡んできたらよかったけど、そこは原作の事情か。

そんなオチか、みたいなオチも含めて笑って、ああ楽しかったと屈託なく思う一本。張出して広めの舞台を役者が左右に行ったり来たりで端の人は大変かもしれないけど見切れは一切ないすっきりした舞台に、テンポの良い休憩なしの1時間55分。大竹しのぶプラス誰か興味のある役者がいたら観てみたら如何。

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2014年6月 9日 (月)

青山円形劇場/ネルケプランニング主催「赤鬼」青山円形劇場

<2014年6月8日(日)夜>

嵐で浜辺に流れ着き助けられた男女のうち、女が自殺した。村人から「あの女」と呼ばれた女の兄が語る、自殺の理由と村にやって来た「赤鬼」を巡る騒動の顛末。

囲み舞台が似合う、何度観てもいい野田秀樹の名作が、中屋敷法仁の演出で青山円形劇場に。動きや登場人数を補うためのアンサンブルで3人追加になるも、台詞はあくまで4人での芝居を、息の合った動きで展開させていく。4人の中では知恵の足りない兄を、あまり知恵が足りない感じにしなかった柄本時生に好感。衣装と舞台美術もよい感じ。何よりこの脚本なので、観れば満足は間違いなし。

という前提で、野田秀樹演出を観ているとどうしても比較してしまうのはやむなし。意図的かどうかはわからないけど全体に緩急強弱のつけ方が薄く、場面転換や台詞を立てるのも控えめ。野田秀樹が自分で演出と出演を兼ねる前提で書いたリズムの芝居を他の人が演出するのはかくも難しいか。あと、自分が観た席がBブロックの中でもさらに微妙な角度に当たってしまって、始終横から観ている印象に。舞台が一番高くなっているAブロックがやっぱり正面で、その裏はおそらくそれなりに向いていたので見えていたはずだけど、それ以外のブロックからどう見えていたか気になる。四面舞台ならもっと簡単になると思うけど、円形劇場の演出もやっぱり難しい。

日曜夜の芝居にも関わらず満席だったのは100分芝居を17時開演という狙いが当たったからか。おかげで日曜日なのにハシゴがする気になったので、今後も流行ってくれることを願う(ここに19時半のマームとジプシーのチケットを持っていたら3連続強行軍も狙えたけど、実際にやったマニアはいるかな)。

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NPO法人劇場創造ネットワーク/座・高円寺企画製作「リア」座・高円寺1

<2014年6月8日(日)昼>

嵐の荒野を彷徨うリア。長女と次女に領地を分け与えたものの、そこから追出され、ただひとり慕ってくれた三女を亡くしたリアの胸中は。

千秋楽。再構築して90分の3人芝居にしたリア王。いきなり嵐の場面から始まったり、三女の扱いが死んでいるのか死んだつもりなのかがよくわからなかったり(台詞だけ聞いたら死んで引連れているけど、元の筋だと死んだのは荒野の場面より後だったはずだったので狂ったリアが死体と思い込んだ何かを引連れている可能性もあり、で小道具と再構築のためそこらへんは分からず)、正直わかりにくい話になっている。

けど、ほぼ出ずっぱりの渡辺美佐子のよくわからないエネルギーに90分連れられていった不思議な感あり。植本潤と田中壮太郎の2人もいい相手役だったけど、2人だけの場面はリラックスしすぎ。しかし植本潤の身のこなしは格好良かった。

照明が暗すぎて前半は表情がいまいち見えなかったのが視力の悪い自分には不満。照明の明暗でリアの心中を表しているかと思わないでもなかったけど、狭い劇場なら暗くても見える、というわけではないのでそれは一考してほしい。

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青年団「ヤルタ会談」こまばアゴラ劇場

<2014年6月7日(土)夜>

ヤルタの地に集まって戦争の大詰と戦後の統治を相談するチャーチル、ルーズベルト、スターリンの3人。

落語向けに書下ろしたのが先で、そこから芝居にしたとのこと。ものすごくラフに物事を決めていく途中の認識の違いとか放言とかがブラックなのだけど、たぶん当事者たちも実際こんな感じだったんじゃないのと思わせるあたりのさじ加減がとても上手い。

元が落語向けなだけあって30分の小品だけど、将来もう1回観たい。

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青年団「忠臣蔵・OL編」こまばアゴラ劇場

<2014年6月7日(土)夕>

昼食時間帯に飛込んできた殿の刃傷沙汰、追って届く吉良無罪の報せ、これに直面したOL達が休憩スペースで論じる今後の方針や如何に。

Aチーム。たぶん初演のOL編も観ている。ぐだぐだになることこの上ない展開になるのは覚えていたけれど、初演のときよりも観ていて腹が立つという珍しい経験。演技にではなく、展開の話。一応本会議前の雑談という設定だけど、勤め人として目的もアウトプットも定まらない会議の経験が増えたせいか。苦笑いできるようになりたい、修行が足りない。

大石内蔵助(に当たる家老)を演じた木崎友紀子のずるい感じがいいのだけど、うっとおしい会計(?)係が実にうっとおしいのを観て青年団は幅広く役者を集めているなと思ったら立蔵葉子だった。芸風広し。刀の大小は武士道の意気込みでも表しているとか?

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2014年6月 7日 (土)

松竹/Bunkamura主催「三人吉三」Bunkamuraシアターコクーン

<2014年6月6日(夜)>

将軍家から手入れに出された名刀・庚申丸が、盗賊に盗まれて川の底に沈められてから何年も後のこと。川浚いで再び見つかった庚申丸が古物屋の手に渡って百両の金で買われると、この刀と金とが巡って吉三という同名の三人の悪党を義兄弟につなげる縁となる。ところが、この刀と百両の金とに関わった人物には複雑な因縁が絡んでおり、それが三人の吉三に迫ってくる。

初日。3回も上演するだけあってさすがによくできた歌舞伎脚本。こいつぁ春から演技がいいや、の出元がこれでした。一幕と二幕の演出は若干地味目で、ところどころ長塚圭史の実験芝居みたいな気配もあったけど、三幕の立回りで思いっきり派手にやってすべてを吹飛ばす演出で満足。2回目のカーテンコールがスタンディングオベーション。音楽と照明が今時っぽいスタッフワークになっていたけど、特に音楽で、あそこまで歌舞伎っぽさの印象が変わることがわかったのは収穫。

主役3人はさすがに目立って、勘三郎いなくても十分できていた。それでも若干おとなしく感じたのは初日だからか。笹野高史の存在感がさすがなんだけど、主役が目一杯派手にやるともっとお互いに引立つので(それがコクーン歌舞伎の仕組みだと思っているので)楽日に向けて主役の3人はもっと無茶してほしい。

前売が正真正銘の完売らしいので、当日券は2階のパイプ椅子少しに立見がメイン。通路は使うけどあまりメインの演技では使わないのでその点は心配なし。カーテンコールまでいれて休憩2回を挟んで3時間40分だったので、当日券の人は気合と体力で臨みましょう。逆に、前から5列分くらいの桟敷席が取れた人は三幕の演出をぜひ楽しんでください。あれはうらやましかった。

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2014年5月31日 (土)

青年団「働く私」こまばアゴラ劇場

<2014年5月31日(土)夕>

人間と会話し、家事をこなしてくれるロボットがいる時代。2台のロボット「タケオ」「モモコ」と住む夫婦。が、家事をこなすはずの「タケオ」がなぜか働きたくなくなった。それで追出すわけでもなく一緒に暮らす夫婦とロボットとの生活の一コマ。

人間の役者と、本当にロボットが出てきて動く「ロボット演劇」。25分くらいで終わってしまう非常に短い作品だけど、ロボットの話も夫婦の話も少ない会話できっちり察せさせて、ロボット演劇っぽいアピールもこなして、ロボットと人間との違いは何ぞやというテーマも盛込んで、実にきっちり仕事していますという脚本。

段々ロボットが意思というか思考をしているように見えてきたけど、それは相手をしている人間の役者の反応や間でそう見えて(ついでにいうとそれは別にロボット同士の会話でも同じで)、演技を受ける側の演技が大事であるというのが演技や演劇の基本なんだなと今さら考えた次第。1000円で安いので、未見の人はちょいと観てみては如何。

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2014年5月26日 (月)

イキウメ「関数ドミノ(プレビュー公演)」シアタートラム

<2014年5月25日(日)夜>

自動車事故の再調査で保険調査員に集められた関係者たち。自動車が歩行者をはねたはずなのに、歩行者は無傷で自動車が大破、助手席の同乗者が瀕死の重傷となる。関係者の証言を再確認しても原因は不明のまま。話が行き詰ったところで、目撃者の一人が仮説として、「ドミノ理論」として願いが何でもかなう人間が存在する可能性を指摘する。

初日のつもりがプレビュー公演だった。「散歩する侵略者」と並んで再々演だが設定はかなり変えたらしい。ドミノ人間の存在を指摘するところから始まる唐突感も、話が進むにつれて引込まれる。途中から最後が読めたけど、それが気にならないエネルギーあり。目いっぱい後向きな脚本を出来る限り前向きに演出した感じで、思わず前のめりに観てしまう仕上がり。この脚本を書いたころの作者の心境と、今の演出時の心境との違いが気になる。

再々演となると演じているほうも慣れたのか、前回と比べて安心して観ていられる演技。役どころとして安井順平が目立つ(そして目立つだけの演技をしている)のはあるけれど、それ以外にも伊勢佳世の、こういっては失礼なのだけど、若干微妙な演技を補って余りあった魅力を観せられて、演技って本当何なんだろうと考えさせられる。

1時間50分でコンパクトにまとまったよい芝居なので皆さん観ておきましょう。舞台美術は端から端まであってもアクティングエリアは中央に寄っているし舞台の見切れはないのですが、舞台前方で横に向かい合って片方の表情が見切れる場面が多かったので、前列の端よりはトラムシートでもいいから真ん中に寄っておけ、というのが前列の端で微妙になった私から当日券狙いへのアドバイス。それは演出家の場面作りのせいかもしれませんが、ああいう席より先にトラムシート解放してくれよ当日券向けに、とこれは文句言っておきます。

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演劇集団円「錬金術師」東京芸術劇場シアターウエスト

<2014年5月25日(日)昼>

中世イギリスはロンドンの貴族の屋敷。ペストの流行で田舎に疎開した主人に代わって留守の間の管理を任された執事、だったが、街で意気投合した悪仲間と詐欺を働く。カモを見つけては屋敷に呼込み、錬金術やらなにやらを持ちかけては金を巻き上げようとする。

ただひたすら茶番劇が続く、との前触れ通りひたすら茶番劇が続くコメディ。芝居の前後は上演台本で追加したのかな。屈託のない詐欺話が続いて観ていて楽しいけど、演じているほうがもっと楽しんでいるのではないかという弾けっぷりで大満足。

橋爪功目当てだったけど、キャスト全員芸達者で、それが本気で馬鹿話を上演すると実にすがすがしい。詐欺の相棒を演じた金田明夫と朴璐美の憎めない感じがとてもよくて、特に聖書の話題で荒れる令嬢はぜひ一度観てほしい傑作。照明でガラッと変わる美術もいいけど、そこに合せた衣装はもっとよくて、手間暇かかった芝居を観ている気にさせてくれる。

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